証券外務員の独学は無謀?合格までの勉強方法と、つまずきやすい4つのポイント

証券外務員試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある方なら誰でも受験できます。市販のテキストも手に入るため、「わざわざ講座を使わなくても、自分で読めば足りるのでは」と考えるのは自然なことです。実際、独学で合格している人はいます。ただし、独学で詰まる場所はかなりはっきりしていて、それは根性や向き不向きの問題ではありません。この記事では、まず勉強方法そのもの——1周をどう回し、どこで勉強し、朝と夜をどう使い分けるか——を示したうえで、その手順を独力で回すときに重くなる4つのポイントを、試験制度の事実から説明します。
なお、本記事は「証券外務員の試験ガイド」の一部です。試験や資格の基本情報から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。
証券外務員は独学でも受験できる|分かれ目は「4つの管理」を誰が持つか
「無謀かどうか」は根性の話ではない
証券外務員の独学は、無謀ではありません。日本証券業協会は「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」としており、実務経験も学歴も問われません。市販の教材で学習を始めることもできます。
さらにこの試験は絶対評価です。基準点を超えたかどうかだけで判定され、上位何人までという枠がありません。ほかの受験者のできに左右されないという意味では、独力でも対策しやすい試験だといえます。
一方で、独学だと重くなる部分もはっきりしています。この記事で扱う4つ、つまり学習の優先順位づけ、到達度の測定、締切の設定、不合格だったときの時間の見積もりは、講座を使えば教材や仕組みの側にある部分です。独学では、これを自分で持つことになります。
判断すべきは「自分に根性があるか」ではなく、「この4つを自分で管理できるか」です。まずは勉強の進め方から見ていきます。
難易度そのものが気になる方は証券外務員試験の合格率と難易度、通学も含めて学習形態から選びたい方は独学・通信講座・通学の比較をご覧ください。
証券外務員の勉強方法|「読む→解く→戻す」を短い周期で回す
1周の中身は3つしかない
証券外務員の勉強は、「読む(インプット)→解く(アウトプット)→間違えたところをテキストに戻す」の3つを1周として、範囲を区切って回していくのが基本の形です。テキストを最後まで読んでから問題集に入る、という順番にはしません。
この試験の出題は〇✕方式と五肢選択方式だけで、記述や論述がありません。つまり「知っているかどうか」と「選択肢を切り分けられるかどうか」が問われます。読んで理解した状態と、選択肢を前にして正解を選べる状態は別物なので、読んだ範囲はその日のうちに問題で確認するところまでを1周に含めます。
進め方の目安は、テキストを1章読んだらその章の問題を解き、間違えた問題は解説を読んで終わりにせず、該当箇所のテキストに戻って読み直す、という単位です。範囲を広く取りすぎると、解くころには最初のほうを忘れていて、確認になりません。

間を空けずに回す
学習の間隔は、空けないほうが有利な試験です。まとまった期間を取れるなら、短期間で一気に回し切る組み方をおすすめします。
出題範囲の科目は互いに関係しています。たとえば商品業務の内容は、法令・諸規則で扱うルールや、関連科目の用語の理解を前提にしています。間隔が空くと、前に覚えた範囲があいまいになったところへ次の範囲が乗るため、先に進むたびに戻って覚え直す手戻りが発生します。
標準的な学習期間の目安は、二種で1〜2ヵ月・50〜80時間、一種で1〜3ヵ月・80〜100時間です。同じ50時間を使うにしても、週に数時間ずつ半年かけるより、期間を絞って詰めたほうが手戻りは少なくなります。
同じ問題を「答えの理由まで言える」まで繰り返す
問題演習は、新しい問題を増やすより、同じ問題を繰り返すほうが優先です。ただし、〇か✕かを覚えた状態で止めないでください。
繰り返していると、最初は「この問題は〇」という結論だけが記憶に残ります。しかし本番で問われるのは同じ文面とは限りません。「この条件があるから〇」「ここが例外にあたるから✕」と、判断の理由まで言える状態になって初めて、少し形を変えた問題にも対応できます。
一種は二種より問題数が多く、問われ方も「実務的、専門的知識」とされています。同じ論点でも条件が細かくなるため、理由まで言えるかどうかの差がそのまま得点差になります。
1問ごとに「なぜこの答えになるのか」を声に出すか書き出すかして確かめてください。
問題集や過去問の使い方をもっと具体的に決めたい場合は証券外務員の過去問の使い方、科目ごとの覚え方は証券外務員の科目別勉強法で扱っています。
勉強する場所と時間帯の決め方
自宅で集中できないなら、場所を分ける
独学でまず効いてくるのは、勉強する場所を決めておくことです。自宅で集中できないなら、自宅以外に「そこへ行けば勉強する」という場所を用意します。
自室には趣味のものや娯楽のものが並んでいることが多く、勉強を始めるまでの摩擦が大きくなります。家族と同居していれば、声をかけられて中断することもあります。場所を変えるだけで、この摩擦がなくなります。
静かな環境が合う人には図書館の自習室、多少の物音があったほうが集中できる人にはカフェやファミリーレストランという選び方になります。カフェを使う場合は、店が長時間の利用や勉強目的の入店を認めているかを先に確かめ、注文をして節度のある時間で切り上げてください。
夜と朝で、やることを分ける
1日に2回に分けて勉強できるなら、夜は読む時間、朝は解く時間という分け方が組み立てやすくなります。
先ほどのとおり、読んだ範囲はできるだけ早く問題で確認したほうが、身についているかを確かめられます。夜にテキストを読み、翌朝にその範囲の問題を解けば、忘れる前に一度使うことになり、しかも前日に読んだ内容が残っているかがその場で分かります。
たとえば1日に2時間取れるなら、夜1時間でテキストを1章読み、翌朝いつもより1時間早く起きて、その章の問題を解いてから出かける、という形です。まとまった時間が取れない日は、朝の側だけを短くして問題演習に充てます。
朝型か夜型か、と考える必要はありません。役割を分けて両方に置くほうが、1日の中に収まりやすくなります。

週あたりの時間の割り出し方や、細かい時間の使い方は証券外務員の勉強時間と学習スケジュールで扱っています。
独学でつまずきやすい4つのポイント
ここからは、独学で進めるときに重くなる4つを、試験制度の事実から順に見ていきます。いずれも学習方法を変えてなくなるものではなく、制度としてそう決まっているものです。

①配点が均等でないので、優先順位を自分で決めることになる
1つ目は、出題範囲の広さそのものではなく、配点が均等でないことです。
二種の出題科目は3分野14科目、一種はこれに商品業務の「デリバティブ取引」が加わって15科目です。一方、点数の内訳を見ると、二種は〇✕方式50問(各2点=100点)と五肢選択方式20問(各10点=200点)で、問題数では〇✕方式が多いのに、得点の約3分の2は五肢選択方式にあります。一種も〇✕方式70問(140点)と五肢選択方式30問(300点)で、五肢選択方式が約7割を占めます。

問題数の感覚で学習を配分すると、得点の重心を外します。〇✕方式をすべて正解しても二種では100点で、合格ラインの210点には届きません。
独学では、「どこを厚くやるか」の判断を、学習を始める前に自分で下す必要があります。判断材料を持たないまま始めると、テキストを1ページ目から同じ深さで読み進めることになりがちです。
科目の一覧と配点の内訳は証券外務員試験の出題科目と配点、配点から優先順位を決める考え方は合格点主義という考え方で詳しく扱っています。
②必要な点数は決まっているのに、いまの実力が分からない
2つ目は、ゴールが数字で決まっているのに、現在地を測る手段が手元にないことです。
合格基準は一種・二種とも7割以上で、二種は300点満点のうち210点以上、一種は440点満点のうち308点以上です。裏返すと、二種は90点、一種は132点まで取りこぼせるということでもあります。ところが独学の場合、「いま自分が何点取れる状態か」を測る機会を自分で用意しなければなりません。
テキストを読んで理解したつもりでも、本番の形式で通して解くと点数が出ないことがあります。とくに五肢選択方式は、選択肢の切り分けに慣れが必要です。
ゴールが明確な試験ほど、現在地が分からないことのコストが大きくなります。しかも現在地が測れないと、次の「いつ受けるか」も決められません。
必要な得点の組み立て方は証券外務員試験の合格点と合格基準で扱っています。
③締切が外から来ないので、受験日を自分で作ることになる
3つ目は、この試験に外から与えられる締切がないことです。
証券外務員試験はCBT方式で、土日・祝日・年末年始を除いて通年で実施されています。年度ごとの試験日程表がなく、受験日は自分で選びます。日程の自由度は大きな利点ですが、同時に「次の試験日は◯月◯日」という事実が学習を押してくれないということでもあります。
予約は、受験日から起算して60日前から受験日の5営業日前までの間にできます。逆にいえば、予約を入れるまでは締切が存在しません。「もう少し準備してから予約しよう」を繰り返すと、学習期間だけが延びていきます。
学習量の目安は二種で50〜80時間、一種で80〜100時間ですが、この時間は「いつまでに」が決まって初めて週あたりの分量になります。締切を作るところまでが、独学では自分の仕事です。
予約の手順と当日の流れは証券外務員試験の日程と申込方法をご覧ください。
④不合格だと、次の受験まで30日空く
4つ目は、やり直しのコストが時間で発生することです。
受験回数そのものに制限はありません。ただし、不合格だった場合(欠席の場合は含みません)、当該受験日の翌日から起算して30日を経過する日までは、日本証券業協会主催のすべての試験を受けることはできません。
入社日や配属日といった期限がある場合、この30日の待機期間は重い制約になります。「とりあえず受けて感触をつかむ」という進め方が取りにくい試験です。
1回で基準点を超える準備をしておくことが、結果としていちばん早い道になります。そのためにも、②の「現在地を測る手段」が要ります。
独学で進めるなら、この4つを自分で用意する
つまずきポイントへの手当ては、行動に落とせる
4つのつまずきは制度の側にあるので、学習方法を変えてもなくなりません。独学で進めるなら、それぞれに手当てを用意しておきます。逆にいえば、この4つを自分で回せるなら、独学は現実的な選択です。
- 配点の内訳を見て、学習の配分を先に決める。五肢選択方式の演習に時間が残るように組む
- 本番と同じ形式で通して解く機会を用意する。合格ラインとの差を、感触ではなく点数で管理する
- 受験日を先に予約して締切を作る。予約は受験日から起算して60日前から受験日の5営業日前まで
- 30日の待機期間を前提に、期限から逆算して初回の受験日を置く。入社日などが決まっているなら、その1ヵ月以上手前に置く
この4つを紙に書き出せた時点で、独学の準備はかなり進んでいます。書き出せないものがあれば、そこが講座で預けたい部分ということになります。
通信講座を使うと、どこが自分の仕事でなくなるのか
優先順位づけが、教材の側で済んでいる
通信講座を使ういちばんの違いは、つまずき①の「優先順位づけ」が教材の設計として先に済んでいることです。
フォーサイトの証券外務員講座は、合格に必要な範囲へ絞り込む考え方でカリキュラムと教材が組まれています。受講者が自分で配点を分析して配分を決める必要がありません。
教材は、テキスト・問題集・模擬試験に、副教材の受講ガイド、戦略立案編、合格必勝編、演習ノートが付く構成です。一種+二種スピード合格講座は一種と二種の両方の教材が、二種スピード合格講座は二種の教材が届きます。テキストはフルカラー、問題集はモノクロです。通常プランは紙の教材が届き、デジタルプランは教材をすべてManaBunで提供します(紙で届くのは受講ガイドのみで、書き込み用の演習ノートは付きません)。
「どこを厚くやるか」を考える時間を、学習そのものに回せます。教材の設計思想はフォーサイトの教材づくり、中身は証券外務員講座の教材で紹介しています。
到達度を測る手段と、締切の管理
つまずき②③に当たるのが、確認テスト・模擬試験と、学習スケジュールの機能です。
eラーニングの「ManaBun」には、講義動画+音声、デジタルテキスト、確認テスト、合格カード、用語集が揃っており、学習スケジュールの自動作成と進捗の管理も同じ環境で行えます。
章ごとに確認テストで到達度を確かめ、仕上げに模擬試験で通して解けば、合格ラインとの差が点数で見えます。スケジュール側で「今日やること」が出るので、締切と分量の管理を自分で組み直さずに済みます。
「今日何をやるか」と「いま何点取れるか」の2つが手元にあると、学習が止まりにくくなります。ManaBunでできることはeラーニング ManaBunにまとめています。
わからないところを聞ける
独学でいちばん時間を失いやすいのは、理解できない箇所で止まっている時間です。
金融の知識がない状態で法令や計算に入ると、「どこが分かっていないのか」自体が分からないことがあります。調べる手がかりがないまま止まると、その日の学習が丸ごと止まります。
フォーサイトの講座では、わからないところは質問フォームから質問でき、専任講師が回答します。無料で質問できる回数には上限があり、超過分は1回500円(税込)です。詳しくは質問サポートをご覧ください。

不合格だった場合の30日の待機期間は制度として定められているものなので、講座を使っても変わりません。講座で軽くなるのは、優先順位づけ・到達度の測定・締切の管理の3つです。
受講料とプランの違いは証券外務員講座の受講料、講座全体の内容は証券外務員通信講座のページで確認できます。
この記事のまとめ
ここまでの内容を、勉強を始めるときに見返せる形で並べ直します。
よくある質問
独学は無謀ではありません。受験資格に制限はなく、絶対評価なのでほかの受験者のできに左右されない試験です。ただし、①配点が均等でない範囲の配分 ②現在地(いま何点取れるか)の測定 ③締切が外から来ない試験での受験日の設定 ④不合格だった場合の30日の待機期間を前提にした計画、この4つを自分で管理する必要があります。
テキストを1章読んだら、その章の問題をその日のうちに解き、間違えた箇所はテキストに戻る。この3つを1周として、範囲を区切って回してください。テキストを最後まで読んでから問題集に入る順番にしないことが、この試験ではよく効きます。
根性や向き不向きではなく、試験の構造によるものです。たとえば〇✕方式をすべて正解しても二種では100点にとどまり、合格ラインの210点には届きません。配点の重い五肢選択方式から固めるという判断を、学習を始める前に自分で下す必要があります。
どちらか一方を選ぶより、役割を分けるほうが組み立てやすくなります。夜にテキストを読み、翌朝にその範囲の問題を解けば、忘れる前に一度使うことになり、前日の内容が残っているかもその場で確認できます。
繰り返すこと自体は有効ですが、〇か✕かを覚えた状態で止めないでください。「この条件があるから〇」「ここが例外にあたるから✕」と理由まで言える状態になって初めて、形を変えた問題にも対応できます。
優先順位づけが教材の設計として先に済んでいること、確認テストや模擬試験で到達度を点数で測れること、学習スケジュールと質問フォームが同じ環境(ManaBun)にまとまっていることです。なお、不合格だった場合の30日の待機期間は制度上のものなので、講座を使っても変わりません。
フォーサイトが示す標準学習期間と学習時間の目安は、二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間です。週あたりの分量への割り戻し方は、勉強時間のページで詳しく扱っています。
