証券外務員は未経験・文系でも受けられる|予備知識がない人の学習の進め方

テキストを開いて、最初の数ページで止まった。金融の勉強を始めた人からよく聞く話です。内容が難しいというより、知らない言葉が続けて出てきて、1つ調べるとその説明の中にまた知らない言葉がある。止まっている原因は理解力ではなく、調べる深さと一周目の目的が決まっていないことです。証券外務員試験は出題科目・出題形式・配点・合格基準がすべて公表されているので、どこまで調べたら止めていいかも、自分の感覚ではなく公表されている形式から決められます。この記事では「未経験」を知識の話と業界の話に切り分けたうえで、調べる深さの基準、一周目の成果の定義、学習量の見積もり方、そしてこのあと決めることの順番を扱います。
なお、本記事は「証券外務員の試験ガイド」の一部です。試験や資格の基本情報から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。
「未経験」には2つある|知識が初めてなのか、業界が初めてなのか
証券外務員について「未経験」と言うとき、指しているものが2通りあります。どちらなのかで、先に確認する場所が変わります。
金融の知識が初めての人は、この記事の続きへ
金融の予備知識がないという意味の未経験なら、決めるのは学習の進め方です。
試験の側は、出題科目・出題形式・配点・合格基準をすべて公表しています。決まっていないのは読者側の進め方だけで、内容が難しいかどうかは、その後の話になります。
決めるのは、知らない語をどこまで調べるか、一周目に何を成果とみなすか、学習量をどう見積もるか。この記事の続きは、そこを順に決めていく構成になっています。
金融業界が初めての人は、仕事と登録の側から確認する
金融業界で働いたことがないという意味の未経験なら、先に確認するのは試験ではなく資格の使いどころです。
試験に合格して得られるのは資格で、実際に金融商品の勧誘・販売を行うには、協会員に所属して外務員登録を受ける必要があります。勉強を始める前にこの順番を知っておくと、遠回りを避けられます。
業界の外にいる段階でも試験は受けられます。ただし「資格を持っている」と「業務を行える」は別です。
仕事の中身と進路は証券外務員の仕事とキャリア、働き方は証券外務員の働き方の実態で確認してください。資格そのものの位置づけは証券外務員資格の位置づけにまとめてあります。求人や応募条件を調べに来た方は、そちらを先に読んだほうが早く着きます。
両方に当てはまる人も、少なくない
実際には、知識も業界も初めてという人も少なくありません。
内定先や転職先、配属先から取得を求められて、そこで初めて資格の名前を知ったという場合です。
その場合は、この記事で学習の進め方を決めてから、仕事の側のページで使いどころを確認する順番になります。分けておけば、両方の不安を同時に抱えなくて済みます。

制度の側に、経験や学歴を条件にする規定はない
協会は「金融に関心のある全ての方に」と説明している
証券外務員試験は、金融の仕事に就いていない人でも受けられます。
実施団体である日本証券業協会が、そのように説明しているためです。
協会は外務員資格試験について「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」としています。ここで条件になっているのは関心であって、経歴ではありません。業界の外から受けることが例外扱いされていない試験だということです。
規則が定めている要件は2つだけ
条文の側を見ても、経験や学歴の要件は置かれていません。
一種・二種の受験資格を定めているのは、日本証券業協会「外務員等資格試験に関する規則」第4条第1号です。そこに挙がっているのは、次の内容です。
1つは、協会が一級不都合行為者として取り扱っている者でないこと(二級不都合行為者は、取り扱うことを決定した日から5年を経過していれば受験できます)。もう1つは、不正受験による受験停止や、不合格後の待機期間によって試験を受けることができないこととされている者でないこと。年齢・学歴・国籍・実務経験に関する定めは、この条文にありません。
なお、同じ規則が定める外務員等資格試験は6種類あり、そのうち個人で申し込めるのは一種外務員資格試験と二種外務員資格試験です。残る4種類は、協会員(証券会社)や特別会員(銀行等)の役員、またはそれらが試験を受けさせる必要があると認める者を対象としているため、個人では申し込めません。
受けられるかどうかで迷う段階は、ここで終わりにできます。
「文系だから不利」は、出題形式にも配点にも現れない
試験の設計のどこにも、文系・理系という区分は出てきません。
公表されているのは、出題科目(二種は3分野14科目)、出題形式(〇✕方式と五肢選択方式)、配点、そして合格基準です。合格基準は7割で、二種は300点満点のうち210点以上、一種は440点満点のうち308点以上と定められています。受験者の属性によって基準が動く仕組みは含まれていません。
計算を伴う問題は、配点の重い五肢選択方式の側で問われます。ただしそこで使うのは、決まった型の式に数字を当てる作業です。どんな型が出るのか、公式をどう覚えるのかは証券外務員の計算問題と公式の覚え方にまとめてあります。
不安の対象は「文系であること」ではなく「まだ型を知らないこと」です。型は後から覚えられます。
予備知識がない人がいちばん時間を失うのは「深追い」
1つ調べると2つ増える
予備知識がない人の学習が止まるのは、調べる作業が枝分かれするからです。
教材は、読者がある程度の基本用語を知っている前提で書かれています。前提が共有されていないと、1つの語の説明の中に、さらに知らない語が現れます。
語を1つ調べ、その説明に出てきた語を調べ、そのまた先へ進む。数分のつもりが30分になり、その日はテキストが1ページも進まない。進んでいない実感が残るので、翌日は机に向かうのが重くなります。ここで消えているのは理解力ではなく、時間です。
止める基準は、出題形式のほうにある
どこまで調べたら止めていいかは、公表されている出題形式から決められます。
証券外務員試験の出題形式は2つで、それぞれ答えを出すために要求している作業が違います。
〇✕方式は、1つの記述が正しいか誤っているかを判定させる形式です。二種で50問(1問2点・合計100点)、一種で70問(1問2点・合計140点)出題されます。ここで要るのは、語の意味と、条件や例外を言えることです。
五肢選択方式は、複数の記述を比べたり計算したりして1つを選ばせる形式で、二種で20問(1問10点・合計200点)、一種で30問(1問10点・合計300点)出題されます。ここで要るのは、似た語との区別と、手順です。
どちらの形式でも問われているのは、語の意味と、他の語との区別までだということになります。
だから、語の由来や実務の細部は開かなくていい
語源、制度ができた経緯、実務での例外的な運用は、いま調べる対象から外せます。
〇✕方式も五肢選択方式も、そこを答えの分かれ目にしていません。
①1つの語を調べて知らない語が2つ以上出てきたら、その2つは今日は開かず、印だけ付けて先へ進む/②調べるのは手元の教材の中で完結させ、外部の解説へは出ない/③「読めば意味が取れる」まで来たら止める。「人に説明できる」は演習で作る部分なので、一周目で仕上げなくてよい

調べる範囲を教材の中に閉じておくと、次の疑問が出てきます。そもそも教材に入る前に、別の本で基礎を入れておいたほうがいいのではないか、という疑問です。
試験範囲の外に「予習」を置かない
入門書は、試験範囲を持っていない
教材に入る前に、別の入門書で基礎を仕込む必要はありません。
試験の側は出題科目を公表していて、採点されるのはその範囲の中だけです。一方、市販の入門書は試験範囲を持っていないので、どこまで読めば足りるのかが決まりません。
二種の出題科目は3分野14科目です。
- 法令・諸規則(4科目):金融商品取引法及び関係法令/金融商品の勧誘・販売に関係する法律/協会定款・諸規則/取引所定款・諸規則
- 商品業務(4科目):株式業務/債券業務/投資信託及び投資法人に関する業務/付随業務
- 関連科目(6科目):証券市場の基礎知識/株式会社法概論/経済・金融・財政の常識/財務諸表と企業分析/証券税制/セールス業務
範囲には最初から線が引かれていて、線の外側に時間を置くと、その分だけ内側が薄くなります。
止まったときに戻る先も、範囲の中にある
それでも土台が足りないと感じたときは、範囲の中の関連科目に戻ります。
3分野は性格の違いで分かれていて、関連科目には商品やルールの背景に当たる科目が集まっています。
商品業務の内容が入ってこないときは、この分野に戻ると輪郭がつかめます。分野ごとの性格と配点は証券外務員試験の出題科目と配点で確認できます。科目の中をどの順で進めるか、詰まったらどこへ戻るかは証券外務員の計算問題と公式の覚え方が扱っています。
満点を取る試験ではない
すべてを同じ深さで理解してから受ける試験ではありません。
合格基準は7割で固定されているので、二種なら300点のうち210点、一種なら440点のうち308点で合格です。
3割は取れなくても合格します。この前提があるので、分からない箇所を残したまま先へ進む判断ができます。必要な得点から逆算する考え方は合格点主義|合格に必要な範囲へ絞る学習の考え方、配点の内訳は証券外務員試験の合格点にまとめてあります。予備知識がない状態から教材のどこで何が埋まるのかは予備知識がない状態から始める教材で確認できます。
予習に時間を使うより、範囲を一度通すほうが先です。
一周目の目的を「知らない言葉の棚卸し」に置き換える
一周目に「理解して覚える」を置くと遅れる
予備知識がない人は、一周目の目標設定でつまずきます。
語を知っている人にとっての一周目は「内容を理解する」作業ですが、語を知らない人にとっては「語を知る」作業が先に来ます。同じ一周目で両方をやろうとすると、進度が落ちます。
1ページに知らない語が5つあるとして、それを全部理解してから次のページへ行く進め方だと、章の終わりまでたどり着きません。遅れているのは能力ではなく、目標の置き場所です。
一周目の成果は「印が付いた」で数える
一周目の成果を、知らない言葉に印が付いた状態と定義し直します。
この定義なら、読み進めた分だけ成果が増えます。理解できたかどうかで測ると、進んだのに成果が0という日が出てしまいます。
やることは単純です。読みながら、意味が取れない語に印を付けて先へ進む。章が終わったら、印の付いた語を一覧にする。この一覧が、二周目にやることのリストになります。一周目の役割は、範囲の地図と、自分の弱点の一覧を作ることだと考えてください。
進度は「読んだページ数」ではなく「印の減り方」で見る
二周目からは、測る対象を変えます。
一周目で範囲は一度通っているので、あとは印の付いた語が減っていくかどうかが仕上がりを表します。
二周目は、印の付いた語が問題の中でどう使われているかを見る回にします。問題を解くと、印を付けていなかったのに答えられない語も出てきます。それも一覧に足します。三周目には、一覧が短くなっているはずです。

減っていれば進んでいます。ページ数では、それが見えません。読む・解く・戻すをどの周期で回すかは証券外務員は独学で合格できるか、問題集をどう選んで何のために解くかは証券外務員の過去問と問題集の選び方が扱っています。

一周目が遅いのは、皆さん同じです。私が見てきた中で差が付いたのは、一周目に何を残したかでした。分からなかった言葉が書き出されていれば、二周目はその一覧を潰す作業になります。何も残さずに一周した方は、二周目もまた一周目と同じ読み方をすることになります。
学習量の見積もりは、目安の上限側から見ておく
目安は幅で示されている
フォーサイトが示す標準学習期間と学習時間の目安は、二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間です。
幅があるのは、出発点が人によって違うからです。金融の実務に触れている人と、業界の外にいる人では、同じ範囲を読むのにかかる時間が変わります。
予備知識がない人は、上限側に見ておくと計画が崩れにくくなります。二種なら80時間、一種なら100時間を基準に置く形です。幅は不確かさではなく、自分がどちら側かを選ぶための情報だと考えてください。
上限側に置いても、下限側で終わることはある
多めに見積もることと、多くかかると決めつけることは別です。
一周目に時間がかかるのは語を覚える作業が乗っているためで、その作業は二周目以降には残りません。
週あたり・1日あたりへの割り戻しや、受験日から逆算する手順は証券外務員の勉強時間とスケジュールにまとめてあります。この記事では「上限側から始める」という置き方だけを決めておきます。見積もりは、あとから短くするほうが安全です。
受験日は自分で決められる
いつ受けるかは自分で選べます。
証券外務員試験はCBT方式で、土日・祝日・年末年始を除き通年で実施され、出願は随時受付です。会場は全国のテストセンターから選びます。
ただし年度単位の一斉締切が無いだけで、予約には受付期間があります。協会は「受験日から起算して60日前から受験日の5営業日前まで予約することができます」としています。受験手数料は13,860円(税込)です。また、不合格だった場合は次に受けられるまで30日の待機期間があるため、取得の期限が決まっている人は1回目を手前に置いておきます。
仕上がりに合わせて日付を選べるのは、予備知識がない側にとって有利な条件です。申込の手順と当日の流れは証券外務員試験の日程・申込方法、仕事と並行して進める場合の置き方は働きながら証券外務員を目指す社会人の勉強法で扱っています。
ロードマップ|このあと決めることを順番に並べる
決める順番は6つ
ここまでで進め方が決まったら、あとは順番に決めていくだけです。
順番が前後すると、決めたことをやり直すことになります。学習量は種別が決まらないと出ず、受験日は学習量が決まらないと置けません。
並べると、①受ける種別(二種か一種か)②出題範囲と配点 ③必要な得点 ④学習量 ⑤受験日 ⑥学習の中身。それぞれに対応するページがあり、種別は一種と二種の選び方、範囲と配点は証券外務員試験の出題科目と配点、必要な得点は証券外務員試験の合格点、学習量と逆算は証券外務員の勉強時間とスケジュール、申込と受験日は証券外務員試験の日程・申込方法、学習の中身は証券外務員の計算問題と公式の覚え方です。上から埋めれば、初日の作業まで決まります。

種別は取り直せない選択ではない
最初に決めるのは種別ですが、これは後戻りできない選択ではありません。
規則は一種と二種を同じ号にまとめていて、二種を取ってから一種を受けることを要件にしていません。出題科目の上での差も、商品業務に「デリバティブ取引」が加わる1科目だけです。ただし問われ方が変わり、二種は基礎的知識、一種は実務的・専門的知識が問われます。
勤務先や応募先から種別を指定されているなら、それに従います。指定がなく、扱う商品の範囲も決まっていないなら、二種から範囲を固めて、必要になった時点で一種を受ける進め方もできます。迷ったまま止まるより、二種から始めて範囲を作るほうが早く動けます。
教材の側で決まっている部分は、教材に任せる
何を重く扱い、何を軽く扱うかは、自分で決めなくてよい部分もあります。
通信講座を使う場合、範囲の絞り込みと到達度の確認は教材の側に組み込まれています。
予備知識がない状態から始める人にとっての教材の役割は予備知識がない状態から始める教材で確認できます。独学と講座で、どの作業が自分に残るのかを比べたい場合は証券外務員は独学で合格できるかが判断材料になります。自分で決めるのは進め方、任せられるのは配分です。
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この記事のまとめ
予備知識がない状態から証券外務員試験に向かうときの決めごとを、ここまでの内容で並べ直します。
よくある質問
受験できます。日本証券業協会は外務員資格試験について「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」としています。また「外務員等資格試験に関する規則」第4条第1号が一種・二種の受験資格として定めているのは、一級不都合行為者として取り扱われていないこと(二級不都合行為者は取り扱うことを決定した日から5年を経過していれば受験できます)、および不正受験や不合格後の待機期間により試験を受けることができないこととされていないことの2点で、年齢・学歴・実務経験の定めはありません。
文系・理系という区分は、公表されている出題科目・出題形式・配点・合格基準のどこにも現れません。属性によって基準が変わる仕組みは含まれていないため、「文系だから不利」という条件は制度の側に存在しないという答えになります。計算を伴う問題は配点の重い五肢選択方式で問われますが、そこで使うのは決まった型の式に数字を当てる作業です。型と公式の覚え方は、計算問題を扱ったページにまとめてあります。
その必要はありません。試験の側は出題科目を公表していて、採点されるのはその範囲の中だけです。市販の入門書は試験範囲を持っていないため、どこまで読めば足りるのかが決まりません。土台が足りないと感じたときは、範囲の中の関連科目(証券市場の基礎知識、株式会社法概論など)に戻るほうが確実です。
勤務先や応募先から種別を指定されているなら、それに従ってください。指定がない場合、規則は一種と二種を同じ号にまとめていて取得順序を要件にしていないので、どちらから受けても構いません。出題科目の上での差は商品業務に「デリバティブ取引」が加わる1科目で、問われ方が二種は基礎的知識、一種は実務的・専門的知識という違いになります。判断材料は、一種と二種の選び方を扱ったページで確認できます。
フォーサイトが示す学習時間の目安は幅になっていて、二種が50〜80時間、一種が80〜100時間です。幅があるのは出発点が人によって違うためなので、予備知識がない場合は上限側に見ておくと計画が崩れにくくなります。ただし一周目に時間がかかるのは語を覚える作業が乗っているためで、その作業は二周目以降には残りません。

分からない語を全部つぶしてから先へ進もうとすると、一周目が終わりません。読めば意味が取れるところまで来たら、その語はいったん置いて先へ進んでください。区別が必要な語は、問題を解いたときにもう一度出てきます。そのときに戻れば足ります。