保育士とは?
更新日:2020年8月7日
保育士とはどのような資格?保育所以外ではどこで生かせる?子どもたちの日々の成長にたずさわる保育士はどのような仕事をするのか、保育士資格を取得して活躍できる場にはどんなところがあるのか、そして保育士として働くやりがいと魅力についてご紹介します。
保育士とは
「保育士」とは、国家資格である保育士資格を有し、保育士の名称を用いて、専門的知識と技術をもって乳幼児の保育および保護者に対する指導を行う者のことです。
保育士とよく似ている職種に幼稚園教諭があります。
保育士と幼稚園教諭の違い
保育士 | 幼稚園教諭 | |
---|---|---|
資格 | 保育士資格 | 幼稚園教諭免許 |
法的根拠 | 児童福祉法 | 学校教育法 |
資格更新 | 無 一生有効 |
有 |
管轄 | 厚生労働省 | 文部科学省 |
保育対象 | 0歳~就学前 | 3歳~就学前 |
主な目的 | 保育(生活) | 教育 |
イメージとしては、保育士が0歳から小学校入学前の乳幼児について幅広く知識と技術を有する専門職なのに対し、幼稚園教諭は主に3歳以上の幼児の教育分野に深く精通した先生です。
幼稚園の先生と比較することで、保育士の役割がわかってきたかと思いますので、次は保育士資格を生かせる場所について触れます。
保育士が働く場所と働き方
保育士が活躍できる場所は保育所だけではありません。
- 保育所
- 託児施設
- ベビーシッター
- 事業内保育所
などが挙げられます。
保育所
自分が保育士として働いている姿をイメージするとき、一番想像しやすい場所は保育所でしょう。
同じ保育所でも公立か私立か、規模、運営母体はどこか?仏教やキリスト教のような宗教系の園、株式会社が運営する園などさまざまです。またモンテッソーリ教育、英語教育、体操、自然あそび、音楽、茶道のような日本文化に力を入れているなど、園によってカラーがあります。
託児施設
商業施設やイベント会場などに設けられる「託児施設」。
一時預かりの要素が強いのが特徴です。子どもの年齢に幅があり、預かる子どもの数も顔ぶれもその都度変わりますので、より臨機応変な対応が求められます。
ベビーシッター
保育士のライフスタイルに合わせて働ける「ベビーシッター」。
主に個人事業主(フリーランス)もしくはベビーシッター登録サービスに登録するパターンがあります。
ベビーシッターにとって大切なものは保護者からの信頼です。必ずしも保育士資格が必要なわけではありませんが、厚生労働省のホームページによるとベビーシッター利用時の注意点として、保育士証や認定ベビーシッターという民間資格の登録証の開示を求めて確認するよう促しています。保育士資格は信頼を与える重要な要素なのです。
さらに、たとえば英語や絵画、音楽などの芸術を教えられるといったプラスアルファのスキルがあると個別保育の魅力を最大限発揮でき、リピーターを増やすポイントになります。
事業内保育所
会社のオフィスなどに併設された「事業所内保育所」。
有名IT企業も自社内に託児所を設けるなど共働き世帯の強い味方として注目されている施設です。なかには子どもがパパやママと一緒にランチや夕食を食べられるなど保護者との関わりにユニークな特徴を持つところもあり、事業所内保育所ならではの魅力があります。
他にも、院内保育所、学童保育所、児童館、児童福祉施設など保育士資格を生かせる場所は多彩です。そのため、保育士資格保有者は多くの施設で歓迎されています。
活躍できる場所もさることながら、多様な働き方ができるのも保育士のメリットです。
何もフルタイムの仕事ばかりではありません。施設によっては、時短勤務の保育士としてフレキシブルに働くことも可能です。家庭の事情などにより長い時間は働けない方でも専門職として存分に力を発揮できる職種なのです。
保育士の仕事内容
保育士の仕事は子どもたちと接することだけではありません。
保育所に勤務し、年少3歳児クラスを担当する保育士さんのとある1日をご紹介します。
7:00
- 出勤
- 朝の受け入れ準備
- そうじ
- 朝礼
- 園児の受け入れ
- 朝の視診(体調などを確認します)
- 子どもたちの身支度・自由遊び
10:00
- 片付け、一斉保育開始
- 給食準備 配膳など
- 給食
(お箸の使い方、食事のマナーなど個々に合わせた援助を行います) - 給食片付け、合間に部屋の窓ふき、掃き掃除
- おなか休めの絵本タイム
- 帰りのお支度
- 帰りのお集まり
(今日の振り返り・明日のこと・歌やレクリエーションをして子どもたちの保育所での1日をしめくくります)
14:00
- 午睡(お昼寝)
- おやつ
- お部屋でお迎え待ちの子
(それぞれ担当に分かれ対応します) - 掃除
- 日誌などの書類仕事や翌日の準備
17:00
- 退勤
保育のほかに掃除や日誌、月案などの書類仕事、翌日の準備、イベントが近ければイベントの準備、備品の注文、門当番なども保育所での重要な仕事です。
保育士になるには
保育士になるには2通りの方法があります。
1.指定保育士養成施設を卒業する。
指定保育士養成施設は、都道府県知事が指定した大学や短期大学、専門学校の児童教育科や保育科、子ども学科などです。夜間部や通信教育制を設けている学校もあります。
保育について体系的に学び、多くの実習で技術を磨きたいという方は養成学校で学ぶとよいでしょう。また、保育士資格だけでなく幼稚園教諭免許も卒業と同時に取得できるところもありますので、学校選びの際にはチェックしておきましょう。両方の資格があれば、認定こども園で保育教諭として活躍することもでき、仕事の幅が広がるでしょう。
なお、養成施設を卒業して資格を取る方は国家試験を受験する必要はありません。
2.国家試験である保育士試験に合格する。
指定保育士養成施設を卒業するまで最短2年は長すぎるという方は、年に2回行われる保育士の国家試験に合格して、保育士資格を取得しましょう。この国家試験には受験資格が設けられていますので、事前によく確認してから学習に取り組みましょう。
いずれの道を辿ったとしても、「保育士」として働くには、その業務に就く前に、登録をしなければなりません。都道府県知事に対して登録申請手続きを行い、保育士証の交付を受け、晴れて保育士として働くことができるようになります。
登録を忘れていたとしても、一度取得した保育士資格は生涯有効です。なお、保育士証交付まで2か月程度の時間を要しますので、保育士として働き始める前までに申請する必要があります。
保育士のやりがいと魅力
保育士を目指したきっかけは、ピアノを弾ける仕事をしたかったから?!
3児の母でもある30代の現役保育士さんに仕事のやりがいについて伺いました。
「悩むこともたくさんありますが、子どもたちの無邪気でかわいい時期の成長を保護者とともに見守れます。
毎日、驚きと発見の連続です。子ども自由な発想と想像力に笑顔になることがたくさんあります。
また、いろいろな人とかかわることで人の温かさも感じられ、たくさんの出会いが自分を成長させてくれます。
それから、私の場合、大好きなピアノを弾けることも楽しいです。子どもたちと思いっきり歌ったり踊ったり充実した日々を送っています」
現役保育士さんにお話を伺った後、3歳の子どもが食事するところを見せてもらいました。普段あまりごはんを食べずにすぐに遊んでしまう子だそうです。
お昼の時間は過ぎていくのに、いつまでたっても用意されたプレートから食べ物はなくなりません。
保育士さんはその子と他愛のない話をしながら、プレートの上のごはんをお箸でより小さいサイズに分けていきました。
「これは○○ちゃんダンゴ!こっちはママダンゴね。これはだれのおダンゴにしようか?」
見事にその子の注意をひき、ごはんを口に運ぶよう、うまく誘導していきました。
「ほら、なにか見えてきたよ」
「ゾウさん!」
この調子でごはんの底に隠れていたゾウさんなどの動物が続々と見えてきました。
保育士さんは子どもが喜ぶ術を熟知しており、子どもの性格に応じた対応や声がけの引き出しをたくさん持っていました。また、保育士が持つ知識と技術は、子育てにも大いに役立つと思いました。
さいごに
子どもが好き!音楽や工作が好き!身体を動かすのが好き!という方、保育士資格があれば活躍の場は大きく広がります
全国的に見ても、保育士の確保に苦労している施設が多くあるのが現状であり、保育士資格を持たない保育補助に頼らざるを得ない状態です。
そのような保育士不足を背景に2016年、国家試験である保育士試験はそれまでの年1回から年2回にチャンスが増え、以前に比べると資格が取得しやすくなっています。
また厚生労働省は保育士の人材確保のため、保育士の再就職支援や働きやすい環境づくりに注力しています。
保育士を目指すならば、いまはまさに追い風です。保育士資格にぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう。