インテリアコーディネーターとは?仕事内容から必須資格まで紹介

おしゃれな部屋に住みたい、機能的な部屋に住みたいなど、理想の住空間を作りたいと考えた時、頼りになるのがインテリアコーディネーターです。
インテリアコーディネーターとは、顧客の要望に応え住空間をプロデュースする仕事。とはいえ、実際にはどのような仕事の流れで、どのような業務が中心となるのか、細かな部分はあまり知られていないところ。
この記事では、インテリアコーディネーターの仕事の流れや主な業務、さらにメリットやデメリットから向いている方の特徴なども紹介していきます。
インテリアコーディネーターとは?
インテリアコーディネーターの仕事は、顧客の希望や予算を聞き、その要望に合った住空間を提案することです。もちろん一般住宅に限らず、オフィスや商業施設のインテリアなどを担当することもあります。
ポイントは、最新のインテリアや機能性だけを考えたインテリアを提案するのではなく、あくまでも顧客の望む空間を作り出すこと。
そんなインテリアコーディネーターの仕事に関して説明していきます。
インテリアコーディネーターの社会的役割
インテリアコーディネーターの仕事は顧客に寄り添い、顧客の希望する住空間を作り出すこと。人間が生活をしていくうえで欠かせない条件として「衣・食・住」がありますが、その中で「住」という部分を担当する仕事となります。
現在の日本での社会的役割は決して小さくない仕事とも言えます。今日本国内で問題となっているのが「空き家問題」や「人口の都市集中」です。
築年数の古くなった空き家や、空き家の古民家が増え続けていますが、こうした物件のインテリアを整えることで、入居希望者が増える可能性は十分あります。また、空き家や古民家を購入し、そのインテリアを自分好みにしたいという方もいらっしゃるでしょう。
こうした声に応えるのがインテリアコーディネーターという仕事となります。
インテリアコーディネーターの仕事の流れ
インテリアコーディネーターの仕事に内容に関して簡単に説明しましたが、実際にインテリアコーディネーターとして働いた場合、どのような流れで仕事をしていくのかを説明していきます。
もちろんすべての現場が同じ流れというわけではありませんが、概ね以下のような流れで仕事を進めていくと考えていただければ大きく間違ってはいないでしょう。
顧客の要望をヒヤリングする
まずは顧客の希望や予算をヒヤリングします。顧客はインテリアの専門家ではありませんので、当然ですが専門用語も知りませんし、最新の住宅設備などの知識はありません。
多くの場合、顧客は部屋のイメージを伝えてくることになります。そのイメージをどこまで具現化できるかが、インテリアコーディネーターの腕の見せどころとなります。
重要なのは単純な色使いや使い勝手などだけではなく、顧客が何をイメージしているのか、どのような居住空間を作りたいのかをしっかりと聞き出すこと。より具体的にイメージできるようにしっかりと顧客の要望を把握しましょう。
もうひとつのポイントは予算感もしっかりと意識しておくこと。いくら顧客のニーズに合った住空間を提案できても、予算があまりにもかけ離れていては意味がありません。
顧客の予算とイメージをしっかり把握すること。これがインテリアコーディネーターの最初に行う業務といえるでしょう。
要望に沿ったインテリアを提案する
部屋のイメージや予算など顧客の要望を把握したら実際のインテリア案を提案します。インテリアに必要になる家具や住宅設備はいろいろな種類がありますが、その中から顧客の要望に最適なアイテムを選んでいきます。
インテリアのイメージができたら、そのイメージを形にします。上記の通り顧客はインテリアに関する専門知識のないことがほとんどです。そんな顧客にも分かりやすく、そしてイメージしやすくプレゼンする必要があります。
プレゼンには、使用するアイテムの詳細な情報はもちろん、パースなどを用いて視覚的にも分かりやすくする必要があります。言葉だけでは伝わりにくい説明は、別途資料を持ち込みましょう。実物を見てもらうことで、より顧客に理解してもらえます。また、顧客の疑問にしっかり答えられるように準備しましょう。
もちろんすべての提案が一発でOKを貰えるわけではありません。むしろ1度や2度の修正が発生するのが普通。顧客にとっては、大きなお金をかけて部屋を作り上げる作業ですので、簡単にOKが出るものではありません。
修正の依頼などがあればそれに対応するのもインテリアコーディネーターの仕事となります。
契約をして商品を発注
顧客が満足する提案ができたら正式に契約を結ぶことになります。
契約後はインテリアの実作業に移ります。もちろん作業は内装業者などに依頼する形になります。
同時にインテリアで使用するアイテムに関してメーカーなどに発注を行います。インテリア工事の準備を進めつつ、顧客との間で工事日程の調整などを行いましょう。
インテリア工事完了で契約完了
インテリアの工事期間中は、顧客と工事業者の間に入り、双方の意見を聞きながら調整を行います。ここまでくれば大きな作業はありませんが、常に現場や顧客を気にかけ、工事がスムーズに進むようにする必要があります。
工事が完了したら、自身が提案した通りのインテリアに仕上がっているか、工事の不備はないかなど、責任を持ってチェックします。
工事に問題がなければ顧客にも確認してもらい、何も問題がなければここで契約は完了。インテリアコーディネーターとして1つの仕事が完了となります。
インテリアコーディネーターが活躍する分野
顧客の要望に応えてインテリアの提案を行うインテリアコーディネーター。ではこの仕事が活躍する分野にはどのような分野があるのでしょうか。
インテリアコーディネーターが活躍する分野は、対応する顧客が個人か法人かで大きく分けられますので、それぞれ紹介していきます。
個人顧客向けの分野
個人顧客を多く受け持つのは、内装業者やリフォーム会社が中心となります。リフォームやリノベーションに合わせ部屋のインテリアを変えるという顧客は多く、こうした個人顧客に対応します。
また新築の家を立てる建築事務所や、住宅物件などを販売するハウスメーカーなどにも多くのインテリアコーディネーターがおり活躍しています。
住宅を建築、販売する業種以外では、インテリアで使用する家具を製作・販売する家具メーカーなどでもインテリアコーディネーターは活躍しています。
法人顧客向けの分野
法人顧客向けにインテリアコーディネーターとして活躍できる業界としては、ハウスメーカーや大手不動産業界などがまず考えられます。
さらに住宅のインテリアに限らなければ、空間プロデュース業界も考えられます。空間プロデュース業界の場合、住宅に限らずカフェなどの店舗や、商業施設全体のインテリアを担当するケースもあるでしょう。
さらにオフィス空間のプロデュースなども法人顧客向けのインテリアコーディネーターの仕事といえます。
インテリアコーディネーターという仕事のやりがい
インテリアの提案を行い、顧客の住空間をプロデュースするインテリアコーディネーター。現実的には提案をするだけではなく、その後の工事の立ち合いなど、業務は多岐にわたります。
そんなインテリアコーディネーターの仕事にはどんなやりがいがあるのかを紹介していきましょう。
自らのプランニングで勝負できる
インテリアコーディネーターの仕事の魅力、やりがいとしては、自分のプランニングをお客様に提案できる点でしょう。
顧客の希望する住空間を、自分なりに考え、数多くある住宅設備や家具などから最適なものを選ぶ。これは基本的に自分の力のみで行う作業となります。自分の実力で提案したものが形となり、さらに、顧客から直接感謝の言葉を受け取れるというのは大きなやりがいとなります。
同じ現場がなく常に新鮮な気持ちで働ける
毎日単調な業務の繰り返しになると、仕事に対するモチベーションが下がってしまうなど、やりがいを感じなくなる原因となってしまいます。
その点インテリアコーディネーターの仕事というものは、まったく同じ現場が続かないという特徴があります。顧客の自宅のリビングのインテリアを提案するという仕事でも、リビングの広さや形などはそれぞれ違いますし、何より顧客の要望や予算も当然違ってきます。
同じ現場が続かないのは、仕事が単調ではないことの表れです。常に新鮮な気持ちで仕事の現場に迎えるという仕事であり、やりがいを感じる仕事といえるでしょう。
インテリアコーディネーターのメリットとデメリット
インテリアコーディネーターの仕事はやりがいのある仕事です。とはいえ何もかもがいいというわけではありません。
インテリアコーディネーターの仕事にもメリットとデメリットはありますので、それぞれ紹介していきましょう。
インテリアコーディネーターのメリット
インテリアコーディネーターのメリットとしては、何より顧客から直接感謝されるという点があります。どんな仕事であっても、誰かのためになる仕事はやりがいを感じるもの。しかし、多くの仕事では、実際に誰のためになっているのか実感できるシーンは少ないでしょう。
顧客から直接感謝されるインテリアコーディネーターの仕事は、自分の仕事が誰かのためになっていることを実感できる仕事といえるでしょう。
もうひとつメリットを挙げれば、住宅設備や家具などの専門知識が身につくという点。もちろん自分の住んでいる家にもその知識は活かせますので、自分が理想とする住空間で生活できるようになります。
インテリアコーディネーターのデメリット
インテリアコーディネーターという仕事のデメリットとして大きいのは、休みや就業時間が変則的になりがちという点です。
とくに個人顧客に対応する場合、顧客の都合に合わせて打ち合わせやヒヤリングを行う必要があります。一般的な社会人を考えると、インテリアに関する打ち合わせは顧客の休みである土日祝日となるケースがどうしても多くなります。
インテリアコーディネーターは、土日休日に休みが取りづらく、また顧客によっては夜遅くに打ち合わせが行われる可能性も考えられますので、就業時間という点ではかなり不規則になります。
また、インテリアコーディネーターの仕事はインテリアの提案をするだけでは終わりません。その後の工事などでも顧客と工事関係者の間に入り調整する必要があります。この際、現場の関係者と顧客の間で板挟みになる可能性がある仕事でもあります。
インテリアコーディネーターに向いている人と向いていない人
インテリアコーディネーターという仕事の内容や、メリットやデメリットを解説してきました。これらのポイントを考えたうえで、どんな人がインテリアコーディネーターに向いていて、どんな人が向いていないのかを考えてみましょう。
インテリアコーディネーターに向いている人
インテリアコーディネーターに向いている方としては、まずはなんといっても人と話すことが好きな方という事が挙げられます。
顧客対応はもちろん工事関係者との関係づくりなど、多くの人とコミュニケーションを取る必要があります。もちろん人と話すことが得意である方の方が向いていますが、得意とは言わなくとも苦にならないのであれば十分向いていると言えるでしょう。
インテリアコーディネーターは最新情報に敏感である必要もあります。顧客の要望に応えつつ、さらに最新の住宅設備や家具、さらに最新のカラーコーディネートなどを採り入れていく必要があります。
そのためにもいろいろな方向にアンテナを向け、常に情報のアップデートをしていく必要があり、こういった情報収集が苦にならない方も向いている方といえます。
最後に不規則な勤務時間の問題です。仕事の時間が不規則になっても問題のない方、またそういった仕事が苦にならない方に向いている仕事ともいえます。
インテリアコーディネーターに向いていない人
インテリアコーディネーターに向いていない方は、向いている方の反対。とくに注目すべきはコミュニケーション能力でしょう。インテリアコーディネーターはとにかく顧客との打ち合わせを重ね、その会話の中で顧客のイメージする空間を具現化できるようにならなければいけません。
人との会話が苦手である、あまり好きではないという方には少々厳しい仕事かもしれません。
また、インテリアコーディネーターは、自分の提案を顧客に対してプレゼンする必要があります。その際にはパースづくりなど細かな作業も必要となります。こうした細かな作業が苦手だという方には向いていない仕事といえるかもしれません。
インテリアコーディネーターとして働くためには?
では、インテリアコーディネーターとして働くには何が必要なのか、またどんな業界に行けば働ける可能性があるのかなどを考えていきましょう。
必須の資格はない
インテリアコーディネーターの仕事自体には、必須となる資格はありません。インテリアコーディネーターの資格はありますが、この資格は国家資格ではなく民間資格であるため、独占業務や名称独占資格ではありません。
無資格でもインテリアコーディネーターを名乗り、業務を行うことは可能ですが、顧客の感じ方という点では問題が残ります。
顧客としても何の資格もないインテリアコーディネーターと、きちんと資格を持っているインテリアコーディネーターがいれば、後者のコーディネーターを選ぶでしょう。
インテリアコーディネーターとして働くために必須の資格はないものの、インテリアコーディネーター資格を持っている方が、コーディネーターとして活躍できるというのが現実でしょう。
ハウスメーカーや内装会社の求人が多い
インテリアコーディネーターとして働くのに必須の資格はありません。そうなると、資格を目指しつつ、どんどん現場で経験が積める仕事に就くのがおすすめとなります。
インテリアコーディネーターを募集している求人を見ると、やはりハウスメーカーや内装関連の業者が多くヒットします。
これから就職をするという学生の方は、こうしたインテリアコーディネーターとして活躍できる業界に就職し、仕事をしながら資格を目指すというのもひとつの方法でしょう。
一方まったく別の業界で働いている社会人の方が、転職してインテリアコーディネーターを目指す場合は、やはり資格を取得してから転職するのがおすすめ。採用する側としても、資格を持っている方を優先して採用する傾向がありますので、まずは資格取得を目指すのがいいでしょう。
インテリアコーディネーターの仕事Q&A
最後にインテリアコーディネーターの仕事を目指す方が持つ疑問に対し、解答していきます。
Q.未経験でも就職できる?活躍できる?
インテリアコーディネーターの経験なしで、就職し、インテリアコーディネーターとして活躍できるかと言えば不可能ではありません。不可能ではありませんが、かなり難しいというのも間違いありません。
就職先としても、何の経験もない新人に、いきなりインテリアコーディネーターを任せることはまずありません。多くの場合はインテリアコーディネーターの手伝いをするなど、別の業務を任されるでしょう。
実際にインテリアコーディネーターとして働けるのは数年先となるでしょう。
すぐにインテリアコーディネーターとして働きたいという場合は、未経験だからこそ資格を取っておくことが重要になるでしょう。
Q.とくに必要とされるスキルは?
インテリアコーディネーターとしてもっとも必要とされるスキルはコミュニケーション能力です。顧客としっかり向き合い、顧客の要望を引き出せなければ、いい仕事をするのは難しくなります。
もうひとつ重要なのが、インテリアに関する知識。その知識は家具やカラーコーディネートの知識だけではなく、住宅設備などの知識も必要となります。
そして、この2つのスキルを証明できるのが「インテリアコーディネーター資格」となります。
Q.取得しておくべき資格は?
インテリアコーディネーターで働く以上、最優先すべき資格はインテリアコーディネーター資格でしょう。インテリアコーディネーター資格試験は受験資格も必要ない資格ですので、ぜひ取得しておきたい資格といえます。
ほかの資格ではカラーコーディネーターの資格や、インテリアプランナーの資格があると業務に役立つでしょう。
まとめ
インテリアコーディネーターの仕事とは、顧客の要望に応え、顧客が希望する住空間をプロデュースする仕事です。
現状の日本においては、各都道府県で問題となっている空き家の有効活用や、築年数の長くなった物件の再生など、活躍の場が多い仕事でもあります。
インテリアコーディネーターの仕事にはメリットもデメリットもありますが、多くの仕事の中でもやりがいを感じられる仕事といえるでしょう。インテリアコーディネーターとして働くために、必須の資格というものは存在しません。必要なスキルや知識を持ち合わせていれば、誰でも就ける仕事です。
とはいえ、現実的に必要なスキルを持っていることを証明するのは難しい話。そこでおすすめしたいのがインテリアコーディネーター資格の取得です。インテリアコーディネーターとして必要なスキルや知識を持っていることを証明できる資格であり、資格を取得することで就職や転職で有利になり、さらに顧客からの信用も高まります。
これからインテリアコーディネーターを目指すという方、とくに未経験の方はまずは資格取得を目指すのがおすすめです。