不動産資格の難易度ランキング

家・ビル・土地などの不動産は、個人にとってはもちろんのこと、企業にとっても大切な財産です。社会情勢や景気の動向によって、それなりに人気や価格などに影響は受けますが決して「不要になる」ということはありません。不動産に関する資格は社会人に根強い人気があります。

不動産資格取得者が歓迎されるのは、不動産業界だけではありません。建築・金融・保険ほかの業界でも「不動産の知識」は必要とされます。不動産資格は、ダブル・トリプルで取得し、独立開業を狙うことも可能です。資格にはさまざまな種類があり難易度もかなり異なります。この記事では、代表的な不動産資格のランキングと、フォーサイトがおすすめする不動産資格をご紹介しましょう。

不動産に関する資格の種類は

ひとくちに、不動産資格といっても、さまざまな分野があります。また、不動産業界そのものの資格ではないものの、不動産知識が必要になる関連資格もあるのです。大きく分けると以下のような資格があります。

  • 不動産業を営む・不動産業者で働くためにはマストの資格
  • 不動産取引を行うために必要な資格
  • 不動産を鑑定する資格
  • マンション管理に関する資格
  • 不動産や資産のプランを立てることができる資格
  • 建築に関する資格
  • 室内や施設内の環境コーディネートに関する資格

など、多岐にわたっているのです。
また、国家資格・公的資格・民間資格に分かれ難易度も異なります。

いろいろな不動産の資格や不動産に関連する資格の難易度を、平均的な合格率と、「偏差値にするとどれくらいなのか」を調べてみました。
難易度の高い順番にご紹介しましょう!

司法書士

司法書士は、裁判所・検察局・法務局などに提出する書類の作成や、登記・供託などの手続きを行う仕事です。特に、不動産登記、会社の登記などの手続きや代行仕事の割合は多くなります。

合格率 3〜4%
偏差値 76(超難関)
受験資格 誰でも受験可能

税理士

税理士は、税務や会計業務を行います。税務署に申告・申請する税務代理、書類の作成、税務相談などを行うのが主な仕事です。不動産の購入に関する所得税や消費税、贈与に関する贈与税や不動産取得税、保有している際の固定資産税ほか、「不動産に関する税」を専門にする税理士もいます。

合格率 15〜20%
偏差値 75(超難関)
受験資格 司法試験合格者・日商簿記1級合格者ほかいくつか条件があり、1つでも満たせば受験可能

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、依頼者の「不動産を売りたい・貸したい」などの要望を聞き、それに応じて土地・家・建物などの価値を鑑定します。また、鑑定のみならず、土地の有効活用などのコンサルタント業務も行える資格です。

合格率 短答式試験:35%
論文式試験:14%
偏差値 74(超難関)
受験資格 誰でも受験可能

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業支援法に基づき、中小企業の経営状態を判断しアドバイスを行うのが主な仕事です。顧客となる中小企業の現状を踏まえつつ経営戦略を行うコンサルタントとして注目されています。組織・人事・財務・マーケティングなど、はば広い分野に精通できるため、企業の職種に関係なく歓迎される資格です。

合格率 15〜20%
偏差値 67(難関)
受験資格 誰でも受験可能

フォーサイトのおすすめ・中小企業診断士

中小企業診断士は、近年注目を集めている資格です。日本経済新聞が2016年に行った「ビジネスパーソンが新たに取得したい資格ランキング」では、人気No.1になりました。
中小企業診断士は、中小企業に対してさまざまな知識をもとに経営アドバイスを行う仕事です。資格を取得することで「マネジメント能力」のある人材としての証明になるため、企業内でキャリアアップのために取得する人もいます。また、経験を積んで独立する人も少なくありません。

中小企業診断士は、顧客である企業経営者の悩みや要望、問題点を聞き取り、その時の社会情勢を鑑みながら分析してアドバイスをするコンサルタント業です。コミュニケーションスキルも必要で、AIが代替えできない仕事といわれています。

2020年から始まった世界規模の感染病拡大は未だ終息のメドも立っていません。多くの店舗や企業が悪影響を受け経営の危機に陥っている今、この危機をいかに乗り切っていくか、はば広い知識をもとにアドバイスできる中小企業診断士に対するニーズはますます高まるでしょう。

社労士

社労士(社会保険労務士)は、健康保険・雇用保険・労災保険・厚生年金など、企業で働く人のために用意された制度の手続きを行う専門家です。企業の事業主の依頼に応じて、必要な書類を作成し提出代行を行うほか、就業規則や労務管理などに関するアドバイスも行います。労務管理が必要とされる不動産業界でも歓迎される資格です。

合格率 7%
偏差値 65(難関)
受験資格 学歴・実務経験・特定の試験合格など、いずれかの条件を満たしていることが必要

フォーサイトのおすすめ・社労士

2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経済・雇用・生活スタイルが大きく変化しました。そして、採用市場の事情も変わったのです。ここ数年は、人材不足による売り手市場となっていました。ところが、感染拡大の影響で経済が落ち込み、人員採用の取りやめや見合わせをする企業が増えたのです。さらにリモートワークを中心にすることでオフィスを縮小し、人員を削減するところもあります。

このかつてない規模の災禍で、注目されているのが企業の労務管理のプロ・社労士。人事雇用や労務対策、休業申請・助成金などの手続き、メンタルヘルス対策ほか、さまざまな手続きを行い、顧客である企業や経営者の相談にのる、頼りがいある社労士へのニーズは高まるでしょう。

行政書士

行政書士は、人々の生活や企業に密着した行政業務に携わる仕事をします。さまざまな書類の手続きを行い、人と官公署とのパイプ役を担う法律家です。扱う分野が非常にはば広炒め、自分の得意分野に絞って仕事をする行政書士も多く見られます。不動産物件調査の代行や不動産媒介解約書の作成支援などを専門に行う行政書士事務所もあります。

合格率 平均9.95%
偏差値 62(難関)
受験資格 誰でも受験可能

フォーサイトのおすすめ・行政書士

行政書士は、生活に関わるさまざまな法律的手続きを行うのが主な仕事です。ただし、その取り扱い範囲は非常に広く、自分の得意分野に特化するか仲間同士でネットワークを組んで仕事をする人は少なくありません。

そして、行政書士の最大のクライアントといわれているのが、中小企業。2020年から始まったコロナ禍の補助金や助成金に関わる書類の作成などは、行政書士が得意とする業務です。

経営や生活に困っているクライアントを手助けできるのが社会制度に精通している行政書士。そして本格的な超高齢者社会を迎えた今。不動産の相続・遺言書作成・相続手続き・任意売却などを得意とし、不動産の問題を客観的に判断し解決してくれる行政書士は、より需要が高まるでしょう。

建築士

建築士は、建築物の基本設計・実務設計、工事管理業務、手続き業務を行う仕事です。建築士は、1級建築士・2級建築士・木造建築士があります。1級建築士は一番難易度が高く、資格を取得すれば設計する建築物の種類も多くなるのが特徴です。2級建築士は住宅などの建築物が中心、木造建築士は木造住宅のみになります。

合格率(1級建築士) 学科試験:20%
製図試験:40%
総合10%
偏差値 66(難関)
受験資格 学歴か実務経験などの条件があり

マンション管理士

マンション管理士は、マンション管理組合を顧客とし、管理規約や管理組合の資金計画、長期修繕計画などに関してアドバイスを行います。また、住民同士のトラブルなど問題解決にも対応するマンション管理のコンサルタントです。

合格率(1級建築士) 8%
偏差値 62(難関)
受験資格 誰でも受験可能

フォーサイトのおすすめ・マンション管理士

マンション組合側(住民側)の立場で、さまざまな問題を解決に導き、住民の財産であるマンションを守るマンション管理士。新築・中古・老朽化など、マンションがどのような状態でも「管理」が不要になることはないので、マンション管理士の需要がなくなることはないでしょう。

さらに、管理業務主任者・宅建など「不動産三冠王」と呼ばれる資格も併せ持てば、より自分のスキルをアピールできます。国家資格の中では受験者に中高年齢が多いのは、組合のコンサルタントという仕事柄、コミュニケーションスキルがあり社会経験を数多く積んだ人物が求められるからです。

管理業務主任者

管理業務主任者は、マンション管理会社・不動産会社に所属します。マンション管理受託契約の重要事項の説明や、管理業務の状況の確認や報告を行うのが主な仕事です。マンション管理を行う会社は、必ず管理業務主任者を置くことが法律で決められています。

合格率(1級建築士) 22.5%
偏差値 58(普通)
受験資格 誰でも受験可能

フォーサイトのおすすめ・管理業務主任者

今や「10人に1人はマンションに住んでいる」といわれている時代です。マンションを管理する管理会社にとって、管理業務主任者の資格取得者はなくてはならない存在。最近は、不動産業界全体や不動産部門を持っている金融機関などがマンション管理業へと参入している時代です。そのため、管理業務主任者へのニーズはますます高まるといわれています。管理会社勤務となるため、転職をしやすいのもメリットです。

宅建士

宅建士は、不動産に関する国家資格の中でも群を抜いて人気の高い資格です。不動産業界の人のみならず、他業種の人・主婦・学生他いろいろな人が受験しています。宅建資格は、不動産取引を行うためには不可欠の資格で宅地建物取引業を行う企業では宅建の資格保有者が「5人に1人以上の割合」でおかなければならないというルールがあります。そのため、資格保有者は採用に有利になるのです。

合格率(1級建築士) 15.4%
偏差値 57(普通)
受験資格 誰でも受験可能

フォーサイトのおすすめ・宅建

老若男女が受験する人気の不動産資格・宅建。宅建資格は、不動産業界のみならず、不動産や関連する法律の知識を必要とする、金融機関・保険業界・建築会社などでも歓迎される資格です。宅建資格を取得することで一定水準の知識を所有していることの証明になるため、転職やキャリアアップを考えている人は事前に取得することをお勧めします。また、「宅建は法律系資格の登竜門」でもあるので、この資格をステップにほかの法律系資格などを取得するのもいいでしょう。

不動産コンサルティングマスター

不動産コンサルティングマスターは、不動産に関するコンサルティング業務を行える知識・スキル・実務経験を有していると認定されます。法律・経済・金融・建築・税制など不動産に関わるはば広い知識と実務の持ち主としてはば広い活躍ができます。

合格率 50%
偏差値 53(普通)
受験資格 宅建資格登録者・不動産鑑定士資格登録者・一級建築士資格登録者で、業務に従事しているかこれから従事する人

宅建マイスター

宅建マイスターとは、宅建士の最高峰といわれる資格です。不動産取引のリスクを予見し、緻密で丁寧な調査を行い、契約書などに反映して安全な不動産取引を成立させます。宅建士の知識にプラス、顧客の立場に立ち論理的思考や知識として認められる資格です。

合格率 44%
偏差値 53(普通)
受験資格 宅建士資格取得後5年以上の実務経験の持ち主、不動産流通実務検定スコアで600点以上獲得している人

FP

FP(ファイナンシャルプランニング技能士)は、顧客の人生設計に基づき、資産・不動産・貯蓄・相続などあらゆる方面から多角的にマネープランを立案してアドバイスをする仕事です。この資格は、不動産・税務・保険・証券・銀行などの業界で歓迎されます。

合格率 1級:11%
2級:40%
3級:70%
偏差値 1級:58(普通)
2級:48(簡単)
3級:37(超簡単)
受験資格 1級:FP2級合格者で実務経験者ほか条件あり
2級:FP3級合格者、実務経験者ほか条件あり
3級:受験資格なし

フォーサイトのおすすめ・FP

FPは、家計管理・子どもの教育資金・老後の生活設計・資産運用・不動産・税金・保険・相続など、人生で関わってくるお金の問題に関して専門知識を身に付けることができます。この知識は、いろいろな業界で歓迎されるだけではありません。

最近は、コロナ感染拡大でライフスタイルや働き方が大きく変化したため、将来的にさまざまな不安が目白押しです。そのため、「どのような生活設計を立てれば安心して暮らしていけるか」を相談できるFPは注目されているのです。

実際、就職・転職・キャリアアップのためだけではなく、自分や家族の将来設計を立てるためにFP資格を取得する中高年齢層も増えています。FPは、企業で働く人が多いのですが、関連する宅建・行政書士などの資格を取得し独立することもできます。

インテリアコーディネーター

インテリアコーディネーターは、若い女性に人気の高い資格です。住宅や施設の内装全体をトータルコーディネートする仕事で、インテリアのセンスはもちろんのこと、内装材や照明器具・家具・インテリア雑貨などの商品知識も必要になります。住宅メーカーからインテリア販売店まではば広く活躍する場所がある資格です。

合格率 24%
偏差値 53(普通)
受験資格 誰でも受験可能
(ただし2次試験を受験する場合は、1時試験に合格している必要あり)

フォーサイトのおすすめ・インテリアコーディネーター

「外」よりも「家」で楽しく過ごすことがトレンドとなっていた2019年。さらに2020年になり、コロナ禍の自粛生活が後押しし「家」という空間作りにより注目が集まっています。

また、高齢者が安全に過ごせる部屋や、ペットと暮らせる部屋、仕事部屋がある家、中古マンションをリノベーションでオシャレに……など、家という空間に対する要望も細分化しています。居心地のいい家や部屋作りに対する要望は今後も需要が増えていくでしょう。

インテリアのセンスがいい、インテリアの知識がある、コミュニケーション能力が高いなど、スキルの高いインテリアコーディネーターへのニーズは高まることが考えられます。

不動産関係の資格を取得し自分のスキルアップをはかろう!

2020年は、今までと比べると働き方が大きく変化した現代。自分のスキルを上げて「需要のある人材」になることが大切です。不動産業界はもちろんのこと、建築・金融・保険ほかの業界でもニーズのある不動産関連の資格を取得してみましょう!仕事内容が関連する資格を、ダブル・トリプルで取得し、知識を深めれば、より強い武器になります。

「フォーサイトのおすすめ」でご紹介した資格は、当社で通信講座があり、多くの合格者を輩出している資格です。社会人でも働きながら効率よく勉強すれば、合格を目指すことができる資格ばかり。ぜひ、挑戦してくださいね。