雇用保険の併給調整とは?|わかりやすくFP解説

雇用保険の併給調整とは?|わかりやすくFP解説

雇用保険の併給調整とは?
目次

雇用保険の併給調整とは

雇用保険と公的年金、両方に受給要件が当てはまる場合、過剰給付になってしまうため、どちらかの給付を行わない、あるいは一方の支給を減額するというような調整が行われます。

特別支給の老齢厚生年金と雇用保険からの基本手当

併給調整の1パターン目としては、特別支給の老齢厚生年金と雇用保険からの基本手当があります。

特別支給の老齢厚生年金と雇用保険からの基本手当の両方を受給することはできません。

この場合、雇用保険からの基本手当の支給が優先され、基本手当を受給している間は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止となります。

なお、基本手当の受給が終了すれば、特別支給の老齢厚生年金の支給が再開されます。

60歳台前半の在職老齢年金と雇用保険からの高年齢雇用継続給付

併給調整の2パターン目は、60歳台前半の在職老齢年金と雇用保険からの高年齢雇用継続給付です。

60歳台前半の老齢厚生年金と雇用保険により高年齢雇用継続給付を同時に受けられる場合は、まず、老齢厚生年金が在職老齢厚生年金の仕組みにより停止されたあと、高年齢雇用継続給付の給付額に応じて、最高で賃金(標準報酬月額)の6%に相当する額の停止が行われます。

雇用保険と特別支給の老齢厚生年金の選択

雇用保険 失業給付(基本手当)の具体例

2018年8月~2019年9月で、60歳以上65歳未満の人(雇用保険被保険者)が退職・失業した場合、本人の申請により失業給付の給付金(基本手当)を日額単位で受け取ることができます。

基本手当日額は以下の通りです。

基本手当日額=賃金日額×給付率

[60~64歳の賃金日額]

賃金日額=退職日(失業日)以前6カ月の月々の賃金(賞与は含まない)の合計÷180日

※60~64歳の賃金日額上限は15,740円です。

例:会社員・59歳・女性の場合

1958年(昭和33年)3月31日生まれの女性が、60歳を迎える際、30年勤めあげた会社を定年退職することになっています。

特別支給の老齢厚生年金は、退職と同時の60歳から受けられるようになっています。

この女性の平均給与は、月額30万円です。特別支給の老齢厚生年金は120万円です。

この場合で、失業手当と特別支給の老齢厚生年金の額がそれぞれいくらになるのかをみていきます。

失業保険と特別支給の老齢年金の金額

失業保険の金額

<60~64歳の給付率と賃金>

賃金日額 給付率 基本手当日額
2,480円以上4,970円未満 80% 1,984円~3,975円
4,970円以上19,980円以下 80~45% 3,976円~4,941円
10,980円超15,740円以下 45% 4,941円~7,083円
15,740円超 7,083円

基本手当日額は、

●0.8×賃金日額-0.35{(賃金日額-4,970)÷6,010}×賃金日額

●0.05×賃金日額+4,392

のいずれか低い方の額とします。

<60~64歳の給付日数>

被保険者だった期間
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
定年・自己都合による退職 90日 90日 120日 120日
倒産・解雇などによる失業 90日 150日 180日 210日 240日
  • 賃金日額:300,000円×6カ月÷180日=10,000円
  • 基本手当日額:0.05×10,000円+4,392円=4,892円

    ※上記計算式の低い方を採用

  • 給付日数:150日
  • 失業手当総額:4,892円×150日=733,800円
  • 1カ月当たりの金額:146,760円
雇用保険と特別支給の老齢厚生年金の選択

特別支給の老齢年金の計算

上記例の場合、年金の基本月額は10万円です。

したがって、1か月分で比較した場合、上記例の女性の場合は、失業保険を受給した方が額が多いという結果となりました。

失業保険と特別支給の老齢年金は同時に受給することができないので、どちらを選択するかを予め決めておく必要があります。

雇用保険の併給調整に関するよくある質問

雇用保険の基本手当は離職の日以前に一定の被保険者期間を有する65歳未満の者が受給することができるとのことですが、受給できる年齢については、全年齢だと理解していました。この「65歳未満」としている部分をより詳しく解説してください。

「全年齢」というのは、全年齢の者に支給される、という意味ではなく就職困難者や離職を余儀なくされた者(特定受給資格者)のように年齢の区分がない、という意味の全年齢を指します。

そして、この年齢は、離職日の年齢をさします。

まず、大原則として基本手当は、65歳未満に離職した人が支給対象になります。65歳以上で退職(離職)した人は支給されません。

しかし、もし、64歳から65歳になるまでの間に退職をして、受給要件を満たした場合、65歳以降も引続き基本手当を支給することもあります。

この場合、65歳以降の基本手当と老齢厚生年金は併給される、ということになります。

雇用保険は、自己都合による退職と、会社都合による退職で何か差異がありますか?

勤務した年数によって異なりますが、一般に、会社都合による退職の場合の方が、雇用保険は長く受給することができます。

雇用保険と公的年金はなぜ同時に受給できないのでしょうか。

両方を受給できてしまうと、過剰に受給してしまうことになりますので、併給調整が行われています。