行政書士試験の本番まで、いよいよ残り1週間となりました。この直前期をどのように過ごすかは、合否に大きく影響する可能性があります。これまで積み重ねてきた努力を最大限に発揮するためにも、残りの時間を有意義に活用し、万全の状態で試験当日を迎えたいものです。
この記事では、試験1週間前から当日までの具体的な過ごし方、メンタルの保ち方、そして体調管理について、フォーサイト専任講師の五十嵐先生と福澤先生の解説をもとに、Webライターが分かりやすくまとめました。不安な気持ちを抱えている方も、この記事を読んで、自信を持って最後の追い込みに臨みましょう。
残り1週間を有意義に!直前期(本日から前々日まで)の学習戦略

試験本番の1週間前から前々日(金曜日)までの期間は、残された時間を最大限に活用することが重要です。この時期に意識すべきことは主に3つあります。
まず1つ目は、問題演習を中心とした学習です。これまで培ってきた知識や解答能力の「勘」を鈍らせないために、問題に触れ続けることが大切です。新しい問題に手を出すよりも、むしろこれまで解いてきた問題集や過去問、模擬試験などを繰り返し解き、知識の定着と解答スピードの維持を図りましょう。
2つ目は、前日や当日に見直したい内容をメモにまとめることです。試験直前は、「あれもこれも確認したい」と焦りがちですが、時間は限られています。直前期の学習で見つけた弱点や、どうしても忘れたくない重要事項などを、簡潔にメモにまとめておくことをお勧めします。メモを作成しておくことで、当日、何を重点的に見直すべきかが明確になり、限られた時間を有効に使えます。
もちろん、必ずしもメモ形式である必要はありません。テキストや問題集に直接書き込んだり、付箋を貼ったりして、見直したい箇所を明確にしておく方法でも構いません。大切なのは、「直前に何を確認するか」を事前に決めておくことです。テキストや問題集が複数冊にわたる場合は、持ち運びが大変になる可能性もあるため、ご自身の学習スタイルに合わせて、最も効率的な方法を選びましょう。
3つ目は、試験時間180分間のシミュレーションを行うことです。多くの受験生が模擬試験などで時間配分の練習はしていると思いますが、この時期に改めて、本番を想定したシミュレーションを行うことが有効です。具体的には、問題を解く順番や、各分野にかける時間配分を再確認し、体に染み込ませます。180分という長丁場をどのようにマネジメントするかを具体的にイメージし、本番で焦らずスムーズに試験を進められるように準備しましょう。
試験前日にやるべきこと – 最終確認と準備

試験前日は、最後の確認と準備を行う日です。大きく分けて3つのポイントがあります。
1つ目は、直前メモ(または見直し箇所を明確にしたテキスト・問題集)の見直しです。前々日までに準備した「直前に見直すもの」を確認し、知識の最終チェックを行います。ただし、ここで新たな知識を詰め込もうとしたり、不安な箇所を深掘りしすぎたりするのは避けましょう。あくまで最終確認と割り切り、自信を持って本番に臨めるように精神状態を整えることを意識します。
2つ目は、持ち物の最終チェックです。受験票、筆記用具(鉛筆、シャープペンシル、消しゴムなど規定されたもの)、腕時計(時刻表示機能のみのもの)は必須です。予備の筆記用具や、必要な方は予備のマスクも準備しておくと安心です。マスクについては、会場での着用義務がない場合でも、持参しておくと状況に応じて対応できます。着用したい方は予備を含めて準備し、着用しない方も会場までの移動用に持っておくと良いでしょう。
持ち物チェックは、頭の中だけで行うのではなく、紙にリストアップして一つひとつ確認する方法が確実です。「合格必勝編」のようなチェックリストを活用するのも良いでしょう。忘れ物がないように、念入りに確認してください。
3つ目は、戦略の再確認です。行政書士試験は満点を取る必要はなく、180点以上で合格できる試験です。難しい問題に時間をかけすぎず、確実に得点できる問題を取りに行くという基本的な戦略を再確認しましょう。
試験当日の心構えと行動 – 落ち着いて実力を発揮するために

いよいよ試験当日です。当日は、試験開始までの過ごし方と、試験中の心構えが重要になります。
試験開始までの行動:余裕をもって会場へ
試験開始は13時ですが、起床時間や自宅の出発時間は、会場までの所要時間を考慮し、十分に余裕を持って設定しましょう。交通機関の遅延なども考慮に入れ、早めに会場に到着するように心がけます。早く着きすぎる分には問題ありませんが、遅刻は絶対に避けなければなりません。
会場に到着したら、まず自分の座席を確認します。その際、机や椅子にガタつきなどの不具合がないか必ずチェックしてください。もし不具合を見つけた場合は、遠慮なく試験監督員に申し出て、交換してもらいましょう。試験中の小さなストレスが集中力を削ぐ可能性があります。事前に解決できる問題は、試験開始前に解消しておくことが大切です。
また、お手洗いの場所を確認し、試験開始前に済ませておくなど、試験に集中できる環境を整えるための行動も計画的に行いましょう。
試験中の心構え:難問に固執せず、落ち着いて解き進める
試験が始まったら、まずは落ち着くことが何よりも大切です。緊張感が高いのは当然ですが、パニックに陥らないように意識しましょう。焦りは、問題文の読み間違いやマークミスといった、普段ならしないようなミスの原因となります。
具体的な心構えとして、以下の3点を意識しましょう。
1.難問・奇問は捨てる勇気を持つ
全ての受験生が解けないような難しい問題や、見たことのないような問題に遭遇することもあります。そのような問題に時間をかけすぎるのは得策ではありません。「これは難しい」と感じたら、一旦飛ばして次の問題に進む勇気を持ちましょう。プライドが邪魔をして、解けるまでこだわってしまう人もいますが、行政書士試験は180点で合格できる試験です。1問に5分も10分もかけて、結局解けなかったり、他の問題を解く時間がなくなったりする方が、はるかに大きな損失です。後で時間があれば戻ってくれば良い、という割り切りが重要です。難しい問題に固執せず、確実に得点できる問題を見極めて、時間を有効に使いましょう。
2.知識問題で必要以上に悩まない
明確な知識を問う問題で迷った場合、長時間悩み続けるのは避けましょう。ある程度考えても答えが出なければ、一旦、見切りをつけて先に進む判断も必要です。
3.記述式は「問いに答える」ことを意識して食らいつく
記述式問題は、部分点も期待できます。白紙で提出するのではなく、問われていることに真正面から答える姿勢で、持っている知識を総動員して解答を作成しましょう。諦めずに食らいつくことが大切です。
また、試験開始直後に、すぐに問題を解き始めるのではなく、1〜3分程度かけて問題用紙全体を眺めてみるのも、落ち着くための有効な方法です。「今年はこういう問題が出たのか」「この問題は後回しにしよう」など、全体像を把握することで、少し心に余裕が生まれ、冷静に試験に臨むことができます。
試験時間は3時間あります。泣いても笑っても、この時間で全てが決まります。培ってきた知識と集中力を総動員し、実力を最大限に発揮することだけを考えて、最後まで諦めずに頑張りましょう。
合格を引き寄せるメンタルの保ち方
試験直前期は、メンタル面の維持も非常に重要になります。ここまで来たら、「絶対に合格する」という強い信念を持つことが、何よりも大切です。
この時期、不安な気持ちになるのは、むしろ当然のことです。不安を感じるのは、それだけ一生懸命勉強し、この試験に真剣に向き合ってきた証拠であり、合格に近づいている証拠とも言えます。合格者を含め、多くの受験生が試験直前や試験当日まで不安を抱えています。「不安なのは自分だけではない」と考え、その不安に打ち勝つ強い気持ちを持ちましょう。前向きに、ポジティブな気持ちで試験に臨むことが大切です。
また、「試験を楽しむ」という気持ちを持つことも、メンタルを良好に保つ上で効果的です。せっかくここまで勉強してきたのですから、「緊張する」「不安だ」というネガティブな感情だけでなく、「どんな問題が出るのだろう」「自分の力を試せる機会だ」といったように、主体的に試験と向き合い、楽しむくらいの気持ちで臨んでみましょう。「絶対に合格してやる」という強い意志を持ちつつ、試験そのものを前向きに捉えることで、心身ともに良い状態で当日を迎えられるはずです。苦しい時こそ、楽しむ気持ちを忘れずにいてください。
万全の状態で臨むための体調管理術
試験で実力を100%発揮するためには、体調管理が不可欠です。残り1週間は、特に以下の3点に注意して、体調管理を徹底しましょう。
- 生活リズムを整える
不規則な生活は避け、試験本番の時間帯に頭が最も働くように、生活リズムを調整します。特に夜型の生活をしている人は、なるべく朝型の生活に切り替えるようにしましょう。試験は午後の時間帯ですが、午前中から頭をスッキリさせておくことが望ましいです。睡眠時間をしっかり確保し、規則正しい生活を心がけてください。 - 風邪・感染症対策を徹底する
試験直前に体調を崩してしまうと、本来の実力を発揮できなくなってしまいます。マスクの着用(必要な場合)、手洗い、うがいを徹底し、感染症予防に努めましょう。また、気温の変化に対応できるよう、服装にも注意が必要です。 - バランスの取れた栄養補給を心がける
体調維持のためには、バランスの取れた食事も大切です。特定の食品に偏らず、栄養バランスを考えた食事を心がけましょう。
もちろん、細心の注意を払っていても、寝不足になったり、風邪を引いてしまったりすることもあるかもしれません。もし体調を崩してしまった場合は、無理に勉強を続けようとせず、まずは休養を優先し、体調を回復させることに専念してください。試験当日までに回復し、全力を出せる状態にすることが最も重要です。たとえ数日間勉強できなかったとしても、それで合否が決まるわけではありません。これまで積み重ねてきた努力を信じ、焦らずに体調回復に努めましょう。
最後の1週間で合格を掴むために
残り1週間という時間は、決して短くありません。この期間に集中して勉強に取り組めば、合格の可能性をさらに高めることができます。行政書士試験は、勉強した分だけ合格率が上がる試験です。
最後の1週間は、しっかりと勉強時間を確保し、これまで学習してきたことの最終確認に注力しましょう。特に、暗記すべき基本的な事項(重要な条文や判例知識など)を再度確認し、知識を盤石なものにすることが重要です。新しいことに手を出すよりも、基本に立ち返り、確実に得点できる知識を固めることに時間を使いましょう。
ここまで頑張ってきた自分を信じ、残りの1週間、精一杯ベストを尽くしてください。皆さんの合格を心より応援しています。