保育士試験の合格率

保育士試験の合格率

保育需要の高まりとともに国家資格である保育士資格の取得を目指す方も増加傾向にあります。そのような中、保育士試験の合格率はいったいどのくらいなのか?チェックしていきます。

目次

保育士試験の合格率

2018年保育士試験の受験申請者数は68388名、合格者数13500名、合格率19.7%でした。2017年の合格率は21.6%と、ここ数年は20%前後を推移しています。

8割の受験生が不合格になってしまう合格率です。決して高い数字とはいえないでしょう。もっと細かくみていきます。

筆記試験

筆記試験の合格率はおよそ2割です。筆記試験と実技試験ごとの合格率はここ数年公開されていません。厚生労働省が公表している2014年までのデータをみると、筆記試験の合格率は2012~2014年にかけて20%前後でした。実技試験で不合格になる人は少ないといわれていますので、全体の合格率に近い数字が筆記試験の合格率になると思われます。

筆記試験の合格率がここまで低いのはなぜなのでしょう。一番の理由は保育士試験が9科目にも及ぶ広範囲な試験だからです。筆記試験に合格するためには9科目それぞれで6割以上正解しなければなりません。全科目をまんべんなく学習しすべてにおいて合格点に達さなければならないのです。
ただし、ここで悲観する必要はありません。保育士試験は科目別合格が3年間有効です。ですので、不合格の科目だけを次回試験で再挑戦することが可能です。つまり、分散受験ができるのです。

また科目ごとの難易度にばらつきがあるようです。科目別合格率について公式な発表はありませんが、保育士試験対策を行う予備校が分析した結果や受験者の口コミから、毎試験何科目かの難易度が上がるといわれています。突出した難易度の科目があることで全体の合格率を押し下げているものと思われます。

実技試験

実技試験の合格率は実技試験受験者のおよそ9割です。筆記試験の合格率と同じく2015年発表の厚生労働省のデータによれば、2013年2014年と90%に近い合格率になっています。実技試験で不合格になる人はあまりいないと言われていますので、現在でも同水準ではないかと思われます。
実技試験は音楽(弾き歌い)、造形(絵画)、言語(お話)より2分野を選択して受験します。それぞれ50点です。筆記同様6割以上の点数になれば合格できます。

合格率の推移

合格率と合格者数との推移のグラフをそれぞれ提示し、近年の保育士試験の傾向を探ります。

合格率と合格者数との推移

合格率は「合格者数÷受験申請者数」により算出しています。
2014年以降の合格率について、2013年より創設された幼稚園教諭免許状所持者の保育士資格取得特例制度(幼保特例)による全科目免除者(合格率100%)はカウントされていません。より難易度が実数に近く表れています。
2015年以降は地域限定保育士試験の受験者数、合格者数も加味された数値となっています。 翌2016年より保育士試験は年2回に拡大しました。

実施回によって合格率に若干のばらつきがありますが、ここ数年を平均すると年毎の合格率は20%ほどです。

幼保特例による全科目免除の合格者数を合わせた合格者数

幼保特例による全科目免除の合格者数を合わせた合格者数が年々どうなっているのかグラフにしました。ここ4年、保育士試験では毎年20000人近くの試験合格者がでています。
実際のところ保育士になるためのルートには2通りあります。こちらの保育士試験合格者に加え、保育士養成施設を卒業された方が保育士資格を得ていることになります。

現在、「子育て安心プラン」という2018年~2020年度の3か年計画を政府は推し進めており、待機児童解消および女性の就業率8割に対応するために、約32万人分の保育の受け皿確保に取り組んでいます。それに伴い、保育の担い手となる保育人材を新たに約7.7万人確保するとしています。まだまだ保育士は必要とされているようです。

また昨今の働き方改革や保育士確保のために厚生労働省が取り組む保育士の勤務環境改善策により、かつては必要最低限の保育士・職員で回していた保育所などでも、余力のある体制づくりを進めるようになりました。クラス担任を持っていても産休・育児休業を取得できるように、普段の平日であっても有給休暇を取得できるように、人材を拡充しチームで保育環境を作り上げていけるように変化してきました。これもまたまだ保育士が必要とされている要因のひとつです。

当面は保育士確保の目的のもと、合格率が急激に下がるようなことは考えにくいでしょう。

合格者の年齢や性別

厚生労働省と都道府県知事によって指定された指定試験機関である全国保育士養成協議会のホームページを調べましたが、受験者・合格者の都道府県別のデータのみで男女・年齢など属性ごとのデータはありませんでした。
合格者の体験談をみてみると、20,30代の子育て中の方、子育てを終えた50代の方など幅広いです。男女別でいえば、女性の受験者が大多数ですが男性保育士の数も年々増えてきています。

ちなみに保育士登録されている男性保育士は2019年4月1日現在7.8万人います(厚生労働省)。まだ全体のうち5%弱の割合に留まりますが、年々徐々に増えてきています。

まとめ

保育士試験の合格率について調べました。

試験ごとに、科目別でも、合格率に多少のばらつきがありますので、一発完全合格は難しいかもしれません。ですが、科目別合格ができますので、次回試験ですぐに再挑戦できます。あきらめずに取り組みましょう。

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