証券外務員の学習を始めようとすると、最初に決めることになるのが「独学か、通信講座か、通学か」です。市販のテキストは書店で買えますし、通信講座も、教室に通う講座も見つかります。
ただ、この3つを比べようとすると、たいてい費用の話になります。安い順に独学・通信・通学と並べて、そのうえで「独学は挫折しやすい」と言われる。それでは、自分が挫折する側なのかどうかは分かりません。
判断の軸を、費用ではなく作業の分担に置き換えてみます。どの形態を選んでも、教材をそろえる、時間と場所を決める、分からないところを解消する、到達度を測る。この4つの作業は必ず発生します。違うのは、そのうちいくつを自分で持つかだけです。
このページでは、証券外務員試験の制度を前提に、それぞれの形態で自分に何が残るのかを整理します。最後の3つの質問に答えれば、自分に合う形態が決まります。
独学・通信講座・通学、違いは「どこまで自分でやるか」
独学・通信講座・通学は、値段の違う3つの商品ではありません。学習に必要な作業を、どこまで自分で持つかが違うだけです。
費用の順に並べると「安いほど大変」という図式に見えます。ただ、同じ費用でも自分に残る作業の量は形態によって変わりますし、何が残るのかを先に見ておかないと、選んだあとで想定と違ったことになります。
たとえば教材をそろえる作業は、独学なら自分で選んで買いそろえることになりますが、通信講座でも通学でも講座側が用意します。反対に、学習の時間と場所を決める作業は、通学なら時間割が決めてくれますが、独学と通信講座では自分に残ります。
学習を進めるときに必ず発生する4つの作業
どの形態を選んでも、次の4つの作業は必ず発生します。教材をそろえること(何を、どの順で読むかを決める)、時間と場所を決めること(学習時間を確保し、締切を作る)、分からないところを解消すること(聞ける相手を用意する)、そして到達度を測ること(合格ラインに届いているかを確かめる)です。
この4つは、学習という行為そのものに含まれている作業です。講座に申し込んでも消えるわけではなく、誰がやるかが変わるだけです。
たとえば到達度を測る作業なら、独学では模擬試験や問題集を自分で調達し、自分で採点して、7割に届いているかを判断します。通信講座では確認テストや模擬試験が教材に含まれ、eラーニング上に結果が残ります。

この分担を軸にすると、独学・通信講座・通学を同じ物差しで並べられます。以下、順に見ていきます。
形態を選ぶ前に押さえる、証券外務員試験の4つの前提
学習形態を選ぶ前に、この試験の性質を確認しておきます。全部で4つあり、2つずつまとめて見ていきます。いずれも形態の選び方に直接関わる内容です。
受験日は自分で決める。合格ラインは7割で固定されている
証券外務員試験はCBT方式で、土日・祝日・年末年始を除き通年で実施されており、出願は随時受付です。実施団体は日本証券業協会、試験の予約・受験料金の支払い・試験当日の手続きはプロメトリック株式会社が窓口です。受験資格に制限はなく、年齢や学歴に関わらず受けられます。
つまり、受験日は自分で決めます。裏を返せば、締切が外から来ません。準備が整わない限り、いつまでも先送りにできてしまいます。
そして合格基準は、二種が300点満点中210点以上、一種が440点満点中308点以上。いずれも7割の絶対評価です。上位何%が合格する試験ではないので、ほかの受験者より上に行く必要はなく、7割に届いた時点で終わりです。
不合格なら30日の待機期間をおいて再受験。受験手数料はどの形態でも同じ
受験回数に制限はありませんが、不合格だった場合、当該受験日の翌日から起算して30日を経過する日までは、日本証券業協会主催のすべての試験を受けることはできません。
受験手数料は13,860円(税込)です。この金額は独学でも講座でも変わりません。参考までに、フォーサイトの二種スピード合格講座は9,800円(税込)ですから、受験1回分のほうが4,060円高い計算になります。
受験手数料13,860円と、不合格時に空く30日は、どの形態を選んでも同じです。差がつくのは、4つの作業をどう分担するかだけです。
試験制度の全体像は証券外務員試験のすべて、合格点から考える学習の組み立ては合格点主義のページで扱っています。
独学のメリットとデメリット
メリット|始めるまでが速く、進め方を自分で決められる
独学の利点は、思い立った日に始められることと、進め方に制約がないことです。
受験資格に制限はなく、市販の教材も手に入るので、申し込みや教材の到着を待たずに学習に入れます。得意な分野を飛ばす、苦手な科目に時間を寄せるといった配分も、自分で決められます。
すでに金融商品取引法や証券市場の実務に触れている人、簿記や財務諸表の読み方を学んだことがある人であれば、関連科目のうちいくつかはすでに手の内にあります。その場合、全体を均等に進める設計はむしろ回り道です。どこが自分に必要かを自分で判断できる人にとって、独学は無駄の少ない選び方になります。
デメリット|4つの作業が全部自分に残る
一方で独学は、先ほどの作業がすべて自分に残ります。教材をそろえることも、時間と場所を決めることも、分からないところを解消することも、到達度を測ることもです。
なかでも重いのは、教材をそろえる作業と到達度を測る作業です。二種の出題範囲は3分野14科目に及びますが、配点は均等ではありません。二種は〇✕方式が50問で各2点の計100点、五肢選択方式が20問で各10点の計200点と、得点の3分の2が五肢選択方式に集まります。一種も同じ構造で、〇✕方式70問140点に対して五肢選択方式30問300点です。この重みづけを、学習を始める前に自分で見抜くことになります。
分からないところを解消する作業も、この試験では差が出ます。委託保証金の計算やオプション取引のように、計算の手順そのものでつまずくと、テキストを読み返すだけでは抜け出しにくい論点があるためです。聞ける相手がいなければ、そこで止まった時間がそのまま学習期間に乗ります。
独学が向かないのは意志の弱い人ではなく、この4つを同時に管理する余裕がない人です。詰まりやすい場所は証券外務員の独学は無謀?でさらに詳しく分解しています。
通学(教室講座)のメリットとデメリット
メリット|時間割がそのまま締切になる
証券外務員試験の対策として、教室に通う形式の講座を開講しているスクールもあります。通学の利点は、学習の時間と場所が外から決まることです。
前提で見たとおり、この試験は通年実施で、締切が外から来ません。通学はその締切を時間割という形で持ち込みます。決まった曜日の決まった時間に教室へ行けば、その週の学習は進みます。
分からないところをその場で口頭で聞ける点も、計算問題の多い科目では大きな違いになります。手元の解き方を見せながら質問できるので、文章で質問を書き起こす手間がかかりません。自分で締切を作るのが苦手な人にとって、通学は確実性の高い選択肢です。
デメリット|通える範囲と時間帯に、自分を合わせることになる
一方で通学は、教室の場所と開講時間に自分の生活を合わせる必要があります。
教室があるのは主に都市部で、開講日時も決まっています。仕事の終わる時間が読めない人、出張や残業のある人、教室から離れた場所に住んでいる人は、通えない週が出た時点で進度が崩れます。
受講料も、教室や設備にかかる費用を含むぶん、通信講座より高くなる傾向があります。証券外務員は学習時間の目安が二種で50〜80時間、一種で80〜100時間とされる試験で、学習期間そのものは長くありません。その期間のために生活の予定を組み替えられるかどうかが、実際の判断材料になります。
なお、フォーサイトは通信講座のみを提供しており、教室での受講やスクーリングは行っていません。
通信講座のメリットとデメリット
メリット|教材と到達度の確認を預けて、時間は自分で決められる
通信講座は、4つの作業のうち「教材をそろえる」と「到達度を測る」を講座側が引き受け、「時間と場所を決める」を自分の側に残す形態です。
教材は試験範囲に合わせて選定され、学ぶ順番まで決まった状態で届きます。確認テストや模擬試験が到達度の目安として組み込まれているのも、独学との違いです。一方で講義は収録済みなので、いつどこで受けるかは自分で決められます。
フォーサイトの場合、講義は収録済みの講義動画と音声をeラーニング「ManaBun」で受講します。通勤中に音声で1本、帰宅後にテキストで復習といった配分も自分で組めます。次に何をやるかはカリキュラムが持っているので、毎回自分で考える必要はありません。
デメリット|締切だけは自分に残る
通信講座の弱点は、通学と違って時間割による強制力がないことです。締切を作る作業は自分に残ります。
通年実施の試験と、いつでも受けられる講義動画が組み合わさると、「来週から本気を出す」が何度でも成立してしまいます。
この点について、ManaBunには学習スケジュール機能があります。生活パターンと必要事項を入力すると学習スケジュールを自動で組み立て、進捗状況を入力すると進捗管理ができます。締切を作る作業そのものが消えるわけではありませんが、何をいつまでにやるかの案を先に持てるぶん、白紙から自分で組むより手間は減ります。
機能の詳細は学習スケジュールのページ、1日あたりの時間の配り方はタイムパフォーマンスのページで扱っています。
3つの形態を同じ表で見る
ここまでの内容を、4つの作業の分担として1枚の表にまとめます。費用の順ではなく作業の分担で並べると、3つの形態が「高い・安い」ではなく「自分に何が残るか」の違いとして見えてきます。
| 学習に発生する作業 | 独学 | 通信講座 | 通学(教室講座) |
|---|---|---|---|
| ①教材をそろえる | 自分で選んで買いそろえる 何を、どの順で読むかも自分で決める | 講座が用意する 学ぶ順番もカリキュラムが持っている | 講座が用意する |
| ②時間と場所を決める | 自分で決める 締切も自分で作る | 自分で決める 学習スケジュール機能の補助がある | 時間割で決まる 教室の立地と開講時間に合わせる |
| ③分からないところを解消する | 自分で調べる 聞ける相手がいるかどうかで変わる | 質問フォームから質問できる | その場で口頭で質問できる |
| ④到達度を測る | 模擬試験や問題集を自分で用意し、自分で判定する | 確認テスト・模擬試験が教材に含まれる | 講座の演習や答案練習で確認する |
通信講座の欄は、フォーサイトの内容で書いています。通信講座どうしを同じ物差しで比べる方法は通信講座の比較ページにまとめました。
自分が「残ってほしくない」作業がどれかで、選ぶ形態が決まります。
3つの質問で、自分に合う形態を決める
最後に、3つの質問に順番に答えてください。3形態の違いは4つの作業の分担でしたが、実際に人によって差が出るのは「教材をそろえる」「時間と場所を決める」「分からないところを解消する」の3点です(到達度の確認は、独学以外では教材に含まれます)。
質問1|決まった曜日・時間に通える教室があり、そこに通いたいか
教室があり、生活の予定を合わせてでも通いたいなら、通学が向きます。時間割がそのまま締切になるので、締切を作る作業を自分で持たずに済みます。教室が近くにない、決まった時間に通うのが難しい、あるいは通いたいとは思わないなら、残る選択肢は独学か通信講座です。
質問2|学習の順番と範囲を、自分で組み立てられるか
金融の実務経験や関連分野の学習経験があり、出題範囲(二種は3分野14科目、一種は15科目)のどこに時間を寄せるかを自分で判断できるなら、独学で進められます。判断の材料がないなら、学ぶ順番の決まった教材がある通信講座のほうが速く進みます。
質問3|分からないところを聞ける相手がいるか
職場の先輩など、分からないところを聞ける相手がいるなら、独学の弱点はかなり埋まります。いないなら、質問サポートのある通信講座を選ぶ理由になります。

質問1が「はい」なら通学、質問2か質問3が埋まらないなら通信講座、教室に通う予定がなく質問2と質問3の両方が「はい」なら独学。これがこの記事の結論です。どの形態にも成立する条件があり、向き不向きは能力ではなく条件で決まります。
通信講座を選ぶなら、フォーサイトで確認できること
受講料と教材|何が、どんな形で届くのか
フォーサイトの証券外務員講座の受講料は2027年試験対策で、一種+二種スピード合格講座が14,800円、二種スピード合格講座が9,800円(いずれも税込)。教材をすべてeラーニングで受け取るデジタルプランは、一種+二種が9,800円、二種が7,980円です。
この価格で提供できているのは、講座の企画から制作・販売・サポートまでを自社で行っているためです。費用の考え方は費用対効果のページで詳しく説明しています。
教材はテキスト・問題集・模擬試験で、副教材として受講ガイド、戦略立案編、合格必勝編、演習ノートが付きます。一種+二種スピード合格講座は一種と二種の両方の教材が、二種スピード合格講座は二種の教材が届きます。テキストはフルカラー、問題集はモノクロです。通常プランは紙の教材が届き、デジタルプランは教材をすべてManaBunで提供します(紙で届くのは受講ガイドのみで、書き込み用の演習ノートは付きません)。
講義・eラーニング・質問サポート|申し込む前に確かめられること
講義は収録済みの講義動画と音声で、ManaBunから受講します。申し込む前に体験講義を12本視聴できます。講師の話し方や進め方が自分に合うかどうかは、受講してから気づくと切り替えが難しいので、先に確かめられるようにしてあります。
ManaBunでは、講義動画+音声・デジタルテキスト・確認テスト・合格カード・用語集が使えます。学習スケジュールの自動作成と進捗管理、各種お問い合わせ、質問フォームも同じ画面にあります。
質問は、ManaBunの専用フォームから送ります。無料で質問できる回数には上限があり、超えた分は1回500円(税込)です。回答するのは、専任講師とフォーサイトで証券外務員試験に合格したスタッフです。
教材の詳細はテキスト・問題集、eラーニングはManaBun、質問サポートは質問サポート、受講料の一覧とお申し込みは受講料ページでご確認ください。
まとめ・よくある質問
学習形態の選択は、費用の大小ではなく「学習に必要な4つの作業のうち、いくつを自分で持つか」で決まります。独学は4つとも自分、通学は時間と場所を講座に預け、通信講座は教材と到達度の確認を預けて時間だけを自分に残す形です。
証券外務員試験はCBTの通年実施で締切が外から来ず、合格は7割の絶対評価。不合格なら30日の待機期間をおいて再受験でき、受験手数料13,860円(税込)はどの形態でも同じです。変わらない部分を差し引くと、残るのは作業の分担の違いだけになります。
形態を決めたら、次はその中身を確かめる番です。通信講座を選ぶなら、受講料・教材・講義の形態・サポートの範囲の4点を同じ物差しで見比べてください。
あわせて読みたい:通信講座の比較/費用対効果/合格点主義/受講料・お申し込み
できます。受験資格に制限はなく、市販の教材で学習を始めることもできます。ただし独学では、教材をそろえる・時間と場所を決める・分からないところを解消する・到達度を測るという4つの作業がすべて自分に残ります。出題範囲(二種は3分野14科目、一種は15科目)に対して、どこに時間を寄せるかを学習前に自分で判断できるかどうかが分かれ目です。詰まりやすい場所は証券外務員の独学は無謀?で詳しく扱っています。
教室に通う形式の講座を開講しているスクールもあります。ただしフォーサイトは通信講座のみを提供しており、教室での受講やスクーリングは行っていません。通学は時間割がそのまま締切になる点が利点ですが、教室の立地と開講時間に生活を合わせられることが前提になります。
目安は、二種が50〜80時間で1〜2ヵ月、一種が80〜100時間で1〜3ヵ月です。二種の50〜80時間を2ヵ月で配ると、1日あたり約50〜80分の計算になります。必要な学習時間の目安は学習時間とスケジュールのページ、1日あたりの配り方はタイムパフォーマンスのページをご覧ください。
一種単体の講座はなく、実売は二種スピード合格講座と一種+二種スピード合格講座の2コースです。二種を受講してから改めて一種+二種を受講すると受講料の合計は24,600円になるため、最初から一種+二種(14,800円)を選ぶほうが9,800円分少なく済みます。一種と二種の違いは一種と二種の比較ページで解説しています。
変わりません。合格基準は形態にかかわらず同じで、二種は300点満点中210点以上、一種は440点満点中308点以上(いずれも7割)の絶対評価です。ほかの受験者との比較ではないため、7割に届く状態を作れるかどうかだけが問われます。

どの形で学ぶかを迷っている時間も、実は学習時間の一部です。証券外務員試験は7割取れば合格できる試験ですから、自分に足りない部分だけを外に預けて、早く始めたほうが結果につながります。教材を選ぶところから全部自分でやりたい方は独学で構いませんし、順番を決めてほしい方は講座を使ってください。決め方に正解はありませんが、決めるのを先延ばしにすることだけは避けてください。