銀行員におすすめの資格を解説

銀行とは、銀行法に基づき運営され、顧客に対し様々な金融商品を販売したり、顧客の資産管理、運用の手助けをしています。そこで働く銀行員にも、おすすめの資格があります。

銀行員として働く場合、どんな業務があり、その業務で有効になる資格にはどのような資格があるのか。この点に注目してみました。

銀行員として働く中で取得しておくといい資格、これから銀行への就職を目指す方が事前に取得しておくのが推奨される資格などを紹介していきたいと思います。

銀行員になるために必要な資格はない

銀行員の仕事は多岐にわたりますが、企業や個人の資産を預かったり、資産運用のアドバイスをしたり、時には融資をするというのが主な仕事となります。仕事の内容はほかの業種とはかなり違いますが、それでも銀行員になるために必要不可欠な資格や免許はありません。

誰でも銀行に就職すればその時点で銀行員となります。そのため銀行へ就職を目指すために取得必須な資格はないということになります。

ただし、銀行員として働く中で、業務上取得が必須になる資格はありますし、また取得しておくと業務上有利になる資格というのも存在します。

さらに言えば、資格が必要ない銀行員だからこそ、資格を持つことでほかのライバルと差をつけることになり、結果仕事上の評価や収入面でも大きなメリットを受けることができるようになります。

資格取得が必須ではないだけに、資格を取得することで評価が大きく変わる。それが銀行員といってもいいかもしれません。

銀行員が資格を持つメリット

銀行の仕事な何かを生産して販売するという仕事ではありません。また、何かしらのサービスを提供して対価を得るというわけでもありません。銀行にはほかの業種とはその業務内容が大きく違うため、資格を持っているメリットが大きい業界ということもできるでしょう。

ただし、銀行に勤めながら資格を取得するのは簡単ではありません。仕事以外の時間を有効に活用し、勉強時間を確保する必要があり、誰でもすぐに取得できるというわけではありません。また、後に解説しますが、銀行員には資格取得の勉強以外にも、いろいろと勉強すべき項目があります。

貴重な個人の時間を犠牲にしてでも資格を取得するメリットに関して解説していきましょう。

業務に関わる専門知識を身に着けることができる

銀行の業務の中心は上記の通りですが、その中にもいろいろな業務が存在します。こういった銀行業務で必要とされる知識に関しては、なかなか学校の授業で習うということはありません。また、どの業務に関しても、経験があれば対応できるというわけではなく、業務に関する専門知識が不可欠です。

銀行員にとっての専門知識はひとつの知識ではなく、業務によってさまざまな知識が対象になります。銀行で働きながら、自分に必要な専門知識を見極めて、その専門知識を身に着けるのが重要です。

また、これから銀行に就職したいと考えている方は、銀行に就職した後自分がどんな業務に就きたいか、どんな業務で活躍したいかをイメージして、その分野の専門知識を身に着けるのがいいでしょう。

こうした自身の業務に関する知識を補完できるのが資格取得。もちろん資格がなくてもできる業務はありますが、資格を持っていることでより業務の幅を広げることができます。

顧客が法人の場合は、その法人の財務状況をチェックする、経営判断に助言を行うことができる知識があるとより業務の幅は広がるでしょう。

顧客が個人の場合は、資産運用や不動産管理の知識などがあるとより有利です。業務の幅が広がるということは、その分収入にも反映される可能性が高いということ。この点でもメリットが大きいといえます。

法令の変化などにも対応しやすくなる

銀行員としての業務は、いろいろな変化に対応する必要がある仕事です。

日本国内の法令や金利、海外の各国の経済状況や金利など、常に情報をアップデートしながら業務に当たる必要があります。分かりやすくいってしまえば、毎日業務をこなしながら、常に勉強を続ける必要があるということ。

資格取得を目指す場合、日常の仕事をしながら、自分で上手に時間を作り毎日勉強を続けていくことになります。こうした毎日の勉強が習慣づくのは銀行員にとっても大きなメリット。銀行員として日々の業務をこなしながら、状況の変化を知りそれに対応する能力が自然と身につきます。

取得した資格を業務で活かせるだけではなく、計画的に資格取得を目指して勉強すること自体が、銀行員としては求められる資質。そんな資質を証明するためにも、資格取得は有効な手段といえるでしょう。

銀行員が取得する資格の特徴

銀行員の方が資格を取得する場合、どのような資格を狙うべきか。資格には国家資格から民間資格までいろいろなものが存在します。その多数の資格の中からどの資格を選んで取得するかは重要なポイント。

資格を選ぶ際に注目したいポイント、どんな特徴を持つ資格がいいのかを確認していきます。

自分で狙っている資格がすでにあるという方は、その資格が以下の特徴に該当するかどうかを考えて見るといいかもしれません。

顧客にアドバイスできる知識が身につく資格

銀行で働く方、特に顧客と直接対面する業務に就く窓口担当者や営業担当者が取得する資格の特徴は、顧客の状況を聞き取り、顧客の資産運用などに関してアドバイスができるような資格です。

その顧客がどのような経済状況で、どのような目的で銀行に訪れているのか。それを知ることは銀行員として第一歩といえるでしょう。

顧客の経済状況を把握し、そのうえでどのような金融商品をおすすめするのか。この判断がしっかりできる知識を身に着けることで、より顧客から信頼されますし、顧客から信頼されれば業務成績も上がります。

実際に窓口に来る顧客の資産運用やライフプランニングに関してアドバイスを行うという機会は少ないかもしれませんが、アドバイスができるくらい豊富な知識を身に着けているのは重要なこと。こうした知識を持つ方に金融商品を薦められれば、より多くの顧客が安心して資産運用を銀行に任せてくれるでしょう。

企業の財務状況を読み取れる知識が身につく資格

銀行の顧客は個人の顧客に限りません。むしろ業務上取り扱う金額と考えると法人相手の業務の方が中心とも言えます。

こうした法人顧客に対応する場合は、その企業の財務状況を判断し、経営状態を診断できる能力が重要になります。実際に顧客企業に対してアドバイスをし、経営診断をするということはあまりないかもしれませんが、それができるくらいの知識があることが重要になります。

企業の財政状況を知るには、その企業の財務諸表を読み解く力が必要です。個人顧客の経済状況を知る能力とはまた別の知識が必要となります。

こうした企業経営や企業の財務状況を判断できる資格を持っていることで、顧客からの信頼度も高まるでしょう。

金融商品の取り扱いに関する資格

銀行で取り扱うのは、各種金融商品です。この金融商品に関する確かな知識が身につく資格、またこうした金融商品を顧客に勧めることができる資格は、取得を推奨というよりもほぼ取得必須の資格となります。

窓口業務や営業職の方にとっては当然必須資格になりますし、それ以外の部署の方も取得が推奨。自分が勤めている銀行がどのような商品を取り扱い、どのように顧客獲得につなげているか、それを知るためにも金融商品に関する専門知識、金融商品を取り扱える知識は重要になります。

勤務する部署に関わらず、こうした特徴を持つ資格には注目すべきでしょう。

取得に一定の勉強時間が必要な難関資格

特にこれから銀行へ就職を目指す方、また転職を希望する方におすすめしたいのが、難関資格といえる資格の取得です。

もちろん銀行はじめ金融業界で活躍できる資格であればベストですが、それ以外でも難関資格を取得することには大きなメリットとなります。

上記の通り、銀行員は仕事をしながら常に情報をアップデートしていく必要がある仕事です。毎日経済ニュースなどにアンテナを張って、しっかり情報収集する能力が求められます。

難関試験に合格したということは、それだけ長期間毎日地道に勉強を続けた証明にもなります。この地道な勉強を続ける能力は銀行員にとって求められる能力の一つ。こういった能力を証明できるのが難関資格の取得ということになります。

難関資格の中では、法知識が必要な資格や、将来独立開業ができる資格がおすすめ。銀行業務に関しては、いろいろな法知識が必要となる場面が多く、法知識があること自体がメリットとなります。

さらに将来独立開業という道を作っておくことで、仮に銀行に勤務することになっても、その先の人生設計により多くの選択肢が増えることにもなります。

銀行で活用できるというのも資格を選ぶ大きなポイントですが、せっかく取得する資格ですから、さらにその先の将来を見据えて選ぶのがおすすめとなります。

銀行員に関する資格取得をおすすめしたい方

銀行員として有効に活用できる資格の取得は、誰が取得してもいいというわけではありません。銀行員として働くのであれば有用な資格も、ほかの職種で働く方にはあまり意味のない資格も当然存在します。

そこで、どんな方に資格の取得がおすすめなのかを説明していきましょう。

銀行等で働いている方

まずはなんといっても現状銀行で働いている方には資格取得がおすすめです。銀行で働いている方は、自身の業務内容も分かっていますので、その業務に有用な資格を選んで受験するのがおすすめ。また、自身の希望する部署に異動するためにも、新たな部署で活用できる資格を取得するのも一つの方法です。

資格を取得することで自身のキャリアアップに繋がり、直接的に収入アップに繋がることも考えられます。特にその銀行が資格手当の対象としている資格には、取得することで業務上何かしら有用な資格が多くあります。こうした資格を狙うことで、資格手当を受け取り直接的な収入アップという希望も叶います。

日々の業務で忙しいとは思いますが、時間を上手く作って資格取得を目指しましょう。

銀行への就職を目指す方

すでに銀行で働いている方以外では、これから銀行に就職したいと考えている学生の方、もしくは銀行への転職を考えている方にも資格取得はおすすめです。

おすすめする資格は、もちろん銀行員として働く時に有用な資格ということになりますが、それだけにこだわらないというのもポイントです。

これから就職するということは、結果的に銀行に就職できるかどうかは分からないということになります。狙うべきは銀行での活用でき、また別の業種でも活躍できるタイプの資格です。

また、単純に難関資格を狙うのも一つの方法。上記の通り銀行員に求められる資質の一つとして、地道な努力を長期間続けることができるということがあります。そんな努力の結果を証明するのが難関資格の取得です。

また、難関資格を取得することで、銀行への就職以外にも、その資格を活かした仕事に就く道や、資格を活かして独立開業という選択も出てきます。

まだ銀行に就職していない方は、銀行で使える資格であり、さらにほかの道も開けるような資格を狙うといいでしょう。

銀行員におすすめの資格4選

ここまで銀行員の方におすすめする資格の特徴や、銀行員の方が資格を取得する意味やメリットなどに関して解説してきました。ここからは実際におすすめできる資格を、具体的に紹介していきます。

上でも説明した通り、資格と呼ばれるものは多数あります。その中には銀行員におすすめの資格も多数あり、その中から選んで資格取得を目指すというのが一般的です。

ここではこういった銀行員におすすめの資格の中から、特に人気の高い資格や、銀行以外の業種でも活躍できる資格など、汎用性の高い資格を中心に4つ厳選して紹介していきます。

ファイナンシャル・プランニング技能士

正式名称ファイナンシャル・プランニング技能士
資格種類国家資格
分野金融
認定団体厚生労働省
試験形式筆記、マークシート、口頭、面接
受験資格FP2級:以下のいずれかに該当する人
・3級FP技能検定の合格者
・FP業務の2年以上の実務経験者
・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
・日本FP協会認定の「AFP認定研修」を終了した人
試験日FP2級〜3級
年に3回(5月・9月・1月)に実施
受験料FP2級
学科:4,200円
実技(個人資産相談業務):4,500円
実技(保険顧客資産相談業務):4,500円
受験者数(2023年1月)FP2級
学科試験 29,466人
実技試験 23,994人
合格者数(2023年1月)FP2級
学科試験 16,537人
実技試験 14,283人
合格率FP2級
学科試験56.12%
実技試験59.53%
フォーサイト合格率(2023年1月)FP2級
学科試験:93.8%
偏差値38〜57
ファイナンシャルプランナー・FPについて詳しくはこちら

ファイナンシャル・プランニング技能士の資格は一般的にFPと呼ばれる資格です。この資格を持っていないとできない独占業務こそありませんが、「ファイナンシャル・プランナー」を正式に名乗れるのは、このFP資格の所有者だけという名称独占資格となります。

FP資格には1~3級までありますが、銀行員として働く際に活用できるのは2級以上の資格。目指すのは最低でもFP2級ということになります。

FP資格の特徴は、年金や保険、税制などの知識をしっかりと持ち、顧客の資産運用やライフプランニングに関してアドバイスができるという点。つまり銀行の顧客対応で活用できる資格であり、銀行員として「ファイナンシャル・プランナー」を名乗れるかどうかは、顧客にとっても重要なポイント。資格を持っていない銀行員と比較すれば、より安心して相談に行けるようになります。

そのため、銀行の窓口業務などでは、FP資格の取得が推奨されていますので、銀行で働く方、働きたいと思っている方は、取得しておくといいでしょう。

また、FP資格はその特徴から銀行以外の職種でも活用可能。これから就職する方はFP資格を取得しておくことで、より幅広い職種に挑戦できるでしょう。

証券外務員

正式名称一種外務員資格試験・二種外務員資格試験
資格種類公的資格
分野金融
認定団体日本証券業協会
試験形式CBT(Computer Based Testing)方式
受験資格特になし
試験日一種・二種:毎日(土日祝日・年末年始を除く)
受験料一種・二種:10,323円(税込)
受験者数(2022年度)一種:4,533人
二種:2,413人
合格者数(2022年度)一種:3,198人
二種:1,700人
合格率(2022年度)70.5%
フォーサイト合格率(2022年度)-
偏差値一種:54
二種:47
証券外務員の詳細情報

株式や公社債、投資信託など顧客に金融商品を勧誘する方は、取得が必須となるのが証券外務員資格です。

一般的には銀行など金融業界に入社して、その会社から受験を申し込む形が一般的ですが、証券外務員資格はそれ以外の一般の方でも受験が可能です。

銀行によっては自社の銀行員に証券外務員資格の取得を義務づけている銀行もあります。つまり、銀行に就職した後に取得しなければいけないというケースも考えられるということ。

そう考えると、就職前に自力で証券外務員資格を取得しておくのは一つの方法。就職前に取得しておくことで、仕事に対して本気で考えていることをアピールできますし、就職後に資格を取得する手間を省くこともできます。

就職先を銀行、もしくは金融業界に絞って考えている方はぜひ就職前に取得しておきましょう。

日商簿記

正式名称日商簿記検定
資格種類公的資格
分野会計・財務
認定団体日本商工会議所,各地商工会議所
試験形式筆記
受験資格学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能
試験日簿記2・3級:2月・6月・11月の年3回
受験料簿記2級:4,720円
簿記3級:2,850円
受験者数(2023年2月)簿記2級:12,033人
簿記3級:31,556人
合格者数(2023年2月)簿記2級:2,983人
簿記3級:11,516人
合格率(2023年2月)簿記2級:24.8%
簿記3級:36.5%
フォーサイト合格率(2023年2月)簿記2級:86.4%
簿記3級:87.5%
偏差値2級:58
3級:47
簿記の詳細情報

銀行はもちろん幅広い業界で活躍できる資格としては、日商簿記の資格があります。簿記に関する資格にはいろいろな種類がありますが、その中でももっとも認知度が高いのが日商簿記です。

日商簿記にも1~3級の資格がありますが、おすすめするのは2級以上。2級以上の資格になると、商業簿記の知識に加え、工業簿記の知識も身に着けることができます。商業簿記と工業簿記の知識が身につくことで、企業の財務諸表が読み取れるようになり、財務諸表からその企業の財務状況を知ることができます。

顧客が主に法人である場合、この知識は非常に有効になります。また、顧客対応以外の部署、特にデスクワークの部署ではその知識を有効活用することも可能。さらに言えば、銀行以外のあらゆる業種でも活躍できる資格となりますので、取得は非常におすすめの資格となります。

宅地建物取引士

正式名称宅地建物取引士
資格種類国家資格
分野不動産
認定団体国土交通省
試験形式マークシート
受験資格学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能
試験日2023年10月15日(日)
13時~15時
受験料8,200円(予定)
受験者数(2023年度)233,276人
合格者数(2023年度)40,025人
合格率(2023年度)17.2%
フォーサイト合格率(2023年度)76.1%
偏差値55
宅地建物取引士・宅建士について詳しくはこちら

銀行に相談に来る顧客の中には、不動産取引に関する相談にくる方も多数います。個人の顧客であれば、マイホームを購入するためのローンを申し込む方がいますし、法人顧客の中には不動産を担保に資金融資を依頼してくる顧客もいるでしょう。

銀行員の仕事と不動産には深い関係があり、不動産に関する知識を身に着けておくのは非常におすすめの方法となります。

宅地建物取引士は、「宅建士」とも呼ばれる資格で、不動産取引の現場で、重要事項説明を行うという独占業務を持つ資格です。取得には不動産に関する様々な知識や、不動産取引に関わる法知識などが必要であり、不動産のスペシャリストとなる資格です。

不動産取引に関する知識を持つ宅建士資格は、銀行員にとっても非常に有効な資格。また、銀行以外の業界でも活躍できる資格です。不動産業界はもちろん、金融業界などでも活躍できる資格ですので、これから銀行員を目指すという方には特におすすめの資格となります。

まとめ

銀行員の仕事の中心は、顧客に対し各種金融商品を薦めることです。薦める商品が金融商品だけに、間違いが許されない仕事。そのためには、さまざまな知識を持っていることが推奨される仕事です。

こうした知識を身に着け、さらにその知識を持っていることを顧客や周囲に証明することができるのが資格の取得です。

特に顧客対応をする部署では、こうした資格の取得が非常に重要です。銀行員が顧客から信頼されるかどうかは、話した印象とともに、その銀行員がどんな資格を持っているかに大きく左右されます。

銀行員として有効な資格を持っていることは、顧客から信頼を集めるために重要であり、しっかり資格の特徴を見極めて取得を目指すのがおすすめです。

しかしこうした資格の取得はそこまで簡単ではありません。特に有用な資格に関しては当然ですが取得も難しくなり、資格取得にはある程度長期間の勉強期間が必要になります。もちろん長期間努力するというのもひとつの方法ですが、できるだけ短期間での取得を目指すのであれば、独学ではなく通信講座の受講がおすすめ。

通信講座の教材を上手く活用し、できるだけ短期間での取得を目指しましょう。