証券外務員の次に狙う資格は?一種・内部管理責任者・ダブルライセンスの考え方

証券外務員に合格すると、次に何を狙うかを考えたくなります。勉強の習慣が残っているうちに動くのは理にかなっていますが、資格名から入ると決められません。候補として挙がる名前の中には、そもそも個人では申し込めない試験が混ざっているからです。この記事では、候補を「自分で申し込める」「所属先を通す」「協会の外」の3つの棚に分けたうえで、二種で未所属・二種で所属あり・一種取得済みという立ち位置ごとに、いま打てる手を整理します。協会の規則が定める受験資格も条文から確認します。
なお、本記事は「証券外務員の試験ガイド」の一部です。試験や資格の基本情報から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。
「次の資格」の候補は3つの棚に分かれる
「自分で申し込める」「所属先を通す」「協会の外」に分ける
次の資格を考えるときは、資格名を並べる前に候補を3つの棚に分けてください。
棚が違うと、自分の意思で決められる範囲が変わります。名前を横並びにすると、この違いが見えなくなります。
日本証券業協会の「外務員等資格試験に関する規則」第3条が定める試験は6種類です。一種外務員資格試験、二種外務員資格試験、会員内部管理責任者資格試験、特別会員一種外務員資格試験、特別会員二種外務員資格試験、特別会員内部管理責任者資格試験。このうち個人が自分の意思で申し込めるのは一種と二種で、残りは所属先が試験を受けさせる必要があると認めた人が対象になります。ファイナンシャルプランナーのように協会の外にある資格は、制度そのものが別の団体によって作られています。試験の種類と資格の位置づけは「証券外務員とは」で扱っています。
棚が違うと、いま決められることも変わる
仕分けの実益は、いま決められることと決められないことがはっきりする点にあります。
自分で申し込める棚なら、今日から受験日を決められます。所属先を通す棚は、要件を満たしたうえで勤め先の判断を待つ資格なので、いま計画に入れても着手できません。協会の外の棚は制度が別なので、受験の要件や登録の要否をその団体の情報で確かめないと、学習量も費用も見積もれません。
いま手を動かせるのは、自分で申し込める棚だけです。この記事では、この棚の分け方をそのまま候補の絞り込みに使います。順番を取り違えないために、最初にこの仕分けをしておきます。

いま打てる手は、自分の立ち位置で決まる
二種に合格し、まだ金融機関に所属していない場合
学生の方や、金融とは別の仕事をしていて二種を取った方の場合、選べるのは一種か、協会の外の資格です。
所属先を通す試験は、勤め先が試験を受けさせる必要があると認めた人が対象になるので、どこにも所属していない段階では対象になりません。
この立ち位置では、外務員登録も受けていません。協会は「外務員資格を持っているだけでは、外務員として活動することはできません。」としています。登録していない人は更新研修の対象にもならず、協会は「現在、協会員に所属していない方は、受講対象者ではありません(外務員資格が取り消されることはありません)。」としています。
維持のための手続きは発生していません。次の一手は、一種か協会の外の資格に絞られます。
二種に合格し、協会員に所属している場合
金融機関に勤めていて二種を取った方の場合、現実的な次の一手は一種です。
出題科目が重なっていて学習が積み増しで済み、職務の範囲が広がる方向にも直結するためです。
協会は一種外務員資格を二種外務員資格の上級資格に位置づけており、「二種外務員資格で行うことのできる外務員の職務に加え、信用取引、デリバティブ取引を含めたすべての有価証券に係る外務員の職務を行うことができます」と説明しています。会員内部管理責任者は、その先にあります。
一種を先に置き、内部管理責任者は所属先の判断が出た段階で考える。この順序になります。
一種を持っている場合
一種をお持ちの方の場合、協会の中に自分で申し込める次の試験はありません。一種は協会が上級資格と位置づけているもので、その先にある会員内部管理責任者は所属先を通す試験になります。
協会員に所属していて内部管理を担う立場に進むなら、会員内部管理責任者が視野に入ります。そうでなければ、次の候補は協会の外にある資格になります。
一種取得後は「所属先を通す試験に進むか、協会の外に出るか」の分岐です。ここで棚の考え方が効いてきます。

一種がまだなら、次の一手はここになる
制度は取得の順序を求めていない
二種に合格していなくても一種は受けられますし、二種のあとに一種を受けることもできます。
規則第4条が定める一種・二種の受験資格に、種別の取得順序を求める条項が置かれていないためです。
置かれている要件は、不都合行為者として取り扱われていないことと、不正受験などにより試験を受けられないこととされていないことの2点だけです。年齢・学歴・実務経験の要件もありません。
順序は制度の問題ではなく、学習量と費用、それに所属先の要件から決める選択の問題になります。どちらを受けるかの判断材料は「一種と二種の選び方」にそろえてあります。
共通科目の記憶が残っているうちが軽い
二種の学習が終わった直後は、一種にとりかかるのがいちばん軽いタイミングです。
協会の出題科目表で見ると、一種に加わるのは商品業務の「デリバティブ取引」1科目で、残りの科目は二種と共通だからです。
ただし同じ科目でも問われ方が変わります。一種では「実務的、専門的知識」が、二種では「基礎的知識」が問われます。フォーサイトが示す標準学習期間では、二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間です。倍にはなりません。科目ごとの内訳と配点は「証券外務員試験の出題科目と配点」、学習時間の置き方は「証券外務員の勉強時間とスケジュール」で扱っています。
共通科目を覚え直す手間が小さいうちに動くほど、積み増しの量は小さくなります。
後から足すと、受講料は二重にかかる
費用の面でも、まとめて取るほうが総額は小さくなります。
フォーサイトの証券外務員講座は二種と一種+二種の2コースで、一種単体の講座がないためです。2027年試験対策からは各コースに、教材をすべてeラーニングで受け取るデジタルプランが加わり、受講料の選択肢は4つになっています。
通常のプランで後から足す場合は、二種スピード合格講座(9,800円)を受講したあとに一種+二種スピード合格講座(14,800円)を改めて受講することになり、受講料は合計24,600円です。最初から一種+二種を選べば14,800円で済みます。
デジタルプランを挟むと総額は下がります。通常のプランの二種(9,800円)のあとにデジタルプラン(一種+二種)9,800円を足すなら合計19,600円、デジタルプラン(二種)7,980円から足すなら合計17,780円です。最初からデジタルプラン(一種+二種)を選べば9,800円で済みます(いずれも税込・2027年試験対策)。受験手数料は、これとは別に受験する回数分かかります。1回13,860円(税込)です。
一種まで視野にあるなら、二種に合格したあとではなく申し込みの段階で決めておくほうが軽く済みます。コースごとの内容は「証券外務員講座の受講料」、総額の見方は「受講料・受験手数料を含めた費用」で確認できます。

内部管理責任者は「先に取っておく」ことができない
規則が定める受験資格
会員内部管理責任者資格試験は、個人が思い立って申し込める試験ではありません。
規則第4条が、受験できる人を協会員の役員か、協会員が試験を受けさせる必要があると認めた人のうち一種外務員の資格を有する人、と定めているためです。
条文は「協会員の役員(中略)、又は協会員が試験を受けさせる必要があると認める者(協会員の役員を除く。)のうち(中略)一種外務員の資格を有する者であること。」としています。一種外務員の資格が要件になるのは、役員以外の人の側です。
一種の資格と所属先の判断がそろって初めて対象になる、という構造です。
所属先を通さずに受けることはできない
この構造は、協会員の側の義務としても書かれています。
規則は「協会員は、前条の要件を満たしていない者に試験を受けさせてはならない。」と定めています。
そのため、内部管理責任者を証券会社に入る前に取っておくことはできません。外務員資格を得て協会員に所属し、内部管理を担う立場に進む段階で視野に入る試験です。
会員内部管理責任者は「いま取る資格」ではなく「その立場になったときに受ける試験」です。学習計画に入れるより、一種を取ったうえで所属先の判断を待つ位置に置いておくほうが実際に合います。
銀行等には別系統が置かれている
規則は特別会員等に向けて、特別会員内部管理責任者資格試験を別に置いています。条文は、特別会員等の役員か、特別会員等が試験を受けさせる必要があると認めた人のうち「特別会員一種外務員の資格」を有する人を対象としています。
証券会社の系統と銀行等の系統で、前提となる外務員資格が別になっているわけです。勤め先の業態によって、対応する試験が変わります。
自分の勤め先がどちらの系統にあたるかは、社内の担当部署で確認できます。名称が似ているので、取り違えないでください。
協会の外の資格は、確認する順番を決めてから比べる
確認するのは4項目。確認先はその資格の実施団体
協会の外にある資格を検討するときは、資格名で比べる前に確認する項目を決めてください。制度は資格ごとに違い、改定もあります。人づての説明や要約では、前提が古くなっていることがあります。
確認するのは、誰が受けられるか/試験の範囲と形式/認定・登録と更新/期間と費用の4項目です。確認先は、その資格を実施している団体が出している情報です。
この4項目を候補ごとに埋めれば、名前の知られ方ではなく中身で比べられます。組み合わせを考えるときの基準は「証券外務員ナビ」でも整理しています。
この記事でFP・AFPの制度を書かない理由
ファイナンシャルプランナーやAFPについて、本記事では受検の要件や認定の要件を書きません。
これらは証券外務員とは別の団体の制度で、正確に書くにはその団体の一次情報が必要になるためです。要約を載せて、それが古かった場合、読者の計画がずれます。
「ダブルライセンスなら評価される」という書き方もしません。評価は企業ごとの判断で、公開された基準がないためです。
代わりにできることがあります。証券外務員の側で何を学んだのかは出題科目表から分かるので、重なりそうな範囲の見当は自分でつけられます。次の見出しで扱います。
学習範囲の重なりは、外務員側の14科目から見当がつく
金融の外の分野に接している科目
相手の資格の範囲が分からなくても、自分が学んだ科目の側からなら重なりの見当がつきます。
証券外務員の出題科目は公表されていて、そのうちいくつかは証券の売買そのものではなく、税や会計、経済といった別の分野に接しているためです。
二種の出題範囲は3分野14科目です。このうち「証券税制」は税に、「財務諸表と企業分析」は会計に、「経済・金融・財政の常識」は経済に、「投資信託及び投資法人に関する業務」は金融商品の仕組みに、「セールス業務」は顧客への説明にそれぞれ接しています。一方で「協会定款・諸規則」「取引所定款・諸規則」は、証券業務の内側のルールです。
接している科目が多い分野の資格ほど、学習の立ち上がりは軽くなる見込みが立ちます。

重なりの量は、相手の資格の範囲で決まる
ただし、これは見当にとどまります。同じ税に接する科目があっても、相手の試験が扱う税の範囲が広ければ、重なるのは一部です。
重なりの量は、相手の資格が同じ分野をどの深さで問うかで決まります。範囲の確認は、前の見出しで挙げた4項目のうち「試験の範囲と形式」に含まれます。
外務員側の科目で候補を絞り、相手側の範囲で確かめる。この二段構えで見ると精度が上がります。
増やす前に、いまの資格を使える状態に保つ
資格そのものに期間満了の失効はない
次を足す前に、いま持っている資格の状態を確認しておいてください。
資格そのものには期間満了による失効がなく、失う経路は限られています。
協会は「外務員資格は、法令違反等による資格の取消し等がない限り、取り消されることはありません。」「退職した場合や他の協会員へ転職した場合でも資格は有効です。」としています。ただし外務員登録を受けている間は研修の義務が伴い、協会は「外務員登録を受けている方は、原則として、外務員の登録を受けた日から5年毎に受講しなければなりません。」としています。対象になるのは登録を受けている人だけで、試験に合格しただけの人は対象外です。
つまり、次を足す前に確かめるのは、いま登録を受けているかどうかだけです。失効の条件は「証券外務員資格の有効期限と失効」、研修の手続きと対象は「外務員資格更新研修」で扱っています。
「増やさない」も選択肢に残す
次の資格を取らない、という選択も候補に入れてください。資格の数が増えることと、任される仕事の範囲が広がることは別です。
一種をお持ちで、いまの職務で扱う商品の範囲がすでにカバーされているなら、次の一手は資格ではなく、担当している商品の理解を深めることかもしれません。所属先から取得を求められている資格があるなら、期限が外から来ているそちらを先に置きます。
「何を足すか」の前に「いま足す必要があるか」を一度置いてみてください。
この記事のまとめ
「次の資格」は、資格名から選ぶと決められません。候補を3つの棚に分け、自分の立ち位置から打てる手を絞る。この順番で見ると、いま動かせるものと、待つものが分かれます。
よくある質問
一つに決まっていません。ただ、自分の意思で申し込める外務員資格試験は一種と二種の2つなので、二種をお持ちで一種がまだなら、一種が次の候補になります。一種をお持ちの場合は、所属先を通す試験(会員内部管理責任者)か、協会の外にある資格に分かれます。
できません。日本証券業協会の規則は、会員内部管理責任者資格試験を受けられる人を、協会員の役員か、協会員が試験を受けさせる必要があると認めた人のうち一種外務員の資格を有する人と定めています。あわせて「協会員は、前条の要件を満たしていない者に試験を受けさせてはならない。」とも定めています。証券会社に入る前に個人で取得しておくことはできません。
受け直しではなく、別の試験として受けます。協会の出題科目表で見ると、一種に加わるのは商品業務の「デリバティブ取引」1科目で、残りは二種と共通です。ただし同じ科目でも、一種では「実務的、専門的知識」、二種では「基礎的知識」が問われます。フォーサイトが示す標準学習期間では、二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間です。
フォーサイトの証券外務員講座は二種と一種+二種の2コースで、一種単体の講座がありません。通常のプランなら、二種スピード合格講座(9,800円)のあとに一種+二種スピード合格講座(14,800円)を改めて受講する形になり、受講料は合計24,600円です。最初から一種+二種を選べば14,800円で済みます。各コースにはデジタルプランもあり、デジタルプラン(一種+二種)は9,800円、デジタルプラン(二種)は7,980円です。デジタルプラン(二種)からデジタルプラン(一種+二種)へ足す形なら合計17,780円になります(いずれも税込・2027年試験対策)。受験手数料は1回13,860円(税込)で、受験する回数分かかります。
有利かどうかを本記事では断定しません。評価は企業ごとの判断で、公開された基準がないためです。また、これらは別の団体の制度なので、受検の要件や認定の要件はその団体の情報でご確認ください。判断に使えるのは、誰が受けられるか/試験の範囲と形式/認定・登録と更新/期間と費用の4項目です。
協会は「外務員資格は、法令違反等による資格の取消し等がない限り、取り消されることはありません。」としています。期間満了による失効はありません。ただし外務員登録を受けている間は5年ごとの更新研修の義務があり、受講・修了しない場合は資格が停止され、停止期間中も受講・修了しないと取り消されます。協会員に所属していない方は、受講対象者ではありません。
一種を考えている場合は、共通科目の記憶が残っている二種の合格直後がいちばん軽くなります。すぐに始めない場合でも、「何を」「いつから」だけは決めておくと再開が軽くなります。所属先から期限を示されている資格があるなら、そちらを先に置いてください。

次に何を取るかを調べはじめると、情報が一気に増えて迷いやすいところです。ただ、最初にはっきりさせておくとよいのは「自分で申し込める試験はどれか」の一点だけです。そこが分かれば、残りは必要になった段階で読み直せます。二種を終えたばかりで一種を考えているなら、覚えた内容が残っているうちに手をつけてください。