危険物取扱者の合格率や合格基準は?受かるための勉強方法!

目次

危険物取扱者の合格率はどのくらい?

試験実施団体である一般財団法人消防試験研究センターが、危険物取扱者の種別ごとに合格率を公表しています。過去5年間の合格率は、以下のようになっています。

甲種危険物取扱者の合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成25年 25,395人 8,424人 33.2%
平成26年 24,022人 7,889人 32.8%
平成27年 22,905人 7,381人 32.2%
平成28年 22,845人 7,653人 33.5%
平成29年 22,504人 8,388人 37.3%
甲種危険物取扱者試験の合格率の推移

甲種危険物取扱者試験の合格率の推移

平成29年度の合格率は、近年のなかでは、やや高くなっていますが、概ね32~33%で推移しています。
甲種は受験資格が要求され、一定の知識を有する方達が受験するにもかかわらず、合格率はそこまで高くありません。

乙種危険物取扱者の合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成25年 371,768人 14,9402人 40.2%
平成26年 353,688人 132,932人 37.6%
平成27年 342,399人 127,114人 37.1%
平成28年 331,258人 120,625人 36.4%
平成29年 325,411人 135,210人 41.6%
乙種危険物取扱者試験の合格率の推移

乙種危険物取扱者試験の合格率の推移

乙種の合格率は、第1類から第6類までの合計になります。最も受験者数が多い、乙種4類の合格率は、30%前後で、乙種全体の平均を下回っています。

乙種4類以外の受験者は、すでに乙種4類の試験に合格し、免状が交付され、法令と物化の科目免除を受けている方が多いと思われます。
その場合、科目免除者は性消1科目のみを受験すればよいため乙種4類以外の合格率が結果として高くなります。

丙種危険物取扱者の合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成25年 38,772人 19,334人 49.9%
平成26年 37,296人 18,093人 48.5%
平成27年 35,792人 17,616人 49.2%
平成28年 34,402人 16,738人 48.7%
平成29年 33,128人 16,780人 50.7%
丙種危険物取扱者試験の合格率の推移

丙種危険物取扱者試験の合格率の推移

丙種の合格率は、50%前後になっています。
甲種及び乙種と比べて、四肢択一式という形式によって正解を導きやすく、出題される範囲が狭いため合格率が高くなっています。

最終的に乙種の試験を受験したいが、いきなり乙種の試験に合格する自信がないという方は、危険物に関する知識に慣れるため、まずは丙種の試験を受けてみる、という選択肢も考えられます。

危険物取扱者の試験内容を見てみよう!

危険物取扱者の種別に関わらず、受験科目は3科目です。試験時間はそれぞれ異なりますが、いずれも問題文が短く、計算問題など時間のかかる問題は多くありません。そのため、他の資格試験のようにあまり時間配分や問題を解いていく順番を気にする必要はないでしょう。

もし、分からない問題があったとしても、とりあえず、その問題は保留しておいて、解ける問題から優先的に解答していき、余った時間で見直しても十分に対応することができます。

なお、途中退室は試験開始から35分間は認められませんが、それ以降は試験官の指示に従って途中退室することができます。
実際に危険物取扱者の試験では種別にかかわらず途中退出せずに制限時間いっぱいまで教室に残る受験生が少ないことからも分かる通り、あまり形式面での戦略を考える必要はないと言えます。

甲種危険物取扱者

試験は、五肢択一式のマークシート形式で、試験時間は2時間30分です。
また、受験科目と問題数は以下の通りです。

受験科目 問題数
危険物に関する法令(法令) 15問
物理学及び化学(物化) 10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 20問

乙種危険物取扱者

試験は、五肢択一式のマークシート形式で、試験時間は2時間です。
また、受験科目と問題数は以下の通りです。

受験科目 問題数
危険物に関する法令(法令) 15問
基礎的な物理学及び基礎的な化学(物化) 10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 10問

丙種危険物取扱者

試験は、四肢択一式のマークシート形式で、試験時間は1時間15分です。
また、受験科目と問題数は以下の通りです。

受験科目 問題数
危険物に関する法令(法令) 10問
燃焼及び消火に関する基礎知識(燃消) 5問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) 10問

気になる危険物取扱者の合格基準(合格点)は?

甲種、乙種及び丙種ともに3つの受験科目があり、それぞれ60%以上の正解で合格となります。

例えば、科目の一部免除がない場合、乙種の試験においては、法令は15問中9問以上、物化は10問中6問以上、性消は10問中6問以上、正解しなければなりません。

したがって、法令と性消の2科目が満点で、物化で50%しか得点できなかった場合、全体として60%以上の正答率であったとしても不合格になってしまいます。

試験の結果は、合格・不合格の他、各科目の正答率が受験生ごとに通知されます。
万が一、不合格になった場合でも、みなさんの弱点が把握できるため、次回、試験に再挑戦される場合に、対策をとることができます。

そのため、得意科目をつくるのではなく、極端に苦手科目をつくらないように全体的な底上げを心がけるように学習に取り組む必要があります。

危険物取扱者試験は、上位何%しか合格できないという相対的な試験ではありません。
他の受験生の成績とは関係なく自分の努力次第で合格を勝ち取ることができます。

危険物取扱者に合格するための勉強方法をチェック

危険物取扱者の受験科目は専門的な知識が要求される部分もありますが、物理・化学の科目に関しては、みなさんのバックボーンによって違いが出てきます。

また、乙種では、基礎的な物理学及び基礎的な化学という科目名が示すように「基礎的」な物理学及び化学の知識で足ります。これは、中学校から高校1年程度で学習する内容に相当します。

一方、甲種では、物理学及び化学という科目名が示すようにやや「応用的」な物理学及び化学の知識が要求されます。問題にもよりますが、これは、高校卒業程度の内容に相当します。

大学で専門知識を学んだ人

大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した方や一定の単位を修得された方であれば、乙種を受験することなく、直接、甲種を受験することができます。

このような経歴をお持ちの方は、合格に必要な物理学・化学の知識は十分に身についているはずですので、この科目に学習時間を割く必要はありません。
そのため、法令と性消の2科目に注力することができ、一般の受験者より短期間で合格を目指すことが可能になります。

なお、甲種の受験資格の詳細については、試験実施団体の受験案内をご覧ください。

物理学や化学の基本知識はある人

法令や性消は別として、好き・嫌いはあるかもしれませんが、多くの方が学生時代に物理学や化学を学習されているのではないでしょうか。専門的に学習されたことがない方であっても、乙種の試験で問われるレベルであれば、合格基準に達するまでそれほど時間はかからないと思われます。

なお、乙種合格後、甲種の受験を目指される方は、物理学・化学の科目が鬼門になる方が少なからずいらっしゃいます。乙種で問われる知識でしっかりと土台を固めてから甲種の試験に臨むことができれば、学習の負担も軽減されます。

物理学や化学の知識がまったくない人

学生時代に勉強した内容を忘れてしまっている方もいらっしゃると思いますが、学習をしていくうちに当時の記憶が徐々に甦ってくることもあるのではないでしょうか。

また、基礎的な物理学及び基礎的な化学の科目内容は、燃焼や消火に関する基礎的な理論が出題の50%を占めます。そのため学習しやすい単元から学習をすすめていくのもおすすめです。

丙種の試験以外は、難しさの差はあるものの物理学・化学の知識が問われます。すでに見た通り、この科目の正答率が60%以上なければ、合格基準に達することができません。

そのため、この科目を得意科目にする必要はありませんが、合格に向けて、最低限の準備をする必要はあります。

危険物取扱者の勉強時間の目安はどれくらいか

標準的な学習時間は、以下の通りです。
ただし、物理学及び化学の素養がある方は、より短期間で合格基準に達することが可能です。
反面、物理学及び化学に苦手意識がある方は、標準的な学習時間よりもやや時間がかかるおそれがあります。

法令と性消は、甲種、乙種、丙種の3種類でそれほど難しさに差はないため、物理学及び化学のアドバンテージの有無で大幅に勉強にかかる時間・合格のしやすさが左右されることになります。

また、乙種から甲種へステップアップを目指す方は、受験資格を取得した後、出来る限り早く甲種の受験に臨むことで、勉強時間を短縮することができます。
どうしても暗記要素が強い試験ですので、受験期間が空いてしまうと合格に必要となる知識が抜け落ちていきます。
是非とも知識が定着しているうちに、甲種を受験されることをおすすめします。

危険物取扱者の勉強時間の目安
甲種 乙種 丙種
70~80時間程度 40~60時間程度 20~30時間程度

まとめ

危険物取扱者試験の全体の合格率は40%程度で、決して難関資格というわけではありません。しかし、合格するためには、3科目それぞれに60%以上の正答率が要求されることを踏まえると、しっかりと試験対策をとらないと合格基準に到達できないおそれがあります。

よって、確実に合格を目指したい方、資格試験の学習に慣れていない方は、効率的な合格を目指すために、独学よりも通信講座で学習することをおすすめします。

危険物取扱者乙種4類コラム一覧へ戻る