実務家密着取材

直撃インタビュー
ファイナンシャルプランナー 塚本徳明さん

ファイナンシャルプランナー   塚本徳明 さん

1970年千葉県生まれ。法政大学経営学部卒業後、1998年に国内生命保険会社に入社。2001年FP会社設立後、2002年からWEB保険相談と乗合代理店の立ち上げに従事。2003年にFPを軸とした乗合代理店「株式会社ライフゲート」を設立し、全国展開を行っている。
(株)ライフゲートのホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.lifegate.jp


ファイナンシャル・プランナーは、お客様の人生の伴走者。
夢や目標をリアルに導くサポーター。

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。
今回はファイナンシャル・プランナーであり、さらに全国規模で展開するFP会社の経営者である塚本徳明さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


ファイナンシャル・プランナーは、個人的なライフプランに基づいた資産運用・金融に関する総合的なアドバイスをする職業です。
顧客である個人から、収入・支出・借り入れ・家族構成・資産などの情報の提供を受け、それを基に住居・教育・老後など将来のライフプランニングに即した資金計画を行います。「顧客の利益を最優先することにより顧客を通じ報酬を得る者」という位置づけですね。

私の現在の業務としては、顧客のライフプランニングの相談に直接応じるというよりはFPと様々な商品を提供するメーカーを結ぶプラットホーム作りがメインの仕事です。保険代理店としては生命・損害保険併せて30社以上、さらに金融商品の仲介サービスも3社と提携して行っています。
私どもの会社では、"お客様が自立した生活を送る"、また"お客様の夢の実現"に向けたトータル・ライフプラン・サービスを提供することをミッションとしています。具体的には、面談によって、お客様との現状把握・悩み事の共有をはかり、お客様の立場で利益を守るプランニング、お客様目線での判断材料の提供、プランを実行に移すための実行援助を行います。

「お客様の満足を第一に考え、新たな価値観を創造し、プロとしてライフプランのアドバイスをする」という私どもの会社の理念に賛同していただいたFPの方をリクルートすることも大事な業務のひとつです。また、企業開拓・職域の開拓という仕事もしています。今年の上半期までに全国約80人のFP登録を予定しています。


塚本さんの夢は「FPのプラットホームを作ること」

塚本さんの夢は「FPのプラットホームを作ること」


ファイナンシャル・プランナーの資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


生命保険会社に就職することが決まり、役に立つと思ったのが直接の動機ですね。
1998年に入社し、その年にAFPに認定されました。その当時はFPの創成期で、現在著名になられている方たちがセミナー講師として教鞭に立っていました。講義では、実務に携わっている方に対面で教えていただき、「幅広く役に立つ、すごい資格だな」と感じたのを覚えていますね。

ファイナンシャル・プランナーというのは、お客様の夢を実現させる仕事です。「家を建てたい」「老後を安定させたい」「子供を大学まで行かせてやりたい」などお客様にはそれぞれ夢があります。その夢を目標に変えるために現況のキャッシュフローを確認し、見直しが必要であればサポート、ライフプランを考えるのがファイナンシャル・プランナー。
私は就職がきっかけでしたが、資格の勉強することによって、ファイナンシャル・プランナーの大きな可能性に目覚めましたね。


塚本さんのキャリアスタートは、生命保険会社から

塚本さんのキャリアスタートは、生命保険会社から


独立・開業のいきさつを教えてください


1998年に入社し、リテールの個人営業を担当しました。
実家が飲食業を営んでいたり、人と話をするのが好きという性格もあってか、入社時の3ヶ月に及ぶ飛び込み研修で契約件数歴代トップの成績でした。

営業所でマネージャーを務めたりしましたが、99年12月に退職しました。外資系生命保険会社のガン保険に感銘を受けたことが、第一の転機でした。

外資系生命保険会社の代理店業務をサポートする仕事をしていましたが、次々とよい金融商品が出てくる中で、「これからは複数社の商品を扱わないと生き残れないのではないか」と考え始めました。
しかし、2001年当時はFP会社で組織的に複数社の保険代理業をやっているところはなかったため、「それならば、自分でやるしかない。お客様の要望に対してベストに近いものを提供していこう」と思ったのが第二の転機です。

自分でゼロから立ち上げると、事務所などの固定費がかかるだけでなく、すぐに売り上げの目途が立つわけではないので、かなり厳しい状況でした。1人で顧客を開拓しながら、事務作業もこなすのはきつかったですね。
現在は正社員15名態勢で仕事をしています。


優良代理店ということで、社内には多くのトロフィーや賞状が

優良代理店ということで、社内には多くのトロフィーや賞状が


仕事をスムーズに進める上で心がけていることは何でしょう


私自身はもちろんスタッフに対しても「お客様目線」を大事にするよう、話しています。
自分の考えを押し付けるのではなく、「お客様がどうして欲しいのか?」を汲みとることが、FPには一番大事なことだからです。

そして、お客様に理解しやすいよう、分かりやすい言葉遣いを心がけています。私はよく金融商品を食べ物に例えて説明します。
生命保険のパッケージ商品の多くは『幕の内弁当』。どんな人にでも、ある程度カバーできるからです。しかし、自分で幕の内弁当を買う確率というのはどれくらいあるのでしょうか?
 自分がお弁当を買いに行った場合、それぞれ、自分の好みに応じてセレクトします。誰しも、好き嫌いはあって当然です。しかし、人任せにしてしまうと、無難なものになってしまいます。

多くの人が保険を人任せにし、パッケージ商品を選びがちです。保険などの金融商品というのは、マイホームの次くらいに高価な買い物です。無駄なもの、いらないものを極力省き、予算に応じ、出来るだけお客様に向いているものを提供するように心がけています。



今後の目標について教えてください


いつでもどこでも、誰にでも購買代理可能なプラットホームを提供したいと考えています。
保険などの金融商品だけでなく、お客様のニーズは多種多様です。マイホーム、車、旅行や趣味にいたるまで、購買ニーズはたくさんあります。お客様が購入を希望するタイミングで、好みや予算を正確に理解しているFPがワンストップで提供できる体制を作っていきたいと考えています。

それはどんなに素晴らしいFPであっても、個人の力でやることは大変だと思います。
たとえ転勤・転居があった場合にも、情報共有することで全国的にお客様をサポートできる仕組みを作ること。信頼できるパートナー同士のつながり、FPのプラットホームを整備し、「いつでもどこでも購買代理」できる環境作りを目指しています。


書棚には保険の約款が並ぶ

書棚には保険の約款が並ぶ


きちんと出来れば、FPほどいい職業はありません。お客様から信頼を得られるだけでなく、「有難う」という言葉もいただけます。その上、報酬までいただけます。
ただ、片手間でやるという人にとっては厳しい世界だと思います。既存の組織を活用するのか、それとも自力で顧客を見つけていくのか。

専門領域を持つことも大事だと思います。保険以外の領域では、金融の資産運用、不動産、相続などもあります。本人のやる気次第でいくらでも可能性が広がる仕事です。また、自分のキャリアは財産ですので、そこにFPという付加価値をつけることもひとつの手だと思います。
「独立をしたい」という人は、今やっている仕事をきちんと全うし、周りの人の信用を得ることが独立への一番の近道だと思います。頑張ってください。