証券外務員試験の合格率は嘘?一種・二種の数字のカラクリと合格する人の共通点

「証券外務員の合格率は70%前後」は、調べればすぐに出てくる数字です。ところが同じ検索結果に「意外と落ちる」という声も並んでいて、どちらを信じればよいのか分からなくなります。この2つは、実は矛盾していません。合格率という数字は「試験の易しさ」を表しているわけではないからです。この記事では年度別の受験者数・合格者数まで確認しながら数字の成り立ちを分解し、そのうえで「自分にとっての難易度」を測るための別の指標(配点構造からの逆算)を示します。
なお、本記事は「証券外務員の試験ガイド」の一部です。試験や資格の基本情報から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。
公表されている合格率|2022〜2025年度の平均は二種67%・一種72%
まず数字を確認する
日本証券業協会は、外務員資格試験の受験者数・合格者数・合格率を年度ごとに公表しています。直近4年(2022〜2025年度)分をそろえると、合格率の平均は二種が67%、一種が72%です。4年分の受験者数と合格者数をそれぞれ合算して算出した値で、二種は14,267名中9,524名が合格して66.8%、一種は24,730名中17,853名が合格して72.2%になります。
これは試験全体の公表値です。フォーサイトの合格実績ではありません。証券外務員試験の難易度を語るときに、まず参照されるのがこの数字です。
母数の規模もあわせて見ておきます。同協会の資料では、2025年度は一種・二種を合わせて11,161名が受験しています。数万人・数十万人規模の試験ではありません。
数字だけを見れば「7割前後が合格する試験」です。問題は、その7割が何を意味するかです。
年度別に見ると|受験者数と合格者数の実数
4年分の実数
平均値だけでは、年による振れ幅や母数の大きさが見えません。年度別の合格率と実数は次のとおりです(いずれも日本証券業協会の公表値)。
- 2025年度:二種68.1%(3,753名受験/2,557名合格)・一種73.1%(7,408名/5,418名)
- 2024年度:二種64.5%(4,268名/2,751名)・一種73.0%(6,903名/5,038名)
- 2023年度:二種65.6%(3,833名/2,516名)・一種71.3%(5,886名/4,199名)
- 2022年度:二種70.5%(2,413名/1,700名)・一種70.5%(4,533名/3,198名)
※日本証券業協会が公表しているのは直近2年度分です。2024年度・2025年度は同協会の公表値(2026年9月確認)、2022年度・2023年度は同協会が当時公表していた値です。
4年を通して、二種は64〜70%台、一種は70〜73%台に収まっています。二種は年によって6ポイントほど動きますが、一種は70%台前半で安定しています。

受験者数から分かること
実数を見ると、受験者数は一種のほうが多いことが分かります。2025年度は二種3,753名に対して一種7,408名で、他の年度も同じ傾向です。
母数の規模と、受験者がどういう人たちなのか。合格率を読むには、この2つが必要になります。
「嘘」ではなく「そういう成り立ちの数字」
理由①:絶対評価だから、合格者数に上限がない
合格率が高くなる1つ目の理由は、この試験が絶対評価だからです。
合格基準は二種・一種とも70%以上の得点で、二種は300点満点のうち210点以上、一種は440点満点のうち308点以上です。受験者どうしを比べて上位何%を合格にする方式ではないため、基準を満たした人は全員合格になります。
相対評価の試験では、受験者全体の出来が良ければ合格ラインが上がります。証券外務員試験ではそれが起きません。周囲の出来に左右されないので、「他の受験者より上に行く」必要がない試験です。
合格者数に構造的な上限がないこと。これが1つ目のカラクリです。

理由②:受験者の多くが、準備をして受けている
2つ目の理由は、受験者層です。
この試験には、個人で申し込む「一般受験」と、勤務先(協会員)を通じて受験するルートがあり、試験結果の通知先も分かれています。一般受験では登録したメールアドレスに「受験結果通知」が翌営業日中に届き、協会員経由の場合は所属先へ通知されます。勤務先を通じて受験する人が、制度として想定されているということです。
さらに、外務員登録を受けている人には5年毎の外務員資格更新研修が定められています(日本証券業協会)。資格が業務と結びついた制度設計になっているため、受験者は「取得の期限が決まっていて、準備をして受ける人」が中心になると考えられます。この層が中心の試験で7割前後という数字は、「準備をすれば届く」という意味になります。
「合格率が高い=準備なしで受かる」ではありません。ここが読み違えやすいところです。
なぜ一種のほうが合格率が高いのか
科目数は多いのに、合格率は一種のほうが高い
公表統計では、科目数も問題数も多い一種のほうが合格率が高くなっています(2022〜2025年度の平均で二種67%・一種72%)。
一種の出題科目は、二種と同じ3分野14科目に商品業務の「デリバティブ取引」1科目が加わった15科目です。問題数も一種100問・二種70問で、一種のほうが多くなっています。範囲も分量も大きい試験のほうが合格率が高いのは、一見すると逆に見えます。
手がかりは、二種の14科目が一種にもそのまま含まれているという科目構成です。土台が共通しているため、一種の受験者は二種の内容をすでに学んだ状態で臨むことが多いと考えられます。違いは問われ方で、二種は「基礎的知識」、一種は「実務的、専門的知識」とされています。
合格率の差は「試験の易しさの差」ではなく、受験者がどの段階で受けているかの差として読むのが自然です。
それでも3割前後は合格に至っていない
準備を省略できる試験ではない
合格率が7割前後ということは、3割前後は合格に至っていないということでもあります。
二種の出題科目は3分野14科目、一種はそこに「デリバティブ取引」が加わって15科目です。試験時間は二種が2時間、一種が2時間40分。範囲も分量も、片手間で終わるものではありません。
しかも合否は当日その場で分かります。試験終了時の画面に正解率が表示され、正解率70%以上が合格の基準です。そして不合格だった場合、当該受験日の翌日から起算して30日を経過する日までは、日本証券業協会主催のすべての試験を受けることはできません(受験回数そのものに制限はありません)。入社日などの期限がある人にとって、この1ヵ月は重い制約です。
証券外務員試験はCBT方式で、土日・祝日・年末年始を除き、通年で実施されています(出願は随時受付)。受験日を自分で選べる一方、期限が決まっている場合は30日ルールを見込んで1回目を手前に置く必要があります。
「7割が受かる」の裏側にある3割は、準備の量が届かなかった側です。合格率の高さは、準備を省略できる理由にはなりません。
自分にとっての難易度は、配点から逆算する
合格率ではなく、必要な得点を見る
「自分にとって難しいか」を知りたいなら、合格率よりも配点構造を見るほうが確実です。
合格に必要なのは他人より上に行くことではなく、二種なら300点満点のうち210点、一種なら440点満点のうち308点を取ることだからです。必要な得点は最初から決まっています。
そして配点は均等ではありません。二種は〇✕方式が50問(各2点=100点)、五肢選択方式が20問(各10点=200点)で、得点の3分の2が五肢選択方式に集まります。一種も〇✕方式70問(各2点=140点)+五肢選択方式30問(各10点=300点)で同じ構造です。問題数の感覚で学習を配分すると、得点の重心を外します。

「合格率70%」より「必要な210点をどこで取るか」のほうが、自分の準備に直結する情報です。
必要な学習量の目安
学習量の目安も示されています。フォーサイトが示す標準学習期間と学習時間は、二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間です。前提となる知識や使える時間は人によって違うため、単一の値ではなく幅として受け取ってください。
CBT方式で通年受験できるため、必要な学習量を確保できる日付を選んで受験日にできます。難易度は、合格率という他人の結果ではなく、自分が確保できる学習量との関係で決まります。
合格する人に共通していること
制度の性質から導けること
この試験の性質から言える「合格する人の共通点」は3つです。
① 満点を目指さず、必要な得点から逆算している
② 配点の重い五肢選択方式を得点源にしている
③ 受験日を先に決めて、そこまでの学習量を確保している
絶対評価で必要得点が固定されており、配点が均等でなく、受験日を自分で選べる。この3つの制度上の特徴が、そのまま有効な取り組み方を決めるためです。
逆に不利になりやすいのは、全範囲を同じ深さで学ぼうとして試験日までに一周も終わらないケース、問題数の多い〇✕方式に時間を偏らせて五肢選択方式が仕上がらないケース、締切がないために受験日を決めないまま先延ばしになるケースです。どれも個人の資質の話ではなく、制度に合わせた進め方の話です。
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この記事のまとめ
合格率という数字の読み方を、ここまでの内容で整理し直します。
よくある質問
日本証券業協会の公表統計で、直近4年(2022〜2025年度)の平均は二種67%・一種72%です。試験全体の公表値であり、フォーサイトの合格実績ではありません。年度別では2025年度が二種68.1%・一種73.1%、2024年度が二種64.5%・一種73.0%、2023年度が二種65.6%・一種71.3%、2022年度が二種70.5%・一種70.5%です。
主な理由は2つあります。①合格基準が70%以上の絶対評価で、基準を満たした人は全員合格になります(合格者数に上限がない)②申込・結果通知が一般受験と勤務先(協会員)経由に分かれ、外務員登録者には5年毎の更新研修があります。業務と結びついた資格であり、期限を決めて準備して受ける人が中心になりやすい試験です。合格率の高さは、試験の易しさを表しているわけではありません。
一種の受験者は二種の内容を学んだ状態で臨むことが多いと考えられます。日本証券業協会が示す出題科目では、二種の3分野14科目がそのまま一種にも含まれ、一種で加わるのは商品業務の「デリバティブ取引」1科目だけです(違いは問われ方で、二種は「基礎的知識」、一種は「実務的、専門的知識」とされています)。合格率の差は、受験者がどの段階で受けているかの差として読むのが自然です。
合格率が7割前後ということは、3割前後は合格に至っていないということです。不合格の場合、次の受験まで30日の待機期間があります(受験回数そのものに制限はありません)。
合格率よりも必要得点を見てください。二種は300点満点のうち210点以上、一種は440点満点のうち308点以上です。配点は均等ではなく、得点の3分の2が五肢選択方式に集まります。
試験終了時の画面に正解率が表示され、正解率70%以上が合格の基準です。一般受験の場合は登録したメールアドレスに「受験結果通知」が翌営業日中に届き、勤務先(協会員)経由で受験した場合は所属先へ通知されます。
制度の性質から言えるのは、①満点を目指さず必要な得点から逆算していること ②配点の重い五肢選択方式を得点源にしていること ③受験日を先に決めて学習量を確保していることの3点です。

「合格率が7割なら大丈夫ですか」と聞かれることがあります。私はいつも、その数字はいったん置いて、満点を取る必要のない試験だという点を見てくださいとお答えしています。二種なら300点のうち210点、一種なら440点のうち308点。取るべき点数が決まっているのですから、どこで取るかを決めれば準備は組み立てられます。配点の重い五肢選択方式に演習の時間を残す。それだけで、合格率の数字を気にする必要はほとんどなくなります。