証券外務員資格「正会員」と「特別会員」の違いは?詳しく解説

目次

日本証券業協会

日本証券業協会は「日証協」とも呼ばれ、1973年7月から活動しています。協会員がかかわる有価証券の取引を健全に発展させるため、日証協が自主規制業務や国際交流などをしています。

会員は3つに分類されますが、このなかで証券外務員という資格が必要なのは、正会員と特別会員です。それぞれ通常の会員と何が違うのかまで見ていきましょう。

会員は3つに分類される

日本証券業協会に所属する会員には、3つのカテゴリーがあります。該当する職業と合わせてみていきましょう。

分類 該当する職業
正会員 証券業者
特別会員 銀行や信用金庫、保険などの業者
特定会員 クラウドファンディングやFX業者

最初の正会員は証券業者が当てはまります。つまり株式取引にかかわる人物です。主な仕事にはブローカー、ディーリング、アンダーライター、セリングがあります。それぞれの業務内容を見ていきましょう。

業務 意味
ブローカー 株の注文をした人と証券取引所の間で、取引を仲介をする
ディーリング 証券会社として自社のお金を使って株を売買する
アンダーライター 新規の有価証券を買い取り、お客さんに売る
セリング 企業からの委託により、株のような有価証券を売る

このようにひとつの証券会社でも、株のやり取りはさまざまです。業者はお客さんに株取引を提供したり、売買の仲介をしたりするのが基本になります。

2つ目の特別会員は銀行や信用金庫、保険などの業者を指します。正会員である証券会社以外の金融機関は、基本的にこちらに属します。

銀行や信用金庫は、お客さんがお金を預けたり引き出したり、金融機関からローンとしてお金を貸したりします。銀行は民間企業、信用金庫は非営利法人と形式が違いますが、基本的な仕事の性質はあまり変わりません。

保険会社も特別会員に属します。万が一に備えるために一定の保険料を払い、病気や事故にあったり解約したりするときに、状況に合った金額が支払われる仕組みです。以上からこちらも金融商品とされ、保険会社も特別会員に当てはまります。

3つ目は特定会員です。こちらはクラウドファンディングやFX業者が含まれます。クラウドファンディングとは資金調達の手段です。ビジネスやプロジェクトの発案者が主にインターネット上でプレゼンをして、それに賛同した人が好きな額を投じます。

FXは「外国為替証拠金取引」とも呼ばれる投資分野です。「日本円を払って米ドルを買う」というように、自分の住んでいる国とは違う通貨を売買します。証拠金として実際に取引所に預けたお金を担保に、「25倍」というように決まった倍数分の金額まで取引できるのも特徴です。

クラウドファンディングやFX業者は、正会員とも特別会員とも違う特殊なタイプとして、3つ目の分類を受けています。このように日本証券業協会は、金融機関の性質に応じてカテゴライズをしているのです。

証券外務員が必要なのは正会員と特別会員

証券外務員という資格を要するのは、正会員と特別会員の2種類です。特定会員の場合はこの資格を求められません。一般的に正会員は証券会社、特別会員は銀行や保険会社の社員が対象になります。それぞれの違いを見ていきましょう。

正会員は証券業者

正会員の対象になるのは証券業者です。「日本証券業協会」という名前のとおり、もともとは証券会社が集まった団体です。本来のコンセプトに則っていることから正会員と呼ばれるのでしょう。

2021年10月時点では、270もの企業が参加しています。野村證券やSBI証券、楽天証券、ゴールドマン・サックス証券など名だたる株式会社が名前として並んでいる状況です。日本からアクセスできる健全な証券会社は、ほとんどが正会員に所属しているとイメージしましょう。

証券外務員としての正会員資格は、証券業者として従事するうえで必要です。株はお金に換算した価値が上がったり下がったりする、デリケートな商品です。一日にたくさんの取引をさばくには、有資格者の働きが重要になります。

お客さんが安心して株取引ができるように、正会員資格を持った人が売買にかかわるルールです。

この資格は一種と二種に分かれており、業務内容は以下のとおりです。

カテゴリー 業務
一種 株のような有価証券、信用取引、デリバティブ取引などに関する業務
二種 債券のオプション取引や信用取引を除いた、金融商品の取引に関する業務

どちらかというと一種の資格を取った方が、より幅広い業務に従事できます。二種でもやりがいはありますが、一種でしか対応できない専門業務があることに注意です。いずれにしても証券業者になりたいと思ったら、正会員資格の取得が課題といえます。

特別会員は銀行など

特別会員資格は銀行や信用金庫、保険会社の業務をする人が当てはまります。日本証券業協会は本来、証券会社のための団体でした。しかし法改正の結果、銀行のお客さんも有価証券を買ったり売ったりできるようになったのです。

以上の背景から銀行や信用金庫といった組織も、特別会員として加盟するようになりました。このカテゴリーに所属する機関は、2021年10月時点では200に及びます。みずほ銀行や三井住友銀行のようなメガバンクが名を連ねています。

メガバンクに限らず信託銀行や信用金庫、地方銀行、生命保険会社などさまざまなジャンルの金融機関が集まる状況です。

特別会員資格は銀行や信用金庫などでの業務が可能になります。カテゴリーの条件から、特別会員に属している組織の従業員だけが試験を受けられるルールです。こちらも一種と二種に分かれているので、業務の違いを見ましょう。

カテゴリー 業務
一種 債権のオプション売買、国債、投資信託などの取引に関する業務
二種 債権のオプション売買以外の有価証券の取引に関する業務

こちらも一種の方が、債権のオプション売買など特殊な金融商品取引にかかわれます。このように銀行や信用金庫などで投資家を相手に商売をするときも、外務員としての資格が必要です。

試験における違い

正会員と特別会員では、資格試験の難易度や内容が異なります。自分が目指そうとしているカテゴリーで設けられているルールを確かめましょう。

受験できる方の違い

正会員と特別会員では、まず受験対象者が異なります。まず正会員には受験資格が定められていません。そのため学生からでも受けられますし、金融機関に従事していない人でも受験可能です。

正会員は証券業者が対象ですが、異業種からこちらへ転職したい人も資格を狙えます。そのときの人生に満足せず、よりよい将来を目指したい人でも、正会員資格を目指せるのです。

以上から正会員資格は、最初から証券業者を目指している人だけでなく、転職目的の人でも受験できる仕組みです。

しかし特別会員資格では、受験できる人に制限があります。日本証券業協会所属の金融機関で働く人しか試験を受けられません。

ここでの条件として定められている金融機関には、正会員・特別会員・特定会員の区別はありません。つまり協会にさえ所属している機関ならどこでもよく、該当する場所で働いている人なら誰でも受けられると考えましょう。

正会員資格を得て証券会社で働き始めたら、それだけで特別会員資格も目指せます。こちらは金融機関で働いている人がキャリアアップを目指す資格というイメージです。

試験科目や出題数の違い

正会員と特別会員では、資格試験の内容も違います。科目から出題数までさまざまな要素が異なるので、事前チェックが重要です。どちらも一種と二種があるので、以下の表で紹介します。

一種試験の試験内容は、正会員と特別会員でこのように分かれます。

正会員 特別会員
出題範囲 金融商品取引法及び関係法令
金融商品の勧誘・販売に関係する法律
協会定款・諸規則
取引所定款・諸規則
株式業務
債券業務
投資信託及び投資法人に関する業務
付随業務
デリバティブ取引
証券市場の基礎知識
株式会社法概論
経済・金融・財政の常識
財務諸表と企業分析
証券税制
セールス業務
金融商品取引法及び関係法令
金融商品の勧誘・販売に関係する
法律
協会定款・諸規則
取引所定款・諸規則
債券業務
CP等短期有価証券業務
投資信託及び投資法人に関する業務・法律
デリバティブ取引
その他の金融商品取引業務
証券市場の基礎知識
証券投資計算
証券税制
セールス業務
出題数 〇×方式:70問
五肢選択方式:30問
計:100問
〇×方式:25問
四肢選択方式:20問
計:45問
試験時間 160分 100分
満点 440点 325点
合格点 308点(70%) 230点(約70%)

続いて二種試験です。
正会員 特別会員
出題範囲 金融商品取引法及び関係法令
金融商品の勧誘・販売に関係する法律
協会定款・諸規則
取引所定款・諸規則
株式業務
債券業務
投資信託及び投資法人に関する業務
付随業務
証券市場の基礎知識
株式会社法概論
経済・金融・財政の常識
財務諸表と企業分析
証券税制
セールス業務
金融商品取引法及び関係法令
金融商品の勧誘・販売に関係する法律
協会定款・諸規則
取引所定款・諸規則
債券業務
CP等短期有価証券業務
投資信託及び投資法人に関する業務・法律
その他の金融商品取引業務
証券市場の基礎知識
証券投資計算
証券税制
セールス業務
出題数 〇×方式:50問
五肢選択方式:20問
計:70問
〇×方式:12問
四肢選択方式:14問
計:26問
試験時間 120分 70分
満点 300点 200点
合格点 210点(70%) 140点(70%)

一種と二種の出題科目の違いは、デリバティブ取引関連の有無です。二種よりも一種の方において、可能な業務が広くなります。これもデリバティブ取引に関われるかという部分が大きいでしょう。

正会員と特別会員による出題内容の違いもあります。正会員試験だけで問われる科目として株式業務や付随業務、株式会社法概論などがあります。一方で特別会員試験では、CP等短期有価証券業務や、特殊な金融商品取引、証券投資計算などをこなさなければなりません。

一方で金融商品取引法や日本証券業協会の決まり、証券税制などは、正会員と特別会員試験の両方で取り上げられます。つまり正会員試験を受けるときも、特別会員に必要な問題が出題されるケースがあるのです。

このように一種と二種、正会員と特別会員でカテゴリーごとの共通点や違いが見られます。

また試験対策がしやすいのは特別会員の方でしょう。出題数が少ないからです。さらに選択肢のある問題でも正会員試験は5択に対し、特別会員は4択です。

ただし特別会員試験は正会員より試験時間が少なく、合格基準となる正解率は正会員試験と変わりません。油断せずに入念な準備を進めましょう。

出題難易度はほぼ同じ

出題難易度は正会員と特別会員でほぼ変わりません。受験資格が限られているぶん、特別会員の方が難しいイメージですが、実際の試験におけるレベルは等しいといえます。一種同士、二種同士で比べると、2つのカテゴリーの難易度は同じと考えましょう。

しかし出題範囲が狭くなる特別会員試験の方が対策しやすいといえます。出題数も少ないので、試験本番における負担も軽い印象です。ただし試験時間も少なくなるぶん、時間配分をおろそかにしないことも大切でしょう。

一種と二種では後者にデリバティブ取引関連がないぶん、難易度が低いといえます。まずは二種からチャレンジするのがおすすめです。

正会員と特別会員では試験の難易度が変わらないぶん、準備すべきことも一緒といえます。

目指すべきは正会員

試験のルールを考えると、目指すべきは正会員資格が先でしょう。理由は受験資格の違いにあります。正会員は誰でも目指せますが、特別会員資格では金融機関の従事者しか受けられません。

さらに特別会員資格は、証券外務員資格のない銀行員に対して、会社が受験するように指示を出すケースが多数です。会社からいきなり取るように言われるので、働きながら勉強しなければならないというプレッシャーに見舞われるのです。

そのぶん正会員資格は決意したタイミングから学習スケジュールを組み、そのとおりに勉強すればよいといえます。心の余裕を持って臨みやすいでしょう。

実際に金融機関で働いていない人は、正会員資格を目指すしかありません。金融業界へ参入するきっかけとして、この資格には大きな意味があります。

正会員資格は誰でも受験可能

正会員資格は誰でも受験可能です。パートやアルバイト、学生のような人でも参加できます。飲食業や小売業のような、金融と違うところで働いている人でも受験できるのが特徴です。

しかし正会員資格で働くには、日本証券業協会に登録しなければなりません。合格しても忘れないように気をつけてください。協会への登録があって初めて、株のような金融商品を売買したり、取引の勧誘をしたりできます。

正会員資格は、日本証券業協会会員に入っている企業でのみ活用可能です。以上から金融大手で活躍したい人にはおすすめの資格といえます。

正会員資格があれば特定会員でも業務可能

正会員資格さえあれば、銀行や信用金庫における特別会員の業務ができます。つまり有価証券の売買ができるのは、証券会社以外でもよいのです。

正会員になれば証券業者でなくても、銀行や保険のような幅広い金融機関で活躍できます。つまり資格を取ることで、金融業界において自身が望むようなキャリアアップを目指せるのです。このように正会員試験の合格後は、社会的な視野を広げられます。

正会員資格を目指すならフォーサイトがおすすめ

正会員資格を目指すなら、フォーサイトを利用しましょう。試験の難易度はそこまで高くありませんが、スクールや通信講座も使わない完全な独学だと、全体を理解するのに時間がかかります。

短期間での合格を目指したり、効率的な学習を求めたりするなら通信講座がおすすめです。最近はさまざまな会社が提供していますが、そのなかでもフォーサイトに注目しましょう。

フォーサイトではフルカラーのオリジナルテキストが用意されており、読みやすいというメリットがあります。スマートフォンで演習問題をできるなど、スキマ時間の有効活用も可能です。以上からフォーサイトは正会員資格を目指す人にとって役に立ちます。

まとめ

正会員と特別会員の違いは、日本証券業協会による会員の定義によります。正会員なら主に証券業者が当てはまりますが、実際は銀行や信用金庫など、他の金融機関でも有価証券の取引業務に従事できます。

一方で特別会員資格になると、同じカテゴリーに入っている会社でしか活用できません。試験対策のしやすさではこちらですが、将来的な活躍の可能性では正会員資格の方がおすすめです。