インテリアコーディネーターの難易度や合格率は? 合格ラインなどを解説

更新日:2022年4月5日

絵を描いてる人

インテリアコーディネーターの資格を目指したい人にとって、難易度は大切な情報です。試験構成だけでなく合格点や合格ラインを知れば、どこまで勉強すればよいかがわかるでしょう。適切な勉強量や方法がわかり、学習計画も組みやすくなります。

働きながらインテリアコーディネーターの資格を目指す人もいるため、難易度を知って学習計画に役立てることは重要です。今回は合格点や勉強時間などから、難しさを検証しました。

目次

インテリアコーディネーターの試験難易度を紹介

インテリアコーディネーターを受けるなら、最初に試験難易度を知ってください。資格によって合格基準や合格率が異なるからです。ここでは大まかな合格率を踏まえ、大切なポイントをまとめました。

大まかな合格率から検証

インテリアコーディネーターの合格率の相場は20%台前半です。1ケタになるほど難しいわけではありません。しかし合格できるのはおよそ5人に1人の割合なので、気を抜かずに準備を整えてください。

インテリアコーディネーターの難易度を合格率で検証した場合、関連資格との比較ではこのようになります。

資格名 合格率 出典
インテリアコーディネーター 23.5%(2021年度) インテリア産業協会
インテリアプランナー 23.5%(2019年度) 建築技術教育普及センター
インテリア設計士 1級:約50%
2級:約80%
SPACE DESIGN COLLEGE
キッチンスペシャリスト 28.5%(2020年度) インテリア産業協会
マンションリフォームマネージャー 35.3%(2021年度) 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
福祉住環境コーディネーター 1級:12.8%
2級:46.8%
3級:66.8%
(いずれも2020年度)
東京商工会議所 検定試験情報
照明コンサルタント 約80% SPACE DESIGN COLLEGE

インテリアコーディネーターの試験は、同類であるほかの資格と比べると難しい印象です。入念な準備を求められるでしょう。

業務内容が多岐なぶん、難易度が高め

インテリアコーディネーターは業務内容が幅広いぶん、難易度が高いといえます。仕事で求められる知識が多岐にわたるからです。仕事内容から資格試験の難しさを考えてみましょう。

たとえば一次試験ではインテリアコーディネーターの仕事内容や計画に関係することを問われます。これは実際の業務で大切な基礎知識です。取りこぼさずに大部分を解くよう心がけてください。住宅用語も、試験勉強の段階でたくさん覚えることが重要です。

ほかにもインテリアの構造や構法、環境、設備、関連法規など幅広いジャンルが出題されます。コーディネートではデザイン力だけでなく、建物の構造に関係した知識が大切です。お客さまの希望に寄り添うには、物理的にデザインを可能にしなければなりません。それには家の構造や環境への理解が大切です。

さらに二次試験は実技です。インテリア計画のプレゼンテーションと論文を仕上げなければなりません。与えられた課題への解決能力を問われているのです。ここを乗り越えられないと、デザインの仕事ができません。

お客さまからは、内装についてどのようなリクエストを送られるかわからない状況です。そこでインテリアコーディネーターでは試験の実技問題として、リクエストへの対応能力を問われます。そのため学習段階から、理想の提案やプレゼンテーションのスタイルの確立を果たしましょう。

インテリアコーディネーターの試験内容は幅広いといえますが、どれも実際の業務で大切なことです。

難易度を下げるには苦手分野の解決が重要

インテリアコーディネーターの難易度を低く感じるためには、苦手分野を解決してください。苦手なジャンルでは得点が伸びませんが、克服により総得点改善のチャンスでもあります。模擬試験の結果から得点力の低かった部分を鍛え、本番に備えましょう。

得意または苦手なジャンルは、模擬試験や過去問を受けてみればわかります。本番に即した雰囲気を味わうために、模擬試験の方はとくに受けるのがおすすめです。時間配分や適切な解き方を覚える意味でも、一度は体験してください。

模擬試験の結果が出たら、総得点だけでなく詳細を確かめましょう。得点力の高かったジャンルだけでなく、低かった方にも注目してください。苦手な部分は伸びしろがあります。苦手克服に少しでも時間をかければ、得点力改善につなげられるのです。

インテリアコーディネーターの模擬試験によっては、得点分布や総評もあります。得点分布はほかの模擬試験受験者を対象に、特定の得点帯にあたる人数を現したグラフです。また総評では受験者全体の傾向を教えてくれるので、合格のヒントを学べます。

インテリアコーディネーターの難易度が高いと感じる人もいるでしょう。しかし苦手分野の克服により、自信をつけられます。確固たる学力を感じれば、合格へのモチベーションを上げられるのです。そのためには苦手分野の克服で難易度を下げる努力をしてください。

勉強時間の目安は約200時間~300時間

インテリアコーディネーターの試験勉強時間は、約200時間~300時間が相場です。一次のために約100時間~150時間必要で、二次試験でも同じぶんの準備時間を要します。一発合格を狙うなら、1日3時間の勉強で2ヵ月は必要でしょう。インテリア関連資格として難易度が高いぶん、入念な学習が重要です。

一次は専門用語の理解から重要です。内装を中心とした関連用語を覚えるだけでなく、建築の知識も要します。一次試験の出題分野はインテリアの歴史や関連法規、規格、施工にまつわる制度など幅広いのが特徴です。

インテリアコーディネーターの仕事ではデザインだけでなく、建物の構造や構法のように建築に関わる知識も求められます。試験時間も160分と長いので、学習を通して集中力を保たせる練習もしましょう。

二次では論文とプレゼンテーションの実践になります。複数の練習問題への回答を通し、適切な答え方を身につけてください。インテリア計画から図面作成、着彩までさまざまなポイントがあります。

二次試験の合格には、実務を意識した勉強が必要です。約100時間~約150時間を使って、プレゼンテーションや論文を仕上げるだけでなく、内容をわかりやすく伝える工夫まで覚えてください。万全の準備が必要なので、テキストや通信教育といったツールの活用も大切です。

インテリアコーディネーターの合格率は?

インテリアコーディネーターの合格率について検証します。ここでは一次と二次にわけ、試験者に対してどれだけの方が合格しているかをまとめました。難易度を知るきっかけとして注目してください。

一次試験の合格率

一次試験の合格率は、過去5年において以下のとおりです。

年度 一次合格率
2016年 30.7%
2017年 31.0%
2018年 32.4%
2019年 34.7%
2020年 34.1%
2021年 32.8%

引用元:インテリア産業協会における各年の試験結果より


このように30%台前半が相場です。一次だけなら3人に1人が受かる計算になっています。しかし二次を待たずして数が大きく絞られているイメージです。このあたりからインテリア関連の資格として、コーディネーターは難関とうかがえます。

たとえば2020年度は7908名が受験に臨み、2693名が合格しています。裏を返せば、約5000人が不合格です。インテリアコーディネーターの業務はお客さまだけでなく、工事の担当者への気配りも必要なほど複雑です。以上から合格者数が絞られているのでしょう。

合格率が30%台前半にとどまる背景として、出題分野の多さが原因とされます。インテリアのデザインに自信があるだけでは、資格取得ができません。内装の歴史や建物の構造など、住宅や部屋に関係したさまざまな知識を求められるからです。

このようにインテリアコーディネーターは、筆記試験だけでも難易度が高いといえます。実務への意識から二次試験の練習に力を入れる人もいますが、まずは筆記試験で知識を整えてください。

二次試験の合格率

インテリアコーディネーター試験における二次の合格率は以下のとおりです。

年度 二次合格率
2016年 60.4%
2017年 56.5%
2018年 59.0%
2019年 57.6%
2020年 58.0%
2021年 59.1%

引用元:インテリア産業協会における各年の試験結果より

インテリアコーディネーターの実技試験は、合格率が比較的高いといえます。部屋づくりに必要な知識が整っていれば、それほど難しくないイメージです。準備をおろそかにしてはいけませんが、そこまでプレッシャーを感じすぎる必要もありません。

二次試験は一次に合格しなければ進めないしくみです。一次の段階で知識が足りなかった方が脱落した結果、実技に進むのが一定知識を備えた方だけになるのも、二次の合格率が高い要因になっています。

また二次試験の合格者には、一次試験を免除してもらった方もいます。インテリアコーディネーターの試験には免除制度があり、一定条件を満たした方がいきなり二次を受けています。こうした方の多くも、相応の知識があらかじめ備わっているようです。

論文をまとめるだけでなく、プレゼンテーションをわかりやすく伝えるのが二次のポイントです。コーディネーターの試験をクリアするのは、最低限の知識を備えるだけでは足りません。それをフル活用させてこそ、プロにふさわしいといえます。

試験合格率の推移は?

一次と二次の各試験を合わせた最終合格率の推移を紹介します。

年度 最終合格率
2016年 23.9%
2017年 22.5%
2018年 23.8%
2019年 25.1%
2020年 24.1%
2021年 23.5%

引用元:インテリア産業協会における各年の試験結果より

最終的な合格率を見る限り、インテリアコーディネーターの1年あたりの資格取得者は25%前後が相場です。およそ4人に1人が一次と二次の両方をクリアしていることになります。インテリア系資格としては難易度が高い印象です。

一次試験の難しさが要因でしょう。筆記試験では出題分野が9つと幅広く、1科目でも取りこぼしが大きいと合格が難しくなります。各科目ともにバランスよく準備を整えることが大切です。

しかし二次試験では過半数が合格しています。一次試験のために備えた知識量が多ければ、二次にも応用できるからです。以上から資格取得後の業務への意識が重要といえます。知識を仕入れるだけでなく、応用する時間を積極的に使ってください。

インテリアコーディネーター試験の合格者の特徴

インテリアコーディネーター試験の合格者の特徴を見ると、自分が向いているかのヒントがわかります。ここでは年齢や性別、業種などから見ていきましょう。

年齢別

まずは年齢別における合格者数の比較です。

年齢 男性 女性
24歳以下 91 436
25歳~29歳 84 418
30歳~39歳 126 492
40歳~49歳 111 392
50歳以上 56 128

基本的には20代~30代の若年層が多いといえます。とくに多いのが30歳~39歳女性の492人です。以上の統計から、デザインは若い人ほど興味を持ちやすいことがわかります。

インテリアコーディネートもデザインの一種である以上、トレンドがあります。デザインのトレンドに敏感なのは若い世代が中心です。以上から住宅分野でも、若い世代の関心が高い資格といえます。

また30代は結婚、子どもの出産をきっかけに、新しい家に移り住む人が想定されます。インテリアコーディネーターも30代の合格者が多いのが特徴です。この年代で家族の形が変わることをきっかけに、インテリアに興味を持つ人がいるのでしょう。

以上からインテリアコーディネーターは、若い世代の需要が大きく、資格取得者も似たような年代が目立ちます。デザインの仕事を志すなら、若い世代から資格を狙った方が有利かもしれません。

性別

性別は女性が圧倒的多数です。世間的にも女性の方がおしゃれや流行に敏感といえます。その傾向はインテリア分野にも現れているのでしょう。女性はトレンドを積極的に取り入れるケースがあるので、相談者に共感したり、満足できる部屋に仕上げるのが得意な印象です。

おしゃれへの関心は女性の方が高いといえます。インテリアの分野でも床や壁、家具などが全体的な雰囲気を決めます。おしゃれな雰囲気を出すセンスは、女性の方が長けているのでしょう。

インテリアコーディネーターは30代の合格者がとくに多く、同じ30代の女性相談者のニーズが想定されます。とくに子育て目線が重要です。夫婦だけでなく子どもが暮らしやすい部屋への意識は、30代女性が優れているのでしょう。

女性は統一感のあるインテリアを重視します。花王の生活者研究センター調べでは、住まいやインテリアに求めるイメージでは、20代、30代、40代~50代のどの世代でも「シンプル」という回答がいちばん多く出ました。以上から相談者だけでなく、業者目線でもシンプルなインテリアが理想のようです。

お客さまにとって理想の住環境をとらえる意識は、女性の方が高いといえます。

勤務先の取扱品目別

インテリアコーディネーターの受験者は、試験の時点で別の仕事に従事しているケースが多いといえます。ここでは合格時点における勤務先の取扱品目の統計について、上位5つまでまとめました。

取扱品目 合格者数
新築 691人
リフォーム 251人
家具(造作家具含む) 134人
デザイン・設計 91人
不動産 92人

このように不動産関連の仕事をしている方が多数合格しています。とくに新築を扱う仕事をしている方が目立つ印象です。仕事でインテリアの知識をある程度備えていることで、コーディネーターの勉強もはかどったのでしょう。

新築は家をイチから作ることもあります。とくにモデルハウスを作るときは、多くの人が好印象を抱くデザインが大切です。そうした意味でも新築関連の従事者はただ家を作るだけでなく、インテリアの知識が問われます。

お客さまに不動産を売るプレゼンも、インテリアコーディネーターの仕事につながるでしょう。実際に二次試験では、課題解決に向けたプレゼンテーションをする機会があります。仕事で積み重ねたコミュニケーション能力は、コーディネーターにそのまま応用可能です。

インテリアコーディネーターでは、不動産経験者が有利とされます。何軒もの家を扱うことで、内装やデザインの知識が身につくからです。

参考までにインテリア産業協会によると、2021年度は学生や主婦のような非就業者からも507人合格しています。しかし不動産関係の仕事をしている人が取る資格としても、コーディネーターは注目を受ける状況です。

インテリアコーディネーターの合格ラインは?

インテリアコーディネーターの合格ラインを紹介します。ここでは一次と二次にわけて基準を示しました。

一次試験

一次試験の合格ラインは、出題数全体の70%~75%とされています。満点を狙う必要はありませんが、入念な準備をしないと不合格になるでしょう。一次試験をクリアするポイントをまとめました。

インテリアコーディネーターの一次試験は筆記で、大部分の理解が必要です。満点に近づかなくてもかまいませんが、全体の4分の3程度をわかっていないと苦戦するでしょう。その意味でも入念な学習が求められます。

インテリアコーディネーターの筆記試験は、正確な合格点が設けられていません。合格ラインは年度によって変わるのです。確実に合格したいと思ったら、少し余裕を見て8割程度の理解力は重要でしょう。

一次の合格率は30%台前半なので、しっかりと準備しないと難しいといえます。問題の全体的な難易度が、それだけ高いのです。テキストや通信講座を積極的に活用して、理解を深めましょう。

インテリアコーディネーターの試験は、出題分野が幅広いといえます。デザインや建築、インテリアの歴史まで多岐にわたるからです。まとまった勉強時間を取るだけでなく、スキマ時間も活用しましょう。完璧まで求める必要はありませんが、一日一日の学習習慣が合格につながります。

二次試験

二次試験はプレゼンテーションと論文によるもので、実技的な要素があります。ここでも明確な合格基準が設けられていません。論文を解く練習だけでなく、コンセプトをわかりやすく伝える努力を重ねましょう。

プレゼンテーションはインテリアの基礎知識をベースにして、与えられた課題に応じた図面を作成します。したがって図面を作る練習をしないとこなせません。ここでは顧客の要望の具現化が大切なので、さまざまな課題に対応する力をつけましょう。

論文は課題に応じて、解決方法をはっきりと表現できる能力が問われます。一次試験のために勉強した知識が備わっていれば、コーディネーターの視点からさまざまな課題に対応できるでしょう。

一次試験がインテリアの基礎知識を問われるなら、二次試験は応用する力が大切です。プレゼンテーションと論文の2つをこなさなければならないため、それぞれのセオリーを覚える時間も要します。一次と同じだけ、入念な準備を進めてください。

試験が難しい理由

インテリアコーディネーターの試験が難しい背景をまとめました。出題範囲の広さや試験時間の長さなどが要因です。困難の要因をとらえることで、適切な対策を進められます。試験の難易度に結びつく要素を以下にまとめました。

出題範囲が広い

インテリアコーディネーターは、出題範囲が広いのが特徴です。以下の9つが該当分野になります。

  • インテリアコーディネーターの誕生や背景
  • インテリアコーディネーターの仕事
  • インテリアの歴史
  • コーディネーションの計画
  • 関連エレメント
  • インテリアの構造や構法、仕上げ
  • 環境や設備
  • インテリアコーディネーションの表現
  • インテリア関連の法規や企画、制度

このようにインテリアに関する幅広い分野が出題対象です。仕事やコーディネーションに直接関わるものだけが重要な知識ではありません。

インテリアの歴史や構造、環境、設備なども、実務で大切な知識ととらえられています。また新しい部屋を作るには社会のルールに従わなければならないため、法規や制度に関する問題も出るのです。

一次試験は全体の7割をわかっていれば合格の可能性が生まれます。しかし試験範囲が広いため、すべてを把握しきるのは簡単ではありません。多めに勉強時間を確保したうえで、1分野ずつ効率的にマスターしていきましょう。

分野別に要点をつかむことが重要です。1科目でも落とすと得点力が下がるので気をつけてください。

試験時間が長い

インテリアコーディネーターは試験時間の長さも難易度につながっています。たとえば2021年度における試験時間は以下のとおりです。

実施時間 試験時間
一次試験 12時30分~15時10分 160分
二次試験 12時30分~15時30分 180分

引用元:インテリア産業協会 インテリアコーディネーター資格試験受験概要

一次試験は160分もの時間がかかります。2時間を超える長丁場なので、集中力がカギです。試験勉強の段階から、ひとつのことを長続きさせるモチベーションを育てましょう。

たとえばデスクに鏡を置いたり、目に見える範囲で余計なものは片づけたりなどが大切です。こうした配慮で、自然と集中力が高まるでしょう。またわかりやすそうな範囲から勉強を始めるなど、モチベーション持続に向けた工夫も大切です。

2次試験では合計180分もの時間を要します。科目も論文とプレゼンテーションの2種類です。本番を意識して、3時間にわたり論文とプレゼンテーションの情報を解く練習が望ましいといえます。

このようにインテリアコーディネーター試験は一次も二次も長丁場です。集中力が切れるとミスが重なるリスクもあります。試験勉強の段階から2時間以上問題を解く練習を続けてください。

選択肢を見分ける力求められる

インテリアコーディネーターの一次試験では、選択肢を見分ける力が大切です。出題数は50問で、すべてマークシートによる択一式になっています。ここでのポイントは、短時間で正しい選択肢を見分ける力や、時間配分です。

問題文から正しい選択肢を短時間で見分けなければなりません。なかには正解に見せかけた不正解の選択肢も見られます。正解に近づくためには、出題の論点から大切なポイントを把握し、選択肢に合うものを見分けてください。

時間配分も重要です。効率的に問題を解くポイントは、文章量の短い選択肢からクリアすることです。ただし番号順に解かないやり方なので、問題番号と回答がズレないように気をつけましょう。短い文章題は、考える時間の節約に有効ですし、集中力の持続も容易です。

マークミスやひっかけ問題などの対策として、見直し時間も計算に入れましょう。どうしても自信がない問題の再チェックやマークの修正のために、10分~15分程度は残すのが理想です。以上からインテリアコーディネーターの一次試験では、時間配分に気を配りながら、効率的に問題を解くコツが重要になります。

試験が二段階にわかれている

インテリアコーディネーター試験は二段階にわかれています。一次と二次ともに入念な準備が必要なので、難易度を高く感じる方がいるのです。最終的な合格率が25%前後にとどまっているのも、こうしたしくみが要因でしょう。

一次が記述式なのに対し、二次は論文とプレゼンテーションをこなさなければなりません。一次は出題分野が9つに広がっており、入念に勉強を進めないと問題の大部分を解けないでしょう。筆記試験の段階から難しさを感じるかもしれません。

一次をクリアしないと二次に進めない点も、難易度に影響を与えています。一次試験合格などを条件として、二次だけを受けられる免除制度もありますが、これを受けられる方も限られた状況です。一次の出題範囲が広いうえ、こちらを乗り越えないといけないことが、インテリアコーディネーター試験の難しさにつながっています。

二次では論文とプレゼンテーションを仕上げなければならないので、こちらへの対処が難しいという方もいるでしょう。実技的な課題を試験段階から求められる点が、難易度を引き上げているようです。

インテリアコーディネーター試験は一次と二次を両方クリアしないと合格にはなりません。一発合格を狙うには、一次と二次の対策をバランス良く整える必要があります。以上から、攻略が大変と感じる方もいるでしょう。

一次試験だけ合格なら翌年3年間は一次免除

一次試験だけに合格すれば、翌年から3年間は二次試験だけ受けられます。申請時に一次免除を申し込んでください。二次だけを受ければよいなら、勉強時間の削減にもなり、論文やプレゼンテーションの準備に集中できます。

ただし免除権利が失効になるまでに、二次をクリアしなければなりません。それ以降は一次試験からのやり直しになり、かえって負担が大きくなります。免除を初めて受けたときに二次を一発で合格するのが望ましいでしょう。

特殊な戦略として、一年目に一次試験だけを受け、翌年に二次試験に集中するやり方があります。免除制度を利用して、同じ年に両方合格しようとしない戦略です。資格取得まで2年程度はかかりますが、確実に課題をこなすうえで有用でしょう。

以上の戦略は働きながら資格を取る人に役立ちます。仕事が忙しくて試験勉強を確保できない方もいるからです。無理に一発合格を目指さず、目の前の課題にひとつずつ取り組むことで、目標を果たせるでしょう。

インテリアコーディネーター試験は同類資格のなかで難関とされます。しかし免除制度の利用により、時間をかけながらも確実に合格へ近づけるでしょう。以上も踏まえて、資格取得までの戦略を考えてください。

試験難易度を決める要素は?

試験を難しく感じるかどうかは、受験者の境遇でも決まります。たとえばインテリアの従事経験が長ければ、問題をソツなく解けるかもしれません。ほかにも専門用語の理解力や建築の知識なども重要です。難易度を決める要素をまとめました。

インテリアの従事経験

インテリアの従事経験があれば、コーディネーターの資格試験の難易度も低く感じるかもしれません。従事経験によって予備知識が備わっているからです。このアドバンテージを生かして、インテリア系の資格を積極的に取ることも考えられます。

インテリアコーディネーターは内装のデザインや施工、設計のノウハウが問われます。お客さまの希望に寄り添うには、まず安心して暮らせる状況を整えなければなりません。そのために理想のデザインを叶えるだけでは足りず、コンプライアンスの範囲内でそれを実現する必要があります。

インテリアに従事した経験があれば、お客さまがリクエストしたデザインの実現に必要な工事の範囲や、住環境を守るための注意事項を覚えるでしょう。こうした経験がコーディネーターの試験でも生かされます。

仕事経験の有無によって、勉強の進みやすさが異なるのがポイントです。たとえば建築の知識があれば、コーディネーター試験でも同類問題の一部を簡単にクリアできるかもしれません。予備知識のおかげで勉強に要する時間を少なく済ませられるのもポイントです。

インテリアコーディネーターの資格は、未経験者でも取れます。しかし不動産やインテリア、デザインなどの仕事に関わっている方が、予備知識の面で有利です。人生経験のアドバンテージは、資格試験に影響を与えます。

専門用語の理解力

インテリアコーディネーターでは専門用語の理解力も大切です。従事経験から多数を知っていれば問題ありません。一方で単語とその意味を覚えるのが早い人にも有利です。いずれにしても専門用語の意味を飲み込む力が問われます。

コーディネーターの試験では、インテリアだけでなく建築の専門用語も出てきます。お客さまの理想のインテリアを実現するには、時に大規模な工事も必要だからです。以上から住宅に関連した用語は、全般的に覚えておいてください。

とくに専門用語として注目したいのは、インテリアエレメント、建物の構造、家具、住宅設備などです。インテリアに詳しいだけでは、コーディネーターとして満足な仕事はできません。建物の構造や住宅設備のような関連語まで知って、初めてインテリアデザインができるようになります。

わからない専門用語が出てきたら、イラストや写真も交えて確かめましょう。インテリアでは図面を作ったり、イメージ画像を交えてお客さまにアイデアを提案する場面もあります。できれば実物画像とセットで覚えれば記憶しやすいでしょう。

インテリアコーディネーター試験では出題範囲が幅広いので、そのぶん多くの専門用語の登場も予想されます。許された時間内でひとつでも多くの用語を覚えてください。専門用語の知識は資格試験の基礎なので、取りこぼさないようにしましょう。

建築の知識も大切

インテリアコーディネーターの仕事では、建築の知識も重要です。工事業者とお客さまの橋渡しも立派な業務なので、家づくりの知識も問われるのです。インテリアに興味があるなら、建築の知識も欠かせません。

インテリアの関係者にとって建築の知識が重要なのは、コーディネーターとしてインテリアの工事業者とお客さまの間を取りもつ業務があるからです。お客さまに工事状況を説明したり、逆に工事業者にお客さまの注文内容を知らせたりするのもコーディネーターの仕事になります。

コーディネーター自身に建築の知識がないと、満足な説明ができず、発注内容と仕上がりが異なるリスクがあるのです。

そのためコーディネーターはインテリアのデザインができればよいのではありません。壁や天井、床、内装材、水回り設備、給排水設備、電気配線設備など、さまざまな知識が問われます。以上はすべて、お客さまにとって理想のインテリアを作るうえで大切な要素です。

以上の背景から筆記や実技試験では、商品だけでなく施工に関する問題も見られます。インテリアコーディネーター試験の出題分野が多岐にわたるのも、業務で豊富な知識が問われるからです。お客さまや工事業者の足を引っ張らないためにも、コーディネーター本人が建築での一定知識を備える必要があります。

コーディネートの提案力

コーディネートの提案力は、主に二次試験で問われます。知識をためるだけでは足りません。プレゼンテーションや図面作成などで、その知識を働かせる必要があります。以上から知識の正しい活用も考えましょう。

二次試験では180分という時間制限もあります。その間に課題に応える対応力が必要です。知識をフル活用させて最適解を導き出さなければなりません。問題の解決法を短時間で効率的に弾き出すことが、インテリアコーディネーターに求められます。

お客さまが納得するようなデザインを生み出すセンスも重要です。図面を作るのが上手かったり、豊富な知識を備えたりしていても、お客さまの理想に適うアイデアを出せなければ意味がありません。問題内容を吟味し、どの知識を使うべきかをすぐに見つけてください。

インテリアコーディネーターはデザインがメインの仕事である以上、センスがいちばんに問われるという考えもあります。しかしお客さまによっては、シンプルなデザインが好きだったり、住みやすさを優先したりします。大切なのは凝ったデザインが描けるかではなく、お客さまが喜ぶデザインの実現に向けて、何ができるかです。

以上から二次試験では課題を読み取る力も重要です。課題の意図を読み取り、適切な提案を合わせることがコーディネートの提案力です。派手なデザインを描けなくても、お客さまに納得してもらうことを念頭に、デザインを考えましょう。

インテリアコーディネーターと他の資格との難易度の違い

インテリアコーディネーターの難易度検証のために、他の資格と比べてみましょう。ちなみにインテリアコーディネーターの合格率相場は25%前後、必要な勉強時間は一次と二次を合わせて約200時間~300時間必要とされます。

以上を踏まえて、ほかのインテリア系資格より簡単か難しいかを確かめてください。

インテリアプランナー

インテリアプランナーは、お客さまだけでなく社会のニーズを意識しながら、理想の内装空間を実現する専門家です。試験は実技と学科の2科目になります。この点はインテリアコーディネーターと似ているでしょう。

合格率相場は学科試験が約60%です。実技である製図試験は約30%になります。2019年度の場合、最終的な合格率は23.5%でした。以上からインテリアコーディネーターと互角の難易度と考えてください。

勉強時間は約200~300時間が相場です。学科だけでなく実技の準備が必要と考えると、こちらもインテリアコーディネーターとあまり変わりません。不動産や内装、建築に関する予備知識があれば、200時間より少ない勉強でも合格の可能性があります。

インテリアや建築に関係した知識が求められる点も、コーディネーターと似ているでしょう。ただしインテリアプランナーはコーディネーションよりも、建築や設計事務所で評価される傾向です。デザイン力よりもお客さまが安心して暮らせる空間の提供が重要とイメージしてください。

インテリアプランナーはコーディネーターと互角の難易度ですが、人材として求められる現場が微妙に違います。

インテリア設計士

インテリア設計士は快適かつ安全な住環境のため、家の設計や計画、施工、監理などを担当する専門家です。家具も含めて家全体の企画やデザイン、設計を引き受けます。技術だけでなくコミュニケーション能力も必要な資格です。

業務対象は新築や部屋のリノベーションのような、個人向けとは限りません。公共交通機関や商業施設の設計に携わることもあります。クライアントの要望に応えるべく、技術だけでなく提案力も問われる資格です。

合格率の相場は2級が約80%、1級が約50%になります。この数字だけで見ればインテリアコーディネーターより簡単な印象です。

ただしインテリア設計士は受験資格が設けられています。たとえば1級は「大学卒業後1年以上の実務経験」「短期大学や高等専門学校卒業後、2年以上の実務経験」などのいずれかに当てはまらなければなりません。

またインテリアコーディネーターの資格があれば2級を受けられますが、1級を受けるなら資格取得後1年以上の実務経験が必要です。高い合格率ながらも、試験にたどり着くまでが難しいといえます。

勉強時間は2級が約60時間、1級においては約100時間が相場になります。受験資格で挙げられる実務経験があれば、インテリアや建築に対する予備知識が備わっているでしょう。インテリア設計士は合格率の割に本格的な資格です。

キッチンスペシャリスト

キッチンスペシャリストは、快適で便利なキッチン空間をプロデュースします。そのため新築やリフォームで仕事を引き受ける機会が多い資格です。インテリアだけでなく建築やリフォーム、住宅設備業界などでも資格として生きてくるでしょう。

試験内容は学科と実技にわかれています。学科はマークシートによる択一式で、実技では記述式です。この形式はインテリアコーディネーターと似ています。キッチンスペシャリストにおいて、受験資格はとくに求められていません。

合格率の相場は約30%です。たとえば2020年度で28.5%でした。難易度としてはインテリアコーディネーターと互角か、少し簡単な程度です。ただ内装のデザインにおいてキッチンやその周りの仕上げも重要なので、キッチンスペシャリストとのダブルライセンスがあれば生かせるでしょう。

キッチンスペシャリストの勉強時間の相場は約200時間です。インテリアコーディネーターと学習量はあまり変わりません。水回りに特化していますが、そのぶん深い知識を求められる可能性があります。

以上からキッチンスペシャリストはインテリアコーディネーターより少し簡単な程度で、住宅関連の資格としてはやや難しい部類に入るでしょう。

マンションリフォームマネージャー

マンションリフォームマネージャーは、賃貸物件のうち専有部分のリフォームを手がけます。目的は付加価値の追加で、実現のために管理組合や施工者とのコミュニケーションが重要です。共有部分から不動産の付加価値を与える仕事と考えましょう。

試験形式は学科と設計製図にわかれています。2段階にわかれている点は、インテリアコーディネーターと似ているでしょう。マンションリフォームマネージャーでは知識を蓄えるだけでなく、設計製図の練習成果が試されます。

マンションリフォームマネージャーの合格率は、約30%が相場です。2021年度は35.3%になりました。インテリアコーディネーターよりもやや簡単な印象です。設計製図の時間があるにしては、比較的クリアしやすいでしょう。

受験資格の制限もないため、初めて住宅関連の資格を手に入れたい方もマンションリフォームマネージャーに注目しているでしょう。賃貸物件に住んだ経験を生かして、お客さまの希望を叶えられるのもこの職業のポイントです。

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターは、福祉関係で活躍したい人におすすめの資格です。高齢者や体の不自由な人が快適に暮らすために、特別な住環境を提案する専門家です。少子高齢化社会によって、この資格に注目する方もいるでしょう。

この資格は1級~3級にわかれています。2級~3級はマークシート方式ですが、1級では記述問題も加わります。2級まで取れても、1級はなかなかクリアできない可能性も考えてください。

合格率の相場は1級が約10%、2級が約40%、3級が約60%です。もっとも高いクラスになると、本格的な応用力を求められるため、基礎知識だけでは対処しきれない可能性があります。ちなみに2020年度の合格率は1級が12.%、2級が46.8%、3級が66.8%でした。

勉強時間は1級が約300時間、2級が約80時間~120時間、3級が約50時間~80時間必要とされます。2級まではインテリアコーディネーターより簡単な印象です。

高齢者相手に相談実績を作るなら、インテリアコーディネーターと福祉住環境コーディネーター2級とのダブルライセンスを考えてはいかがでしょうか。

照明コンサルタント

照明コンサルタントは、照明の計画やアドバイスに求められる技術を示す資格です。住宅だけでなく店舗や事務所の照明を手がけることもあります。以上から照明器具のスペシャリストと考えてください。

資格習得のために、専用の通信教育講座を受けなければなりません。講座内の科目で合格点に達すれば、修了証明書をもらえます。上位資格に照明士もあり、こちらも通信講座の受講で取得可能です。

また資格認定が5年間と限られており、5年ごとにレポートを出し、さらにスクーリングの参加によって更新しなければなりません。定期的な更新手続きは必要ですが、照明から住環境を良くしたい方には合っているでしょう。

照明コンサルタントの合格率相場は約80%とされます。インテリアコーディネーターより簡単な資格です。ほかのインテリア関連資格とのダブルライセンスも狙えるでしょう。お客さまにとって理想の住環境を実現するためには、照明の提案も重要だからです。

まとめ

インテリアコーディネーターの合格率相場は20%台前半になります。建物の内装にかかわる資格としては難関の部類です。そのため入念な学習計画を立てましょう。

試験は一次と二次の2段階にわかれています。一次はマークシートによる筆記ですが、二次では論文作成とプレゼンテーションをこなさなければなりません。どちらもバランス良く準備を進めてください。

ただしインテリアの従事経験があれば、勉強がはかどる可能性があります。予備知識によって簡単に解ける問題が見つかるかもしれません。初学者の合格例も見られますが、経験が生きやすい資格でもあります。

今回の難易度検証をきっかけに、インテリアコーディネーターを目指すべきか否かを考えてみませんか。

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