証券外務員とは?一種・二種の違いから仕事内容、将来性まで図解でわかる完全ガイド

「入社までに二種を取っておくように」と言われて調べ始めると、まず呼び名で戸惑います。証券外務員という資格があるのか、外務員という職業があるのか、そこがはっきりしません。検索すれば一種と二種の比較や勉強時間の話がすぐ出てきますが、この資格が何を認めるものなのかが分からないままでは、どちらを受けるかも決められません。この記事では、日本証券業協会が公表している定義と規則にもとづいて、「外務員」が何を指す言葉か、資格は何種類あって自分で受けられるのはどれか、一種と二種は何を区切っているのか、合格したあとに何が必要か、の4点を順に整理します。試験の中身や申し込みの手順は専用の記事にまとめてあるので、読み終えたときには次にどこへ進めばよいかまで決まっているはずです。
なお、本記事は「証券外務員の試験ガイド」の一部です。試験や資格の基本情報から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。
証券外務員とは|金融商品の販売・勧誘を行う人の呼び名
「外務員」は人を指す言葉
証券外務員とは、証券会社や銀行などで顧客に金融商品を販売・勧誘する人のことです。日本証券業協会は外務員を「協会員(本協会に加入している証券会社や銀行等)に所属している役職員のうち、顧客に対して金融商品の販売・勧誘等を行う者」と定義しています。
窓口で投資信託を説明する銀行員も、株式の注文を受ける証券会社の社員も、この定義に当てはまります。会社の側から見れば「協会員に所属している役職員」であり、顧客の側から見れば商品を説明してくれる担当者です。つまり「外務員」は職種や役割の呼び名であって、資格そのものの名前ではありません。
資格の名称は「外務員資格」
この職務に就くために必要なのが外務員資格で、資格を得るための試験が外務員資格試験です。日本証券業協会が試験を実施し、合格者に資格を与えます。
「証券外務員試験」「証券外務員資格」という呼び方も広く使われますが、協会の規則上の名称は外務員資格試験です。呼び名が複数あるだけで、指しているものは変わりません。この記事でも、制度の話をするときは規則の名称を使います。
なぜ入社前後に取得を求められるのか
金融商品を扱う会社では、この資格が業務の前提に置かれます。顧客に対して販売・勧誘を行う役職員が外務員であり、その職務には資格と登録が必要だからです。
内定者の段階で二種の取得を案内される、配属後に一種の取得を求められる、といった形が多いです。どちらをいつまでに求めるかは会社ごとに違います。会社から言われた時点で自分が何を求められているのかを整理する、というのがこの記事の役割です。
登録したあとに何をする仕事なのかは、証券外務員ナビにあります。
外務員資格試験の種類|規則が定めるのは6種類
どの試験を受けることになるのかは、日本証券業協会の規則を見るとはっきりします。
協会の規則が定める試験は6種類
「外務員等資格試験に関する規則」の第3条が列挙しているのは、一種外務員資格試験、二種外務員資格試験、会員内部管理責任者資格試験、特別会員一種外務員資格試験、特別会員二種外務員資格試験、特別会員内部管理責任者資格試験の6つです。
このうち外務員資格の試験は、一種・二種・特別会員一種・特別会員二種の4つです。会員内部管理責任者資格試験は、外務員の資格を得るための試験ではなく、社内の管理を担う立場のためのものになります。「規則が定める試験は6種類、そのうち外務員資格の試験は4つ」と押さえておくと、このあとの話が整理できます。

自分で申し込めるのは一種と二種だけ
6種類のうち、個人が自分の意思で申し込めるのは一種外務員資格試験と二種外務員資格試験の2つです。
特別会員向けの試験は、規則で「特別会員等が試験を受けさせる必要があると認める者」であることが受験資格とされています。規則はさらに「協会員は、前条の要件を満たしていない者に試験を受けさせてはならない。」と定めており、所属先を通さずに受けることはできません。
会員内部管理責任者資格試験も同じ構造です。対象になるのは協会員の役員か、一種外務員の資格を有する使用人で、いずれも所属先が受けさせる必要があると認めることが前提になります。個人が先に取っておくことはできません。
学生の方や、まだ金融機関に所属していない方が自分で申し込める外務員資格試験は、一種と二種の2つです。特別会員向けの試験と会員内部管理責任者資格試験は、所属先が受けさせる必要があると認めた人が対象になります。
「四種」は現在ありません
かつて実施されていた特別会員四種外務員資格試験は、現在は実施されていません。規則の付則により、平成26年6月17日の改正で第3条第6号が削除され、平成27年1月1日から施行されています。
そのため、いま受けられる外務員資格試験は一種・二種・特別会員一種・特別会員二種の4つです。なお、ここで数えているのは試験の種類です。外務員「資格」の種類は、行える職務ごとの区分として協会が別に示しているので、数が食い違って見えるときはどちらの話かを確かめてください。
一種と二種の違い|資格が区切っているのは「職務の範囲」
一般の方が受けるのは一種と二種の2つです。この2つの違いは、試験の難しさよりも先に、資格が認める範囲に表れます。
扱える商品の範囲が違う
一種と二種を分けているのは、外務員として行える職務の範囲です。
日本証券業協会は「外務員」のページで、二種外務員資格について「現物株式などの外務員の職務を行うことができますが、信用取引、デリバティブ取引などリスクの高い商品についての外務員の職務を行うことができません」と説明しています。
一種外務員資格は、協会が二種外務員資格の上級資格と位置付けているものです。「二種外務員資格で行うことのできる外務員の職務に加え、信用取引、デリバティブ取引を含めたすべての有価証券に係る外務員の職務を行うことができます」としています。範囲としては、二種で行える職務に信用取引とデリバティブ取引が加わって、有価証券に係る職務の全体をカバーする関係です。

境目にあるのは信用取引とデリバティブ取引
二種と一種の境目に置かれているのは、信用取引とデリバティブ取引です。協会がこの2つを名指しで、二種の職務の範囲外としています。
信用取引は、証券会社から資金や株式を借りて行う取引です。手元の資金を超える規模の売買ができる一方、相場が想定と逆に動いたときの損失も手元の資金を超えることがあります。デリバティブ取引も、価格の変動が結果に大きく響き得る取引です。リスクの大きい商品を扱う職務には一種が要る、という線の引き方になっています。
ここまでが協会の公表している範囲です。社内で実際に任される業務の切り分けは、法令・協会規則と所属先の規程で決まります。
試験の側の差は「デリバティブ取引」1科目
職務の範囲の違いは、試験の出題科目にもそのまま表れます。一種は二種の出題範囲に、商品業務の「デリバティブ取引(一種外務員資格試験のみ)」が1科目加わる構成です。
科目の数で言えば二種が3分野14科目、一種が15科目。資格の側の差と試験の側の差が、同じデリバティブ取引で結び付いています。科目ごとの内訳と配点は証券外務員試験の出題科目と配点、どちらを受けるかの選び方は一種と二種の選び方で解説しています。
誰が受けられるのか|受験資格は2点だけ
規則が置いている要件
一種・二種の受験資格として規則が置いている要件は、2点だけです。不都合行為者として取り扱われていないことと、不正受験などにより試験を受けられないこととされていないこと。この2つ以外に条件は付いていません。
不都合行為者の取扱いには一級と二級の区別があり、二級については、その決定の日から5年を経過していれば受験できます。細かい要件は規則第4条に定められています。
日本証券業協会も「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」と案内しています。一般受験の申込窓口であるプロメトリック株式会社の案内でも、年齢等の受験資格の制限は設けられていません。金融機関に勤めていない方も、学生の方も受験できます。
年齢・学歴・実務経験の要件は置かれていない
年齢や学歴、実務経験を求める条項は規則にありません。業界の外にいる段階でも申し込めます。
なお、英語による外務員資格試験は一般の方は受験できません。日本語で受験する分には、制度の側から受験者を絞る要件は置かれていないと考えて差し支えありません。
二種を経ずに一種を受けられる
二種に合格していなくても、一種を受けることができます。規則の受験資格に、種別の取得順序を求める条項が置かれていないからです。
二種から順に取る人もいれば、最初から一種を受ける人もいます。順序は制度上の制約ではなく、所属先の要件や学習量から考える選択の問題です。その判断材料は一種と二種の選び方にそろえてあります。
試験のしくみ|CBT方式で通年、合格基準は7割
いつ・どこで受けるか
試験はCBT方式(コンピュータを使った試験)で、土日・祝日・年末年始を除き通年で実施されます。年度ごとに試験日が決まっている方式ではなく、受験者が日時を予約する方式です。
会場は全国のテストセンターです。予約は受験日から起算して60日前から受験日の5営業日前までで、受験手数料は13,860円(税込)。実施団体は日本証券業協会、予約や受験料の支払い、当日の手続きはプロメトリック株式会社が窓口になります。
「いつ申し込むか」を自分で決められる試験だということです。
問題数と合格基準
二種は全70問で300点満点、一種は全100問で440点満点。合格基準はどちらも総得点の7割以上です。日本証券業協会は、二種は「300点満点の7割(210点)以上得点した者を合格者とします。」、一種は「440点満点の7割(308点)以上得点した者を合格者とします。」と示しています。
| 区分 | 問題数 | 満点/合格点 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 二種 | 全70問 | 300点/210点 | 2時間 |
| 一種 | 全100問 | 440点/308点 | 2時間40分 |
問題は〇✕方式と五肢選択方式の2種類で、1問あたりの配点が違います。7割という基準は共通でも、必要な点数と配点の重みは種別で変わります。配点の中身は証券外務員試験の合格点で扱っています。
合否の分かり方と、不合格だった場合
合否は試験終了時に分かります。試験終了時の画面に試験結果(正解率)が表示されるためです。ここでいう正解率は総得点に対する得点率で、70%以上が合格の基準です。
一般の方が受験した場合は、予約時に登録したEメールアドレス宛に「受験結果通知」が送付されます。勤務先(協会員)を通して申し込んだ場合は、合否結果を所属先の人事部等に確認する扱いになります。
受験回数そのものに制限はありませんが、不合格の場合は次の受験まで30日の待機期間があります。申し込みの手順、当日の流れ、この待機期間の数え方は証券外務員試験の日程と申込方法にまとめています。
合格したあと|資格と登録は別のもの
登録して初めて外務員として活動できる
試験に合格して資格を得ても、それだけでは外務員として活動できません。日本証券業協会は「外務員資格を持っているだけでは、外務員として活動することはできません。」と明示しており、所属する協会員を通じた外務員登録が要ります。
学生のうちに合格した場合や、まだ金融機関に所属していない段階では、登録は行われません。手続きの漏れではなく、制度としてそうなっています。「合格して資格を得ること」と「登録して外務員として働くこと」は、別の段階だと捉えてください。

資格そのものに期間満了の失効はない
合格して得た資格が、時間の経過だけで失われることはありません。協会は「外務員資格は、法令違反等による資格の取消し等がない限り、取り消されることはありません。」「退職した場合や他の協会員へ転職した場合でも資格は有効です。」としています。
5年ごとの外務員資格更新研修は、外務員登録を受けている人が対象です。協会は「現在、協会員に所属していない方は、受講対象者ではありません」と示しています。「資格を持っているだけで5年ごとに研修が必要」というのは誤りです。
この先は仕事の側の話になる
登録したあとの働き方や求められる力、キャリアの広がりは、資格制度ではなく仕事の側の話です。職務の範囲は協会が示していても、実際に任される業務は所属先の規程と配属で決まります。
仕事の中身・向き不向き・収入の見方・登録と更新研修の手続きは証券外務員ナビにまとめています。資格を取る意味をどう考えるかは証券外務員は「意味ない」と言われる理由で取り上げています。
名前が似ている資格との整理
役割が違う資格
証券外務員と名前が並びやすい資格に、証券アナリスト(CMA)とファイナンシャルプランナーがあります。この3つは、担う役割がそれぞれ違います。
証券外務員は金融商品の販売・勧誘を行う職務に関わる資格です。証券アナリストは証券の分析・評価に、ファイナンシャルプランナーは個人の資金計画の相談に関わります。同じ金融の資格でも、顧客との接点の作り方が違うわけです。
どれか1つが上位ということではありません。「どれを取るべきか」ではなく「何をする資格か」で並べると、比較に迷いにくくなります。資格の組み合わせ方や、他資格と比べるときの見方は証券外務員ナビで整理しています。
この記事のまとめ
ここまでの内容を、制度の骨組みだけに絞って整理します。
証券外務員試験の出題科目と配点
証券外務員試験の合格点
証券外務員試験の日程と申込方法
証券外務員試験の合格率と難易度
証券外務員の勉強時間と学習スケジュール
一種と二種の選び方
証券外務員ナビ
証券外務員の試験ガイド(全体像)
フォーサイト証券外務員講座の全体像
よくある質問
証券会社や銀行などで顧客に金融商品の販売・勧誘を行うために必要な資格です。日本証券業協会は外務員を「協会員に所属している役職員のうち、顧客に対して金融商品の販売・勧誘等を行う者」と定義しています。「外務員」は人の呼び名で、資格の名称は外務員資格です。
協会の規則が定める試験は6種類で、そのうち外務員資格の試験は一種外務員・二種外務員・特別会員一種外務員・特別会員二種外務員の4つです。会員内部管理責任者資格試験は、外務員の資格を得るための試験ではなく、社内の管理を担う立場のためのものです。
一種と二種は、金融機関に勤めていない方も学生の方も受験できます。協会は「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」と案内しています。ただし特別会員向けの試験は、所属先が受けさせる必要があると認めた人が対象なので、個人では申し込めません。
外務員として行える職務の範囲が違います。二種は現物株式などを扱えますが、信用取引やデリバティブ取引についての職務は行えません。一種は二種の範囲に加えて、信用取引・デリバティブ取引を含めたすべての有価証券に係る職務を行えます。
受けられます。規則の受験資格に、種別の取得順序を求める条項は置かれていません。どちらを選ぶかは、所属先の要件や学習量から考えることになります。
ありません。規則が置いている一種・二種の受験資格は、不都合行為者として取り扱われていないことと、不正受験などにより試験を受けられないこととされていないことの2点だけです。
二種は全70問で300点満点、一種は全100問で440点満点です。合格基準はどちらも総得点の7割以上。二種は210点以上、一種は308点以上です。
資格を得ただけでは活動できません。協会は「外務員資格を持っているだけでは、外務員として活動することはできません。」としており、所属する協会員を通じた外務員登録が必要です。
期間の満了で失効することはありません。協会は「外務員資格は、法令違反等による資格の取消し等がない限り、取り消されることはありません。」としています。5年ごとの更新研修は外務員登録を受けている人が対象で、協会員に所属していない方は受講対象者ではありません。

この資格について調べ始めると、一種と二種のどちらがよいか、勉強時間はどれくらいか、といった話が先に目に入ってきます。ただ、最初にはっきりさせておくべきなのは、「合格して資格を得ること」と「登録して外務員として働くこと」が別だという一点です。ここが分かっていれば、進路の情報は必要になった段階で読み直せます。学習の順番は教材の側で組んでありますので、まずは目の前の1単元から取りかかっていただければ十分です。