保育士の給料はどのくらい?給料アップのコツも紹介

保育士として働く形はさまざまです。
正社員など常勤で働く方法もありますし、パートタイムで働ける非常勤保育士という働き方もあります。また、保育園には私立と公立があり、どちらで働くかも選択することになります。
さらに保育士として働くのであれば、保育士の資格は取得必須ではありません。資格がなくても働くことは可能です。
いろいろな働き方がある保育士ですが、その給料の実態はどうなっているのか。気になる方も多いかと思います。
大前提として、保育士資格の有無で保育士の給料には差が出ます。資格の有無でできる業務とできない業務がありますので、これは仕方ないところ。保育士として働く以上、保育士資格を取得した方が給料は高くなるという点は最初におさえておきましょう。
では、そのほかの条件で保育士の給料がどのように変わるか、このあたりを解説していきたいと思います。
保育士の給料はどのくらいか?
保育士という仕事の給料がどの程度なのかを知るために、厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」から、令和4年度の保育士の平均給料を確認してみましょう。
・きまって支給する現金給与額 266,800円
・年間賞与その他特別給与額 712,100円
現金給与額がいわゆる毎月の給料に相当しますので、平均値は26万円半ば。手取り給料を想像すると20万円前後というのが平均値になるようです。これに加え年間のボーナス支給額が71万円ほど。手取り金額でおよそ56万円程度になるかと思います。
この数字から計算すると、毎月の給料が約26万円(手取り20万円)、ボーナスが約71万円(手取り56万円)ですから、年収は383万円(手取り296万円)といったところが平均的な給料、年収になります。
保育士と幼稚園教諭の給料にはどの程度の差があるのか?
保育士と非常に近い業種といえるのが幼稚園の教諭です。同じく幼児に対して教育・保育をする仕事であり、仕事の内容も非常に近しい職業になります。
保育士の平均給料と同様に、「賃金構造基本統計調査」から、令和4年度の幼稚園教諭の給料をチェックしてみましょう。
・きまって支給する現金給与額 267,400円
・年間賞与その他特別給与額 785,900円
厳密に見れば幼稚園教諭の給料・ボーナスの方が若干高くはなりますが、おおよそ同じ程度といえます。
仕事内容も似ている幼稚園教諭と保育士は、給与・ボーナスの面でもほぼ同等。近年の報道を見ると、保育士の待遇がよくないというようなニュースを目にしますが、そもそも幼児に対する教育現場全体の待遇の問題でもあるとも言い換えることができるかもしれません。
保育士の給料は高いのか安いのか
ではこの保育士の給料は、世間一般の平均値と比較して高いのか安いのか。この点に関してチェックしていきましょう。
チェックするのは同じく「賃金構造基本統計調査」。この調査結果から給与所得者全体の平均、男性の平均、女性の平均を抜き出し、保育士の平均給料と比較してみましょう。
令和4年度賃金構造基本統計調査による平均給料 | |
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保育士 | 266,800円 |
給与所得者全体 | 311,800円 |
給与所得者全体(男性平均) | 342,000円 |
給与所得者全体(女性平均) | 258,900円 |
給与所得者全体の平均給料は31万円強。ただし、中央値を見ると、301,000円となっています。この平均値と比較すると、保育士の給料は若干安いということになります。
女性の方が多い保育士ということで、女性給与所得者の平均給料と比較してみましょう。女性給与所得者の平均給料は26万円弱。若干ではありますが保育士の平均給料よりも安いという結果になっています。
賃金構造基本統計調査のデータ上での比較結果としては、保育士の平均給料は、給与所得者全体の平均給料よりは安いものの、女性給与所得者の平均給与よりも高いということになります。
保育士の待遇が悪いというニュースをよく目にしますが、給料という面から見ればそこまで待遇は悪くないということが言えるでしょう。
もちろん保育士の仕事には、幼児たちの安心安全を確保するという使命があります。小さなお子様の命を預かる仕事とすれば給料が安いという考え方はあるかと思いますが、実質的に手にする給料に関しては、そこまで低くないというのが現実のようです。
保育士の給料に差が出るポイント
ここまでは賃金構造基本統計調査の結果から「平均」の給料に関してチェックしてきました。とはいえこの給料、保育士全員が同じ給料であるというわけでは当然ありません。
そこで保育士として働く場合、どのようなポイントで給料に差が出るのか。この点に注目してみましょう。
この記事の最初に触れたとおり、保育士資格の有無で給料が変わることはあります。この資格取得という点以外で、保育士の給料に差が出るポイントを紹介していきます。
勤務形態
保育士にはいろいろな働き方があります。毎日出勤する常勤保育士もいれば、決まった日だけ出勤する非常勤勤務、またパートタイム勤務なども一般的です。
給料という面に関して言えば、当然こうした勤務形態でも差が出るのは当然です。そこで賃金構造基本統計調査のデータから、保育士の短時間労働者(非常勤やパート、アルバイト)の平均的な働き方のデータをチェックしてみましょう。
1日の平均労働時間 | 5.6時間 |
1ヶ月の平均出勤日数 | 15.7日間 |
1時間当たりの平均時給 | 1,282円 |
1ヶ月の概算給料 | 112,713円 |
短時間労働をしている保育士の平均的な働き方が上記の通り。イメージしやすいように実際の働き方に当てはめれば、週4日、8~15時まで働いて時給が1,300円。こんなイメージで働くのが平均的なようです。
平均時給から換算した平均給料はおよそ11万円程度。これで賞与もないとなると、収入という面ではかなり低くなると言わざるを得ません。
保育士として働き、しっかり給料を手にするためには、やはり常勤保育士となるのが良いということが分かります。
勤務地域
保育園の需要に関しては、都市部と地方で大きな差があります。
日本全体で見れば少子化は相変わらず続いており、2022年の出生数は統計を取り始めて初めて80万人を割り込みました。
子供の数が減っているということは、当然保育園の数も減っていくということになりますが、問題は都市集中型の現状です。
子供の数は確実に減ってはいるものの、都市部においてはそこまで顕著な減り方をしていません。その分極端に減っているのが地方部ということになります。
数年前から都市部の保育園不足、保育士不足が叫ばれていますが、地方部ではむしろ保育園や保育士が余っている状況です。
日本における問題として、少子化、人口の都市集中と併せて長引く不況というものがあります。
景気があまりよくないので地方部には仕事が少なくなる。そのため仕事を求めて都市部に人口が集中する。都市部においても不況には変わりはないので、都市部にすむ夫婦の多くは共働きを選択する。そのために多くの夫婦が保育園を探している。という負のスパイラルからなかなか抜け出せていません。
実際に保育士の給料を見ても都市部の給料は高く、地方部の保育士の給料は安いという状態になっています。都市部とは、関東地方で言えば東京都と、その東京都内への通勤圏内である千葉県、埼玉県、神奈川県などを指します。
こうした都市部では保育士が足りていないため、保育士の給料も高くなる傾向があります。
保育士として給料アップを目指すのであれば、こうした都市部での就職というのもひとつの方法となるでしょう。
勤続年数
これは特に公立の保育園で顕著となる傾向です。
公立の保育園で働く保育士の方は、公務員ということになります。給料も公務員として支給されるため、勤続年数が長くなれば給料も上がるという分かりやすい仕組みになっています。
もちろん私立の保育園でも、勤務年数とともに昇給していくというのは基本的な形。これは保育園に限らず、日本国内の企業としては当然の上がり方といえます。
保育士として給料アップを目指すのであれば、同じ保育園で長く働き続けるというのがひとつの方法。同じ保育園で働き続けることで給料は徐々にアップしていくでしょう。また、長期間働き続けることで、役職に就くというケースも考えられます。役職に就けばその分の手当も発生しますので、結果給料アップにつながることになります。
公立保育園の場合、定期的な人事異動がありますが、公立の保育士として働き続けることで給料は年々安定してアップしていきます。
公立保育園と私立保育園で給料に差はあるのか?
上で公立の保育園と私立の保育園があるという話に触れましたが、では公立と私立で給料に差が出るのかどうか。この点を考えてみましょう。
賃金構造基本統計調査のような調査データを調べても、公立と私立の給料の差を正確に示しているデータはありません。
しかし、保育士に関する情報を集めているサイトや、求人情報などをチェックすると、公立と私立で給料に大きな差はないようです。
私立の保育園の場合、その経営母体の体力などにより保育士の給料や昇給にも差が出ます。一方公立保育園の場合、保育士として働く方は見な公務員ということになります。公務員の給料は各自治体が決定し公開されています。
公務員の給料は勤務年数とともに着実にアップしていくという特徴がありますので、保育士として長期間働くと考えた場合、生涯年収という面では公立保育士の方が高くなることが多いようです。
保育士の給料の現状とこれから
保育士の給料相場は、給与所得者全体と比較すれば安いものの、女性の給与所得者全体と比較すると高いという調査結果があります。
では、これからの保育士の給料はどのように変遷していくのか。あくまでも予測の範囲を出ませんが想像していきたいと思います。
まずは、近年の保育士の給料がどのように変化しているのかを知るため、内閣府が発表した近年の平均年収の推移をチェックしてみましょう。
年度 | 平均年収 | 前年比 |
2013年度 | 310万円 | |
2014年度 | 317万円 | 102.3% |
2015年度 | 323万円 | 101.9% |
2016年度 | 327万円 | 101.2% |
少々古いデータですが、保育士の年収は2013年度から徐々に上昇傾向にあります。令和4年度(2022年度)の平均年収は約383万円ですから、着実に上昇を続けているということが分かります。
近年は特に都市部における保育士不足、保育士の処遇が低いという点が国会や各自治体の議会でも議論されており、公的なサポートがされているのは事実。その結果保育士の待遇・給料も改善傾向がみられるという傾向にあります。
政府の施策で上昇
政府は2022年に「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」を施行し、結果給料額が平均して8,000円ほどアップしています。
現状の日本社会の傾向を考えると、女性の社会進出を後押しする動きが顕著です。特に女性が多い保育士の給料や待遇はこれからも改善が議論されるのは間違いないでしょう。
女性が社会進出をするためには、保育園の存在は重要になります。保育園の数が不足しないようにするためには、保育士として働く方の確保が必須。そのため、保育士の待遇を良くし、より多くの保育園を確保する方向に進むでしょう。
保育士が給料アップを目指す方法
日本全体を見ると、ここ20年物価は上昇しているのに給料が上がっていないという問題があります。そんな中でも確実に給料額がアップしている保育士という仕事は、現状非常に魅力的な仕事といえます。
また、この先も保育士の待遇は改善されていくことが予想されるため、将来的にもおすすめの職種ということになります。
では、保育士としてより給料アップを目指すためにはどのような考え方、どのような働き方がいいのか。考えられる方法をいくつか紹介していきましょう。
資格を取得する
まずはなんといっても保育士資格の取得です。保育士資格を取得することでできる業務も増えますし、保育士として昇進・昇給を目指しやすくなります。
保育士の資格取得は、受験資格があったり、試験には実技試験があったりとなかなか簡単ではないものの、保育士として働き、さらに給料アップを目指すのであればぜひ取得しておきたいところです。
さらに保育士としての給料アップを目指すには、ほかにも実務で活かせる資格がありますので、すでに保育士資格を持っているという方は、こうしたほかの資格を取得することも検討していくといいでしょう。
園内で昇進を目指す
給料アップを目指すのであれば、現状働いている保育園での昇格を目指すというのが基本的な考え方となります。
保育士の給料相場をチェックしても、やはり勤続年数が長い方、役職に就いている方の方が給料は高くなります。
昇進を目指すという点では、同じ保育園で長く働く、もしくは公立保育士として長く続けて働くことが求められます。特に私立保育園への就職を考えている方は、長く働ける保育園に就職することを目指すのがおすすめとなります。
同じ保育士でも主任保育士など役職が就くだけでも給料アップは期待できますので、どうすれば昇進できるかも考えながら働いていきましょう。
ほかの園に転職する
今すぐ給料アップを目指すのであれば、現在よりも給料の高い保育園に転職するというのも一つの手段です。特に私立保育園の場合、保育園によって給料も変わってきますので、転職という方法は給料アップに有効な手段となります。
公立保育園への転職を目指す場合、公務員になる必要があります。公務員になるには公務員試験を受験する必要があり、公務員試験には年齢制限もありますので、公立保育園への転職を考えている方は、できるだけ早めに動き出すようにしましょう。
公立保育園への転職がおすすめとなるのは、長く保育士として働く予定の方。公立保育士は最初から高給取りというわけではなく、勤続年数に合わせて着実に給料がアップしていくのがポイント。このメリットを活かせるような働き方ができる方におすすめです。
また、公立保育士は定期的に人事異動でほかの保育園への転園が発生します。基本的には同じ市区町村内、都道府県内の施設への移動となりますが、どこに異動になっても通勤できるかどうかという点も併せて考えておくといいかもしれません。
保育士の求人状況
保育士不足は特に都市部において顕著です。厚生労働省が発表した、令和3年の保育士の有効求人倍率は2.50倍。全業種の合計有効求人倍率が1.03倍ですから、保育士不足は解消されているとは言い難い状況です。
特に都市部の保育士不足は顕著で、より多くの保育士が必要な状況が続いています。
では、保育士として働きたいという方が就職先を探す場合には、どのようにどのタイミングで動くのがいいのかを考えていきましょう。
求人が増えるのは1~3月頃
保育園に通う小さなお子様にとって、保育園の先生が変わるというのは大きな出来事です。保育園も園児たちに影響が出ないように、保育園の先生(保育士)が変わるタイミングは4月に集中させる傾向があります。
そのため保育士の求人が増えるのはその前のタイミング。具体的には1~3月に一気に増える傾向がありますので、保育園への就職、転職を考えている方は、このタイミングで動くのがベストということになります。
ただし、就職や転職に関しては、保育園はより早く動き出します。前年の9月ごろから就職に関する説明会を行う保育園は多く、このあたりから就職先探しを始めるのがベストといえるかもしれません。
できればこの9月の時点で保育士資格は持っておきたいところ。保育士試験は例年2回実施されます。前期試験が5月(筆記試験)と7月(実技試験)、後期試験が10月(筆記試験)と12月(実技試験)です。就職活動に間に合うように資格を取得するように計算して勉強を始めるのがおすすめです。
フォーサイトの保育士講座で保育士資格取得を目指そう
保育士として働くのであれば、保育士資格を持っていることが推奨となります。給料の面でも、就職先を探すという面でも資格を持っている方が有利になるのは違いありません。
保育士資格を取得するには保育士試験に合格する必要があります。保育士試験の難易度事態は独学でも十分対応可能な難易度。特に筆記試験に関しては独学でも十分対応可能でしょう。
しかし問題は実技試験。保育士試験では、弾き語り、読み聞かせ、絵画という3つの実技試験から2つを選択して受験し、双方合格点を取る必要があります。問題はこの実技試験の対策でしょう。
歌や絵に自信があるという方もいらっしゃるかもしれませんが、その歌や絵が保育士として小さなお子様を相手にする場合に有効なほどの実力なのかどうかというのは、なかなか独学では判断しづらいものです。
この実技試験対策こそが保育士試験のポイント。独学で難しいのであれば、適切なアドバイスをしてくれる方に見てもらうのが最適です。
そこでおすすめしたいのがフォーサイトの通信講座。フォーサイトの保育士講座では、実技試験対策講座も開講しており、適切なアドバイス、また実技試験でのポイントなども学ぶことができます。
フォーサイトは通信講座のため、決まった日に通学する必要もなく、自宅でマイペースで学ぶことが可能。その上実技試験対策までできるというのは大きなメリットです。
就職活動までに確実に保育士資格を取得したいという方におすすめの講座となります。
まとめ
保育士の給料は現状そこまで高いという印象はありません。しかし近年政府や各自治体では保育士の処遇改善の動きがあり、その結果徐々に給料が上向いているのも事実です。
また、特に都市部においては保育士不足は解消されておらず、保育士という仕事はこれからも給料アップが望めるのに求人が多いという非常に狙い目の就職先ということになります。
保育士として働く、また保育士として給料をアップさせるには、やはり保育士資格の取得がおすすめです。
できるだけ速やかに、しかも確実に保育士資格を取得するのであれば、独学にはこだわらず通信講座の利用がおすすめ。特に実技試験対策講座があるフォーサイトの保育士講座がおすすめとなります。