社会人採用の公務員試験の受け方 30代・40代でも転職可能

社会人としてある程度過ごしたあと、公務員試験を受けたくなる方もいるでしょう。収入が安定しやすいので、キャリアアップの可能性にかけて転身を試みるケースもあります。

結論からいうと、30代や40代でも公務員に合格できるケースがあります。社会人経験は公務員でも生かせるので、年齢を理由にあきらめず、チャレンジしてみましょう。

社会人として別の職業から公務員になりたい方のために、その方法を解説します。記事を参考にすれば、社会人として公務員に転職する方法がわかるでしょう。

目次

社会人採用のための公務員試験とは?

公務員試験は、社会人になったあとも受験可能です。大学を卒業したばかりのような若い世代しか受けられないイメージがありますが、実際は30代、40代から受験し、公務員になったケースもあります。

多様化する行政課題の解決のため、幅広い社会経験が公務員として求められています。以上から社会人からの転職者の需要は、むしろ高いのです。別の職業から公務員へ転職する方のため、試験の概要を解説します。

社会人枠の採用試験

社会人枠の採用試験は、主に民間企業での職務経験があれば受験可能です。厳密には専門知識や技能をもった方が、即戦力として求められています。以上の背景から、一般枠の大卒程度試験より、応募案件数や募集人数が限定されがちです。

それでも過去の職場で社会貢献をしてきた方なら、公務員の仕事にも生かせるでしょう。前の職場と違った形で世の中の役に立ちたいと思ったら、社会人枠で公務員試験を受ける選択肢があります。

一般枠の大卒程度試験

多くの方がイメージする公務員試験は、一般枠の大卒程度試験です。年齢要件を満たす新卒者や既卒者、社会人などが対象になります。大学を卒業してから公務員になりたかったり、新卒として受験しながら失敗し、再チャレンジを試みたりしている方はこちらを受ける形です。

年齢要件は近年、引き上げの傾向が見られます。これまでは多くの場合、27歳~35歳が上限でしたが、59歳まで受けられる試験もあるなど、内容が幅広くなっています。一般枠の試験でも、多くの方にチャンスが広がっているのです。

年齢引き上げとともに、社会人として多様な経験のある人材が求められています。そのため一般枠の大卒程度試験に参加するのは、若い世代とは限りません。

主な受験資格及び試験形式

受験資格と試験形式は、カテゴリーによって以下のように違います。

社会人枠 一般枠
受験資格 年齢要件+社会人経験年数+α(年数は主に5年前後) 年齢要件のみ。主に27歳~35歳が多いが、59歳まで受けられるケースも
試験形式 【一次試験】教養択一、論文など
【二次試験】個別面接
【一次試験】教養択一、専門択一、論文など
【二次試験】個別または集団面接、集団討論など
一次試験実施時期 9月が多い 5月~9月が多い

年齢要件は主に生年月日、社会人経験人数は主に特定業務従事歴で示されることが多いといえます。目当ての試験要項の内容から、受験資格に当てはまるかを確かめましょう。

各試験形式のメリット・デメリット

カテゴリーに応じた各試験形式のメリットやデメリットを解説します。

社会人枠 一般人枠
メリット
  • 社会人としての実務経験が重視され、筆記試験の比重が少ない
  • 職務経験のアピールが面接で受け入れられやすい
  • 試験時期が秋ごろであることが多く、学習スケジュールを立てやすい
  • 実施する自治体が多い
  • 経験者より採用者数が多い
  • 新卒も受験対象なので、面接では社会人経験のアドバンテージを生かせる
デメリット
  • 自治体によっては実施なし
  • 一般枠の採用数が多く、倍率が高い傾向
  • 筆記試験対策に時間がかかる
  • 専門試験が難しい

社会人枠は過去の経験が重要視される割合が大きいといえます。筆記試験の対策は必要ですが、それと同じぐらい過去の職場での経験を、公務員の仕事に結びつけるプランが大切です。一方で実施していない自治体があるなど、採用枠が限られているデメリットもあります。

一般人枠は実施している自治体が多く、採用人数も多いのが特徴です。社会人も条件を満たせば参加可能で、新卒にはできない経験のアピールで採用されるケースがあります。しかし専門試験があるなど、筆記対策が難しい印象です。

このように社会人と一般人枠ではメリットとデメリットが異なります。カテゴリーに合わせた適切な対策がカギをにぎるでしょう。

社会人採用枠の公務員試験の倍率について

社会人採用枠の公務員試験の倍率は、自治体や職業によって異なります。しかし倍率が高いケースが多く、合格を目指した真剣な取り組みが重要です。参考データとして2020年度の特別区の例を挙げます。

受験者数 最終合格者 倍率
事務1級職 1247人 155人 8.0
事務2級職(主任) 809人 57人 14.2

公務員試験では、条件によって倍率が10倍を超えることもあります。つまり合格率が10%を下回る可能性があるという意味です。要点を中心に入念な対策を整えないと、採用されないでしょう。

一般的な社会人採用の公務員試験の流れ

社会人採用の公務員試験の流れを紹介します。出願から最終合格までしっかり確かめましょう。

出願

出願では試験要項の受験資格を確かめてください。一方で資格がある試験が複数ある場合、別々の日程なら併願も可能です。このように公務員試験では滑り止めもありえます。

ただし社会人枠と一般枠の両方の条件を満たしている場合、その2つへの併願を禁じるケースがあります。受験資格だけでなく出願時の注意点にも目を通しましょう。受験要項でルールをチェックしてから、出願を決めることが大切です。

一次試験

一次試験の主な形式は、教養択一試験と論文試験です。教養択一試験では一般知能や一般知識が出題されます。

一般知能では数学や文章理解などが中心です。一般知識では歴史や生物、化学など中学や高校で習った内容が中心です。公務員試験に向けてあらためて対策が必要ですが、学校で習ったときに得意な科目があれば、ある程度こなせるでしょう。

社会人枠では教養択一試験の配点比率が小さく、高卒レベルの出題設定もあります。高校時代に得意だった問題が多ければ、知識のブラッシュアップによって高得点を目指せるでしょう。

論文試験は特定課題への考えを述べる形式です。社会人枠では職務経験論文と一般課題式論文のどちらかを選べます。どちらにしても過去問を解き、正しいことを論理的に述べられるようにしましょう。

二次試験

二次試験では個別面接や集団討論があります。通常の個別面接では志望動機や自己アピールが中心です。しかしプレゼンや事例に答える面接をする試験もあるので、こちらも可能な限り試験要項から内容をつかみ、正しい対策をしましょう。

集団討論の場合、特定課題について数人のグループで討論し、制限時間内に結論を出します。

自治体によっては二次試験が論文や適性検査で、三次で面接というケースもあるでしょう。このあたりも受験先の要綱から構成を確かめ、ルールに応じた対策を立てるしかありません。

社会人からの転職先としての公務員の魅力

社会人から公務員に転職することの魅力を紹介します。試験段階から就職後までさまざまなメリットを受けられることに注目しましょう。職歴問わず受験可能であることや福利厚生など、公務員ならではの恩恵が想定されます。

職歴問わず受験可能なケースがある

公務員は社会人枠でも、職歴問わず受験できるケースがあります。アルバイトやパートタイマーでも社会経験があるとみなされ、筆記試験の結果や面接の内容次第で採用されるかもしれません。

たとえば横浜市や札幌市などでは、アルバイトやパートタイマーだけの職歴も認めています。横浜市では民間企業の職務経験5年以上を条件としていますが、これは正社員としてだけではありません。

以上から正社員の経験がないからといって悲観しなくてもよいでしょう。自身の社会経験が受け入れられる公務員試験を探してみてください。

福利厚生が安定している

公務員のメリットは、就職後における福利厚生の安定です。基本的な収入に限らず、ボーナスの相場も民間より高いといえます。福利厚生のおかげで収入が安定し、生活水準を上げる方もいるでしょう。

他にも育児や介護などによる休暇制度の充実もポイントです。子どもができたり、身内に万が一のことがあったりしたとき、休暇制度のおかげで落ち着いて対処できます。このようにプライベートに対する理解が深い職場は、多くの方を安心させるでしょう。

KKRメンバーズカードを入手できる

公務員になるとKKRメンバーズカードも入手できます。現職に限らずOBまで持てる共通会員証です。これがあれば引っ越しやホテルなどで特典を受けられます。公務員になったことで、お得にプライベートを全うできるでしょう。

KKRメンバーズカードの提示によって、引っ越しや旅行プランの割引を受けられるケースがあります。公務員になったおかげで、いつもよりお得な価格でサービスを受けられるのです。公務員は一般職より収入が高いことがありますが、メンバーズカードの特典で出費を抑えられるかもしれません。

公務員試験の勉強法や対策

社会人が公務員試験を受けるうえで重要なやり方や対策をまとめました。教養択一試験や面接など、場面に合わせて最適な準備方法を紹介します。こちらを読めば、試験合格の心がまえがわかるでしょう。

教養択一試験

教養択一試験は筆記形式の一種です。合格基準は6割以上が多いといえます。また小カテゴリーとして一般知能と一般知識に分かれているのも特徴です。

一般知能分野は出題範囲が広く、全体の6割を占めます。主に計算能力や論理的思考力が必要なので、過去問を解きながらスピーディに計算したり、正しい考えをわかりやすく伝える方法を意識しましょう。

一般知識分野は1科目あたりの出題数が少ないですが、取りこぼしが多いと総得点に影響します。過去問やテキストなどから頻出テーマを見極め、得点力を上げましょう。筆記試験対策では、まず一般知能と一般知識の攻略法をバランスよく学んでください。

課題式論文

課題式論文も筆記形式の一種です。民間での経験を公務員に生かすプランを示せるかがポイントになります。このカテゴリーには「組織力の向上」や「職務上のトラブルへの対応」など、公務員の実務にかかわる問題が多いからです。

過去問やテキストでの出題で練習を重ねましょう。論文を書いたら添削を受ける繰り返しで、きれいにまとめられます。実際の試験は手書きなので、シャーペンを走らせて最後まで書ける時間もある程度把握してください。一行をどれだけ埋められるかの時間を測れば、書き上げるまでの時間配分をしやすくなります。

職務経験面接

社会人採用の公務員試験では、職務経験面接の比率が高いことに気をつけましょう。筆記で高得点を取るだけでなく、面接の練習も入念に重ねてください。

論文と同じく、民間企業の経験を公務員としてどう生かすかをアピールする形です。自身の経験を語り、それを公務員試験に結びつけるプランを簡潔にまとめておきましょう。

各自治体が考える課題やビジョンのチェックが重要です。面接では自治体の課題に絡めた質問も想定されます。自己経験から自治体の課題を解決するプランを提案できるようにしてください。

集団討論

公務員試験によっては集団討論もあります。近年では国家公務員総合職や地方上級試験の二次試験で取り入れられているようです。

集団討論は提示された課題について、グループ内の数人で議論し、最終的にひとつの意見にまとめます。この場合は他の人の発言に被せず、話をしっかり聞き取りましょう。発言内容のメモも有用です。メモの動作は、相手の話を真剣に聞いていると好印象を持たれるでしょう。

集団討論の目的は相手を言い負かすことではなく、結論をまとめることです。グループ全員に発言させる時間を与えましょう。討論内での意見を可能な限りまとめ、共通認識を見つけることが大切です。集団討論ではチームワークを求められることに留意しましょう。

社会人が公務員に採用されるうえで重要なポイント

社会人から公務員に採用されたいと思ったとき、重要なポイントがあります。働きながらでも合格を目指せる可能性がある点を意識しましょう。次に国家と地方で採用プロセスが異なる点には注意が必要です。

公務員は、自身の住所がある自治体や都道府県以外でも合格可能です。公務員採用のポイントをまとめました。

近年は働きながらでも合格を目指せる

近年、社会人は働きながらでも公務員を目指せるようになっています。市役所が社会人採用枠において、一次を教養のみとするケースが多くなりました。カテゴリーが少なければ、働きながらでも充分な試験対策ができます。

仕事をしながらの場合、スキマ時間の活用が重要です。少しでも時間があるときに、ひとつやふたつでも新しいことを覚える習慣をつけるだけで、自然と学習量が増えていきます。以上が働きながら公務員合格を目指すコツです。

国家と地方で採用プロセスが異なる

国家公務員と地方公務員では採用プロセスが異なります。たとえば国家公務員は最終合格しても採用が決まりません。官庁を訪問し、希望官庁から内定をもらわないと、公務員になれないのです。

一方で地方公務員なら最終合格者が採用されるケースが多いといえます。しかし自治体が上限枠より多めに合格させていると、辞退者がいない理由で採用されない方が出ます。このように公務員の性質により採用プロセスが異なるうえ、合格しても公務員になれない可能性に注意しましょう。

住んでいる自治体や都道府県以外でも大丈夫

職場への通いやすさだけでなく、自身が貢献できそうな施策で受験自治体を決めるとよいでしょう。

まとめ

公務員は若い世代でないとなれないイメージがあるでしょう。しかし実際は社会人からの転職も可能です。30代や40代で異業種から公務員に転職した例も見られます。

一方で入念な試験対策は重要です。筆記・面接ともにミスのリスクを減らすべく、バランスの取れた対策をしてください。とくに社会人枠の公務員試験は面接が重要視されるので、納得してもらえる受け答えを事前に決めておきましょう。