実務家密着取材


社会保険労務士 光嶋卓也 さん
1967年岡山県生まれ。1993年に早稲田大学教育学部英語英文学科を卒業後、大手電子・電気機器メーカーへ入社。海外事業本部にて、経理や総務等の業務に従事。退職後、さまざまな職種を経験し、1998年より外資系投資銀行IT部門にて通信機器サポート業務及び総務業務に携わる。宅地建物取引主任者、行政書士試験に合格後の2002年より弁護士事務所へ勤務。社会保険労務士資格を取得後、社会保険労務士事務所に入所。2004年11月に独立開業し、光嶋法務・経営コンサルティング事務所を設立。2005年より「労使協定対策推進会」を立ち上げ、現在に至る。
光嶋卓也さんが所長を務める「労使協定対策推進会 本部 光嶋法務・経営コンサルティング事務所」のホームページは下記のとおりです。
URL : http://sr.rousi-kyoutei.com/index.html
経験に裏打ちされた実用的な法律アドバイス
度重なる転職を経て得た「生きた知恵」を提供
試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは、活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は社会保険労務士・行政書士である光嶋卓也さんからお話を伺いました。
どのようなお仕事をされているのでしょうか
現在は、労使関係のコンサルティング業務がメインです。労働者と企業間における、労働問題、社内トラブルのご相談、未然防止策から問題解決サポートまで幅広く行っています。私は行政書士、特定社会保険労務士宅建主任者、知的財産管理技能士、ファイナンシャルプランナーの資格を持っています。そのため、民法、商法などの実体法から訴訟法、登記法などの手続法まで多種多様な法令に関する知識を駆使することで、様々な業務に関して相談を受けています。また、私自身、大手電子・電気機器メーカーを皮切りに、外資系投資銀行、ベンチャー企業、法律事務所等、多くの業種で幅広い職種に携わってきました。その経験とスキルをいかし、企業側と労働者側、双方にとって、最もよい形におさまるようなアドバイス・解決策を提供するよう心がけています。

「労使協定対策推進会」所長の光嶋さん
資格を取得したきっかけを教えてください
大学卒業後、私も多くの学生たちと同じように一般企業に就職しました。家電を中心とした大手電子・電気機器メーカーに入社し、海外事業部に配属されました。当時、1996年頃から日本版金融ビッグバンが始まり、日本の経済不況を目の当たりにし、会社員として働き続けることに危機感を覚え退職することにしました。そこで、「ただ辞めるのではなく、何か資格を取ろう」と思い、あれこれと調べ始めました。そして、派遣という勤務形態を自分で選び、さまざまな業種・職種を経験しつつ、資格を取得していきました。宅建、行政書士に一発合格した後、2002年から弁護士事務所へ勤務しました。そこでは、弁護士とともに不動産関係の売買契約、相続関係、過払い訴訟案件等を主に取り扱いました。「独立・開業したい」という気持ちもありましたが、「行政書士だけでは厳しいのではないか」と思い、社労士の資格を取ることを決意。2003年に合格した後、実務経験を身につけるため短期間、社労士事務所に入所しました。

多くの業種・職種を経験し、資格を得て独立開業した光嶋さん
開業してから、どのようにお仕事を進めていきましたか?
LLP(有限責任組合)とLLC(有限責任会社)という新しい事業体制度が出来たので、仲間とともに有限責任事業組合LLP・LLC起業活用センターを立ち上げました。それがきっかけで、本を出版したり、思いもかけない方向へ進みましたね。「これ1冊でLLP・LLCがつくれる本」、「はじめてのパート・派遣社員の雇用100問100答」を出版し、LLP・LLCを利用した地域活性化セミナーの講師をしました。営業に関しては開業してから当面の間は、テレアポをはじめとする人海戦術を駆使しました。現在は口コミと紹介が中心で、企業顧問の案件をいただくことが多いですね。また、労使協定対策推進会のホームページから問い合わせが来ることもあります。

光嶋さんはLLP・LLCや雇用に関する本も出版
お仕事のやりがいは何でしょうか?
最終責任は自分にあるということですね。すべて自分で判断し、決断する。その責任も結果も自分のもとにかえってくるというのは、ある種の負荷であり、やりがいにもつながっています。労働者という形で人に雇われているときは、「仕事はこなすもの」という認識でしたが、起業してからはその意識が180度変わりました。会社からの指示や命令を待つのではなく、主体的に考えて提案してコーディネートしてみる。そこが一番の魅力であり、やりがいにつながっていると思います。

光嶋さんが講師のセミナー風景
お仕事される際に気をつけていることは何でしょうか?
法律を扱っていますので、情報ソースの確認と正確さを常に心がけています。法律のプロですから、当然、専門用語や制度に関して精通していなければなりません。少しでも疑問が出てきたら、すぐに調べるようにしています。本やインターネットの情報をうのみにするのではなく、情報ソースを確認し、必ず公的なところからデータを取得するように心がけています。また、小さなことでも法律上のリスクは必ずお客様に伝えるようにしています。私はあくまでも、お客様をサポートする立場ですので、最終的な判断に関しては、必ずお客様の意見を仰ぐようにしています。

社労士も行政書士も、とてもやりがいのある仕事です。独立・開業した場合、自分が行った仕事の結果がそのまま自分に跳ね返ってきます。そこが魅力である反面、難点でもあると思います。お客様を増やしていくための営業活動も大事ですし、人と話すのが好きということは大前提です。自分の適性をよく考えて、自分に合った資格、働き方を見つけてほしいと思います。
社会保険労務士 光嶋卓也 さんの、ある1日

7:30 | 起床 | 朝食、新聞チェック |
9:00 | 出社 | |
10:00 | 個別相談 | 労働トラブルについての相談 |
11:30 | 社内 | メールチェック |
12:00 | 昼食 | |
13:00 | 外出 | 都庁へ申請手続き |
15:00 | 社内 | 電子申請で各種手続き |
18:30 | 個別相談 | 不当解雇についての相談 |
19:30 | 退社 | |
20:00 | 帰宅 | 夕食 |
21:00 | 仕事 | メールチェック、事務処理等 |
24:00 | 就寝 |