独立開業を目指せるおすすめ資格

「将来的に独立開業をしたい」と考えている社会人は多いようです。昔のように「1度入った会社は定年まで勤めあげる」という人は減り、現代では、収入や環境のいい職場があれば転職するか、自分の能力を発揮するために独立する……という人のほうが増加してきました。そんな、独立最大の武器となってくれるのが「資格」です。

会社勤めで積み重ねてきたキャリアだけではなく、「自分の能力の証となる資格」は大きな武器となってくれます。けれども、いざ挑戦しようと思っても、いろいろな種類があるので、何を取得すればいいのか迷ってしまいますよね。そこで、本記事では「独立開業の看板」となってくれる、おすすめの資格をご紹介しましょう。


独立開業を成功させるためには「資格」と何が必要なのか

独立開業する際、資格は大きな武器となってくれます。どのような資格が独立開業に向いているのか?そして、そのためには、どのような準備すればいいのか?などについてご紹介しましょう。

独立開業に向いている資格の分野

仕事の資格にはさまざまな種類がありますが、独立開業に向いている資格・向いていない分野の資格があります。独立開業しやすいのは以下の資格です。

法律関係の資格

弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、法律関係の資格は、難易度が高いものの、その分、開業してからの業務は独占業務(※)になっています。そのため、簡単にいえば、「壁は高いもののライバルが少ない」という魅力があるのです。また、法律関係の資格は、基本的に自宅で独立開業できます。

最初はデスク・パソコン・電話・FAXなどがあれば開業できるので、独立資金がそれほどかからないのもメリットでしょう。法律関係の資格は、景気やマーケットの流行などに左右されることもありません。

※独占業務:その業務を行うにあたり、資格を取得している人だけができる業務のこと

不動産関係の資格

家やマンション、土地などの不動産は人にとって大切な財産です。その不動産取引にあたっての契約は専門用語が難しく非常に複雑なため、いつの時代も専門の知識を持つプロが求められています。不動産に関する資格は、不動産評価・取引仲介・不動産管理などいろいろな専門職があり、中にはダブル・トリプルで関連資格を取得して「看板を強化」する人は少なくありません。不動産鑑定士・土地家屋調査士・マンション管理士などは人気のある資格です。

労務管理の資格

労務管理とは、会社の従業員の給料・休暇・福利厚生など、労働や労働者に関することを管理する仕事のことを指します。近年は、長時間労働・休日出勤・企業のブラック体質・セクハラ&モラハラなどさまざまな問題が表面化し、企業を健全に運営し続けるには、「労務管理」が非常に大切な問題になっているのです。そこで、労務管理のスペシャリストとして、社労士に注目が集まっています。

会計・金融・経営の資格

会計・金融・経営に関する資格は、どんな分野の業種でも必ず必要です。また、景気に左右されることもありません。資格を取得すれば、活躍のはばも広がるでしょう。
簿記・FP・中小企業診断士などは、人気のある資格です。

独立開業にあたり「資格以外」にも必要なこと

将来独立開業するにあたり、必要な資格を取得するのは当然ですが、試験に合格して資格を手に入れるだけで「独立開業に成功できる」とは限りません。資格のほかにも以下のことが必要です。

資格を取得したうえでの経験・キャリア

資格取り立てのホヤホヤでは、独立開業してもすぐにお客さんが集まるというわけではありません。ある程度のキャリアを積むことで信頼を得ることができます。

人脈

お客さんになってくれる・お客さんを紹介してくれるなどの人脈を、築いていくことは大切です。また、同業者の先輩や同僚と仲よくしておけば、困った際に相談できたり手伝ってもらったりすることもできるでしょう。

コミュニケーション能力

どの分野の資格にしても、独立開業するうえで絶対に必要なのがコミュニケーション能力です。会社に勤めているときと違い、独立開業した場合は、お客さんと接するのが苦手でも誰かに代わってもらうことはできません。お客さんの状況を把握したりアドバイスをしたりするための「ヒアリング能力」は、自分で磨くようにしましょう。聞上手・話し上手・アドバイス上手で、なおかつ誠心誠意対応しているという姿勢も必要です。

情報収集&分析能力

独立開業できる資格は、「取得したらそれで終わり!」ではありません。社会情勢は常に変化しますし法律も改正されます。そのため自分の仕事分野に関しては、いつも情報収集をして勉強や分析することも大切です。独立開業後にビジネスを軌道に乗せるためにも、常にいろいろなことにアンテナを張り巡らせておく必要があります。

独立開業おすすめの資格とは

最初にご紹介した資格の中で、ここではおすすめの資格を3つに絞りました。

  • 行政書士
  • 社労士
  • マンション管理士

いずれも、国家資格で一度取得すれば「一生モノ」です。また、年齢やキャリアを重ねることで信頼・信用を得ることもできます。さらに、関連資格を取得すればより事務所の看板にも強みが増します。一つずつ、その魅力や特徴をご紹介していきましょう。


独立開業が狙えるおすすめ資格「行政書士」

正式名称行政書士
資格種類国家資格
分野法律
認定団体総務省
試験形式筆記試験
受験資格学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能
試験日毎年11月第2日曜日(午後1時〜午後4時の3時間)
受験料7,000円(振込手数料は別)※非課税
受験者数(平成30年)39,105人
合格者数(平成30年)4,968人
合格率(平成30年)12.7%
フォーサイト合格率(平成30年)37.3%
偏差値62
行政書士について詳しくはこちら

行政書士がおすすめの理由

行政書士という資格は、行政書士法に基づき1951年に誕生しました。行政書士の仕事は大きく分けると3種類です。

  • 書類作成業務:官公署へ提出する書類や、権利・義務・事実証明などに関する書類を作成
  • 許認可申請の代理:上記の申請を本人に代わって「代理」で行う
  • 相談・コンサルタント業務:顧客からの相談を受け、アドバイスを行うコンサルタント業務

行政書士が扱う書類のジャンルは実に多岐にわたっています。そのため、「行政書士という資格は知っているけれども、詳しく説明するのが難しい」という人も少なくありません。行政書士は、以下の業務を行います.

一般人の暮らしに関係する業務遺言・相続
民事法務(クーリングオフや事故など)
契約書(金銭や住居の貸し借りなど)
運輸関連業務(車の新規登録や移転登録など)
国際関係業務(帰化申請など)
成年後見
ビジネスに関する業務会社設立
雇用関連
内容証明・会計帳簿などの権利義務に関する書類
建設・運輸・飲食ほか開業や変更に必要な許認可申請
知的財産権
書類作成に伴うコンサルタント業務

そして、上記の業務に伴い、顧客からさまざまな悩みや問題解決の方法などの相談を受けます。最近では、手続きのIT化により、書類作成などの業務は減少傾向にありますが、「個々の顧客の相談に乗りアドバイスをするなどのコンサルタント的な仕事」は人間である行政書士にしかできないといわれています。

行政書士が独立開業に向いているわけ

行政書士は、ほかの会社に勤務しながら勉強して資格を取得することが可能です。行政書士試験は学ぶ科目が多くあるために、敷居が高い感じがしますが、多くは基本的な部分から出題されるために、法律関係の初学者でも挑戦しやすいのが魅力です。また、憲法や民法などの法律が身に付くために、ほかの法律関連資格の登竜門にもなります。

行政書士が取り扱う書類の分野は、前項でご紹介したように多岐に渡っています。そのため、広く浅く全般的に扱うよりも、自分の得意とする分野・専門分野を絞り、その分野のスペシャリストとして独立開業し活躍している人が多くなりました。また、先輩や友人など、ほかの分野が得意な行政書士と協力して事務所を立ちあげれば、より仕事の可能性も広がります。

時代の変化と共に、新しい法律も誕生していくために、行政書士が扱う分野は増えることがあっても減ることはありません。

行政書士の資格を取得して、「行政書士登録」をすれば行政書士として看板をあげることができ、自宅を事務所として登録をすることが可能です。そのため、デスク・FAX・電話・パソコンなどがあれば開業できます。最初の経費を抑えられるのも魅力でしょう。

今後、ますます活躍できるジャンルが増える行政書士は、将来的に可能性大といえます。また、行政書士の試験で学んだ知識を生かしてほかの法律関連資格へのステップアップもできます。資格を複数取得することにより、事務所として顧客からの信頼を集めることができるでしょう。


独立開業が狙えるおすすめ資格「社労士」

正式名称社会保険労務士
資格種類国家資格
分野法律
試験実施団体全国社会保険労務士会連合会(厚生労働大臣から事務を委託)
試験形式筆記
受験資格 学歴
・4年制大学で一般教養科目の学習が終わった人
・4年制大学で62単位以上を習得した人
・短期大学か高等専門学校を卒業した人
・就業年限が2年以上
 かつ課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を修了

資格
・司法試験予備試験に合格した人
・行政書士の資格を持っている人
試験日毎年8月の最終日曜日(開場時間9:30〜)
受験料9,000円※非課税
受験者数(平成30年)38,427人
合格者数(平成30年)2,413人
合格率6.3%
フォーサイト合格率(平成30年)25.7%
偏差値65
社労士・社会保険労務士について詳しくはこちら

社労士がおすすめの理由

社労士(社会保険労働士)の認知度は、近年高まりをみせています。社労士とは、ひとことで表現すれば「労働法や社会保険などに精通しているプロ」です。そして、顧客である企業の、社会保険や就業規則に関連する書類の作成や提出の代行を行います。この仕事は、社労士の有資格者でしか行えない独占業務です。社労士は、以下の仕事を行います。

1号業務
(独占業務)
労働社会保険諸法令に基づいて提出しなければならない申請書類の作成や、それらを行政官庁に提出する手続きの代行
2号業務
(独占業務)
就業規則、労働者名簿ほか労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成
3号業務
(独占業務ではない)
人事や労務管理などの相談に乗り、適切なアドバイスを顧客である企業に行う

社労士は、顧客である企業の、社内人事や労務管理全般に関わり、最適な労働環境を整え、改善する仕事です。また、医療制度や年金制度にも詳しいため、その企業に必要な改善点などをアドバイスもします。

社労士になるには、労働全般に関する法律や公的な保険、年をとった場合の年金など、職場や自分の生活に関わる法律を勉強します。実生活に密着している知識ばかりで自分にも役立つため興味深く学習できるでしょう。

近年は、雇用形態も多様化していることや労働問題が表面化していることから、人事や労務管理のエキスパートである社労士へのニーズが高まっているのです。特に、コンサルタント的な業務である「3号業務」の能力が高い社労士は、今後さらに必要とされるでしょう。


社労士が独立開業に向いているわけ

企業は、近年メディアに取り上げられている「ブラック企業問題」などを引き起こさないために、人事のエキスパートである社労士を確保したいという傾向になっています。そのため、開業社労士に、改善業務を委託しているケースも多いのです。

社労士の仕事は、独占業務が中心のため独立開業に向いています。将来的に独立開業を考えている人は、キャリアを積み仕事に関するさまざまな情報を得るために、まずは資格取得後に社労士事務所などに就職するのもおすすめです。無資格でも雇ってもらえることもありますが、社労士有資格者のほうが格段に有利になります。

社労士が取り扱う仕事の分野は広いので、「誰にも負けない」という得意分野を作ったほうが、独立開業した際にアピール度が高くなるでしょう。

社労士は企業で働きながら勉強することが可能です。実際に企業の管理職でいながら社労士、ファイナンシャルプランナーなどの関連資格を取得し50代で退職、独立開業後も現役の管理職時代の収入を保ちつつ、第2の人生を送っている人もいます。

労働環境を整えなければならない企業や、プロの視点でのコンサルタントを求めている企業などが増加するといわれている今、社労士資格を取得してキャリアを積めば、自分次第で、活躍の場を広げることができるのも大きな魅力でしょう。


独立開業が狙えるおすすめ資格「マンション管理士」

正式名称マンション管理士
資格種類国家資格
分野不動産
認定団体国土交通省
試験形式マークシート
受験資格年齢・性別・学歴など資格の制限はなし
試験日試験日:例年11月の最終日曜日
受験料9,400円(非課税)
受験者数(平成30年)12,389人
合格者数(平成30年)975人
合格率7.9%
フォーサイト合格率(平成30年)37%
偏差値62
マンション管理士について詳しくはこちら

マンション管理士がおすすめの理由

マンション管理士は、独立開業に向いている「不動産関連の国家資格」です。その名のとおり、マンション管理に関する法律などを熟知し、トラブルを解決したりマンションを健全に運営したりするために提案を出したりする仕事です。

ひとことでいえば、マンション管理に関するプロですが、管理会社とは異なります。マンション管理士は、あくまでも住民によって結成された「マンション管理組合側の立場」で仕事を行うのです。管理会社が適切な管理業務を行っているか監督するのもマンション管理士の仕事になります。ほかにも、修繕工事の計画や理事会の会合運営、管理費や修繕積立費の会計、住民同士や住民と管理会社とのトラブルほか、住民の立場に立ち、マンションの健全な経営を進めるためのコンサルタント的な役割を果たします。

マンション管理士資格は、2001年に誕生した、まだ歴史の浅い資格です。今後の日本では、地震や台風などの災害・老朽化したマンションの建て替え・定期的に行わなければならない大規模修繕など、住民が快適なマンション生活を送れるためさまざまな対策を立てることが求められています。

また、新築マンションは減少傾向にあるとはいえ、近年増加している中古マンションでも、マンション管理士は必要です。そのような背景も後押しして、マンション管理のプロであるマンション管理士は、今後もニーズが高まっていくことでしょう。

マンション管理士が独立開業に向いているわけ

マンション管理士は、国家資格でありながら学歴や年齢など受験に制限がないため、誰でも挑戦できるのが魅力です。また、マンション管理組合をサポートしていくコンサルティング業務なために、ミドル・シニア世代の社会経験豊富な人のほうが「安心感がある」「信頼できる」など評判が高く、年齢を経ているほうが、ニーズが高いのも特徴です。

マンション管理士は、マンション管理業や不動産関連業などで資格取得を推奨する会社も増えてきました。資格取得後は、それらの会社で勤務する「会社内マンション管理士」になるか、経験を積んでから独立開業する「開業マンション管理士」になるかに分かれます。

現在では、まだマンション管理士の資格1本で、事務所を経営するのは難しい状態です。そのために、独立にあたって、宅建士・建築士・行政書士・ファイナンシャルプランナーなど、生活に関する資格を取得し、仕事のはばを広げている人が多く見られます。

今後は、増加していく高齢者専用マンションやペット共生型マンションなど、専門分野に強いマンション管理士や、中古マンションのリノベーションに強いマンション管理士、強い住民とのコミュニケーションをとるのが上手な女性マンション管理士などの需要も高まるでしょう。

ダブル、トリプルで資格を取得し強みを増やしていくことで、自分次第で収入を増やしていける可能性も高くなります。


まとめ

独立開業で成功するためには、資格を取得しただけでは不十分です。現在会社などで働いている場合は、資格取得の勉強をしつつも、人脈を増やしたり独立開業には不可欠なコミュニケーションスキルを磨いたりして、コツコツ下準備をすることが重要になります。本記事でご紹介した独立開業に向いている資格は、活躍時期の年齢制限はありません。

退職後に資格をいかして第二の人生を過ごしている人も多いのです。成功をするためには、資格に必要な知識とスキルを積み、しっかりと準備をして、万全を期してから独立開業を目指しましょう。