保育士試験はどんな試験?

保育士試験はどんな試験?

保育士試験はどんな試験?

保育士の資格を取るためには、指定保育士養成施設を卒業する、もしくは、国家試験である保育士試験に合格する必要があります。後者の保育士試験がどのような試験なのか?試験内容や形式、スケジュールなどについてご紹介します。

目次

試験内容

保育士試験はマークシート方式の筆記試験と実技試験から構成されます。全9科目の筆記試験に全て合格すると実技試験が受験できます。

筆記試験は9科目もありますが、科目別合格が3年間有効ですので、合格できなかった科目は次の試験で再挑戦することができます。保育士試験は年に2回実施されますので、期間をあまり空けることなく次のチャンスが来ます。
また実技試験は合格率がおよそ9割といわれています。ポイントをしっかり押さえて試験に臨めば合格できます。

では、筆記と実技の試験内容をそれぞれ詳しくみていきます。

筆記試験

筆記試験はマークシート方式、以下の9科目から構成され、2日間に渡って試験が実施されます。

科目 問題数 試験時間
1. 保育原理 20問 1時間
2. 教育原理 10問 30分間
3. 社会的養護 10問 30分間
4. 子ども家庭福祉 20問 1時間
5. 社会福祉 20問 1時間
6. 保育の心理学 20問 1時間
7. 子どもの保健 20問 1時間
8. 子どもの食と栄養 20問 1時間
9. 保育実習理論 20問 1時間

出題形式は正しい組み合わせを5つの選択肢からひとつ選ぶものや、語群選択など五肢択一の選択式です。問題形式と問題数は2019年度の試験問題を、試験時間は2020年度前期試験の手引きを参考にしています。

※教育原理と社会的養護の科目は、同時に合格点に達することで両方が合格となります。片方は合格点でも、もう片方が合格点に達せなかった場合、いずれも不合格になってしまいます。

筆記試験の内容は、制度・法律・歴史・理論などからの問題もさることながら、事例が提示されどのような対応が適切かを考えさせる問題など実践に即した出題もされています。
また、統計や法改正後の新しい内容など最近のトレンドも押さえる必要があります。

ところで、「赤ちゃんのお風呂上りには白湯をあげて」「もう4か月?果汁をあげなきゃ」といったことを、おばあちゃんから言われたことがある方がいるかもしれません。子育ての最良なやり方は最新の科学に基づき時代によって変化していますよね。
保育士試験では最新のガイドラインに基づいた出題がされますので、保育士試験のための勉強が子育て・孫育て世代間の認識のギャップを埋めてくれる存在になってくれるかもしれません。保育士資格の学習は正しい育児の知識を身につけるのにも役立ちそうです。

実技試験

全科目の筆記試験に合格すると実技試験に進めます。実技試験は音楽(弾き歌い)・造形(絵画)・言語(お話)の3つより2つを選択し受験します。
造形については当日まで絵に描く課題が分かりません。しかし、音楽と言語については、受験申請の手引きにて課題が何か事前に知ることができます。

 音楽に関する技術

幼児に聴かせることを想定して、2曲ある課題曲の両方をピアノかギター・アコーディオンを用い、弾き歌いする試験です。
当日までの流れとしては、2つの課題曲について市販の楽譜を買うか、手引きに添付された楽譜のコードを基に編曲するかして、よく練習しておきましょう。客観的にチェックしてもらえるとなおよいです。試験の時に楽譜の持ち込みが可能ですので、お忘れなく!

ピアノを使用する方は試験本番グランドピアノかもしれません。キーボードなどとはタッチの違いがありますので、ピアノ教室などで慣れておくとよいでしょう。

 造形に関する技術

問題文で設定された保育の一場面を、持参した鉛筆・色鉛筆(12~24色程度)を用い、絵画で表現する試験です。当日まで何の絵を描くのか分かりません。音楽・言語の個別試験とは異なり、絵画は45分間の一斉試験なのが特徴です。

参考までに2019年後期試験のときの課題は、
保育所の5歳児クラスが「好きな動物をテーマにして、粘土遊び」をしている様子を描く問題でした。
活動する保育室内の様子がわかるように描くこと・子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと・枠内全体を色鉛筆で着彩することが条件として挙げられていました。

造形の試験は時間との勝負です。課題になりそうな場所(保育室、園庭など)、アイテム(遊具、楽器など)をどのように描くか日ごろから考えておくといいかもしれません。

 言語に関する技術

課題として提示されたお話のなかからひとつを選び、〇歳児クラスのこどもに「3分間のお話」をすることを想定した試験です。

2020年の前期試験では、3歳児クラスのこどもに

  1. ももたろう
  2. 3びきのこぶた
  3. おおきなかぶ
  4. 3びきのやぎのがらがらどん
のいずれかのお話しをする試験でした。

流れとしては、課題の選出→物語のあらすじを対象の年齢の子どもがたのしめるように3分にまとめる→練習 です。

注意点として、言語試験には台本・人形の持ち込みはできません。内容を暗記したうえで完成度の高い3分間に仕上げる必要があります。事前準備にかかっています。

免除科目

以下のいずれかの資格保有者は一部科目が免除になります。

  • 幼児教育を行う幼稚園の先生「幼稚園教諭免許状所有者」
  • 福祉や医療の相談援助を行う「社会福祉士」
  • 身体介護や生活援助など社会福祉業務に携わる「介護福祉士」
  • 精神保健福祉領域の相談援助を行う「精神保健福祉士」
  • 指定保育士養成施設における修得に応じた科目免除もあります。

それぞれ免除される科目について、まとめてみます。

科目 幼稚園教諭 社会福祉士
介護福祉士
精神保健福祉士
養成施設の履修科目に応じた
保育原理 *学びによる免除特例あり
教育原理 免除
社会的養護 免除 *学びによる免除特例あり
子ども家庭福祉 免除 *学びによる免除特例あり
社会福祉 免除 *学びによる免除特例あり
保育の心理学 免除
子どもの保健 *学びによる免除特例あり
子どもの食と栄養 *学びによる免除特例あり
保育実習理論 *実務経験による免除特例あり
実技試験 免除

幼稚園教諭免許所持者が「実務経験」と「学び」による特例を受けると、全科目が免除になります。受験申請だけでテストを受けずに国家試験に合格することができます。この特例は2020年より5年間延長され、受験申請が2025年の試験までが対象です。2024年度(2025年3月)までに「実務経験」と「学び」を終えていることが条件です。 (2020年現在)

実際に免除を受ける際は、受験申請時に免許状のコピーや証明書の原本を提出する必要があります。万一必要書類の提出漏れがあると免除科目のある方であっても科目免除は受けられません。

合格基準

合格基準は各科目、各分野において60%の正解、得点です。

筆記試験の合格基準

科目 問題数 合格ライン
1. 保育原理 20問 12問正解
2. 教育原理 10問 6問正解
3. 社会的養護 10問 6問正解
4. 子ども家庭福祉 20問 12問正解
5. 社会福祉 20問 12問正解
6. 保育の心理学 20問 12問正解
7. 子どもの保健 20問 12問正解
8. 子どもの食と栄養 20問 12問正解
9. 保育実習理論 20問 12問正解

※教育原理及び社会的養護については同時にそれぞれの分野で60%をクリアしなければなりません。どちらかだけでは合格にはなりませんので要注意です。つまり、教育原理が70%、社会的養護が55%の正解率だった場合、社会的養護に加え教育原理までも不合格となってしまいます。同時受験かつ、いずれも4問ずつしか間違えられないことを意味します。

なお筆記試験について一度合格した科目は3年間(合格した年を含む)有効ですので、不合格だった科目を次の試験でリベンジする分散受験が可能です。

実技試験の合格基準

試験分野 得点 合格基準
音楽に関する技術 50点 30点
造形に関する技術 50点 30点
言語に関する技術 50点 30点

選択した2つの分野でいずれも60%以上得点した方が合格となります。

保育士試験は受験生全体の出来などによって、合格ラインが調整される試験ではないので、自分との勝負です。

試験会場

保育士試験は都道府県が実施する試験を一般社団法人 全国保育士養成協議会が各都道府県から指定を受けて実施しています。各都道府県に1以上の試験会場が設置されますので、希望する都道府県(受験申請地)を受験申請の際に選択します。ただし北海道と沖縄を除き都府県内の会場は自由に選択できませんので、試験会場が思いのほか遠方になってしまうこともあります。

以下ポイントです。

  • 試験に再挑戦される方は受験地が前回試験と違っていても大丈夫です。
  • 受験資格認定(知事認定)を受けている方は、認定を受けた都道府県でのみ受験申請が可能です。他の都道府県を希望する場合は、改めて認定手続きをとる必要があります。

試験日

前期・後期と年に2回試験があり、4月~6月、10月~12月に実施されています。

参考までに2020年度の試験日程をご紹介します。

◇前期試験
筆記試験 2020年4月18日(土)・19日(日)

試験日 試験科目 試験時間
1日目 保育の心理学 10:30~11:30
保育原理 12:00~13:00
子ども家庭福祉 14:00~15:00
社会福祉 15:30~16:30
2日目 教育原理 10:00~10:30
社会的養護 11:00~11:30
子どもの保健 12:00~13:00
子どもの食と栄養 14:00~15:00
保育実習理論 15:30~16:30

例年6月上旬ごろ、筆記試験の合格はがき及び実技試験受験票が届きます。

◇後期試験

筆記試験 2020年10月24日(土)・25日(日)
例年11月下旬ごろ、筆記試験の合格はがき及び実技試験受験票が届きます。

実技試験 2020年12月13日(日)

筆記試験・実技試験いずれもお昼を挟んでの試験になりますので、軽食や飲み物を持参して試験に臨まれるとよいと思います。

受験料

2020年4月時点での受験料は12,950円です。
1回につきこれだけの受験料がかかってしまうので、できることならば一発合格を目指したいですね。

合格発表

前期試験は8月、後期試験は1月に合格発表されます。
合格通知書、(実技不合格の場合は)実技試験結果通知書が、全国保育士育成協議会 保育士試験事務センターより送付されます。インターネットでの発表はありません。

なお合格後、保育士として働くには保育士登録が必要です。
保育士登録の申請を行い、保育士証を手に入れるまで2か月程度を要します。保育士証があって晴れて正式な保育士と働けます。

試験の傾向

以前は年に1回の試験でしたが、近年の保育士不足解消に向け、2016年度より年2回に拡大しています。保育士を増やしたい思惑があるにもかかわらず、合格率は試験回数が増える前と後で20%前後とあまり変わっていません。毎試験で難易度の高い科目がいくつかでてくるためとだと考えられます。
しかしながら、3年有効の科目別合格があります。たとえ一発合格が叶わなくても時間をかけて合格する受験者も多くいます。20%前後の合格率はあまり気にする必要はないでしょう。むしろ受験する合格するチャンスがたっぷりある資格ですので、決してあきらめないでください。

試験の申し込み

前期(4~6月試験)は1月、後期試験(10~12月試験)は7月ごろの3週間程度の間に申し込みを行います。

全国保育士養成協議会より受験申請の手引きを請求し、取り寄せます。

手引きに従って、受験申請書の記入、受験資格があることを示す証明書・科目免除のある方はその証明書などを用意します。

受験手数料を郵便局の窓口で払い込みの上、受験申請書および必要書類を簡易書留にて保育士試験事務センタ―宛に郵送します。

筆記試験の10日ほど前には筆記試験の受験票が送付されてくるはずです。

さいごに

保育士試験についての情報をまとめました。
変更になる可能性がありますので、受験される方は必ず保育士試験の実施機関である全国保育士養成協議会の情報をチェックしましょう。試験の出題範囲や過去問題などが公開されていて参考になります。

保育士試験はあきらめず、ポイントを押さえていれば、合格できる国家試験です。
合格を目指してがんばりましょう。