公務員試験は難しい?難易度や合格倍率を解説

更新日:2023年12月27日

公務員と書いてあるブロックと勉強道具

国家公務員や地方公務員として働くためには、まずは公務員試験に合格する必要があります。

この公務員試験に関しては、難易度が高い、合格率が低いと言われることもありますが、実際にどの程度の難易度なのかという点に関してはあまり多く語られません。

公務員試験の難易度が詳しく語られない理由は、公務員試験にはさまざまな種類があり、試験ごとに難易度にも違いがあるからです。また、年度によっても難易度には差があるため、一概にその難易度を表現できないというポイントがあります。

この記事では公務員試験の難易度や合格率といった点にフォーカスして、公務員試験に関して紹介していきたいと思います。

目次

公務員試験の試験科目と合格ライン

公務員試験と言ってもいろいろな試験があります。まずは大きく分けて国家公務員試験と地方公務員試験に分かれており、さらにそれぞれの試験の中には、専門性の高い専門職試験が存在しています。

全ての試験の詳細を紹介するのは難しいので、この記事では比較的一般的な公務員試験を中心に解説していきましょう。

まずは、公務員試験の試験科目や合格ラインといった点からその難易度を解説していきましょう。

公務員試験の試験科目

公務員試験は、受験する試験によって出題科目にも違いがあります。一般的な公務員試験を例に出すと、出題される科目は「教養科目」と「専門科目」に分けられます。これがいわゆる一次試験となります。

二次試験では希望する職種によって専門性の高い専門科目の試験があったり、面接試験が行われるというのが一般的です。

ほぼすべての公務員試験で出題される「教養科目」では、「一般知識」と「一般知能」の問題が出題されます。一般知識問題とは、いわゆる高校までに習った主要科目から出題される科目、一般知能問題は数的理解や文章読解力が必要になる問題が出題されます。

公務員試験を目指す方は、まずこの教養科目に関する対策を行うようにしましょう。

公務員試験における試験科目に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

公務員の試験科目の詳細はこちら

公務員試験の合格ライン

難易度を知るためにも、知っておきたいのが各試験の合格ラインや合格率です。

しかし、この合格ラインや合格率という点では、明確なラインがないのが公務員試験です。

一般的な資格試験とは違い、公務員試験は採用試験です。採用試験である以上採用される枠が決まっており、受験者の中から成績上位のものから順に採用されていくということになります。

そのため、年度によって合格ラインや合格率は大きく変わるということになります。

資格試験でいえば、いわゆる「相対評価」の試験と同じような考え方です。相対評価の試験は、あらかじめ合格率や合格者数が決められており、合格ラインが事前に決まっていない試験形式。

そのため受験者のレベルが高ければ合格ラインは上がりますし、受験者のレベルが低ければ合格ラインも下がります。

こうした相対評価の試験では、ハッキリとした目標となる合格ラインが決まっていませんので、対策は難しくなります。とにかくできるだけ高い得点が取れるように対策するしかなく、これが公務員試験の難易度を高めているとも考えられます。

ちなみにあくまでも一般論ではありますが、公務員試験の合格ラインは教養科目で6割、専門科目で7割が目安と言われていますので、まずは最低このラインを超えられるように準備しましょう。

公務員試験の難易度は?

公務員試験の試験科目と合格ラインについて簡単に解説したところで、続いて公務員試験の難易度という点に焦点を当てて考えていきたいと思います。

公務員試験の難易度を表すデータや試験の内容、公務員試験の特徴などから難易度を推測していきましょう。

受験する職種によって難易度も変わる

公務員試験の難易度を解説するといいながら、いきなりこれに反するようなことを書きますが、まず公務員試験の難易度を一概に語るのは難しいということが言えます。

公務員試験にはいろいろな種類があり、職種によって試験科目も大きく変わりますし、採用数にも大きな差があります。難易度が非常に高い試験もありますし、比較的難易度の低い試験もあります。

ただし総じて言えるのは、やはり採用試験であるということです。採用試験のため、何かをすれば確実に合格できるということはありません。極端な話をしてしまえば、その年度に希望する職種の募集がないというケースもあり得ます。試験が行われないのであれば難易度を語ることもできません。

公務員試験の難易度を知るためには、まずはどの試験を受験するのか。どの職種を希望するのかという点をきっちりと決めて、その試験に関する難易度、特徴を調べるようにしましょう。

合格倍率と試験難易度の関係

公務員試験は職種や受験年度によって合格率、合格倍率が大きく変わります。一般的に資格試験の難易度を考える場合は、その試験の合格率を参照するケースがありますが、これは公務員試験ではあまり参考にはなりません。

公務員試験は採用試験のため、「合格率が低い=試験の難易度が高い」という図式にはなりません。試験の難易度自体はそれほどでもなくても、募集人数に対して受験者数が多くなれば合格倍率は高くなり、合格率も低くなります。

単純に前年の合格率や合格倍率だけを参考に公務員試験の難易度は計れないということは覚えておきましょう。

公務員試験の種類による難易度の違い

公務員試験の難易度を比較するのは難しいというのは間違いありません。試験の内容も出題難易度も違う試験同士ですし、何より採用枠の問題もあるため、何を持って難易度とするかが難しいからです。

とはいえすべて「分からない」では話になりませんので、ここでは一部の公務員試験を抜粋し、その難易度を紹介していきたいと思います。

試験の難易度は高学歴対象試験の方が高くなる

ここでは、一般的に受験者数、採用枠ともに数が多い、総合職試験と一般職試験に限定してその難易度を紹介していきたいと思います。

参考にするのは2022年度の公務員試験のデータ。国家公務員試験の総合職、一般職の試験データに加え、地方公務員試験の代表として東京都のⅠ類の試験データを紹介していきます。

受験者数 最終合格者数 合格率 合格倍率
国家公務員採用総合職試験
(院卒者試験)
1,265名 618名 48.9% 2.05倍
国家公務員採用総合職試験
(大卒程度試験)
10,897名 1,255名 11.5% 8.68倍
国家公務員採用一般職試験
(大卒程度試験)
20,788名 8,156名 39.2% 2.55倍
国家公務員採用一般職試験
(高卒者試験)
9,624名 3,333名 34.6% 2.89倍
東京都職員採用試験
(Ⅰ類A採用)
502名 148名 29.5% 3.39倍

データ上もっとも合格率が高いのは国家公務員総合職(院卒者)試験であり、もっとも合格率が低いのが国家公務員総合職(大卒程度)試験です。では国家公務員総合職(院卒者)試験がもっとも難易度が低く、国家公務員総合職(大卒程度)試験がもっとも難易度の高い試験かと言われればそうでもありません。

一般的に公務員試験では、高学歴の方が受験する試験の方が出題難易度は高くなります。また、一般職試験よりも総合職試験の方が難易度は高くなります。

つまり出題難易度という点では、上の表の上から順に高いということになります。

合格難易度という点では純粋に合格率を参考にしていいでしょう。国家公務員総合職(大卒程度)試験がもっとも難易度が高いということになります。

専門性の高い職種の試験も高難易度

続いて一部ではありますが、公務員試験の中の専門職試験の合格率を確認してみましょう。同じく2022年度試験のデータを参考にします。

受験者数 最終合格者数 合格率 合格倍率
皇宮護衛官採用試験
(大卒程度試験)
410名 23名 5.6% 17.83倍
航空管制官採用試験 428名 85名 19.9% 5.04倍
海上保安官採用試験 289名 63名 21.8% 4.59倍

専門職試験に関しては、何より募集人員が少ないという点で難易度は高くなります。特に難易度が高いのが皇宮護衛官採用(大卒程度)試験であり、18人に1人しか合格できない難易度になっています。

ちなみにこれらの専門職試験で出題される専門科目を紹介すると、皇宮護衛官採用試験では課題論文、航空管制官採用試験では英会話能力、海上保安官採用試験では身体能力に関する試験が実施されます。

就職試験と考えれば募集人員の少ない職種も難関試験

繰り返しになりますが、公務員試験は採用試験ですので、年度によって募集人員が変わります。募集人員の少ない試験ほど合格率は低くなり、当然合格するための難易度は高くなります。

上で紹介した総合職や一般職の試験に関しては、例年ある程度の採用枠が設けられますが、専門職試験に関しては年度によって採用枠も変わりますので、事前に採用枠を含めてチェックしておくといいでしょう。

公務員試験に合格するためのポイント

公務員試験に合格するためには当然公務員試験対策の勉強が必要です。では何をどのように勉強するのがいいのか、勉強をする場合のポイントはどこにあるのかなどの点に関して紹介していきましょう。

希望する職種の試験情報を収集する

まずは何より情報収集が重要です。総合職や一般職を受験する予定の方は、そこまで情報収集は必要ありませんが、専門職試験を受験する方は、募集人員や試験内容、日程などをしっかりと把握しておくことが重要です。

試験の内容と試験実施日を調べたら、試験日から逆算して、自分なりに勉強スケジュールを立てましょう。

教養科目は出題数が多い科目を優先して対策する

どの公務員試験でも出題されるのが教養科目の試験です。この教養科目試験の対策は十分すぎるほどしておくことをおすすめします。どの職種を希望するにも、まずはこの教養科目の試験をクリアしないと次の段階には進めません。公務員試験は採用試験ですから、明確な合格基準点はありません。できるだけ多くの得点を取れるように準備するのが重要です。

そのためには、とにかく出題数の多い科目から優先して勉強を進めましょう。公務員試験の教養科目の試験では、数学、国語、英語、理科、社会など多くの科目から出題されますが、科目別合格などといった制度はありませんし、科目ごとの足切り点もありません。

とにかくトータルで高得点を取ることが求められますので、出題数の多い科目から順に攻略していくことが重要となります。

苦手科目があってもある程度合格は目指せますので、苦手科目は後回しにしてとにかく点が取れる科目で確実に得点できるようにしましょう。

具体的な勉強スケジュールを立てる

公務員試験は採用試験といっても、筆記試験がある以上試験対策の方法は資格試験と同様です。つまり、具体的な勉強スケジュールを立てることが重要ということになります。

勉強スケジュールは公務員試験の試験日から逆算して立てるのがおすすめ。まずは月ごとの目標を設定し、その目標をクリアできるように週ごとのスケジュールを立てましょう。

さらに週ごとのスケジュールをクリアするために、毎日のスケジュールを細かく設定すると、比較的スケジュールは立てやすいでしょう。

毎日単位の細かな勉強目標が設定できれば、毎日その目標をクリアすることで小さいながらも達成感を感じることができます。達成感を感じることで勉強に対するモチベーションを維持することができるようになり、勉強効率を高めることができるでしょう。

筆記試験対策として過去問などを活用する

公務員試験の教養科目の試験は、とにかく試験範囲が広大です。高校時代に3年間習った5科目から出題されますので、すべてをしっかりと勉強しようとするととにかく時間がかかってしまいます。

そこで活用したいのが過去問です。過去問で公務員試験の出題傾向をチェックし、どのようなポイントがよく出題されるのか、どのような知識を身に付けるべきなのかなどを確認し、ある程度勉強するポイントを絞り込んで対策しましょう。

過去問対策のポイントは、あまり古い過去問を使用しないということ。また、過去問は問題と解答を暗記するのではなく、なぜその解答に辿り着くのかという理屈をしっかりと理解することです。

そのために同じ過去問に何度も挑戦し、しっかりと理解した上で解答できるようにしましょう。

面接の練習ができる環境を確保する

公務員試験に合格するといった意味では、面接試験の対策も重要です。公務員試験の二次試験以降では、面接試験が課せられるのが一般的です。いわゆる就職試験の面接試験と同様です。

公務員試験を目指す大学生、高校生の方であれば、通っている大学・高校等でこうした面接試験の練習をさせてもらえる環境もあるかと思いますので、こうした環境を活用し、面接試験対策を行っておきましょう。

社会人の方で、働きながら公務員試験を目指すという方の場合は、面接試験対策をする環境をいかにして用意するかという問題があります。可能であれば、目指す職種の面接試験に精通している方などに、面接試験をチェックしてもらえる環境を整えるようにしましょう。

公務員試験対策には通信講座の利用がおすすめ

公務員試験は採用試験のため、難易度が高く合格率も低い試験といえます。そんな公務員試験を目指すのであれば、通信講座の利用がおすすめとなります。

通信講座の利用をおすすめするのは、特に教養科目の対策としてです。教養科目では、学校で習った範囲からの出題が中心となりますので、公務員試験を目指す若い方にとっては、それほど難易度の高い科目ではないかと思います。

とはいえ、相対評価の試験ですから、できるだけ多くの点を取ることが求められます。そこでおすすめしたいのが通信講座です。

通信講座には公務員試験に精通したスタッフがおり、教養科目でどのような知識が必要か、力を入れるべきポイントはどこかなどに関してしっかりと調べた上で対策講座が開講されます。

勉強効率は一気にアップし、教養科目の対策に割く勉強時間は大幅に短縮されるでしょう。

もちろん予備校に通学するという方法もありますが、教養科目対策と考えれば、そこまでするほどの難易度ではないといえます。通信講座を活用し、自宅でしっかりと対策すれば十分対応できるでしょう。

教養科目の対策に時間がかからなければ、余った時間を専門科目対策、面接対策に割くことができます。そうすることで合格率は一気に上がるでしょう。

まとめ

公務員試験にはいろいろな職種があり、その職種によって受験する試験も変わります。国家公務員試験と地方公務員試験を併せて考えると、試験の種類は相当数に上ります。

そのため漠然と「公務員試験の難易度」、「公務員試験の合格率」と問われても一概には答えにくいというのが現実です。

より詳しく合格率や難易度を知りたい方は、どの道に進むかを明確に見定めて、その試験の難易度や合格率に関して調べるようにしましょう。

そんな公務員試験ですが、どんな職種の試験でも出題されるのが、一次試験の教養科目の試験です。この教養科目の出題難易度は、受験する公務員試験の学歴ごとに差があり、院卒者試験がもっとも難易度が高く、高卒程度試験がもっとも難易度が低いということになります。

とはいえこの教養科目試験は、高校までに学校で習う科目がベースとなっていますので、難易度自体はそこまで高いものではありません。しっかりと対策すれば十分得点を取ることはできるでしょう。

公務員試験は採用試験のため、採用枠や受験者数で難易度や合格率も大きく変化します。採点は相対評価となりますので、公務員試験の合格率を高め、より確実に公務員として働くためには、教養科目でできるだけ多くの得点を取る必要があります。

教養科目で高得点を目指すには効率的な勉強が重要。独学にこだわらず、通信講座を利用して勉強効率を高めるのがおすすめです。

教養科目の対策に必要な時間を減らすことができれば、その分専門格の対策に割く時間も増やせますし、面接試験の対策時間も確保できます。

そこまで難易度が高くはない教養科目の対策は通信講座で時間を短縮し、公務員試験の合格率を高めるようにするのがおすすめの勉強方法です。

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