社労士試験の免除を解説!免除科目は?公務員は?点数は?

社労士試験の免除を解説!免除科目は?公務員は?点数は?

社労士試験の免除を解説!科目は?公務員は?点数は?

社労士試験には科目免除制度があります。対象は公務員が中心であり非常に限定的ですが、税理士試験のような「科目合格」のない社会保険労務士試験においては比較的重要な制度といえます。

科目免除というと、圧倒的に受験を有利にする制度と思われがちですが、実際の試験における科目免除者の点数換算を考慮すると必ずしもそうとは言えないようです。このページでは、社会保険労務士の科目免除の概要と手続き、科目免除の場合の点数の考え方を中心に解説します。

目次

意外と幅広い、「実務経験」による社労士試験の科目免除

社労士試験の科目免除は、所定の「実務経験」などを有する方を対象に、受験者本人からの申請によって行われます。ひと口に「実務経験」といっても社労士試験の科目免除対象として認められる経験は多岐に渡ります。

また、所定の実務経験を有することに加えて、「科目免除講習」を修了することによって科目免除を申請できる場合もあります。社労士の科目免除について、さっそく具体的な対象を確認しましょう。

所定の実務経験+「科目免除講習修了」による免除

次のいずれかに該当する方で、労働社会保険法令事務の従事期間が通算して15年以上(または近い将来その期間に該当する見込み)となる場合には、実務経験に加え、科目免除講習を修了することによって、社労士試験の科目免除を申請できます。

  1. 社労士事務所または社会保険労務士法人事務所の補助者
  2. 健康保険組合・厚生年金基金・労働保険事務組合等の指定団体の役員または従業者

※2.に該当する方で、「公務員等としての実務経験による免除」の対象となる方は、科目免除講習の修了科目とは別に、指定された科目免除を受けることができます。

社労士試験の「科目免除講習」とは?

15年以上の実務経験を有する者を対象とした社労士試験の科目免除講習は、社労士試験科目のうち、労災法、雇用保険法、徴収法、厚生年金保険法、国民年金法、一般常識のいずれか希望する科目について受講できます。

講習の内容は、6ヵ月間の「通信指導」と18時間の「面接指導」、そして40~50分の修了試験です。受講費用は1科目につき45,000円で、例年8月から9月初旬にかけて受け付けています。科目免除講習の修了によって、最大4科目の免除申請が可能です。

参考:全国社会保険労務士会連合会「免除指定講習」

公務員等としての実務経験による免除

公務員等として労働社会保険法令に関する施行事務に従事した経験のある方は、実務経験のみで社労士試験の科目免除を申請できます。対象と免除科目の一例は下記の通りですが、具体的な免除対象は非常に細かく定められており、「試験科目の一部免除資格者一覧」より確認する必要があります。

  • 国家公務員として労働基準法、労働者災害補償保険法又は労働安全衛生法の施行事務に従事した期間が通算して 10年以上になる者
    ⇒ 労基法と安衛法の免除対象
  • 労働保険事務組合の役員(非常勤の者を除く)または職員として労働保険事務に従事した期間が通算して10年以上になる者
    ⇒ 徴収法の免除対象
  • 国又は地方公共団体の公務員として国民年金法の施行事務に従事した期間が通算して10年以上になる者
    ⇒ 国民年金法の免除対象

参考:全国社会保険労務士会連合会「試験科目の一部免除資格者一覧」

社労士試験で免除を受けるための手続き

社労士試験で免除を受けるための手続き

社労士試験で科目免除を受けるためには、受験申込時に「社会保険労務士試験 試験科目免除申請書」の所定箇所を記入して申請します。免除申請書は受験申込書と同一の用紙となっているため、特別に取り寄せる必要はありません。科目免除の申請に伴い、免除資格を証明する書類(実務経験証明書等)の添付が必要です。なお、実務経験で受験資格を得る場合には、同一の内容であっても受験資格証明用と免除資格証明用にそれぞれ証明書が必要となる点に注意が必要です(計2部)。

社労士試験は免除対象者が有利?

実際のところ、科目免除された受験生は、社労士試験合格にどの程度有利なのでしょうか?まずは指標の一つとして、一般受験者と科目免除者の「合格率」の比較から考えてみます。

第49回(2017年度)試験結果
一般 科目免除者
受験者数 37,691人 994人
合格者数 2,509人 104人
合格率 6.6% 10.4%

参考:厚生労働省「第49回社会保険労務士試験の合格者発表」

もっとも、科目免除者は相当の実務経験と知識を有することが前提ですから、上記の比較から単純に「科目数が減るから合格率が高い」と結論付けることはできません。むしろ、「科目免除を受けても合格率は通常の1.57倍程度」と捉えることもできそうです。

社労士試験の科目免除、点数はどうなる?

社労士試験の科目免除を受けた場合の点数は、各年度の合格基準点を元に算出されます。第49回(2017年度)試験の合格基準から、科目免除者の点数の考え方を確認しましょう。

(1) 選択式試験

24点(合格基準点)/40点(満点)× 5点(各科目の満点)= 3.00
免除1科目につき3.0点を加算する

(2) 択一式試験

45点(合格基準点)/70点(満点) × 10点(各科目の満点)= 6.43点
免除1科目につき6.4点を加算する
※ただし、労災法及び雇用保険法は4.5点(7点満点)、徴収法は労災・雇用の各配点分の合計で3.8点(6点満点)とする

参考:厚生労働省「第49回(平成29年度)社会保険労務士試験の合格基準について」


免除を受けた科目については満点扱いではなく、合格基準を元に点数が算出されます。つまり、該当科目について、普通に受験した方が高得点を狙える可能性は十分にあるのです。

社労士試験の科目免除、税理士は?

社労士試験の科目免除、税理士は?

社労士試験では、特定の資格を有していることで科目免除を受けられる制度はありません。受験生の間では、なぜか「税理士資格をもっていると社労士試験は有利」と思われている節があるようですが、現状、これといって特別な制度は見当たりません。

ただし、「税理士となる資格を有する者」は、社労士試験の受験資格を満たします。この場合、税理士として活躍している方はもちろん、税理士試験の合格者であっても登録していない方などが幅広く含まれます。

社労士試験の科目免除、衛生管理者は?

社労士試験の科目免除、衛生管理者は?

衛生管理者とは、事業場の衛生全般の管理に携わるための国家資格です。労働安全衛生法上、従業員規模50名以上の事業場では衛生管理者を選任し、労働者の健康障害や労災の発生防止に努めなければなりません。

衛生管理者であれば、社労士試験科目である労基法・安衛法の知識を十分に有しているものと考えられます。しかしながら、衛生管理者の資格を有していることで、社労士試験の科目免除を受けられる制度はありません。また、衛生管理者資格は、社労士試験の受験資格としても認められませんので、注意が必要です。

科目合格がなく、一度の試験で全試験科目の合格基準を満たす必要のある社労士試験では、科目免除制度の活用によって、試験当日の負担を軽減することができます。しかしながら、本試験に反映される免除科目の点数を鑑みれば、あえて科目免除を使わずに受験した方が良い場合もあることを忘れていけません。

合格を目指す上で科目免除を活かすのが良いかどうか、科目対象者には慎重な見極めが求められます。