国家公務員の給料は高いって本当?年収や退職金を徹底調査

更新日:2021年12月6日

国家公務員という仕事にどのようなイメージをお持ちでしょうか?安定した仕事がある、収入も安定しているというイメージはお持ちかと思いますが、実際にどの程度の年収が望めるかまではあまり知られていません。

実は国家公務員の給与に関しては、すべて公表されており、我々一般人でも確認が可能。そこで公表されている資料を中心に、一般的な国家公務員の年収を想定していこうと思います。

目次

国家公務員の給与

国家公務員の給与は、国家公務員法に基づき定められており、毎年人事院にて検討され決定しています。とはいえ、すべての国家公務員が同じ給料というわけではなく、職種や必要資格によってもその金額は変わってきます。

まずは国家公務員の給与の基本的な部分に関して解説していきましょう。

平均給与は約33万円

国家公務員の給与に関しては、毎年人事院から公表されており、全国民が知ることができるようになっています。人事院が公表した「令和3年度国家公務員給与等実態調査の結果」によると、国家公務員全体の平均給与は336,333円です。

この給与には諸手当は含まれず、いわゆる基本給の金額。各種手当を含めた平均給与は、414,729円となっています。

国家公務員になるには、国家公務員試験を受験し合格するという関門があるわりに、そこまで高くはないと感じた方もいらっしゃるかもしれません。このあたりの事情について説明していきましょう。

国家公務員の給与はどうやって決まる?

最初に書いた通り、国家公務員の給与は、国家公務員法に基づき、毎年人事院が決定しています。では、人事院は何を根拠に国家公務員の給与を定めているのでしょうか。

国家公務員の給与は、民間企業の給与や、その時の日本全体の経済状況を鑑み、特別高すぎないよう、安すぎないようなレベルで決定しています。イメージとしては、民間企業全体の給与の平均値に近い金額で、平均給与を超えないレベルで設定されことがほとんどです。

近年はあまり見かけませんが、民間企業では企業からの待遇の問題や給与の問題が発生した場合、従業員が「ストライキ」を起こして抗議をすることがあります。ストライキに関しては、日本国憲法第28条「労働基本権」のひとつとして認められており、労働争議の正当性が確保されていれば、ストライキ行為における刑事責任・民事責任は免責されます。

このように民間企業の労働者には、自分たちの力で労働条件の改善を要求することができますが、国家公務員にはこの「ストライキ」という行為は認められていません。そのため人事院は、国家公務員の給与を、国家公務員の側から不満が漏れない範囲で決定する必要があります。

とはいえ、国家公務員の給与は高ければいいというものでもありません。国家公務員の給与の原資は国民から徴収した税金です。そのため国家公務員の給与が高すぎると、今度は国民からの不満が出る可能性があります。

反対に国家公務員の給与を安く設定しすぎると、今度は国家公務員を志望する学生が減ってしまう可能性があり、これも将来的に大きな問題となりかねません。

こういった事情を鑑みると、国家公務員の給与は、民間企業の平均給与よりやや安い程度に収めるのが最善となります。

2020~2021年のように、新型コロナウイルスの感染拡大が大きな問題となり、国内の民間企業の給与が伸び悩むと、国家公務員の給与も伸び悩むということに。このように世間一般の常識からかけ離れない範囲で定められているのが国家公務員の給与となります。

等級と号俸

国家公務員の給与に関しては、国民誰もがいつでも見られるように公開されています。とはいえ、個人個人の給与が詳細に公開されているわけではありません。

国家公務員の給与は、職務上の責任の大きさや勤続年数で当然変化していきます。この責任や年数に個人差があるため、特定個人の給与を正確に把握できないということになります。

国家公務員の給与に関しては、内閣官房内閣人事局にて公表されていますので、まずは「令和3年度国家公務員の給与」を参照してみましょう。

行政職俸給表(一)の一部

等級 1級 2級 8級 9級 10級
組織別 本府庁 係員 主任 室長 課長 課長
県単位機関 係員 主任 機関の長
号俸 1 146,100円 195,500円 408,100円 458,400円 521,700円
2 147,200円 197,300円 410,500円 461,500円 524,600円
3 148,400円 199,100円 413,000円 464,500円 527,700円
10 156,300円 211,200円 428,000円 485,400円 545,300円
11 157,600円 213,000円 430,100円 488,400円 547,100円
12 158,900円 214,800円 432,200円 491,500円 549,000円
13 160,100円 216,200円 433,900円 494,200円 550,700円

これは国家公務員の中で「行政職」に関わる方の基本給を示した表です。国家公務員の給与は「俸給」と呼ばれ、公開されているこうした表は「俸給表」と呼ばれます。

縦軸にある「号俸」はいわゆる勤続年数のこと。数字が勤続年数となり、純粋に勤続年数が長いほど給与は上がっていくシステムとなります。

一方横軸にある「等級」が、職務上の責任の重さとなります。民間企業でたとえるのであれば、いわゆる「役職」です。この等級も高くなればなるほど給与は上がっていくということになります。

この表から読み取ると、勤続10年で主任クラスの方の基本給は約21万円。これが国家公務員の給与の基本的なラインとなります。

それぞれの初任給をチェック

国家公務員と一口に言ってもいろいろな職種・業種があります。なかでも一般の方、学生の方、多くの方が目指せるのが、「一般職」や「総合職」と言われる職種でしょう。

学歴別に国家公務員試験を受験し、合格すると採用される一般職と総合職には、高卒一般職、大卒一般職、大卒総合職、院卒総合職の4つがあります。この4つの初任給を確認してみましょう。

★基本的な国家公務員の初任給を人事院規則より抜粋(行政職俸給表一より)

種別 等級・号俸 基本給
一般職(高卒) 1等級・5号俸 150,600円
一般職(大卒) 1等級・25号俸 182,200円
総合職(大卒) 2等級・1号俸 195,500円
総合職(大学院卒) 2等級・11号俸 213,000円

★民間企業の平均初任給

学歴 初任給
大学院卒 約233,400円
大卒 約206,100円
高卒 約162,100円

※参照:厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」

初任給を比較すると、民間企業の初任給の方が、平均してやや高いことが分かります。国家公務員は初任給の時点で、一般的な民間企業に入社するよりもやや給与が安いということになります。

俸給表別国家公務員平均給与

国家公務員の給与「俸給」は一般に公開されており、公開されている表を俸給表と呼びます。この俸給表には、いろいろな職種の給与が掲載されており、同じ国家公務員でも職種により平均給与が大きく違うことが分かります。

人事院が公表している、俸給表別の平均給与を一部紹介しましょう。

俸給表 平均年齢 平均給与
行政職俸給表(一) 43.0歳 325,827円
行政職俸給表(二) 50.9歳 286,947円
税務職俸給表 42.6歳 356,097円
公安職俸給表(一) 41.4歳 320,029円
海事職俸給表(一) 42.7歳 361,119円
教育職俸給表(一) 46.7歳 428,536円
研究職俸給表 46.5歳 405,016円
医療職俸給表(一) 53.0歳 508,818円
福祉職俸給表 43.9歳 335,424円

※参照:人事院「令和3年国家公務員給与等実態調査の結果」

特に目立つのが「医療職俸給表」の高額さでしょう。この医療職とは読んで字のごとく医療従事者、つまり国立病院などに勤務する医師などが含まれる俸給表です。特定の学部で学び、国家資格である医師免許を持つ職種やはり高額になります。

続いて高額なのが「教育職俸給表」です。こちらも想像通り、国立校の教職員などを含めた教員の俸給となります。教員資格も資格試験と国家公務員試験の両方に合格する必要があり、簡単に就ける職ではありません。

平均給与を見ると、専門的な資格が必要であったり、専門的な知識が必要となる職種ほど平均給与は高く、国家公務員試験に合格できれば就ける職種の方が平均給与は安いということになっています。

国家公務員のボーナス

国家公務員にもボーナスは支給されます。といっても名称は「ボーナス」では「期末・勤勉手当」と呼ばれます。

期末手当とは、一般生活上出費がかさむであろうタイミングで支給される手当であり、夏のお盆前と年末に支給されます。この期末手当と同時に支給されるのが勤勉手当。勤勉手当を分かりやすく解説すると、「その期間の仕事における成果や取り組み方が評価される」手当となります。

つまり民間企業におけるボーナスと同様に、期末のタイミングで一定額プラス仕事上の評価分が支給されるのが国家公務員の期末・勤勉手当となります。

支給は年2回

国家公務員の期末・勤勉手当が支給されるのは年2回。夏は6月30日、冬は12月10日に支給されるのが一般的となっています。この点でも民間企業のボーナス支給日に近く、夏のお盆休暇、年末年始の休暇前に併せて支給されることになっています。

では、この期末・勤勉手当は、どこが何を基準に決定し、どの程度支給されるのかを確認しておきましょう。

支給額は人事院が決定

国家公務員の期末・勤勉手当に関しても、通常の給与同様に人事院にて検討が行われ、支給額が決定することになっています。期末・勤勉手当の支給額は、例年8月に人事院が決定し、内閣と国会に勧告。政府が関係閣僚会議を開き、内容に問題がなければ勧告を受け入れ決定される仕組みになっています。

期末・勤勉手当の支給額に関しても、民間企業のボーナスの平均支給額が参照され、例年「〇ヶ月分」という表記で決定されます。

国家公務員はボーナスも給与も、基本的に民間企業の平均支給額を参照に定められることになり、この結果国家公務員の基本的な年収は、民間企業に勤務する方の年収よりやや低くなるということになります。

2021年のボーナス支給額

2021年8月に公表された、2021年の国家公務員の期末・勤勉手当の総額は「4.3ヶ月分」となりました。これは「4.45ヶ月分」であった2020年よりも0.15ヶ月分マイナスとなっています。

2020~2021年は、日本国内でもコロナ禍が続き、多くの企業が苦しい経営を余儀なくされ、支給される給与、ボーナスも伸び悩みました。この影響は国家公務員の俸給、期末・勤勉手当に影響し、2年連続のマイナス評価となっています。

ちなみに期末・勤勉手当の「〇ヶ月分」には、毎月の給与のうち、基本給と一部手当も含めた金額が基準となります。

例えば基本給が35万円、各種手当の合計が2万円だとすると、期末・勤勉手当に基準は37万円。さらに2021年の数値を参考にすると、年間4.3ヶ月分ですから、1度の期末・勤勉手当の支給額は2.15ヶ月分。計算すると79万5500円が支給額ということになります。

ちなみに地方公務員のボーナスは、国家公務員の期末・勤勉手当が決定したのちに調整され、国家公務員よりもやや低めに設定されるのが一般的です。

国家公務員の受け取る手当の種類

国家公務員の年収を考える上で外せないのが毎月支給される各種手当です。一般の民間企業と比較してもこの手当は充実しており、この手当と基本給を合算して月収となります。

まずは国家公務員の受け取れる手当についてご紹介しましょう。

手当の種類 詳細
生活補助給的手当 扶養手当・住居手当・通勤手当・単身赴任手当
地域給的手当 地域手当・広域異動手当・特地勤務手当・寒冷地手当・
職務の特殊性に基づく手当 俸給の特別調整額・管理職員特別勤務手当・特殊勤務手当
時間外勤務等に対して支給する手当 超過勤務手当・休日給・夜勤手当・宿日直手当
賞与等に関する手当 期末手当・勤勉手当
その他 本府庁業務調整手当・初任給調整手当・専門スタッフ職調整手当・研究員調整手当

この中から国家公務員ならではといえる手当についていくつか紹介していきましょう。

・地域手当

民間企業ではあまり見ない手当ですが、国家公務員の場合、生活を送る勤務地域によって地域手当が支給されます。一般的に民間企業の給与がほか地域よりも高い地域で支給される手当であり、都市部勤務の国家公務員が支給を受けられます。

支給の基準となるのは「俸給+特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当」の金額で、この金額に対して割合で支給されます。

級地 対象都市 支給割合
1級地 東京23区 20%
2級地 大阪市,横浜市 16%
3級地 さいたま市,千葉市,名古屋市 15%
4級地 神戸市 12%
5級地 水戸市,大津市,京都市,奈良市,福岡市,広島市 10%
6級地 仙台市,宇都宮市,甲府市,岐阜市,静岡市,津市,和歌山市,高松市 6%
7級地 札幌市,前橋市,新潟市,富山市,金沢市,福井市,長野市,岡山市,徳島市,長崎市 3%

・広域異動手当

比較的転勤が多いのも国家公務員の特徴。もちろん職種によりですが、一般的な職種8以外は通常の民間企業以上に異動は多くなります。民間企業の場合、転勤といっても支社や支店がある地域限定となりますが、国家公務員の場合勤務地は全国に点在しています。

広域異動手当の対象となるのは、官署間の距離が60km以上のケース。60~300kmの異動の場合は、上記地域手当の基準と同じ基準の金額の5%が、300km以上離れた地域への異動の場合は10%が、異動から3年間支給されます。

・特地勤務手当

異動先が離島など、日常生活が極めて不便な土地の場合、特地勤務手当が支給されます。

・寒冷地手当

冬場は特別な防寒対策が必要となる土地で勤務する場合、寒冷地手当も支給されます。支給対象は北海道、青森県、岩手県、秋田県の一部。支給額は世帯構成や地域により差がありますが、7,000~27,000円の範囲で決定します。支給されるのは毎年11月~3月の4ヶ月間となります。

国家公務員の平均年収

ここまで紹介してきた基本給(俸給)、各種手当、ボーナス(期末・勤勉手当)を合計した金額が国家公務員の年収となります。公表されている数字から単純に計算した2021年の平均年収は約650万円。

ここからは年代別におおよそイメージできる平均年収を算出していきましょう。もちろん、一般的な国家公務員の年収で計算するため、教員や医師、専門職など平均的に年収の高い職種はこの範囲には収まらないと考えていただければと思います。

・20代 300~450万円

20代の場合俸給が20万円台。ここに手当を含めた月収を想像すると20~30万円といったところでしょう。ここに約4ヶ月分のボーナスを加えますので、月収の16ヶ月分程度が年収と考えることができます。

ここから算出すると、おおよその年収は300~450万円程度となります。

・30代 400~600万円

30代の国家公務員の多くは勤続10年前後、10年以上といったクラスになります。最初に紹介した「号俸」が10以上の方が多くなり、俸給は25万円程度が中心となります。さらにこの年代になると扶養手当などが発生する方も増え、月収は30~40万円程度になるでしょう。

この数字から算出すると年収は400~600万円程度。役職などがつけばさらに数十万円ほど高くなるかもしれません。

・40代 600~750万円

40代も同じように計算して年収はこの程度。40代は特に役職や勤勉手当なども上がっていく傾向にありますので、個人差が大きくなる傾向にもあります。イメージとしては安くても600万円程度と考えるといいかもしれません。

・50代 750~900万円

50代はもうすぐ定年といった年代。つまり国家公務員としては最終的な年収のエリアということになります。ここも積み上げてきた実績により年収の個人差は大きくなります。多い方は1,000万円を優に超えることになり、民間企業の平均年収を大きく超える可能性もあります。

国家公務員の年収は、若いうちは民間企業よりも少ないあたりで推移しますが、勤続年数により徐々にその差は縮まります。民間企業はその企業の業績により、年収も大きな上がり下がりが考えられますが、国家公務員にはこの考えはあてはまりません。

勤続年数により着実にアップしていくシステムになっており、安定感の高さと、最終的な年収の高さが大きな魅力といえます。

さらに国家公務員の収入において魅力的なのが退職金の存在です。ここからは国家公務員の退職金について簡単に解説していきましょう。

国家公務員の退職金

国家公務員にももちろんですが退職金が存在します。退職金の基準となるのは、退職時点での俸給。つまり長く勤務すればするほど、確実に退職金も高くなるシステムとなっており、堅実に業務にあたり続けることで、退職時に受け取れる金額も大きくなります。

勤続年数や貢献度で変化

国家公務員の退職金の計算方法も、一般に公開されています。その計算式を簡単に文字で表すと、以下のような式になります。

退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給率×調整率)+調整額

退職理由や調整率など細かい計算が必要となりますが、一般的なイメージでいくと勤続10年で5~8ヶ月分、勤続20年で16~23ヶ月分、最大で約47ヶ月分支給される計算になります。

定年退職なら約2400万円

上記の計算式で考えると、定年退職をし、最大の約47ヶ月分支給された場合、退職金は2400万円程度なります。民間企業の退職金の平均が、大企業で2000万円、中小企業で1000万円程度と言われますので、ここから考えるとかなり高額となると言えます。

国家公務員は、就職してから10年ほどは周囲の民間企業で働く方よりやや安い年収が続きますが、その後もまじめに勤め上げることで、50代では年収で逆転、さらに退職金で大きな差が出るという結果に。

国家公務員を目指すかどうか悩んでいる方は、こうした年収面の特徴をよく把握したうえで検討することをおすすめします。

ここまでの年収に関する数字を見る限り、一発大きな収入を狙いたいという方にはおすすめできませんが、地道に着実に安定した人生を望む方には非常におすすめの職場といえるでしょう。

国家公務員の福利厚生

仕事をするうえで、年収と同じくらい気になるのが福利厚生の面です。特に近年は「働き方改革」という言葉がよく使われるようになり、どのような環境で仕事ができるのかというのは非常に大きなポイントとなっています。

そこで福利厚生に関するポイントをいくつか絞ってご紹介しましょう。

共済組合加入で手厚い福利厚生

国家公務員になると「国家公務員共済組合連合会」に加入することになります。平成27年9月まで、国家公務員は厚生年金の対象外であり、この共済組合から支給される「共済年金」が厚生年金に代わるものとされていました。

しかし、平成27年10月以降は、共済年金も厚生年金に統一されたため、現在は国家公務員でも厚生年金を受給できるようになっています。

共済組合はこの共済年金のためだけの組合ではありません。共済組合では、医療機関の紹介や、旅行代金の割引、宿泊施設の特別価格での利用など、いろいろなサービスを受けることが可能です。

また、国家公務員共済組合員専用のクレジットカードの存在し、通常のクレジットカードのサービスに、特別なサービスが受けることもできます。

さまざまな休暇も取得可能

職場の福利厚生として、大きなポイントとなるのが各種休暇の設定です。国家公務員にはいろいろな理由で取得できる休暇があり、しかも利用しやすい環境があるのも事実です。

国家公務員は国が管轄する機関に従事しています。こうした機関で、設定されている休暇を働く方の意思で取得できないとなれば大きな問題になりかねません。そのため、休暇の申請は民間企業以上にハードルが低く、さらに休暇を取得したことによるマイナス面もほぼありません。

特に働く環境、自由な働き方を希望するという方には、非常におすすめの職場といえるでしょう。

国家公務員の休暇

国家公務員が取得できる休暇は、大きく分けて4つ。年次休暇、特別休暇、病気休暇、介護休暇に分けられます。特に女性の方が気になる出産休暇、育児休暇に関しては特別休暇に含まれます。

介護休暇とは、家族に要介護者がいる場合に利用できる休暇。休暇のほかに「介護時間」と呼ばれる、1日のうち数時間仕事を抜けるような休暇も存在します。

病気休暇は出勤することが難しいと思われる疾病・負傷に対し、最大90日間取得できる休暇となります。

ここからは年次休暇、特別休暇、そして特別休暇の中でも育児休暇に関してまとめていきましょう。

年次休暇

年次休暇とはいわゆる「有給休暇」のこと。国家公務員の場合年間で20日間発生し、最大40日間まで所有することができるようになっています。

もちろん毎年20日間取得しても問題ありませんし、40日分貯めてからまとめて取得する方法も考えられます。

実際に国家公務員がどの程度年次休暇を取得しているかを、人事院が調査した結果を見ると、国家公務員全体で年間約14.9日間(令和元年度)の取得が確認されています。割合にして約75%。一般的な民間企業よりも、イメージとしてはやや多い傾向ではないでしょうか。

ただしすべての国家公務員がこの日数取得しているということはないようで、別の報道資料などを見ると、医療関係者や警察関係者に関しては、取得率が低い傾向にあると言われています。

特別休暇

国家公務員の特別休暇は多岐にわたります。もちろんご自身が働く企業で採用している取得理由もあるでしょうし、存在しない取得理由もあるかと思います。

育児休暇に関しては次の章で詳しく解説していきますが、特別休暇における育児休暇以外の目立った休暇取得理由をいくつか紹介しましょう。

・ボランティア休暇

国内外で災害などが発生し、被災地にボランティアとして参加する場合などは、ボランティア休暇を取得することができ、年次休暇を消費することなくボランティア活動を行えます。取得できるのは1年間で5日以内。災害が多い日本においては必須の休暇かもしれません。

・官公署出頭休暇

こう書くと何のための休暇か分かりにくい部分がありますが、この休暇は主に裁判員制度で裁判員に指名された場合に利用できる休暇となります。裁判員になると、一定の日数裁判所への出頭が必要となります。

裁判人制度が導入された当初、出頭日数の平均は4日程度とされていましたが、近年の調査によると、平均10日ほど出頭する計算になっており、長い裁判ともなれば70日間近く出頭が必要になるというケースもあるようです。

(参考資料:https://www.tokai-tv.com/newsone/corner/20190703.html)

官公署出頭休暇は、必要な日数取得することが可能ですので、もし裁判員に指名されても、職場にも裁判にも迷惑をかけずに参加することが可能です。

・骨髄等ドナー登録休暇

骨髄バンクにドナー登録したい場合、自分で休日を使って登録をしたという方も多いかと思います。しかし国家公務員の特別休暇の中には、骨髄ドナー登録の際に利用できる休暇制度があります。

・父母の追悼休暇

自身の父母が亡くなった際に取得できる休暇。1日に限りですが取得可能です。父母が死亡した場合の忌引き休暇は最大7日間取得可能ですので、ゆっくりと初七日まで法要を行うことが可能となります。

育児休暇(休業)

国家公務員の出産・育児に関する休暇は複数あり、合計すると生まれたお子さんが3歳になる日まで取得可能です。それぞれの休暇を順番に紹介しましょう。

・産前休暇

出産予定日の6週間前から取得可能。出産準備のための休暇になります。支給俸給は、取得時点の俸給/22×2/3×日数。毎月の給与を1ヶ月の平均出勤日数(22日間)で割り、1日あたりの給与を算出します。この給与の2/3が、休暇日数分受け取れるという計算になります。

・産後休暇

出産日から8週間まで取得可能。産後の体調回復期間となります。支給金額の計算は産前休暇と同様になります。

・育児参加休暇(男性)

配偶者が出産する場合、産前休暇と産後休暇の期間内(出産予定日の6週間前~産後8週間の間)に、男性が育児に参加するための休暇が最大5日間取得可能です。

・配偶者出産休暇(男性)

出産のために配偶者が入院をする日、及び出産後2週間の間に2日間取得できるのがこの休暇。入院の際に付き添ったり、退院を迎えに行くために利用できます。

・育児休業

一般的な民間企業が導入している育休期間は、生まれたお子さんが1歳になるまでの1年間というのが相場です。しかし国家公務員は育児休業として最大3年間、生まれたお子さんが3歳になるまで休業が認められています。

休業期間の俸給に関しては、育児休業最初の180日間(約半年間)は産前休暇や産後休暇と同じ2/3の金額、181日目からお子さんの1歳の誕生日までは1/2が支給されます。育児休業を3年間取得しても。俸給が支給されるのは最初の1年間のみとなります。

・育児休業(男性)

育児休業に関しては男性も取得可能。ただし男性の場合はお子さんの1歳の誕生日までの取得となります。

このほかに、保育時間休暇や育児期間の短時間勤務などの制度もあり、民間企業と比較すると育児休暇に関しては充実していると言えるでしょう。

また、国としても男性の育休取得を奨励しており、2020年男性国家公務員で、育休対象となる男性の99%が育児休暇を取得したとも報道されています。

まとめ

国家公務員の年収は、特に若い年代においては一般の民間企業よりも低めに設定されています。これは、人事院が民間企業の平均給与を調査し、その金額を基に毎年給与(俸給)金額を決定しているからです。

俸給は年数と業務の責任の重さにより定められており、国家公務員として長く勤続を続けることで確実に上昇していきます。50代になると平均年収も民間企業を超えることも珍しくなく、特に退職金に関してはかなり高額になります。

また、国家公務員は手当や福利厚生も充実。国の機関で働くため、これらを利用することに対する抵抗感が少ないのも特徴です。

特に育児休暇には力を入れており、出産や育児をしながらも働きやすい職場作りに力を入れています。

特に安定した仕事と収入を望む方には最適な職場であり、国家公務員試験に挑戦するのが おすすめといえるでしょう。

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