不動産業界の仕事と聞いて、皆さんはどのような仕事内容を想像されるでしょうか?「不動産業界」とひとまとめにしがちですが、不動産業界もいくつかの業種に分類されます。この記事では、不動産業界の仕事の種類や、仕事内容などについてまとめていこうと思います。
目次
不動産業界は大きく分けて3種類
不動産業界にはいくつかの業種があります。不動産を売買する、賃貸する、不動産物件を管理する、不動産物件の建設を企画立案する、不動産に投資する、または投資する人をサポートするなどなど。不動産物件を建設する建設業を除いてもいろいろな業種が存在しています。
そんな各業種から代表的な3つの業種をピックアップし、その仕事内容などをご紹介していきましょう。
不動産開発
不動産開発業といっても、どのような業務を行っているかあまり想像しにくいかもしれません。不動産開発業の主な仕事は、不動産物件の建設計画を企画立案することです。
一例を挙げると、ある程度の広さの土地を持っている所有者がいたとします。この所有者がその土地にマンションを建てたいと思っても、どのようなマンションを、どのように立てるといいのか判断するのは難しいところです。
そこで不動産開発業者にマンションの建設に関して相談すると、その土地の立地条件、周辺にある施設、都心部までの距離や時間などを多角的に検討し、どのような利用者層向けの、どのようなタイプのマンションがベストかを判断してくれます。
さらに実際に建設した場合も想定し、建設計画や予算なども算出する。これが不動産開発業の仕事のイメージです。不動産開発業者は不動産の開発計画を建てるまでが主な仕事。実際の建設は建設業者に依頼し、完成後のマンションを維持管理するのは不動産管理事業者に依頼するといった形が一般的です。
このようなマンション開発はもちろん、リゾート地のリゾート開発や、ひとつの街を丸ごと開発する都市開発、商業施設などの開発も不動産開発業者の業務の一環です。
もちろん企画立案などの開発が主な業務ですが、それに伴う土地の確保なども業務の一環となりますので、いろいろなタイプの人材が集まる業種と考えていいでしょう。
不動産流通
不動産流通業者は、その名の通り不動産を流通させるのが主な仕事です。不動産流通業者は大きく分けて2つに分類されます。
ひとつは自ら不動産を所有し、不動産の売買、賃貸を行う不動産売買業、不動産賃貸業です。ちなみに、サラリーマンなど本業の傍ら、個人的に不動産を所有し、その物件を貸し出すことで収益を得ているいわゆる「サラリーマン大家」も不動産賃貸業に含まれます。
もうひとつは、自ら不動産を所有することはせず、不動産を所有している顧客と、不動産を求めている顧客をマッチングし、その仲介を行うことで仲介手数料などを受け取る不動産仲介業です。
いわゆる街の不動産屋はこの不動産仲介業に含まれ、賃貸物件を紹介し、仲介手数料で利益を得ています。
2つの業種の大きな違いは、不動産を自社の在庫として所有するかしないかです。不動産を所有する売買業、賃貸業者は、在庫負担がある代わりに、1件の契約が成約すると大きな利益が出るのが特徴です。
一方仲介業は、自ら不動産を在庫として所有しませんので、在庫負担がありません。その代わり契約1件当たりの収益は大きくなく、数多くのマッチングをしないと収益が上がりにくいという特徴があります。
不動産管理
不動産物件は定期的なメンテナンスをしっかり行わないと、建物の劣化が早くなります。建物の劣化は建物の価値の下落に直結しますので、できれば避けたいところ。それを実現するのが不動産管理業者です。
不動産管理業者は、マンションやオフィスビルなどの管理業務を請け負い、建物の長期的なメンテナンス計画を策定。住民やテナントが毎月積み立てている修繕積立金を有効に活用し、不動産物件を維持管理します。ほかにも業務はありますがそれは後の項目で詳しく解説していきます。
不動産業界の部署別仕事内容
不動産業界全体を見て、多くの業種に置かれている部署に関して、どのような仕事を中心に行っているか具体的に解説していきましょう。
営業職
不動産業界に限らず、どの業種でも必ずあるといっていいのが営業職です。不動産業界でも営業職はどの業種でも存在し、また転職サイトなどでもっとも多くの求人が出ているのも営業職の求人です。
不動産業界の営業職といっても業種ごとに顧客の傾向が変わるため、それぞれ特徴的な仕事となります。不動産開発業の営業は、土地の所有者である個人や法人、また開発を依頼してくる可能性がある個人や法人が中心になります。
不動産開発業は、開発する目的により案件が非常に大きなものになる特徴があります。不動産業界で取り扱う商品は、基本的に土地や建物であるため、ほかの業種以上に商品単価は高いのですが、大規模な商業開発やリゾート開発ともなると、ひとつの案件が数十億円、数百億円になることもあるのが不動産開発業の営業職の特徴といえるでしょう。
不動産流通業の営業は、売買業の場合は不動産の持ち主、もしくは不動産を探している人が顧客となります。取り扱う商品が高額であるため、正確な価値判断や、不動産に関する知識や法令、金融に関する高度な知識が求められます。
賃貸業の営業は借主への営業が中心になります。直接営業を行うケースもありますし、不動産仲介業者に借主探しを依頼するケースもあります。賃貸業者の営業は、とにかく数多く営業を行う必要があります。
最後に不動産管理業ですが、営業職の主な仕事は管理する不動産物件に住む住民からの問い合わせへの対応などが中心となります。積極的に顧客を開拓するよりも、届けられるあらゆるケースに柔軟な対応をすることが求められます。
すべての営業職において求められるのは、不動産に関する専門的な知識と、粘り強く営業を続ける根気ということになります。
仕入れ業務
土地や建物などを仕入れる仕入れ業務は、主に不動産開発業、不動産馬場偉業・賃貸業で多い業務となります。どの業務においても求められるのは、粘り強い交渉能力と、不動産の価値を正確に判断し、適正価格で仕入れる知識です。
不動産を仕入れるということは、土地や建物を購入するということであり、ひとつの案件で大金が動く仕事となります。それだけに不動産取引に関する深い知識や経験、さらに不動産に関する知識に限らず、金融に関する知識や税制に関する知識に関しても求められることが多い業務といえるでしょう。
管理業務
不動産業界の業務において、やや特殊な分野の仕事となるのが管理業務でしょう。管理業務には大きく分けて2つの業務が考えられます。ひとつは建物の維持管理に関する業務。これは上でも説明した通りです。
もうひとつの業務が、借主、買主を集めることです。管理業者は顧客から不動産の管理の依頼を受けますが、この中に借主・買主の募集が含まれるケースも多々あります。借主・買主の募集自体は自社が行うケースは少なく、一般的には不動産仲介業者に業務を依頼します。
仲介業者が見つけてきた借主・買主候補に対し、適正な審査を行い、入居者を不動産の持ち主に紹介するのが主な業務です。募集業務に関しては、すべて管理事業者に一任されるような契約もあり、管理業者は家賃の一部を不動産所有者である顧客から受け取り収益としています。
不動産業界の仕事の特徴
不動産業界全体を見て、どの業種、業務においても見られる特徴についていくつかまとめていきます。もちろんここで上げる特徴は、一般的に言われている特徴であり、細かく言えば業種や業務により、さらに特徴的な部分はありますのでご注意ください。
専門知識を求められることが多い
不動産業界の仕事では、どの業種においても不動産取引の契約が行われます。この不動産取引には専門的な知識が多く求められ、さらに金融関係の知識や税制関係の知識が求めあれるケースも非常に多くなります。
また、事務職においても不動産に関する知識がないと業務が行えないケースは多く、どの業種、業務においても、ある程度専門的な知識は必要であると考えていいでしょう。
未経験者歓迎の場合も多い
不動産業界の面白いところは、専門的な知識が求められる業務が多いという特徴がありながら、未経験者歓迎の求人が多いことでしょう。未経験者は基本的に不動産に関する専門知識の少ない方が中心であり、この点は矛盾しているようにも思えます。
不動産業界の求人で多いのは、圧倒的に営業職の求人です。もちろん営業職も不動産に関する知識があることがベターではありますが、ベストではないというのが一般的な見解です。
不動産の営業は、取り扱う商品単価が高くなります。マイホームの販売で数千万円単位、土地や建物の売買では数億円という案件も少なくありません。比較的価格が低い賃貸業の定業職でも、毎月数万円支払う契約というのは、対個人への営業としては高額な商品といえます。
全般的に高額商品を扱う営業になるため、成約までには長い時間が必要となり、その間粘り強い営業が求められます。こうした営業を行う体力、精神力は、不動産の専門知識以上に大切になるますので、たとえ業界未経験の方でも、体力的、精神的にタフな方には向いている業界ということになります。
就職や転職に有利な資格がある
不動産業界は、ほかの業界と比較して資格を持っていることで就職や転職が有利になることが多い業界です。それだけ不動産に関する資格、不動産取引において必要不可欠となる資格が多いということでもあり、こうした資格を取得することは、就職活動でも大きなメリットとなります。
不動産関係の資格として、もっとも有名であり、比較的取得しやすいのが宅建士の資格です。不動産取引の現場において、重要事項説明を行える唯一の資格なだけに、不動産業界で働くことを目指す人は、ぜひとも取得しておきたい資格といえます。
ほかにも専門的な資格としては、不動産管理業で必須となる管理業務主任者や、不動産登記を代行できる唯一の資格である司法書士、さらにマンション管理士や行政書士があります。ほかにも不動産業界で求められる資格は多数あり、自分が働きたい業種で必要な資格を調べ、取得を目指すのもおすすめな手段の一つとなります。
不動産業界の将来性
日本では長く少子高齢化、人口の減少が叫ばれています。人口が減るということは、住む場所、働く場所も減るということであり、不動産業界も長い目で見れば衰退する業界と思われるかもしれません。
しかし、人間が生きていくのに欠かせないものとして一般的に語られるのが「衣食住」です。不動産業界とはこの「住」にかかわる業界であり、その仕事がなくなることは考えにくいでしょう。
新たな業務展開が求められている
人口減少が不動産業界に大きな影響を与えないという理由のひとつが生活様式の変化です。2020年に世界的に蔓延した新型コロナウイルス。この影響で多くの人がテレワークや時差出勤など働き方の変化を求められました。
仮に日本がこのまま少子高齢化、人口減少に向かって言った場合、多くの日本国民は生活する環境やその様式の変更を求められます。今とは違う生活を送るには、今とは違う環境が必要となり、その環境を実現するのが不動産業界の仕事ということになります。
簡単に考えても、日本の住宅や公的施設の建物をすべてバリアフリー化するだけでも多くの時間と費用が必要です。このバリアフリー化を進めることができるのが不動産業界と建設業界ということになります。
これまでの不動産だけではなく、新しい生活様式に合わせた不動産開発を行い、それを売買し、管理する。そう考えると不動産業界の将来は明るいと考えても過言ではないと思われます。
投資商品としての不動産
不動産には働く場所、暮らす場所というだけではありません。近年注目を集めているのが投資商品としての不動産です。実際ほかに本業がありながら、不動産物件を所有し、その物件を貸し出すことで家賃収入を得るサラリーマン大家という存在は増加の傾向にあります。
投資商品としての不動産は、株やFX、為替と比較すると、リターンは大きくないもののリスクも低い商品と言われています。今後も不動産を投資商品として考える方、企業は増加していくでしょう。
そして、投資商品としての不動産は国内のものとは限りません。海外の不動産に投資する方や企業も増えており、投資商品としての価値も上がっていくものと考えられていますし、実際にワールドワイドに活躍できる人材を求めている企業も増えているようです。
仕事内容も将来性も魅力的な不動産業界
不動産業界の仕事内容は、専門知識を問われることが多いものの、未経験者でもチャレンジしやすいものがあるというのが現実です。また不動産業界の特に営業職では、飲泉ティ部契約を採用している企業が多く、自身の頑張り次第で高収入を目指せるという側面もあります。
新しい生活様式が叫ばれる現代の日本において、不動産業界自体も変革の時を迎えており、今後さらに魅力的な業界となる可能性も秘めています。新しいことにチャレンジしたい、専門的な知識や資格を取得したいという方にはおすすめの業界といえるでしょう。