実務家密着取材

直撃インタビュー
ファイナンシャルプランナー 中里邦宏さん

ファイナンシャルプランナー   中里邦宏 さん

1975年生まれ。東京都出身。1998年日本大学生産工学部を卒業後、メーカーにて機械装置の設計及び設計システムの開発に携わる。2000年からネット証券取引を始め、独自の相場分析をスタート。2001年末に退職し、翌1月にAFPを取得。2003年にCFP®認定者となり、1級ファイナンシャル・プランニング技能士検定にも合格。2004年に独立系ファイナンシャルプランニング事務所「ミスターエフピー大井・旗の台」を開業。2005年より独立系FP事務所「FP提案書工房」に名前を変更し、今に至る。NPO法人日本FP協会の東京支部副支部長。「FP相談サイトマネープラン.jp」、「全国専門家マッチングサイトマイアドバイザー.jp」等のwebサイトのボードメンバー、web管理者でもある。

中里邦宏さんが代表を務めるFP提案書工房のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.ooi-fp.com


ファイナンシャルプランナーは、夢を叶えるサービスマン。
転機をチャンスに、未来を変える。

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、ファイナンシャルプランナーの中里邦宏さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


主に、将来を見据えたライフプラン・シミュレーション(キャッシュフロー表)を、お客様と一緒に作成しています。相談にお越しになる多くの方が人生のターニングポイントを迎えています。例えば、住宅購入、住宅ローンの更新、お子様の誕生、もしくは進学、また出産後の奥様の就労や保険の更新、早期退職、定年時期など、ご事情はさまざまです。ただし皆さん「この余裕のない時代に、人生の転機で誤った選択をしてしまったら、リカバーできない」、「失敗したら、勉強になるレベルを超えている・・・」などといった共通の不安を抱えていることが多いです。私は独立系FPとして多くの方のライフプランに携わってきた経験に基づき、ご満足されるまで何度でも条件を変えたキャッシュフロー表を作成・印刷してお渡ししています。後日、プランを実現するための実行支援もしています。また、講演やセミナー、WEBや雑誌等のコンテンツ作成やコラム執筆、FPの資格取得のための教材作成なども行っています。


理系の強みと「人の心」の融合がウリという中里さん

理系の強みと「人の心」の融合がウリという中里さん


ファイナンシャルプランナーの資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


大学卒業後、大手機械メーカーに勤務しました。もともと合理的に物事を考えるのが好きで、それをシステム化する素質があったのか、入社3年目には、作業時間が大きく減る設計システム開発で社長賞を取ったりもしました。提案することや、人に喜ばれるということが好きという性格をいかして、何か出来ないかと考えていたところ、趣味でやっていた株取引を通じて、ファイナンシャルプランナーという資格の存在を知りました。経済の知識不足を痛感して始めた資格取得の勉強でしたが、「FPは人の人生にかかわり、人に喜ばれる職業だ」と思うようになりました。機械設計も人生設計も、そんなに大きく異なるものとは思いませんでしたし、FPは、業界が成熟している他の士業と比べると当時は未発達だったので、自分流が完成すれば業界のスタンダードを作りあげることになるかもしれない、という甘い希望もありました。そして、逸る気持ちを抑えられなくなって退職し、FPの勉強に本格的に取りかかりました。


AFPとCFP®だけでなく国家資格も取得

AFPとCFP®だけでなく国家資格も取得


独立されてから、どのように仕事を進められたのでしょうか?


開業前から独自に検索エンジン対策をしておりまして、それがネット集客に強い理由です。会社員を辞めたのは2001年ですが、FPとして本格的に始動したのは2003年にCFP®を取得してからですね。FP独立プログラムという研修を受講し、その後独立系FP事務所で半年ほど実務経験を積みました。日本FP協会東京支部主催のフォーラムをはじめとする各イベントの実行委員、運営委員を務めることでFP仲間のネットワークができ、ノウハウなど業務に役立つ情報を得やすくなりました。実務を通じても、顧客ニーズをつかめるようになり、それが更なる集客や、執筆、講演に役立っています。また、営業や業務での得意分野の異なるFP仲間と組むことで、仕事の幅も広くなりました。合同事務所で机を並べている方と知り合ってからは、WEB上のマネーコンテンツ作成業務や、高所得者や富裕者向けの相談等も増えるようになりましたね。


中里さんの顧客層とネットワークは幅広い

中里さんの顧客層とネットワークは幅広い


お仕事の際に気をつけていることは何でしょうか?


自分の価値観を押し付けないようにしています。お客様の心を優先することを一番に考えていますね。お客様には夢があり、その夢を実現するために私のところへ相談にいらっしゃいます。夢の叶え方は1通りではなく無数にあります。「同じような状況で、こういう選択をされた方もいらっしゃいましたよ」といった選択肢の幅や、夢を叶えるために働くとしたら「家庭や子育ての環境はどう変わると思いますか?」といった選択後の環境変化のイメージを膨らませるようにして、行動を実現するのに必要な心構えなども確認します。ホワイトボードを使って整理したり、シミュレーションをみせることで、お客様の抱えている問題のポイントや優先順位を明確化することも大切ですね。お客様にとって最良なコースで夢を実現できるようサポートしています。


合同事務所で仕事をしている中里さん

合同事務所で仕事をしている中里さん


今後の予定や夢は何でしょうか


「相談者の人生や価値観と接することで、自分も成長できる」。そう思い、FPの実務経験を積み重ねてきました。それと同時に、FPや士業の仲間も増えてきました。これからは自分の強みと仲間の強みを融合させて、既成概念に捉われない更に包括的なFPビジネスを仕掛けていきたいと思っています。共通目的を持ち、信頼できる優秀な仲間達とであれば、それが可能だと信じています。結果的に、既存のお客様へのサポートでも、プラスアルファのサービスが提供できるはずです。これまでのように、自分を成長させつつ、より多くのお客様に喜ばれるサービスを展開していきたいですね。


川崎オフィスは、アットホームな雰囲気

川崎オフィスは、アットホームな雰囲気


ファイナンシャルプランナーは、他人の「人生」を扱う仕事であるため、大変責任の重い仕事です。ただその分、とても喜ばれ感謝されるなど大変なやりがいを感じます。経験するまでしばらく気づきませんでしたが、キャッシュフロー表(現在から将来の収入と支出の一覧表)は単なる数字の羅列ではなく、お客様のこれからの人生そのものです。収入を見れば苦労して働かれている姿が浮かび、支出を見れば、生活費を切り詰めている苦労が目に浮かびます。つまり、安易な数字の操作や、価値観の押し付けで対策を決めるべきものではないと思っています。そう考えるようになってからは、お礼の手紙をもらうこともしばしば。心を通わせ、信頼関係を築くことを大切にしていただきたいと思います。

そして、業務を拡大していくために、自己の成長はもちろん、積極的な仲間作りを心がけてください。FPの資格取得を目指して勉強している人はさまざまなバックグラウンドを持っていると思います。それに個性も加えて、是非、同じ志を持った仲間、弱みを補完しあえる仲間との出会いを求めてみてください。私も仕事を続けていく中で、素敵な仲間達とめぐり合えました。応援しています。