実務家密着取材


行政書士 吉川宣通 さん
1970年千葉県生まれ。埼玉県育ち。城西大学経済学部に入学し、卒業後はガソリンスタンドをチェーン展開する石油販売会社に入社。1997年に退社し、各種国家資格の受験指導を行う予備校に勤務。その後、医療事務の資格を取得し、調剤薬局に転職。2007年度の行政書士試験に合格し、行政書士吉川宣通事務所を開業。自動車・オートバイの登録に関する諸手続き、また「申請取次行政書士」として外国人の在留資格に付随する業務まで幅広く取り扱う。
行政書士吉川宣通事務所のホームページは下記のとおりです。
URL : http://yoshi-office.com
「誰かの役に立ち、やりがいのある仕事を」
まわり道の末に手にした行政書士という資格
試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは、活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は行政書士である吉川宣通さんからお話を伺いました。
どのようなお仕事をされているのでしょうか
現在の主な仕事は、自動車の登録に関する諸手続きです。通常、自動車の所有者は、ナンバープレート(登録番号標)の交付を受けた際、封印の取り付けを受けます。その後、名義変更や住所変更により、自動車の管轄が変わる場合は通常、車を陸運局に持ち込んでナンバー交換し、封印する作業が必要です。しかし、特定の行政書士には、お客様のご自宅や勤務先等に出張し、新しいナンバーと封印を取り付け、古いナンバープレートを回収できる「出張封印」の権限が与えられています。私は現在、埼玉県にある4か所の運輸支局の陸運振興財団と契約を結び、埼玉県全域をカバーして「出張封印」サービスを行っています。また、その他にも市民トラブル解決に向けた内容証明郵便の作成代行、離婚に関するご相談、書類作成サポート、外国人のお客様のための在留資格のご相談、申請取次ぎといった民事分野を中心にした業務を行っています。

埼玉県で地域に根差したサービスを提供
行政書士の資格を取得したきっかけを教えてください
学生時代から簿記二級を取得したり、資格に対して関心がありました。大学卒業後、ガソリンスタンドをチェーン展開する会社に入社し、危険物取扱者の資格を取りました。3年ほど勤めた後、資格スクールの事務員に転身して講座運営に携わりました。その時に医療事務の資格を学び、資格を取ってから調剤薬局に転職しました。「単にお金を稼ぐだけではなく、やりがいのある仕事に就きたい。資格をいかして誰かの役に立ちたい」と考えていたものの、なかなか人生の目標を見つけられませんでした。しかし、「士業で独立開業しよう」と一念発起し、行政書士の勉強をスタートしました。

宅建、医療事務、国内旅行業務取扱管理者まで幅広い資格を取得
独立後、どのようにお仕事を進めたのでしょうか?
独立した当初は、本当に不安でしたね。資格スクールに事務員として携わっていた頃、行政書士の講師にはお会いしていましたが、実務経験や実績は全くありませんでしたから。最初の1年くらいは、何をどうすればよいのか分からないくらいでした。図書館を利用したり、行政書士の集まりや勉強会に参加したりもしましたが、実際にお客様と向き合い、目と耳を使いながら実地で仕事を覚えていきました。営業面では、チラシを作ってポスティングしたり、飛び込み営業やテレアポ、広告を出したり、セミナーをしたり、あらゆることをやりました。現在は、お客様からのご紹介やホームページからの問い合わせが増えています。

埼玉県川越市にある吉川さんのオフィス
お仕事のやりがい、魅力は何でしょうか?
仕事のやりがいは、お客様のお悩みが解決に向かった時、許可が下りた時などに「ありがとう。吉川さんにお願いして良かった」と言っていただける瞬間です。行政書士の業務はクライアントのご協力なくしては行うことが出来ません。ですから、場合によっては本人だけではなく、ご家族、ご友人にもご協力いただき、一緒に役所に出向いていただき、嘆願書を書いてもらうこともあります。どんな仕事も社会の役に立っているのはもちろんですが、そのことを肌で感じられるというのはとても嬉しいですね。

「ありがとうという言葉が一番嬉しい」という吉川さん
行政書士としての自覚、必要だと感じることは何でしょうか?
当然、行政書士としての責任と自覚を持って業務を行っています。国家資格者だからこそ、初対面のお客様から困っていること、お悩みをご相談いただいたり、個人情報を聞いたりします。私の行動が個人としてだけではなく、行政書士全体の評価につながることもありますので、常に誠実にお客さまと接するように心がけています。行政書士として、ひいては人として、自分を磨き、日々何かを学び、模範となる人間になるべく成長するよう努力していきたいと考えています。

晴れて、念願の行政書士に
今後の目標、将来の夢について教えてください
今後は中国語や英語等の語学を勉強し、外国人の方たちと直接意思の疎通を図り、日本で生活していく上でもっと役に立つ存在になりたい、と考えています。彼らにも日本人と同じようにさまざまな手続きがあり、風習や文化の違いから多くの問題が発生します。国際結婚や日本国外での手続きに関しても、これから進んで手掛けていきたいと考えています。
行政書士の仕事は責任も重く大変ですが、とてもやりがいのある仕事です。「もっと早く勉強して、行政書士になっていればよかった。」という気持ちもあります。しかし、その反面、人の痛みが分かるくらい、まわり道を重ね、苦労してきて良かったとも感じています。受験勉強は辛いものですが、合格後のあなたを頼って相談に来られる方のためにも、是非頑張ってください。
行政書士 吉川宣通 さんの、ある1日


7:00 | 起床 | 朝食 | 8:00 | 出社 | メールチェック | 9:00 | 外出 | 運輸支局へ手続き |
11:00 | 外出 | 書類収集のため、役所へ | 12:00 | 休憩 | 昼食後、外出 |
13:00 | 個別相談 | ビザ入管申請の打ち合せ |
16:00 | 帰社 | 書類作成 |
18:00 | 外出 | 士業の交流会へ参加 |
21:00 | 帰社 | メールチェック、事務作業 |
22:00 | 退社 | |
24:00 | 就寝 |