行政書士の問題を全然解けなかった私を合格させてくれたフォーサイト

性別男性
年代40代
試験年度2016年(28年度)
エリア神奈川県
勉強時間1000時間
勉強期間8ヶ月間
職業転職(求職中)
勉強法暗記,過去問,模試
商品テキスト,問題集
受験回数初学者(1回目)
試験科目憲法,民法,行政法,商法,一般知識,会社法
学習スタイル独学
eラーニング使用回数
※eラーニングの使用回数となり、実際の学習時間とは異なります。
詳しくは申しませんが、前職の退任がきっかけに勉強を始めました。

まさか(真面目に生きてきた)自分がこのような苦境に立たされるとは思ってもみませんでした。如何に自分に非がないと言えども、家族を持つ中年男の離職は家庭崩壊の危機です。さらの運の悪いことに「潰しの効かない」キャリアです。

一時は途方に暮れましたが、そのときに親戚の一人が同じぐらいの歳頃に行政書士の資格をとり、開業してキャリアチェンジをしたことを思い出しました。

自分にもできるかもしれない、家族のことを含めてまだまだ長い人生をどうにか少しでもベターな方向に軌道修正しなければならない、幸い勉強をする時間を捻出するだけの蓄えもある、というようなことから「一回だけ」資格にチャレンジしてみようと決意しました。

その意味では、私の場合は後がない崖っぷちですから、職場でのキャリアアップを目指す受験者とはおのずからモチベーションが違っていたと思います。


3月下旬からの勉強開始です。

私はもともと理系出身で、法律関連については全くの無学からスタートしました。

勉強は苦手ではないという多少の自負と、「頑張ればなんとかなるのではないか」という甘い考え、そして「6ヶ月で合格」という宣伝文句に誘われて、後先を考えず文字通り「飛び込んで」しまいましたが、後にこれが大変な間違いであったことを思い知りました。

法学系の勉強をしたこともない初学者が、たったの6ヶ月で合格できるような内容ではありませんね。少なくとも「らくらく」ではなく、「たまたま」とか「中にはそういう人もいる」という印象でしょうか。問題数に比べて試験時間が少ないこともあり、大変難しい試験でした。

また、私は幼少の頃に海外で育ったため、国語(文章理解問題)に苦手意識を持ってきました。

試験科目に文章理解があり、かつ、足切りのある一般知識分野で落とせない問題であることを知ったのは教材が届いてからで、そのことを知ったときに自分の無知を呪いました。


最初にテキストを通読した時は、「何か」を頭に無理矢理突っ込んだけど、知識が渾然一体としていて何がなんだかよくわからない状態でした。感覚としては知識のコーンクリームスープのような状態です。

それが2回、3回と繰り返すうちに徐々に変化して行きました。最初は「粒なし」に思えたコーンクリームスープが、本当は「粒入り」であることがわかってきました。

それが、だんだんと肉や野菜など、さまざまな具材が入っていることがわかるようになり、最初は不透明に思えたスープや、スープと具材の境界がおぼろげながら見えることがわかるようになっていきました。

「あれ?違うテキスト?」とビックリするほど、繰り返すうちにテキストの印象がどんどん変わっていく体験をしました。

指示されたカリキュラムを履行するだけで、自然に内容が理解できるようになっていったのです。これが高い合格率を叩き出すフォーサイト・マジックではないかと今では感じています。


過去問も含めてフォーサイトの教材の全分野について三巡ほどしたところで、他社の実力テストや模試を受けてみました。ところが、取れる点数は120~130点でした。

自分では死ぬような想いで3ヶ月間勉強したつもりでした。目の前が真っ暗になり、膝から崩れ落ちそうになりました。おのれの不運を呪い、受験を諦めることを真剣に考えていました。

しかし、私が頑張り切らないと家庭の崩壊を招きます。もはや逃げられませんので、「まだ時間はある。」と自分に言い聞かせて、這うように前進を続けました。

以下、フォーサイトの教材に加えて取り組んだ内容を中心に列記します。


受験期間を通して苦しみぬいたのが民法です。憲法は理解しやすく、行政法と会社法は憶えたらなんとかなりそうです。

でも、民法は理解の「深度」が必要不可欠であるように思えました。

そもそも自分の性格として、初めて見る論点の問題に直面した場合に、勇気を持って平然と捨てられるタイプではなく、頭の中が真っ白になったり、パニックになったりするタイプです。試験に耐えうるレベルになるためには、フォーサイト推奨のカリキュラムを超えて相当の勉強時間を割かなければならない必要性を感じました。

実際には、有名な入門書を何冊か通読し、受験六法も使い、他社の学習サイトも利用しました。福澤先生のアドバイスに従い、当事者等の相関図(?)を書く訓練をしました。試験レベルでわからない論点は安易に質問せずに答えが見つかるまで徹底的に自分で調べました。


応用力を身につけるために、オリジナル問題を多数提供するWEBベースの講座に登録しました。ご存知かとは思いますが、比較的安価な「合格道場」というサイトです。

このサイトのオリジナル問題は隅から隅まで2巡ほどやりました。この合格道場が主催した夏の無料セミナーに参加しました。セミナーでは合格体験者や同期受験者と直接話せる座談会に多くの時間を割いてくれたため、この頃の絶望的な気持ちから立ち直ることができました。


模試を受けてもフォーサイトのテキストに載っていない判例が出てくると全く対応できないことに気づき、「行政書士 判例集 2016年度 (行政書士 一発合格シリーズ) TAC出版」を精読しました。

この本を買う前に「パーフェクト行政書士重要判例集〈平成28年版〉 西村 和彦 (著)  住宅新報社」を持っていたのですが、こちらの本は判旨の結論だけしか載っていないことが殆どで、これでは全く頭に残りませんでした。

判例は、事件の場面とかストーリーの流れで憶えないと頭に残らないことに気づき、それぞれの判旨がある程度詳しく掲載されているTAC版を精読することにしました。

この本の欠点は判例数が少ないことですが、この本を通読することによって判旨を原文で読めるようになったので、本に掲載されていない判例は裁判所のWEBページで検索して必ず判旨の全文を読むようにしました。

暗記をするつもり判例を沢山読んだわけではなく、理解することだけに務めました。それでも効果としては、多肢選択問題がいつも9割程度も正解できるようになりました。法令問題全体としては20点程度の得点力のアップに繋がったと思っています。


私の苦手な文章理解です。簡単には身につかない分野ですから、公務員試験用の問題集などを使ってできるだけ毎日少しずつやることを心がけました。特に役に立った本は「最短10時間で9割とれる センター現代文のスゴ技 宮下 善紀 (著)  中経出版」で、この本のお陰で一気に得点力がアップしました。


暗記は、あやふやに格納されている雑多な知識の精度を上げて得点力を上げるためだけでなく、理解を深めるためにも重要な作業であると感じました。

暗記については合格カードではなく、もっぱら「改訂版 伊藤塾 1分マスター行政書士 重要条文編」を使いました。

この本が終わったら合格カードに移行しようと思っていたのですが、結局は時間が足りませんでした。とにかく空欄部分は一字一句間違えないように何度も繰り返して憶えました。「一字一句」に拘ったことで、条文の微妙な表現の違いにも気が回るようになりました。

条文を憶える難しさは、ある程度条文の用語や背景、趣旨などを理解していないと、条文を読んだだけでは内容が理解できず、従って、理解できないために条文を憶えられないというジレンマでした。この傾向は特に民法で顕著でした。

ですから、ある程度学習が進んでくるまで暗記の効果が出ませんでした。この本を使い始めたのは9月ぐらいでしたが、なんとか試験に間に合ったという感じでした。8月ぐらいから始めていれば良かったと思っています。

試験までにこの本の内容だけでも憶えようと思って何度も繰り返した結果、体感としては20点程度の得点力アップに繋がったと思います。特に行政法分野では効果覿面でした。

暗記力は若い頃に比べて格段に落ちていることを実感しました。まるでザルにホースで水を注ぐように、憶えた先から忘れていく状態でした。

対策は「稼ぐに追いつく貧乏なし」作戦です。とにかく毎日ひたすらに繰り返し暗記をやり続けることでした。たとえザルでも苔や垢は付着するようです。


勉強以外で気になったのが体力の課題でした。若くはありませんから、尚更、体力がなければ勉強もできませんし、気力も集中力も維持できません。

長丁場の本試験も戦いきれません。毎日少なくとも1時間(約5km)は歩くことを勉強に優先する義務としました。特に試験4ヶ月前からは台風でもない限り、雨の中でも歩きました。お陰で風邪をひかない体質になりました。

長期間の勉強においては睡眠時間もとても重要な要素ですが、私の場合は心配のあまり規則的に睡眠をとることができず、睡眠においては不規則な日々でした。これは集中力の維持にはかえってマイナスだったと思います。大きな反省点です。ただし、直前期には無理矢理に体のリズムが試験時間に合うように修正しました。


フォーサイトの直前講座は本当に役に立ちました。どれも少なくとも二巡はしました。

模試は本屋で売っているものを含めて10種類以上を敢行しました。一週間に2~3回、無職のおじさんが昼間に図書館に通って模試です。しかし、周囲の目を気にしている余裕はありませんでした。

最後の一ヶ月は筆記問題の練習と暗記と模試ばかりをやっていたように思います。休憩時間はYouTubeの動画を観ていました。主に吉井英二氏の「必勝倍速講座 憲民行3科目」です。

私は資金がなかったので購入はしませんでしたが、YouTubeで無料で視聴できる動画を全て観ました。特に民法においては、独学者が理解しにくい「ツボ」が良く押さえられていると感じました。

10月にTACの全国統一模試を受けました。自己採点では180点ギリギリ、直前期でやっと合格圏に手が届いたという感触でした。しかし、自信喪失を恐れてTACによる採点の結果は見られませんでした。(採点結果を実際に見たのは試験の前日で、結果は210点でA判定でした。)


いよいよ“死んでも”負けられない本番です。一週間前に下見もしていたので、迷うことなく会場に着きましたが、その時点で既に緊張はピークに達していました。

今日までの勉強の自己分析(エクセルで管理)では、憲法9割、民法7割、行政法8割、商法会社法6割、一般知識6割程度の得点が取れるはずなので、実力が発揮できれば合格できるはずです。

解答の順番は多肢選択→一般知識→法令5肢択一→記述が自分にとっての高得点セオリーです。9割以上の得点が取れる自信がある多肢選択問題から流れを掴む作戦です。

ところが….

多肢選択に取り掛かっても、いつものようには正解が頭に浮かんで来ません。問題を読み直してもわからない。この時点で頭が真っ白に。とにかく解答を適当に選んで、一般知識に進みました。

気を取り直して一般知識に移るも、全くノーマークの問題ばかり。個人情報保護関係の法令はマイナンバー法を含めてかなりの時間を割いて頭に叩き込んでいましたが、出題が皆無。脂汗がダラダラと出てきます。

更に法令問題に取り掛かるも、気持ちの整理がつかないままに、出題者の地雷問題の配置の巧妙さに終始翻弄されっぱなしでした。緊張のあまり、手が震えてマークシートが上手く記入できません。記述の46問も心底驚きました。

残り30分を残してとりあえず全問解答しました。本来なら自信がない法令問題の見直しに使う時間と決めていいましたが、どうにも文章理解の問題が例年と比べて簡単過ぎるように思えてなりません。

一般知識の出来が悪いので、文章理解を落とすわけにいきません。「引っ掛け?」と思い込み、何度も読み直して、解答を変えたり、元に戻したり。そうこうしているうちに3時間の試験時間が終わりました。

放心状態のまま、帰りの電車の中で試験の内容を思い出していると、記述(第45問)を間違えていることに気が付きました。全くの勘違いです。十分勉強をしていたので、自信がある分野でしたが、文章理解問題に気を取られて見直しもしませんでした。

貴重な20点をまるまる落としたのです。勉強不足ではなく、ただの勘違いによって...。

自宅に戻り、あまりの不甲斐なさに寝室に閉じこもり大泣きしました。声を上げて泣いてしまいました。50代直前のおじさんです。心底情けない思いをしました。


試験が終わって早速ハローワークで就職活動です。しかし、様々な会社に申し込みをするも、ことごとく採用してもらえません。自分で「潰しが効かない」キャリアと感じていたことが、社会的にも常識であることがわかりました。

合格発表の日は、まさに「まな板の上の鯉」の気持ちでした。試験直後に比べて多少は気持ちも落ち着いて、不合格だった場合はパートでもやりながら次年度の合格を目指す決意はしておりましたが、家族からの信用を回復のために更に一年を要することが、辛くて辛くて仕方がありませんでした。

そして、結果は208点で合格でした。

家族が喜んでくれたこと、少なくともこれまでの「過去」のことについては家族の信用を回復できたことが自分へのご褒美です。これ以上のことはありません。

まだ合格ができただけで、ここから先の未来は、「今から」の努力で築いて行かなければなりませんが、さらに前進して行くための大きなモチベーションの「糧」を手に入れることもできました。


今にして思えば、少々手を広げて勉強しすぎたと感じている部分もあります。もっと基礎力の確度・精度を上げることを注力も良かったと反省もしております。もちろん、自分にとっては負けられない試験であったから仕方がありませんでした。

しかし、毎日同じことに取り組んでいると、不思議と「カン」が働くようですね。本番では時間の余裕がなく、極度に緊張していたこともあり、問題を「考えていた時間」という記憶が殆どありません。

本番では目から入る情報をもっぱらカンで処理していただけなのでしょう。それでも合格できたのは、ただただひたすらに苦しいだけの8ヶ月間の日々の積み重ねの集大成にほかならず、それがカンの正体なのでしょう。


今回の受験は、精神的にボロボロの状態での門出でした。その中で、フォーサイトの講座と出会えて本当に良かったと思っております。教材は初学としては適切な内容と分量、そして指導であったと思います。

また、「初学者は、わからないところがあっても、とにかく進んでください。立ち止まらないでください。」など、適格な助言を数え切れないほど頂けました。勉強方法の助言がなければ到底太刀打ちできませんでした。

そして、何よりも福澤先生の前向きな「一緒にがんばろう!」という姿勢、数々のご助言やコラムが、いつ折れてもおかしくなかった私の心の支えとなりました。

福澤先生を始め、フォーサイトの皆様に心から感謝しております。
ありがとうございました。


少でも時間に余裕があるうちにと思い、次の資格を取得すべく勉強を開始しました。もちろん、フォーサイトの教材を選びました。またしばらくの間、宜しくお願い致します。

以上です。
18おめでとう

※プライバシー保護の観点より、筆者のお名前は仮名となります。



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