実務家密着取材


行政書士 大塚祐一 さん
1968年熊本県生まれ。1986年に高校卒業後オーストラリアへ留学。帰国後、熊本市内のフィリピンパブから水商売の世界に。その後、飲食店の店員、土木作業員、メーカーの営業、プログラマー、IT導入技術コンサルタントなど20余りの職を経験し、行政書士の資格を取得。その後、フィリピン人専門芸能プロダクションの立ち上げに携わり、経営幹部となる。2005年に有限会社ヒューマネクス設立と同時に行政書士として開業登録。フィリピンでの事業サポート、投資コンサルティング、フィリピンへの移住、フィリピン人との国際結婚・離婚、渉外民事手続きなど、フィリピンに特化したサービスを提供している。
大塚祐一さんが代表を務める「大塚行政書士事務所」のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.ois-japan.com/index.html
「好きこそものの上手なれ」
“フィリピン”をキーワードにサービス展開
試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、行政書士の大塚祐一さんからお話を伺いました。
どのようなお仕事をされているのでしょうか
フィリピンをキーワードにして、あらゆるサービスを提供しています。フィリピン人の入管取次、ビザ申請、手続き代行をはじめ、フィリピン人との国際結婚・離婚、フィリピンに関する渉外民事手続き、金銭問題などのトラブル解決をメイン業務としています。日本とフィリピンでは、言葉はもちろん、文化や風習がまったく異なります。ですから、日本人が想像もつかないようなトラブルに陥ってしまうケースも往々にしてあります。二十歳からフィリピンという国と付き合ってきた私自身の経験と実績をいかして、お客様のリスクを事前に回避し、トラブルを円満解決に結びつけています。

フィリピンに特化したサービスを提供する大塚さん
これまでの歩みを教えてください
熊本県で生まれ育ったのですが、海外志向が強く、高校卒業後はオーストラリアに留学しました。帰国後、「アメリカの大学へ入ろう」と決意し、留学資金を貯めるため足を踏み入れたのが、フィリピンパブ。当時はバブル全盛期。満席状態の店内では、お客様が夜な夜な湯水のようにお金を使っていました。そんな時に出会ったのが、妻となったフィリピン人女性です。その後、留学は諦めて、土木作業員、メーカーの営業、プログラマー、IT導入技術コンサルタントなど20余りの職を転々としつつ、妻と子供の為に必死で働きました。しかし、国際結婚はわずか5年で破綻しました。その後、現在の妻となる女性と出会い、彼女に感化されて、落ち着いた生活を望むようになり、行政書士の資格を取りました。それからしばらくして、ひょんなご縁から、フィリピン人専門の芸能プロダクションの立ち上げに参加し、経営幹部となりました。「これから事業を展開しよう」という矢先、2005年に法務省令が改正され興行ビザの規制が厳しくなるという話が出始めました。そこで、一気に方向転換し、これまでの私自身の経験とコネクションをいかしたサービスを提供しようと2005年2月に有限会社ヒューマネクス設立。同時に、行政書士として開業登録しました。

1997年に行政書士に合格
お仕事の際に気をつけていることとは何でしょうか?
極力、中立の立場に身を置いて考えるようにしていますね。特に結婚や離婚についてはとてもセンシティブな問題が多く、両者それぞれから、よく話を聞いてみないと分からないこともたくさんあります。書類を調えて、淡々と手続きを進めることで解決することもありますし、フィリピン現地で、実際に相手や家族と話してみなければ分からない事情もあります。本当に、ケース・バイ・ケースです。どのケースであっても、あくまで第三者という立場で、出来るだけどちらかに肩入れしすぎないよう気をつけていますね。
行政書士の仕事を通じて得たもの、学んだものは何でしょうか?
さまざまな職業を経験してきましたが、振り返ってみると、行政書士が一番長い。この仕事が合っていたのかなと思います。私は会社組織にうまく馴染まない面もあり、結局、自分の力で事業をすることが一番向いていたような気がします。一方で、組織の中で仕事をしてきたことで、学び得たものもあります。フィリピン人女性との結婚・離婚の経験、フィリピンとのコネクションが今の仕事に活かされていますし、人生でムダなものはないような気がしますね。
今後の予定、夢を教えてください
現地でのサービスをより充実させるように動いている最中です。フィリピンにおける事業展開、会社設立、投資、フィリピンへの移住を求める人達へ向けて、現地でサービスする体制作りを進めています。今年5月にフィリピンで合弁会社の登記を完了しました。これからもフィリピンという国と末長く付き合っていきたいと思いますね。

現地で活動するフィリピン人パートナー
独立開業を目指すのであれば、受験勉強中に自分の棚卸しをしておくことをおススメします。生まれてから現在に至るまで、自分の人生を振り返ってみたときに、何かしら人より秀でていたり、得意なものがあるはずです。それを行政書士の仕事に結びつければ、道はひらけると思います。私の場合は、フィリピンに縁があり、タガログ語も理解できるので、フィリピンに特化したサービスを提供しています。あれもこれもと欲張るより、何かしら専門領域に特化した方が仕事がスムーズにいくと思います。
行政書士 大塚祐一 さんの、ある1日


7:00 | 起床 | 朝食、新聞やテレビニュースのチェック |
9:00 | 出社 | メールチェック |
10:30 | 社内 | 書類作成、事務作業 |
12:00 | 休憩 | 昼食 |
13:00 | 社内 | スカイプでフィリピンのスタッフとミーティング |
15:00 | 社内 | 書類作成、情報リサーチ |
18:00 | 退社 | その後、夕食の支度 |
21:30 | 夕食 | 家族と一緒に |
25:00 | 就寝 |