実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 水庫尉行さん

社会保険労務士   水庫尉行 さん

1965年千葉県生まれ。1988年法政大学経済学部卒業後、音楽活動を経て1994年より学習塾の講師に。その後さまざまな職を経験し、1998年に行政書士、2000年に社会保険労務士の資格を取得。2001年12月に「みずくら行政労務事務所」を開業し、今に至る。


独立し、開拓した道で得られた仲間とネットワーク。
資格取得で自分らしいライフスタイルを創出。

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは、活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は行政書士・社会保険労務士である水庫尉行さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


私は行政書士と社会保険労務士と二つの資格を持っており、仕事の割合としてはそれぞれ半々くらいです。社労士の仕事としては、社会保険・労働保険の手続き関係が5割くらい、助成金についてが2割、給与計算が1割です。あとは、助成金とは別に雇用保険上の給付、高年齢雇用継続や育児休暇給付などを担当します。例えば社員の退社に伴って雇用保険資格を喪失する場合は離職票を作ります。健康保険と労働保険なども調査をし、同様の手続きを行います。千葉で開業しているので、クライアントは千葉の法人が多いです。行政書士の資格があることで、知識や仕事の幅が広がり、良かったと思うこともよくあります。


デスクで作業する水庫さん

デスクで作業する水庫さん


資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


大学卒業後、私は一般企業に勤めることなく、学生時代から続けていた音楽の道を選びました。その後学習塾の講師になったり、さまざまな職に携わりましたが、音楽だけは諦めることが出来ませんでした。そこで「独立して出来る仕事を」と考え、資格を取ろうと決意しました。日中は全く別の仕事をしながら独学で勉強し、1998年に行政書士の資格を取りました。その後、仕事の幅が拡がるかと考え、2000年に社会保険労務士の資格も取得しました。県内の事務所で実務経験を経て、2001年12月に「みずくら行政労務事務所」を開業しました。


書棚には法律関係の本が並ぶ

書棚には法律関係の本が並ぶ


開業されてから、どのように仕事を進められたのでしょうか


最初に入ってきた仕事は、旧友からでした。相続関係の案件だったと思います。開業してから最初の1〜2年は営業の仕方も分からず、かなり厳しい状況でしたね。そこで、同業者の集まりや所属している支部の例会に積極的に参加し、情報交換をするように心がけました。私の場合、突破口は助成金でした。自分なりのセールスポイントとして助成金に特化し、ダイレクトメールを作って顧客を開拓しているうちに、芋づる式に拡がって行きました。助成金をきっかけにクライアントとお近づきになり、就業規則の見直しや年金のご提案をしていく。一度おつきあいしたお客様とは継続の顧問契約を結ぶことが多いです。


仕事をスムーズに進める上で心がけていることは何でしょう


杓子定規でこちらの意見を言わないようにしています。長年やっていますと、お客様の言いたいこと、質問はある程度分かります。それに対する回答というのはありますが、まずはなるべく話を聞くように心がけています。私が話すよりもお客様に話していただく時間を多くとるようにしていますね。この仕事というのは、聞く姿勢が大事だと思います。また、仕事をしているとどうしても分からないことが出てきますが、分からないことや曖昧なことをそのままにしないようにしています。お客様に確認するだけでなく、細かいチェックをして自分の目で確認するようにしています。


行政書士と社労士、二つの業務のためデスクも分類

行政書士と社労士、二つの業務のためデスクも分類


今後の目標について教えてください


独立を考えている人向けのセミナーなどクライアントと一緒に企画していますが、今後そういうこともやっていこうと考えています。また、私は志した音楽を今も続けていますが、社労士仲間で「SRバンド」を組んでいます。地元のお祭りなどでオールディーズ系の音楽を演奏したりしていますが、ライブ活動などを積極的にやっていきたいですね。一緒に仕事をしている仲間と音楽が出来、お酒が飲めるというのも今の生活のいいところだと思います。そういう同業者とのつながりを大事にしていきたいですね。


得意のギターを演奏する水庫さん

得意のギターを演奏する水庫さん


社会保険労務士というのは、法改正など行政の動きに目を向けつつネットワークを広げて行けば、必ず仕事にいきつく職業だと思います。
合格するためには、独自に目標を設定してクリアすることが大事だと思います。私の場合、日中は働いていたので、集中的に空き時間や休日を利用して勉強していました。
模擬試験を受けて自分の弱点を明確にして、苦手分野をひとつひとつクリアしていきました。
「自分で決めたことはやり遂げる」という強い意志が大事です。勉強は孤独なものですが、励ましてくれる家族や友人、ライバルを見つけて真剣に取り組めば結果はついてくるものだと思います。