保育士の給料・年収

保育士の給料・年収

保育士は子どもの命を預かる責任ある仕事にも関わらず、低賃金だとよくいわれます。 政府は2013年より保育士などの処遇改善を行っており、給与は改善傾向にあります。では現在どのくらいの水準なのか?現状について複数の統計からみていきます。

目次

平均年収

厚生労働省が発表した平成30年賃金構造基本統計調査によれば、保育士の平均年収はおよそ349.9万円でした。職種別第1表 区分:保育士の「所定内給与額」を月給とし、それに12か月を乗じ賞与などの額を足した金額です。所定給与額は、手取り額ではなく、所得税・社会保険料などを差し引く前の額です。基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などが含まれます。時間外勤務・深夜勤務・休日出勤・宿日直・交替手当のような超過労働給与額は含まれません。

保育士と参考までに看護師や福祉関係の職種の平均賃金も併せて提示します。

区分 年齢 勤続年数 月給(万円) 賞与他(万円) 年収換算(万円)
保育士 36.8 8.1 23.26 70.77 349.89
幼稚園教諭 33.7 8 23.76 70.61 355.73
看護師 39.3 8.2 29.83 81.65 439.61
福祉施設介護士 41.9 7 22.63 51.99 323.55
ホームヘルパー 46.8 7.5 22.62 44.03 315.47

保育士の給料は看護師には及びませんが、福祉関係の方よりは若干稼ぎのある職種といっていいのではないでしょうか。
なお実際の年収は勤務施設のある地域、施設の形態、規模などにより左右されます。

年齢別年収の推移

次に保育士の年齢に応じた年収をみてみます。

年齢 経験年数計 月給(万円) 賞与他(万円) 年収換算(万円)
20~24歳 1~4年 20.3 61.42 305.02
25~29歳 5~9年 22.2 79.19 345.59
30~34歳 10~14年 24.28 83.8 375.16
35~39歳 15年以上 24.89 94.76 393.44
40~44歳 15年以上 26.46 98.34 415.86
45~49歳 15年以上 27.33 99.64 427.6
50~54歳 15年以上 27.24 97.05 423.93
55~59歳 15年以上 27.83 98.55 432.51
60~64歳 15年以上 24.92 77.12 376.16
65~69歳 15年以上 24.44 76.8 370.08

職種別第3表より 区分:保育士(女) 年齢別のなかで最も母数の多い経験年数の所定内給与額と賞与他を抽出して一覧にしました。

このくらいの年齢の保育士さんの多くはこのくらいのお給料なのかなと参考にしていただけますと幸いです。以下の棒グラフは一覧を可視化したものです。

保育士の年齢別平均年収

基本的には年齢、経験年数を重ねるごとに基本給・ボーナスが上がっていきます。一般企業において50代後半より収入が下がっていくのと同様に保育士も還暦を過ぎたあたりで収入が落ちてきています。

年齢と勤務年数より上記で示したのは新卒から保育士として活躍されてきた方の数字といえるでしょう。では、中途採用や子育ての落ち着いた主婦が新たに保育士の道を歩む場合の給与はどうでしょうか?
経験年数計0年、年齢別統計より1年目の月収は18~22万円ほどです。40歳~55歳の1年目の方が、圧倒的多数の20代前半の新人保育士よりも若干月給が高くなっています。経歴や子育てなどの経験値を加味されたのかもしれません。なお1年目のボーナスはそれぞれの状況や施設によって、だいぶばらつきがありますので一概にはいえませんが、年収に換算するとおよそ230~270万円ほどになります。

保育士の処遇改善

2013年より政策として保育士などの処遇改善が行われています。各都道府県が、①乳児保育、②幼児教育、③障害児保育、④食育・アレルギー対応、⑤保健衛生・安全対策、⑥保護者支援・子育て支援、以上6つの分野から成る専門分野別研修、マネジメント研修、保育実践研修といったキャリアアップ研修を実施し、修了に応じて処遇改善が行われます。かつては園長→主任保育士→保育士といった職制階層でしたが、キャリアアップ研修を行うことで中堅層の育成に寄与しています。

求人情報をみてみると、例えば
正職員〈月給〉225000円~ +別途(行政・処遇改善)手当支給
と表記されているものがあります。保育士の求人を探すときは処遇改善加算手当についても併せてチェックしてみましょう。

実際に保育士の方に話を伺うと、その方の勤務する園では2019年1人あたり月額1万~4万円くらい、年間でおよそ12~48万円の給料が処遇改善手当としてでているとのことでした。ただし、その年の園の幼児受け入れ人数などの諸条件により手当の金額が変わり、園の裁量により職員への配分に調整が入るそうです。
現場の声として、キャリアアップ研修に行かないと処遇改善の補助がでない→研修に行くのにさらに園は人手不足、保育士不足に拍車をかけているとの問題もでてきており、小規模園では現場が回せなくなるために研修を辞退し、処遇改善の手当がもらえないという現実もあるようです。

保育士の時給

町の求人誌をみてみると、保育士の求人を多数目にします。雇用形態は正規雇用もありますが、早朝・遅番などに対応できるパート保育士の募集も多くみられました。

厚生労働省が発表した平成30年短時間労働者の職種別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)によれば、
短時間労働をする保育士は、
年齢46.6歳
勤続年数5.5年
実労働日数 16.4日
1日当たり労働時間数5.6時間
1時間当たり給与額1108円 でした。

ちなみに同年の地域別最低賃金、全国加重平均額は874円(厚生労働省)でしたので、2018年パート保育士の時給は最低賃金のおよそ1.27倍だったといえます。最低賃金は年々横ばいあるいは上昇していきます。ちなみに2019年度の最低賃金、全国加重平均額は901円です。

また企業規模が大きくなるほど時給も高くなる傾向があります。
当然地域によっても給与に差がでます。地域の物価などを踏まえ賃金の地域差を示した数字といえる都道府県別の最低賃金では、東京、神奈川、大阪のような大都市圏の賃金が高く、東北・中国・四国・九州の地方は賃金が低くなっています。

次に都道府県別、保育士の有効求人倍率より保育士の需要の地域差についてみていきます。
厚生労働省「職業安定業務統計」によれば、2019年10月時点での保育士の有効求人倍率は全国3.05倍でした。都道府県別の倍率でも1を切っている県はひとつもありません。つまり、求職者数よりも求人数の方が多いということです。

以下は、都道府県別の保育士倍率ランキングです。

地域 倍率
1位 東京 5.23倍
2位 鳥取 5.17倍
3位 埼玉 4.21倍
4位 広島 4.16倍
5位 大阪 4.10倍

人口東京一極集中の時代なので東京の1位は分かりますが、2位の鳥取県は意外なのではないでしょうか。鳥取県は県外の保育士養成施設に進学した鳥取県出身学生のUターンを促すなど保育士確保のための支援事業を行っているそうなので、出身者の県外流出が保育士不足のひとつの要因なのかもしれません。総じて都市部で倍率の高い傾向があります。

逆に保育士の有効求人倍率の低い都道府県は、
1位 群馬県 1.32倍
2位 高知県 1.46倍
3位 佐賀県 1.49倍でした。

倍率の低い県は、保育効率がよい・保育士の定着率のよい施設が多い、そもそも地域に保育を必要とする乳幼児が少ない、保育士養成施設が充実しているため県内の乳幼児数比に対する保育士数が多い、女性に向いている産業・職種が保育士の他にあまりない地域である可能性、何か歴史的な背景がある可能性など、実際のところは定かではありませんが、さまざまな要因を想像できます。

保育士の給与は地域の賃金水準や保育士需要により多少の地域差があると考えられます。これらの情報を基にお住まいの地域では一般的にどのくらいの給料になりそうか見当がついてくるのではないでしょうか。

また勤務地の地域差以外にも、保育士資格の有無で時給に優劣がつきます。資格不問の保育補助よりも保育士資格所持者である保育士のほうが時給は高くなり、正社員になれるチャンスもでてきます。保育の仕事に携わるならば、ぜひ保育士資格取得を目指しましょう。

さいごに

ここ7年の間に保育士の労働環境効率化や処遇改善、キャリアアップ研修の整備が進んでいます。こうした保育士を魅力ある仕事にしようとする動きの一方で、いまなお保育士不足は続いています。逆にいえばそれだけ就職には困らない職種であるといえます。新しい挑戦がしたい!長いブランクがあるけど何か専門職の仕事に就きたい!子どものころから保育士に憧れていたけど…という方にとって、保育士は第一歩を踏み出しやすい職種です。ぜひ検討してみてください。