社労士試験の難易度や他資格との比較

社労士試験の難易度や他資格との比較

社労士試験の受験生であれば、「もう何年も挑戦しているのに、なかなか合格できない」という方も多いのではないでしょうか。それもそのはずで、社労士試験の合格率は例年一桁台の実に狭き門であり、その難易度の高さが特徴と言っても過言ではありません。

このページでは、絶対に合格を掴みとりたい社労士試験対策に活かすべく難易度の高さを考察すると共に、他資格との比較の中で社労士試験の難易度の状況を把握することにしましょう。

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目次

社労士試験は、難易度の理由を踏まえた対策が必須

ただ漠然と「社労士は難易度の高い資格だ」と考え、必要以上に身構えていれば、合格に向けて前向きに学習に取り組むことは難しくなります。

確かに、社労士試験は毎年合格率が低く、難易度の高い試験です。しかしながら、社労士試験がなぜ難しいかを正しく把握していることで、一層対策が立てやすくなります。

社労士試験の難易度の理由① 膨大な試験範囲

社労士試験の難易度を押し上げている要因のひとつといえば、ずばり「出題範囲の広さ」でしょう。
合格基準をクリアするためには、労働・社会保険関係の主要8法令に加え、一般常識としてさらに多岐に渡る関連法令や白書、各種統計最新の動向についての習熟が求められます。

一方で、社労士試験の出題には例年傾向があり、特に択一式では出題傾向が比較的顕著となっています。よって、択一式対策においては出題傾向を踏まえた対策さえ講じることができれば、幅広い試験範囲も効率良く学ぶことができるというわけです。この点においては、資格予備校の社労士対策講座の活用が有効であると考えて良いでしょう。

社労士試験の難易度の理由② 出題予測が困難な選択式

一方で、膨大な試験範囲の中から特定のテーマに出題が限定され、わずか5問のうち3問に正答しなければならない選択式では、択一式以上に対策が困難となります。

択一式のように過去の傾向から出題を予測することが難しいため、選択式対策に特に頭を悩ませる受験生は少なくありません。

選択式で確実に得点するためには、択一式対策を通じて試験範囲をまんべんなく網羅することはもちろん、過去問対策、業界で話題となっているテーマに関わる理解が重要です。

社労士試験の難易度の理由③ 変動する合格基準

すでに他のページで解説した通り、社労士試験では科目ごと、選択式・択一式それぞれの総合得点に基準点が設定され、これらをクリアできなければ合格できません。

受験生であれば、まずこうした二重の合格基準に頭を悩ませることになります。
その上、社労士試験は相対評価のため、基準自体が変動する可能性があるという点も、社労士の難易度の所以とされています。

例年の基準がないため、去年なら合格できていた点数でも、今年は合格基準が上がって不合格になってしまうこともあります。

社労士試験と他の資格と難易度を比較

これから何らかの資格に挑戦したいと考え、その選択肢のひとつに「社労士資格」がある場合、他資格との比較の中で難易度を把握し、最終的な目標を定めるケースもあると思います。もちろん、試験の内容や形式が異なる以上、難易度を単純に比較することは困難です。ここでは、試験科目や合格率の比較から、社労士試験との難易度の差をみていくことにしましょう。

社労士試験との難易度比較 vs 宅建

従来の宅地建物取引主任者は、2014年6月に現在の宅地建物取引士となり、法改正当時は「宅建が士業の仲間入りをした」とずいぶん話題になりました。宅建の士業化を受けて変わったこととして、「業務の高度化」や「試験の難化」が挙げられ、宅建は確実にその地位を高めています。

宅建士と同じく、士業のひとつである社労士との比較を、試験の難易度の観点から考えます。

社労士 宅建
試験科目 *労働基準法
*労働安全衛生法
*労働者災害補償保険法
*雇用保険法
*労働保険の保険料の徴収等に関する法律
*労務管理その他の労働に関する一般常識
*社会保険に関する一般常識
*健康保険法
*厚生年金保険法
*国民年金法
*宅建業法
*民法
*借地借家法
*不動産登記法
*法令上の制限
・国土利用計画法
・都市計画法
・建築基準法
・農地法
*税・その他
出題数 選択式8問、択一式70問 択一式で50問
試験時間 午前80分、午後210分 120分
合格基準 相対評価 相対評価
合格率 6~7% 15~17%

社労士と宅建の試験のボリュームや合格率から見れば、難易度的には社労士に軍配が上がると考えて良さそうです。ただし、社労士と宅建はそれぞれに異なる分野の専門資格であるため、資格取得後のキャリアについて十分に検討した上で、適切な目標設定を行えるのが理想です。

社労士試験との難易度比較 vs 行政書士

社労士との難易度比較で、しばしば引き合いに出されるのが「行政書士」です。社労士と行政書士、いずれも士業資格であることに加え、科目や内容をみても法律初学者にとっての登竜門的な位置付けであることから、特に「これ!」というこだわりはなくともどちらかの資格取得を目標にしたい方は少なくありません。

社労士 行政書士
試験科目 *労働基準法
*労働安全衛生法
*労働者災害補償保険法
*雇用保険法
*労働保険の保険料の徴収等に関する法律
*労務管理その他の労働に関する一般常識
*社会保険に関する一般常識
*健康保険法
*厚生年金保険法
*国民年金法
*憲法
*行政法
・一般的法理論・統合
・行政手続法
・行政不服審査法
・行政事件訴訟法
・国家賠償法・損失補償
・地方自治法
*民法
*商法・会社法
*基礎法学
*行政書士の業務に関する一般知識
 ・政治、経済、社会
 ・情報通信・個人情報保護
 ・文章理解
出題数 選択式8問、択一式70問 択一式・記述式で合わせて60問
試験時間 午前80分、午後210分 180分
合格基準 相対評価 絶対評価
合格率 6~7% 10%前後

社労士と行政書士の難易度を出題内容や合格率の観点から比較すると、一般的には概ね同程度のレベルであると考えられています。ただし、上記の通り試験概要に違いがあるため、体感的な難易度は受験生個々に違いがあります。

例えば、出題数や合格率に注目すれば「行政書士の方が合格しやすそうだ」と考えがちになりますが、行政書士試験には記述式の難しさがあるため、注意が必要です。社労士と行政書士、どちらの試験を受験するかは、実際の出題や試験科目を見て判断するのが得策と言えましょう。

社労士試験との難易度比較 vs 簿記1級

簿記資格の最難関といえば、やはり1級。日商簿記には3級から1級までありますが、最上級試験に合格することで専門的な知識の証明となりますし、税理士や公認会計士へのステップにもつながります。

それぞれの試験が大きく異なる内容を問うもののため、「社労士と簿記1級のどちらを受験しようか」と悩む方は少ないでしょうが、難易度比較のために各試験の概要をまとめておきます。

社労士 簿記1級
試験科目 *労働基準法
*労働安全衛生法
*労働者災害補償保険法
*雇用保険法
*労働保険の保険料の徴収等に関する法律
*労務管理その他の労働に関する一般常識
*社会保険に関する一般常識
*健康保険法
*厚生年金保険法
*国民年金法
*商業簿記
*会計学
*工業簿記
*原価計算
出題数 選択式8問、択一式70問 大問7問
試験時間 午前80分、午後210分 商業簿記・会計学 90分
工業簿記・原価計算90分
合格基準 相対評価 絶対評価
合格率 6~7% 平均10%ほど
(各回で大きな変動あり)

試験時間や問題数、合格率を見る限りでは、簿記1級の方が社労士よりも合格を目指しやすいのではないかと感じるかもしれません。
しかしながら、簿記1級は3級、2級の延長上にあることから、緩やかな受験資格さえ満たせれば挑戦できる社労士試験よりも、受験生のレベル水準は高いと見ることができそうです。

こうした観点から改めて簿記1級と社労士の合格率を比較すると、両者の難易度は概ね同レベルと捉えられます。

社労士試験との難易度比較 vs 中小企業診断士

社労士と中小企業診断士は、しばしば比較対象となる資格同士です。社労士も中小企業診断士も共に企業支援が業務の中心となりますが、専門とする分野が異なります。ダブルライセンスによって双方の業務へのメリットが期待できるため、両方の資格に挑戦する方も少なくありません。

中小企業診断士と社労士それぞれの難易度についてみていきましょう。

社労士 中小企業診断士
試験科目 *労働基準法
*労働安全衛生法
*労働者災害補償保険法
*雇用保険法
*労働保険の保険料の徴収等に関する法律
*労務管理その他の労働に関する一般常識
*社会保険に関する一般常識
*健康保険法
*厚生年金保険法
*国民年金法
一次試験
*経済学・経済政策
*財務・会計
*企業経営理論
*運営管理
*経営法務
*経営情報システム
*中小企業経営・政策
二次試験
筆記試験
*事例Ⅰ(組織・人事)
*事例Ⅱ(マーケティング・流通)
*事例Ⅲ(生産・技術)
*事例Ⅳ(財務・会計)
口述試験
*事例Ⅰ〜Ⅳから出題
出題数 選択式8問、択一式70問 一次試験:227問
(年度ごとに変動あり)
二次試験:4事例+口述試験
試験時間 午前80分、午後210分 一次試験
1日目300分
2日目210分
二次試験
320分+口述10分
合格基準 相対評価 原則絶対評価(ただし調整あり)
合格率 6~7% 一次試験、二次試験それぞれ概ね20%前後

中小企業診断士試験は、2日間の一次試験、さらに二次試験となるため、一日で完結する社労士試験以上に苦労を伴うイメージです。
ただし、2006年から中小企業診断士試験には科目合格制度が設けられており、一次試験は実質3年間で7科目合格できれば良いと捉えることができるようになりました。

ただし、中小企業診断士試験の内容は社労士試験以上に応用・発展力が問われるため、その点では社労士試験以上に難易度に注意する必要がありそうです。

まとめ

  • 社労士試験について、漠然と「難易度の高い試験」と捉えることは前向きな対策の妨げとなることがあり、難易度を正しく分析した上で学習法を検討することが大切です
  • 社労士試験の難易度の高さの要因として、主に「膨大な試験範囲」「出題予測が難しい選択式」「変動する合格基準」が挙げられます
  • 他資格と社労士の難易度比較をする上では、それぞれの試験範囲や内容、出題数、試験時間、合格基準、合格率などの指標を総合的に考慮するのが得策です
  • 他資格と社労士試験のどちらを受験するかの決断は、単に難易度の違いだけではなく、資格取得後のキャリア形成を念頭に置いた検討が功を奏します