高卒で取れる資格には、どのようなものがあるのでしょうか?ひと昔前は「大学生ブランド」が存在していましたが、規制緩和により大学が増え、誰もが大学進学する現在の社会状況ではありがたみが薄れています。
2016年の就職率データでは、高卒(97.7%)が大卒を上回った(97.3%)ことからも、高卒や大卒に大きな差はなくなったという見方ができます。
しかしながら、まだまだ大卒が有利という条件が多いのも事実です。
そのため、高卒者の中には、就職や転職に役立つ資格を取得したいと考えている人は少なくありません。そこで、学歴・年齢などに関係なく受験でき、企業に人気のある国家資格を集めてみました。
目次
高卒の就職事情と知っておきたい就職基礎知識
高卒の不安とは
高卒者の不安は「将来に対するもの」が多いようです。先に述べたように就職率だけなら大卒を上回る実績になっています。
しかし、就職した職場での配置・昇進・給与・それにともなう生涯賃金など、どうしても大卒と比較してしまうと不安になるようです。
日本は依然として学歴にこだわる企業や人が多いのも事実なので、周りを気にして、学歴コンプレックスに陥る人が多いのも現実です。
高卒のメリット・デメリット
デメリット
- 就職や転職時に学歴による書類審査落ち
- 大卒に比べて仕事のはばが狭く昇進も遅い
- 求人の内容が限られる
- 大卒に比べて初任給や生涯賃金が少ない
- 社会経験が少ない
- 総合職でも単純な仕事が多い
- 非正規雇用が多く正社員として雇用してもらえることが少ない
メリット
- 若いうちから社会経験ができる
- 社会人になるのが早いのでたくさんの仕事を経験できる
- 若いうちからお金を稼げる
- 体力気力があるので頑張りがきく
- たとえ失敗してもやり直しができる
知っておきたい就職する前の豆知識
履歴書で注意したいこと
学歴は中学卒業から書いてください。
そして、なによりも大切なのは、志望動機です。
企業情報を熟読し、その会社の大切にしていることなどを読み取り、共感の意思を示すなど、採用担当者に自分の意思がきちんと伝わるように、丁寧に心を込めて履歴書を書くようにしましょう。
面接で注意したいこと
面接官は以下の部分をチェックするので十分に注意してください。特に、高卒の場合、ライバルは大卒です。学歴的に不利なのはあたりまえなので、面接が非常に重要になります。
- 面接は自己PRの場です。「この会社に入りたい」という意思と熱意をしっかりと伝えましょう。
- 面接官に自己PRなどをするときは、わかりやすい説明を心がけましょう。特に、「自分を採用するとどんなメリットがあるのか」を伝えることが大事です。わかりやすくするためには「結論→その理由・説明→結論」の順で話すようにしましょう。
- 面接官は、応募者の人柄をみています。暗いイメージ・あいさつや返事ができない・マナーが悪いなどのほか、面接官の話を聞いていないなどは絶対にNGです。
高卒におすすめの資格「宅建」
正式名称 | 宅地建物取引士 |
---|---|
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 不動産 |
認定団体 | 国土交通省 |
試験形式 | マークシート |
受験資格 | 学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能 |
試験日 | 2023年10月15日(日) 13時~15時 |
受験料 | 8,200円(予定) |
受験者数(2023年度) | 233,276人 |
合格者数(2023年度) | 40,025人 |
合格率(2023年度) | 17.2% |
フォーサイト合格率(2023年度) | 76.1% |
偏差値 | 55 |
宅建がおすすめの理由
「宅建」すなわち「宅地建物取引士・宅建士」は、各通信講座の人気ランキングで常に上位に入る人気資格です。日本の企業が取得を推奨している国家資格ランキングでも、常にNo1を誇っているメジャーな資格です。
宅建士の主な仕事は、不動産会社などに勤務し、不動産の売買・交換、賃貸などの取引にあたり、お客さまに重要事項を説明したり契約締結後に交付する書類に署名・押印をしたりする業務です。
実はこの仕事、宅建士の資格を持っている人にしかできません。そして、不動産業界だけでなく、建設・金融・保険などの業界でも、宅建の知識と資格を持つ人材は歓迎されています。
宅建資格は、年齢・学歴などの受験資格がないので高卒の方であっても受験できるのが魅力です。ちなみに、今までの最年少合格者は、12歳(小学校6年生の男子)で、最年長は90歳の男性だそうです。
それほど、年齢層のはばが広いということは、やはり就職や転職に有利な資格といえるからでしょう。
最近は、海外の投資家が日本のマンションを購入するケースが増加しているために、英語力がある宅建士への需要が高まるといわれています。
宅建が高卒におすすめの理由
宅建は、国家資格の中でも比較的合格しやすく、企業でも人気が高いために毎年20万近くもの人が受験しています。受験するにあたっては、学歴は全く関係がありません。
頑張って勉強すれば取れるので、ぜひ取得しておきたい資格です。
宅建資格がいかせるのは、主に不動産業界・建設業界・金融業界などです。これらの業界は、安定した企業が多いのが特徴です。
大卒よりも早くから仕事に慣れ、長く務めるということでは、高卒には魅力的な企業といえるでしょう。
高卒の場合は、大卒と競うためにも武器としての資格を取得しておけば、就職の際に一目置いてもらえます。
不動産業界・建設業界・金融業界とは関係ない職業につくにしても、履歴書の資格欄に書くことで「努力ができて、前向きな人間」だとアピールすることができるでしょう。
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料金・申込み
高卒におすすめの資格「旅行業務取扱管理者」
正式名称 | 旅行業務取扱管理者 |
---|---|
資格種類 | 国家資格 |
分野 | ビジネス |
認定団体 | 観光庁 |
試験形式 | 筆記 |
受験資格 | 特になし |
試験日 | 9月 |
受験料 | 国内 5,800円(非課税) 総合 6,500円(非課税) |
受験者数(2023年度) | 国内 8,960人 総合 4,699人 |
合格者数(2023年度) | 国内 3,270人 総合 1,050人 |
合格率(2023年度) | 国内 36.5% 総合 22.3% |
フォーサイト合格率(2023年度) | 国内 78.7% 総合 51.9% |
偏差値 | 56 |
「旅行業務取扱管理者」がおすすめの理由
旅行業務取扱管理者とは、主に旅行代理店に勤務しながら、旅行のプランニング・旅行の取引・旅行の実施などに関する業務を行う人です。言い換えれば、旅行全般のプロデューサーのような仕事といえるでしょう。「旅行業務取扱管理者」は、旅行業界では唯一の国家資格でもあります。
この資格を持っていれば、旅行に関する豊富な知識・スキルを有している「旅行取引の総合責任者」として認めてもらえるのでしょう。旅行が大好きで興味がある・旅行業界で働いてみたいと思う人は、ぜひ、チャレンジして欲しい資格です。
旅行業務取扱管理者は、以下に示す3種類の資格があります。自分に向いているものを選んでください。
- 国内旅行業務取扱管理者:国内旅行の身を扱う営業所で勤務
- 総合旅行業務取扱管理者:国内・海外旅行を取り扱う営業所で勤務
- 地域限旅行業務取扱管理者:拠点区域内の国内旅行を取り扱う営業所で勤務
旅行業務取扱管理者は、学生から大人まではば広い年齢層の人たちに人気があります。それは、「合格率は一桁」という難易度が多い国家試験の中でも、総合旅行業務で10〜20%、国内旅行業務で30〜40%と、比較的容易なためです。過去問からの出題も多いので、しっかり勉強すれば「初学者の方であっても合格が狙いやすい」資格といえるでしょう。
「旅行業務取扱管理者」が高卒におすすめの理由
旅行業務取扱管理者は、旅行業界では唯一の国家資格でありながら、学歴や年齢・性別・国籍に関係なく受験できるのが魅力です。思い立ったら、すぐに試験勉強をスタートできます。高卒で、旅行代理店など「旅行業界への就職」を目指すのであれば、ぜひ取得しておきたい資格です。
たとえほかの業界に就職したとしても、旅行会社・旅行代理業者・旅行企画会社・航空会社などの交通関係業界に転職したいと思った場合に、この資格を取得しておけば「旅行に対してのはば広い知識の持ち主」として有利になるでしょう。
会社にもよりますが、旅行業務管理者は、正社員だけでなく、会社によってはアルバイトやパートでも働けるのも魅力です。
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料金・申込み
高卒におすすめの資格「行政書士」
正式名称 | 行政書士 |
---|---|
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 法律 |
認定団体 | 総務省 |
試験形式 | 筆記試験 |
受験資格 | 学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能 |
試験日 | 令和5年11月12日(日) 午後1時~ |
受験料 | 10,400円 |
受験者数(令和4年度) | 47,850人 |
合格者数(令和4年度) | 5,802人 |
合格率(令和4年度) | 12.13% |
フォーサイト合格率(令和3年度) | 54.1% ※バリューセット2 |
偏差値 | 62 |
「行政書士」がおすすめの理由
行政書士は、法律専門の国家資格で、民間と行政をつなぐ「パイプ役」として、はばひろい業務分野を持っています。中心となる仕事は、官公庁などに提出する書類の作成・提出手続きの代理・相談業務などです。
具体的には、遺言・相続・土地活用・契約書・自動車登録・入管手続・お店などの許認可申請ほか、生活に密着しているさまざまなジャンルを扱います。行政書士が「街の法律家」など呼ばれることがあるのは、こうした理由からです。
さらに、行政書士の仕事は「官公庁に提出する許認可申請のプロ」にとどまりません。会計記帳・決算・財務表作成など、会計業務にも携わるので、中小企業に法律知識をもとにアドバイスを行う「ビジネスコンサルタント」としてのスタンスもあります。
また、個人や企業に起こりうるさまざまなトラブルを未然に防ぐ「予防法務」の仕事も行えるので、有資格者はさまざまな企業で歓迎されるでしょう。
行政書士の資格は、年齢・性別・学歴・国籍などに関係なく誰でも受験することができます。思い立ったときに勉強を始め、資格取得に挑戦できるのも魅力でしょう。
「行政書士」が高卒におすすめの理由
行政書士の受験資格は、学歴などの条件がありませんので、高卒でもおすすめの資格です。
資格取得者は、法務事務所・行政書士事務所・弁護士事務所などに就職し、「使用人行政書士」として勤務しながら経験を積むことができます。さらに、一般企業の法務部などでも、行政書士資格取得者は優遇されます。
資格手当などを付けてくれる会社もあるようですので、大卒と比べて給与面で不安を抱える高卒でも、安定した収入が見込めます。
また、行政書士の仕事は業務範囲が広いのが特徴です。自分の得意分野を決めて専門性を高めたり、異なる得意分野を持つ仲間と協力したりして、将来的に独立開業することも可能です。
一般に大卒と比較して、生涯賃金が低いといわれる高卒ですが、資格を取得してまじめに努力することにより、高い賃金が得られる仕事といえるでしょう。
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料金・申込み
まとめ
まだまだ学歴重視の日本ですが、高卒でも大卒でも人間性に違いがあるわけではありません。
それどころか、大学生よりも4年も早く実社会と仕事を体験できることは大きなメリットです。そこに仕事に役立つ資格を取得すれば、大卒にだって負けるはずがありません。
がんばって資格を取得し、自分の可能性をどんどん広げてくださいね。