実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 河本英史さん

社会保険労務士   河本英史 さん

1970年神奈川県生まれ。多摩大学経営情報学部を1994年に卒業後、主に中小企業の経営者向けに情報提供サービスを展開する会社に入社。営業経験を経て、社会保険労務士を目指して退職。社労士事務所に入所し、仕事の傍ら受験勉強を続け1996年に合格。一旦、社労士業からは離れ、日立関連企業のSEとなりシステム開発 に約6年間携る。その後、神奈川県内の社会保険労務士事務所に入所し、実務キャリアを積んだ後2005年11月に独立開業。T&Kマネジメントオフィスのシニアマネージャーに就任し、現在に至る。

河本英史さんがシニアマネージャーを務める、社会保険労務士事務所「T&Kマネジメントオフィス」のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.sr-tk.jp


資格を取得後、一般企業へ就職
身を持って経験値を上げた人事労務の専門家

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、社会保険労務士の河本英史さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


私がシニアマネージャーを務めるT&Kマネジメントオフィスでは、人事労務の相談をメインにしています。もちろん、労働保険・社会保険手続き、労務管理コンサルティング、就業規則の作成、給与・賞与計算他、社労士事務所としての一般業務も行っております。また、当事務所では、最近企業向けの教育研修やセミナーの開催に力を入れ始めておりますが、私が手掛けているのは、もっぱら人事労務の相談案件が中心です。 クライアントは新宿近辺をはじめ東京・神奈川の企業の方が多いですね。


河本さんのオフィスは新宿御苑から徒歩2分ほど

河本さんのオフィスは新宿御苑から徒歩2分ほど


資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


大学卒業後、入社した会社が肌に合わなかったというのが最大の要因ですね(苦笑)。当然、ただ辞めるわけにもいかないので大儀名分を探していた時、ふと“社会保険労務士”という職業に出会いました。労働基準法についての知識を深める中で、「法律を知ることで、自分の身を守ることが出来る」ということに気付いたのも、理由のひとつだと思います。そこで、「社労士になろう」と思い立ち、退職しました。1回目の受験ではあえなく不合格でしたが、都内の社労士事務所に勤務しながら勉強を続け、2回目のチャレンジでなんとか合格しました。


2度目のチャレンジで合格

2度目のチャレンジで合格


資格取得後、どのようにお仕事を進めたのでしょうか?


私は社労士としては、イレギュラーな存在かもしれません。一度会社員を辞め、社労士の資格を取得しながらも、また、一般企業に就職したわけですから。2回目の試験で合格した後、色々と考えたのですが、すぐに社労士として業を行うには社会人としてあまりに無知で経験不足と感じたので、改めて社会経験を積もうと考え、先程お話した日立関連のシステム開発企業に就職しました。そこでは幸い上司に恵まれ、仕事の段取りや進め方を教えて頂き、また偶然ですが社会保険や生命保険のシステム構築に携わることができやので、社労士の勉強をしたことが意外と役立ちました。システム開発を続けるうちにSEの難しさや楽しさが分かり始めてきましたが、「やはり、社労士として独立を」という気持ちが強まったので、地元神奈川県内の社労士事務所に転職しました。そこでは約4年弱でしたが、実務経験を積み重ね、ある程度のノウハウを得ました。そして2005年11月に勉強会仲間とパートナーシップを結んだ上で、独立開業しました。


お仕事の際に気をつけていることとは何でしょうか?


コンプライアンスには最大限、気を配るようにしています。社労士という肩書きを持ち、看板に掲げている以上、法令及び職業倫理を守るのは当然ですよね。ですから、本当に基本的なことですが、法に則った上で、お客様に出来る限りのご提案をするように心がけています。私はいわゆる、“商売”が上手な方ではないと思います。譲れない一線はきちんと守った上でお客様に対して、誠実に対応するように心掛けております。


コンプライアンスには最大限の配慮をするという河本さん

コンプライアンスには最大限の配慮をするという河本さん


お仕事に必要なスキルは何だと思われますか?


コミュニケーション能力が大事だと思います。それは何よりも人に好かれる能力であり、サービス業であれば、どの仕事にも通じることかもしれません。社労士である私自身、実践できているかどうかは置いといて、とにかく人に好かれることが重要だと思います。勿論だからといって、八方美人になればいいという意味ではありません。人に好かれるように心がけ、ひたむきに仕事をすることで、お客様をはじめ周りの方々からの支援を頂き、その結果、キャリアアップしていくのだと思います。


河本さんの趣味は家庭菜園。今後、サトイモの種芋を育てる

河本さんの趣味は家庭菜園。今後、サトイモの種芋を育てる


今後の予定、夢を教えてください


自分よりも年齢が若い人達と仕事をする機会を増やしていきたいと思います。私は現在、年長者と仕事をすることが多く、上の世代から恩恵を受けています。仕事を共にするパートナーや支部の先輩方が引きあげてくれたので、今の私があります。 将来は、私自身が受けた御恩を「送る」という形で、独立したばかりの下の世代に引き継いでいきたいと思いますね。


まずは、合格するために最善の努力をしてください。試験当日に最大限の力を発揮するためには、日頃の勉強だけではなく自己のマネジメントも大事です。体調管理も含めて、コンディションを整えた上で試験に臨んでほしいと思います。自分が描く夢のスタートラインに立つために、この社労士試験に合格することが必要であるなら、今の自分に出来る、最大限の努力をしてほしいですね。きっと、結果がついてくることと思います。


社会保険労務士   河本英史 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
5:30 起床 朝食、通勤
7:00 出社 メールチェック、事務作業
9:00 外出 都内ハローワークへ
10:00 外出 都内健康保険組合へ
11:00 外出 都内クライアント訪問
12:30 帰社 事務作業
13:00 休憩 昼食
14:00 社内 事務作業
17:00 外出 地元クライアント訪問
19:00 帰宅 その後、夕食等
24:00 就寝