司法書士試験はいつ頃どんな内容で行われるのか?

更新日:2021年4月19日

目次

司法書士試験の日程

司法書士の試験は年に一度実施され、全国の指定会場での受験となります。一次試験の筆記試験に合格すると二次試験の口述試験に進みます。

年に一度しか受験チャンスはありませんので、挑戦する方はこの試験日程に合わせて勉強や体調、仕事をしている方は業務の調整をする必要があります。

令和4年度の申込期間と試験日

では司法書士試験がどのような順序で行われるか、法務省が発表している令和4年度(2022年度)の試験日程を確認してみましょう。

試験申し込み申請期間 2022年5月2日(金)~5月16日(月)
一次試験(筆記試験)日 2022年7月3日(日)
一次試験(筆記試験)合格発表日 2022年10月11日(火)
二次試験(口述試験)日 2022年10月24日(月)
最終合格発表日 2022年11月11日(金)

申し込みは郵送で行う方が多いかと思いますが、締め切りは5月16日(月)の消印有効になります。申込期間はさほど長くは確保されていませんので、受験をする予定の方は、遅れないように出願をしましょう。

合格発表はいずれも発表日の16時に各法務局や地方法務局にて掲示され、同時に法務省のHPでも公開されます。受験者には二次試験である口述試験の日程や会場に関しての通知が郵送されます。

一次試験の合格発表から二次試験までは2週間しか期間がありませんので、試験結果が気になる方は、郵便物を待つよりHPで確認することをおすすめします。

また、二次試験の口述試験は平日に行われますので、お仕事をしている方は休暇を取れるようにしておき、必要であれば交通チケットの手配、宿泊の予約をすぐに手配するようにしましょう。

司法書士試験の受験資格と受験料

司法書士試験は難関試験であり、受験者も法律知識に詳しい方が集まります。そんな司法書士試験の受験資格をご紹介。同時に受験に必要な受験料や必要書類、さらに申請手順などもまとめておきましょう。

司法書士試験の受験資格

司法書士試験は優秀な法律家を選抜するために行われる試験であるため、受験資格はありません。性別や学歴はもちろん、職歴や国籍、年齢にも制限はありません。

誰でも簡単に合格できる試験ではありませんが、挑戦することは誰でも可能な試験となっています。

ただし、司法書士試験の受験はできても、司法書士になるにはある程度条件があります。司法書士には欠格事由が定められており、この欠格事由に当てはまる方は、司法書士試験に合格しても、司法書士としての登録および業務は行えません。

◎司法書士の欠格事由
  • 未成年者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 公務員であって懲戒免職の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者
  • 第47条の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者
  • 懲戒処分により、公認会計士の登録を抹消され、又は土地家屋調査士、弁理士、税理士若しくは行政書士の業務を禁止され、これらの処分の日から3年を経過しない者

ここでいう「第47条」とは、司法書士法の第47条のことで、「司法書士として懲戒処分を受けた者」ということを意味しています。

司法書士試験の受験料と必要書類

司法書士試験を受験するのに必要な書類は以下の2点です。

  • 受験票
  • 受験申請書

どちらも法務局、もしくは地方法務局の総務課窓口で入手できます。

受験料は8,000円。受験申請書に貼付箇所がありますので、8,000円分の収入印紙を購入し、貼付して納付しましょう。収入印紙は郵便局、またコンビニエンスストアでも購入可能です。

司法書士試験の申込方法

まずは法務局で受験票と受験申請書を入手します。全国の法務局、地方法務局の総務課窓口にて入手が可能です。

法務局の窓口で申請書を入手しようと考えている方は、開庁時間に注意が必要です。各法務局が開庁しているのは平日のみ。土日祝日は開庁していません。

また、業務時間も8時30分~17時15分まで。お仕事をしている方は、直接窓口に行くのは時間的に厳しいところです。もちろん本人以外が代理で受け取ってもいいのですが、頼める方がいないという方も多いかと思います。

そういう方には郵送がおすすめ。申請書の入手依頼は郵送でも可能です。郵送を希望する場合、封筒の表に「司法書士請求」と朱書をします。封筒の中には返送用の封筒(角型2号)に120円分の切手を貼付し、さらに住所氏名を書き込んだうえで郵送してください。

入手した申請書に必要事項を記入し、8,000円分の収入印紙を貼付。さらに自身の顔写真を貼付して出願します。貼付する顔写真は、受験時に確認をされますので、受験の時にメガネを着用する方は、メガネを着用した状態で撮影するようにしてください。

申し込みも法務局や地方法務局の総務課窓口ですが、出願も郵送で行うことが可能です。

郵送で出願する場合は、封筒の表に「司法書士受験」と朱書し、同封する受験票に返送用の切手120円分を貼付の上出願しましょう。

司法書士試験の受験会場

司法書士試験の受験会場は、受験を申請した各地の法務局にて指定された試験会場で受験することになります。2019年度までは全国50ヶ所ほどの試験会場が用意されていましたが、受験者の減少などを理由に2020年度以降は全国で15ヶ所程度に削減されることが決定。

特に地方に住んでいる方は、事前に試験会場をしっかりと確認し、受験の際に迷わないように、また前乗り宿泊が必要な場合は宿泊施設の手配などを怠らないようにしましょう。

令和2年度(2020年度)は新型コロナウイルスの感染拡大の影響があり、通常よりも広い試験場を多く用意したため、全国21ヶ所での実施となりました。

今後よほど受験者数が増えない限り、15ヶ所程度での実施が続くようです。

管轄法務局 試験会場 所在地
札幌法務局 札幌法務局 北海道札幌市
TKP札幌カンファレンスセンター 北海道札幌市
仙台法務局 サンフェスタ 宮城県仙台市
さいたま地方法務局 東京国際大学 埼玉県川越市
西武文理大学 埼玉県狭山市
東京法務局 日本大学経済学部 東京都千代田区
早稲田大学 東京都新宿区
千葉地方法務局 敬愛大学稲毛キャンパス 千葉県千葉市
横浜地方法務局 TKPガーデンシティPREMIUMみなとみらい 神奈川県横浜市
TKPガーデンシティPREMIUM横浜西口 神奈川県横浜市
TKPガーデンシティ横浜 神奈川県横浜市
静岡地方法務局 静岡大学 静岡県静岡市
名古屋法務局 愛知大学名古屋キャンパス 愛知県名古屋市
京都地方法務局 立命館大学衣笠キャンパス 京都府京都市
神戸地方法務局 神戸ファッションマート 兵庫県神戸市
大阪法務局 大阪経済大学大隅キャンパス 大阪府大阪市
広島法務局 広島コンベンションホール 広島県広島市
ホテルチューリッヒ東方2001 広島県広島市
高松法務局 香川県幸町南キャンパス 香川県高松市
福岡法務局 マリンメッセ福岡 福岡県福岡市
那覇地方法務局 那覇コンベンションセンター 沖縄県那覇市

二次試験の口述試験に関しては、札幌法務局、仙台法務局、東京法務局、名古屋法務局、大阪法務局、広島法務局、高松法務局、福岡法務局の8つの法務局が指定する試験会場で行われます。

上でも触れた通り、二次試験は平日に行われることもある上、一次試験の合格発表から2週間後に行われます。一次試験に合格し、二次試験の試験会場が分かり次第、宿泊が必要な方は宿泊と交通チケットの手配を行う必要があります。

特に二次試験が行われる法務局から遠くに住んでいらっしゃる方は、迅速に手続きを行うようにしましょう。

司法書士試験の流れと受験科目

全国で実施されている司法書士試験ですが、では筆記試験はどのような時間割で、どのような科目で実施されるのかを確認していきます。同時に二次試験の口述試験に関しても出題科目を確認します。

司法書士試験の試験時間割

試験時間 試験科目
午前の試験 9:30~11:30(120分)
  • 憲法
  • 民法
  • 刑法
  • 商法(会社法その他の商法分野の法令を含む)
午後の試験 13:00~16:00(180分)
  • 民事訴訟法
  • 民事保全法
  • 民事執行法
  • 司法書士法
  • 供託法
  • 不動産登記法
  • 商業登記法

司法書士試験は午前と午後の試験があり、午前中120分、午後180分のテストが行われます。1日で5時間のテストを受けますので、知識はもちろん体力や集中力も鍛えておきましょう。

出題範囲は憲法、民法、刑法から民事訴訟法や民事保全法、さらに不動産登記法や商業登記法など多岐にわたります。司法書士試験に挑戦する方は、これらの分野を平均的に学ぶ必要があります。

さらに二次試験の口述試験も法律問題が出題されます。記述や選択問題ではなく、口頭で応えられるだけの知識を身に着ける必要があります。

司法書士試験の受験科目

司法書士試験の筆記試験には2種類の出題方法があります。その出題方法と配点に関してまとめておきましょう。

試験時間 出題科目 出題方式 出題数 配点
午前の部 憲法 択一式 3問 35問
105点
民法 択一式 20問
刑法 択一式 3問
商法 択一式 9問
午後の部 民事訴訟法 択一式 5問 35問
105点
民事保全法 択一式 1問
民事執行法 択一式 1問
司法書士法 択一式 1問
供託法 択一式 3問
不動産登記法 択一式 16問
商業登記法 択一式 8問
不動産登記法 記述式 1問 2問
70点
商業登記法 記述式 1問

午前の部と午後の部で出題数の差は記述式の2問。試験時間と合わせて考えれば、記述式の2問70点を1時間で解く必要があります。特に午後の試験に関しては回答スピードも問われる試験といえるでしょう。

ちなみに合格をするには合格基準点をクリアする必要があり、合格基準点は、「午前の部」、「午後の部(択一式)」、「午後の部(記述式)」の3つで設定されます。この合格基準点にひとつでも満たない場合、総得点が合格点に到達していても「足切り」で不合格になってしまいます。

司法書士試験対策は全教科をできるだけ均等に、しかも高い水準で学んでおく必要があります。

二次試験の口述試験は、面接官に問われた質問に対し、口頭で答える試験で、出題科目は「司法書士法」、「不動産登記法」、「商業登記法」の3つです。

全体の出題バランスを見ても、不動産登記法、商業登記法といった登記に関する法律や、民法に関する知識をより多く問われる試験といえるでしょう。

司法書士の業務の中心となるのが、不動産登記や商業登記などに関する書類の作成や登記の代行になります。これらの業務に直結する知識となりますので、しっかりと身に着けておきましょう。

試験日程が延期されたケースも

司法書士試験は例年7月に一次試験が行われ、10月に二次試験、合格発表が11月という流れで行われています。

しかし特別な事情でこの日程がずれ込むケースもあります。2020年は、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が問題となり、その影響で司法書士試験の日程も大きく変更・延期されました。

新型コロナウイルス感染拡大により試験日程が変更に

令和2年度(2020年度)の司法書士試験は大幅な日程変更を余儀なくされました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた措置でしたが、受験生の方も大きな影響を受けたかと思います。

この傾向は令和3年度(2021年度)以降も発生する可能性は大いにあります。2021年4月現在、東京、大阪、仙台などの都市部では感染が再拡大しており、4月上旬に発表された通りの日程で試験が実施されるかどうかは不透明です。

もちろんこうした異常事態は2021年以降も続く可能性がありますし、新型コロナウイルス以外にも、何かの事情で日程が変更される可能性はあります。

司法書士試験の日程変更に関しては、法務省のHPや各法務局のHPで公表されますので、気になる方は確認しておくといいでしょう。

令和2年度の試験日程

令和2年(2020年)は司法書士試験の日程が大きく延期され、例年とは違う日程で実施されました。では、どのような時系列で延期が発表されたのかを確認しておきましょう。

日程 発表
2020年4月上旬 令和2年度(2020年度)試験概要発表
2020年4月23日 受付期間の延期を発表
2020年5月18日 一次試験の延期を発表
2020年7月1日 変更後の受付期間と一次試験日発表
2020年9月23日 一次試験の合格発表と変更後の二次試験日発表

通常の年度であれば、一次試験日が行われる頃にようやく一次試験の日程が決まり、二次試験に関しては年をまたぎ、2021年の1月に実施されました。

では、実際にどの程度日程がずれ込んだのかも確認しておきましょう。

変更前 変更後
試験申し込み期間 2020年5月1日~18日 2020年7月8日~8月4日
一次試験日 2020年7月5日 2020年9月27日
一次試験合格者発表日 2020年10月1日 2020年12月24日
二次試験日 2020年10月13日 2021年1月12日
最終合格発表日 2020年11月2日 2021年2月1日

例年より全体的に3ヶ月ほど延期になっています。これも新型コロナウイルスの感染状況を見ながらの判断でした。

令和3年度の試験日程は、2021年4月の時点ですでに公表されています。しかし、2021年も新型コロナウイルスの感染拡大は収束していません。申し込みや一次試験が予定通り行われても、二次試験が遅れるなどの可能性も考えられますのでご注意ください。

まとめ

司法書士試験は年に一度実施され、筆記試験の一次試験と口述試験の二次試験で行われます。何事もなければ7月に一次試験、10月に二次試験が行われ、11月には合格者が発表されます。

試験の申し込みは法務局の窓口、もしくは郵送で行いますが、申込期間は例年2週間程度とさほど期間が長いわけではありません。

加えて法務局の窓口は平日のみ対応、しかも17時15分には閉まってしまいますので、より確実に申し込むには郵送がおすすめです。

受験科目は法律分野の11科目。特に不動産登記法や商業登記法など、登記に関する出題が多い傾向にあります。

新型コロナウイルスの感染拡大のような予期せぬ事態が起きると、試験日程が大幅に変更されることがありますので、気になる方は法務省のHPを逐一確認するなど、情報を収集しておくといいでしょう。

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