券外務員一種と二種、どっちを取るべき?試験範囲の違いと選び方

証券外務員の受験を決めたあとに迷うのが、一種と二種のどちらを受けるかです。一種は二種の上に積む試験です。出題科目は二種の3分野14科目が共通で、商品業務の「デリバティブ取引」1科目が加わり、問われ方が基礎的知識から実務的・専門的知識へ深くなります。この記事では、出題数・配点・学習量という公表情報で確認できる差を正確に並べ、業務範囲・年収という数字では比べられない差については確認先を示したうえで、所属先の要件と学習の順序という2つの軸での選び方を解説します。

なお、本記事は「証券外務員ナビ」の一部です。試験や資格の基本情報から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。

もくじ

一種は「二種の上に積む試験」

証券外務員の受験を決めたあと、次に迷うのが「一種と二種のどちらを受けるか」です。調べると「一種が上位だから一種を」という説明と「まず二種から」という説明の両方が出てきて、判断がつかなくなります。まずは、2つの試験がどういう関係にあるのかを出題科目から確認します。

科目上の差は「デリバティブ取引」1科目

一種と二種の関係は、上位・下位というより「土台と積み増し」です。

日本証券業協会が示す出題科目では、二種の出題範囲は3分野14科目で構成されています。【法令・諸規則】が4科目、【商品業務】が4科目、【関連科目】が6科目です。この14科目は一種にもそのまま含まれ、一種で加わるのは商品業務の「デリバティブ取引」1科目だけです。

しかも二種の側にも、職務の範囲外である信用取引およびデリバティブ取引の基礎的知識を「株式業務」「債券業務」など関連する科目に含めて出題する、という注記が付いています。つまり範囲が切り離されているのではなく、同じ土台の上で深さが違うということです。

証券外務員一種の出題科目は二種の3分野14科目に商品業務の「デリバティブ取引」1科目が加わったものであることを示した図

違いは「問われ方の深さ」

科目数の差が1科目だからといって、同じ試験ではありません。出題科目表では、二種は「基礎的知識」、一種は「実務的、専門的知識」を問うと区分されています。同じ科目名でも、求められる理解の深さが変わるということです。

この構造が分かると、選び方の問いも変わります。「一種か二種か」という二択ではなく、「どの深さまで学ぶか」、そして「二種を受けてから一種に進むか、最初から一種を受けるか」という問いになるからです。以降では、この選択を決める材料を順に見ていきます。

資格としての一種・二種の位置づけは証券外務員とはで、科目ごとの中身は証券外務員試験の出題科目と配点で解説しています。

数字で見る違い|出題数・満点・時間・合格基準

出題数と配点

試験の形は、一種と二種で規模が変わります。

二種は全70問で、○×方式が50問×各2点=100点、五肢選択方式が20問×各10点=200点、合計300点満点です。試験時間は2時間です。一種は全100問で、○×方式が70問×各2点=140点、五肢選択方式が30問×各10点=300点、合計440点満点です。試験時間は2時間40分です。

どちらも五肢選択方式の比重が大きく、二種は300点満点のうち200点、一種は440点満点のうち300点を占めます。問題数が増える分だけ時間も長くなりますが、出題の形式そのものは同じです。

証券外務員二種と一種の出題数・配点・満点・試験時間・合格基準・出題科目を並べた比較表

合格基準は同じ「70%以上」

合格の基準は、一種も二種も70%以上です。二種は300点満点のうち210点以上、一種は440点満点のうち308点以上。どちらも他の受験者との比較ではなく、得点で判定されます。

結果の確認の仕方も同じです。試験終了時の画面に正解率が表示され、正解率70%以上が合格の基準です。一般受験の場合は、試験終了後に予約時に登録したメールアドレスへ「受験結果通知」が送付されます。勤務先(協会員)経由で受験した場合は所属先へ通知されます。

基準の割合は同じで、満点と範囲が違う。これが数字で見た一種と二種の違いです。合格点の考え方は証券外務員試験の合格点で詳しく扱っています。

学習量の違い

目安は幅で示されている

学習量の目安は、フォーサイト証券外務員講座の講座案内が示す標準学習期間です。二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間とされています。

幅があるのは、出発点が人によって違うためです。金融の実務や学習に触れたことがあるかどうかで、同じテキストにかかる時間は変わります。同じ講座案内には、フォーサイトの教材で学ぶ場合として、二種なら1ヵ月・50時間程度、一種なら2ヵ月・80時間程度という短縮側の目安も示されています。

差として見ると、一種は二種より上限で20時間ほど多い目安になっています。

フォーサイトが示す証券外務員二種(1〜2ヵ月・50〜80時間)と一種(1〜3ヵ月・80〜100時間)の標準学習期間と学習時間を横棒のレンジで示した図

差が小さく見える理由

範囲が広がるわりに、時間の差が大きくないように見えるかもしれません。これは、一種の出題科目のほとんどが二種と共通しているためと考えられます。科目上の上乗せは商品業務の「デリバティブ取引」1科目で、残りは同じ科目をより実務的・専門的な深さで問われる分です。

ただし、問われ方が基礎的知識から実務的・専門的知識へ深くなる分、学習の負荷は時間の差だけでは測れない面があります。時間の目安は幅として受け取り、自分は上限側で見積もっておくと計画が崩れません。

学習時間の組み立て方は証券外務員の勉強時間とスケジュール、科目ごとの進め方は証券外務員試験の科目別勉強法で解説しています。

業務範囲と年収の差はどこで確認するか

一種と二種の比較では、業務範囲の差と年収の差を並べて「一種が有利」と結論づける説明をよく見かけます。ただし、この2つはどちらも公表された数字で比べられる差ではありません。どこで確認すればよいかを先に示しておきます。

業務範囲の差は一次情報で確認する

「一種を取ると何ができるようになるのか」。外務員登録によって従事できる業務の範囲は、法令と日本証券業協会の規則で定められています。一般論で判断せず、日本証券業協会が公表している一次情報を確認するか、所属先・応募先に直接確認してください。

注意

出題科目に「デリバティブ取引」が加わることは公表されていますが、出題範囲の差は、そのまま業務範囲の差ではありません。この2つは別の話です。業務範囲を判断材料にしたい場合は、日本証券業協会の一次情報か、所属先・応募先での確認が確実です。

証券外務員一種と二種の違いのうち、公表情報で確認できる差と、一次情報や所属先で確認する差を左右に分けた図

年収は資格の種別だけでは決まらない

年収についても、一種と二種の差を数字で示すことはできません。収入は職種・経験年数・所属先・担当業務など複数の要素で決まり、資格の種別はそのうちの一つだからです。

「一種だから年収が高い」という因果の言い方は、他の要素を捨てた説明になっています。実際の水準を知りたい場合は、応募先の求人票に書かれた提示額や、所属先の給与規程など、自分が当てはまる条件で確認してください。選ぶ基準としては、次の2つの軸のほうが確実です。

年収の情報をどう読むかは証券外務員の仕事の実態と年収で扱っています。

選び方①|所属先・応募先の要件から決める

指定があるなら、それが答え

最も確実な決め方は、所属先や応募先の要件を確認することです。実務でどちらが求められるかは、担当する業務によって決まります。一般論で選ぶより、実際に求められているものに合わせるほうが無駄がありません。

求人であれば、募集要項に「一種」「二種」のどちらが指定されているか、そして資格の扱いが必須なのか歓迎なのか、入社後の取得でよいのかが書かれていることがあります。在職中であれば、所属先の指示や社内の資格要件が出発点になります。指定があるなら、そこで選択は決まります。

指定がない場合の考え方

指定がない場合も、業務内容から推測するのではなく、確認するのが確実です。登録後の業務範囲は法令と協会の規則で定められるもので、求人票に書かれた業務内容から資格の種別を逆算しても確実にはならないためです。

選考の過程で質問する、あるいは在職中なら上長や担当部署に確認する。このほうが早く、確実です。「一般にどちらが有利か」を調べる時間を、「自分の場合はどちらが要るか」の確認に使ってください。

求人の読み方は証券外務員資格を活かせる仕事と求人の読み方で詳しく解説しています。

選び方②|学習の順序から決める

二種から積むと土台が先にできる

要件が決まっていない、あるいは最終的に一種が必要な場合、二種から順に積む形が組みやすくなります。一種の出題科目は二種の3分野14科目を含み、問われ方が深くなる構造なので、二種の学習はそのまま一種の土台になるからです。土台を固めてから、デリバティブ取引と各科目の実務的・専門的な深さに集中できます。

試験はCBT方式で、土日・祝日・年末年始の休業日を除いて通年実施されています。予約できるのは、受験日から起算して60日前から受験日の5営業日前までです。受験日を自分で選べるため、「二種を受けてから一種へ」という分割が計画として成立します。ただし直前の申込はできないので、受験日は5営業日前までに確定させてください。

証券外務員二種の学習(1〜2ヵ月・50〜80時間)から二種受験、一種の上乗せ分の学習(一種は全体で1〜3ヵ月・80〜100時間)、一種受験へと進む順序と、不合格時の30日の余白を示したフロー図

期限があるなら30日ルールを織り込む

期限がある場合は、不合格時の制約を計画に入れておきます。受験回数の制限はありませんが、不合格だった場合、当該受験日の翌日から起算して30日を経過する日までは、日本証券業協会主催のすべての試験を受けることはできません。

二種と一種を順に受ける計画なら、それぞれについてこの余白を見込む必要があります。期限までの日数が短い場合、分割が間に合わないこともあります。順序を決めるときは、期限までの日数と30日ルールをセットで確認してください。

逆算スケジュールの組み方は証券外務員の勉強時間とスケジュール、申込の手順は証券外務員試験の日程と申込方法で扱っています。

最初から一種を受けるという選択

「まず二種から」は推奨される順序の一つ

一種と二種の選び方は、「二種→一種」の一本道だけではありません。出題科目の構造から見て、最終的に一種が必要な人が最初から一種の深さで学ぶ、という組み方も成り立ちます。

ただし、一種を受けるために二種の合格が必要かどうかなど、受験の条件は実施団体が定めています。申し込む前に、日本証券業協会・プロメトリックの受験案内で受験資格と受験順序の条件を確認してください。条件を確認したうえで、順序は自分の状況から選ぶものです。

どちらが得かは条件による

一種だけを受ける場合と、二種から順に受ける場合では、かかるものが変わります。受験手数料は13,860円(税込)で、受験の都度かかります。順に受ければ2回分になります。一方、一種だけを受ける場合は、土台と上乗せを同時に仕上げることになります。

証券外務員を二種から一種へ順に受ける場合と一種のみを受ける場合の、受験手数料・学習の組み方・向いている条件を左右に並べた比較図

期限までの日数が短い場合は一種のみ、金融の知識がまったくない状態から始める場合は二種から。このように、条件によって適した選択が変わります。費用・期限・出発点の3つを並べて、自分の条件で決めてください。

証券外務員講座 伊藤亮太 講師
講師コメント

「一種と二種のどちらにするか決められず、学習を始められない」というご相談をよくいただきます。出題科目を見ると、二種の3分野14科目は一種でもそのまま問われますから、どちらを受けるにしても最初にやることは同じです。まず二種の範囲を基礎から固める。その途中で所属先や応募先の要件がはっきりすれば、そこで一種の深さまで進むかを決めればよいのです。迷っている時間を、共通部分の学習に回してください。

証券外務員講座 伊藤亮太 講師

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この記事のまとめ

ここまでの内容を、判断に使える形で並べ直します。自分の条件に当てはめながら読み返してみてください。

一種は二種の上に積む試験。出題科目は二種の3分野14科目が共通で、一種は商品業務の「デリバティブ取引」1科目が加わり、問われ方が基礎的知識から実務的・専門的知識へ深くなる
出題数は二種70問・一種100問、満点は300点・440点、試験時間は2時間・2時間40分。合格基準はどちらも70%以上(210点以上/308点以上)
フォーサイトが示す標準学習期間の目安は二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間。幅で受け取り、上限側で見積もる
登録後に従事できる業務範囲は法令と日本証券業協会の規則で定められる。出題範囲の差を業務範囲の差にすり替えず、一次情報か所属先・応募先で確認する。年収は資格の種別だけでは決まらない
選び方の軸①=所属先・応募先の要件。指定があるならそれが答え。指定がなければ推測せず確認する
選び方の軸②=学習の順序。二種から積むと土台が先にできる。期限があるなら不合格時の30日ルールを織り込む
「まず二種から」は必須ではなく推奨される順序の一つ。受験資格・受験順序の条件は実施団体の受験案内で確認し、費用(受験手数料13,860円は受験の都度)・期限・出発点の3つで決める

この記事のまとめ

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よくある質問

証券外務員の一種と二種は何が違いますか?

日本証券業協会が示す出題科目では、二種の3分野14科目は一種にも共通で、一種ではそこに商品業務の「デリバティブ取引」1科目が加わります。問われ方は二種が基礎的知識、一種が実務的・専門的知識です。出題数は70問と100問、満点は300点と440点、試験時間は2時間と2時間40分。合格基準はどちらも70%以上です。

一種のほうが年収は高いですか?

年収は資格の種別だけで決まるものではありません。収入は職種・経験年数・所属先・担当業務など複数の要素で決まり、資格の種別はそのうちの一つです。実際の水準は、応募先の求人票の提示額や所属先の給与規程など、自分が当てはまる条件で確認してください。選ぶ基準としては、所属先・応募先の要件と学習の順序のほうが確実です。

一種を取ると何ができるようになりますか?

登録後に従事できる業務の範囲は、法令と日本証券業協会の規則で定められています。出題科目に「デリバティブ取引」が加わることと、業務範囲の差は別の話です。日本証券業協会の一次情報を確認するか、所属先・応募先に直接確認してください。

どちらを取るべきか、どう決めればよいですか?

所属先・応募先の要件に指定があるならそれに従います。指定がないなら学習の順序で決めます。二種から積むと土台が先にでき、最終的に一種が必要な場合もその学習がそのまま土台になります。この2つの軸で判断してください。

いきなり一種を受けてもいいですか?

受験資格や受験順序の条件は実施団体が定めています。申し込む前に日本証券業協会・プロメトリックの受験案内で確認してください。学習面では、一種を最初に受けると土台と上乗せを同時に仕上げることになるため、金融の知識がない状態から始める場合は二種からのほうが組みやすくなります。

二種と一種を両方受けると、費用と勉強量はどうなりますか?

受験手数料は13,860円(税込)で受験の都度かかるため、順に受ければ2回分です。不合格の場合は次の受験まで30日の待機期間があるので、期限がある場合はその余白も見込んでください。フォーサイトが示す学習時間の目安は二種が50〜80時間、一種が80〜100時間で、差は上限で20時間ほどです。ただし、問われ方が実務的・専門的に深くなるため、負荷は時間の差だけでは測れない面があります。

この記事の監修は伊藤 亮太 講師(いとう りょうた)
伊藤亮太講師
仕事に活かすためには丸暗記ではダメ
出身
岐阜県大垣市
趣味
旅行、御朱印巡り
尊敬する人
福沢諭吉
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