実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 菊池正典さん

社会保険労務士   菊池正典 さん

1972年生まれ。東京都出身。産能大学経営情報学部を卒業後、総合建設会社に入社。約10年にわたり、人事・総務職に従事。勤務の傍ら社会保険労務士の資格にチャレンジし、2007年に合格。2008年3月に退職し、同年4月に「M&A社会保険労務士事務所」を設立。現在、新設法人の人事・労務管理に注力している。

菊池正典さんが代表を務める「M&A社会保険労務士事務所」のホームページは、
以下のとおりです。
URL : http://www.m-and-a-sharoshi.jp/index.html


大事なのは、「諦めず、続けること」
お客様と共に学び、成長する社労士

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、社会保険労務士の菊池正典さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


通常の社労士業に、オールマイティーで取り組んでいます。中でも、比重を占めているのが、給与・賞与計算、社会保険・労働保険、助成金といった手続き業務ですね。私は総合建設会社での勤務経験があるため、建設業に関連した就業規則の作成、安全管理、労務管理、労災の手続きなどを得意としています。現在、特に力を入れているのが、新設法人の助成金申請、人事・労務管理業務ですね。人事・労務管理をテーマにしたセミナーの講師を務めることもあります。


千代田区を拠点に活動する菊池さん

千代田区を拠点に活動する菊池さん


資格を取るまでの歩みを教えて下さい


小学生の頃、成りたい職業は『大工』でした。たまたま友人のお父さんが大工で身近にいたこともありましたが、『ものをつくる人』に対して、憧れがあったのでしょうね。やがて大学生となり、就職先として選んだのが建設会社でした。文系卒だった私は、勉強のため1年目は現場監督となってものづくりの現場を経験しました。その後は営業職に携わり、次に配属されたのが人事・総務。そこで初めて、社労士という資格の存在を知りました。「人事の仕事を極めてみよう」と思い、チャレンジしてみたのですが、2回連続で不合格。悩み、中断した時期もありましたが、「諦めずに続けよう」と勉強に取り組み、2007年の試験で合格しました。


4度目のチャレンジで合格

4度目のチャレンジで合格


資格取得後、どのようにお仕事を進めていきましたか?


資格を取った時点では、「社労士として独立しよう」とは思っていませんでした。とはいえ、人事・総務の仕事も10年目を迎えて、「自分のキャリアと資格を活かして続けられることは何か?」を常に考えていましたし、転職活動もしていました。そんな折、同じ社労士の資格を有している同僚から「一緒にやろう!」と誘われました。
 資格を取得した翌年の2008年4月、「M&A社会保険労務士事務所」を開業しました。社名の「M」は、Management(経営者)、「A」はAssociate(共同する)を意味し、「私たち社会保険労務士が経営者と共同して労務管理を行い、企業の発展に役立つパートナーになる」というコンセプトを掲げました。はじめは、案件ゼロからのスタート。とはいえ、人事・総務の仕事には約10年携わり、身に覚えがありましたし、一緒に手伝ってくれる仲間がいたので、二人で相談しながら飛び込み営業をしたり、ダイレクトメールを流したりしました。新設法人に的を絞ってアプローチしたり、社労士会の千代田支部からの依頼で年金相談等をやらしてもらったりして、徐々にではありますが、仕事も次第に増えていきましたね。


労働法についてのセミナー講師をすることも

労働法についてのセミナー講師をすることも


お仕事のやりがい、魅力は何でしょうか?


魅力的な経営者たちとの出会いですね。もともと私は一般企業の会社員でしたので、経営者や経営トップの方達と話をする機会は、そんなに多くありませんでした。現在は、社長や人事担当者の相談に乗るのが仕事のひとつです。特に、会社を興す方はバイタリティがあり、向上心が強い人が多いですから、話しているだけで学べる点は多々あります。こうした出会いは、この仕事をしなければ、得られなかったと思いますね。


お仕事の際に気をつけていることは何でしょうか?


レスポンスを早く、フットワークを軽くすることですね。お客様に聞かれたこと、相談されたこと、依頼されたことには迅速に、誠心誠意対応するようにしています。どんな仕事でも問われることかもしれませんが、必要不可欠だと思うのが、コミュニケーション能力です。社労士は多忙な経営者を相手にする職業なので、お客様が求めることを察知し、素早く的確な仕事をするよう心がけています。


オフィスに自転車を置いている菊池さん。フットワークの軽さがウリ

オフィスに自転車を置いている菊池さん。フットワークの軽さがウリ


今後の予定を教えてください


今年(2012年)で開業から、5年目を迎えました。本当にいろいろありましたが、過ぎてみれば、あっという間だったような気もします。これからも、お客様と共に成長していきたいと思っています。急激に変化するのではなく、一歩一歩着実に。ゆくゆくは、共に仕事をするスタッフの数も増やしていきたいですね。


草野球が趣味で、試合に出ることも多いとか

草野球が趣味で、試合に出ることも多いとか


何よりも大事なのは、諦めないこと。やると決めたからにはやり続けること。私自身、4度目の試験に合格し、晴れて社労士となりました。覚悟を決めて、継続していけば、きっとその先に何かが見えるはずです。受験勉強は大変だと思いますが、希望を持って、諦めずに続けてほしいと思います。


社会保険労務士   菊池正典 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
7:00 起床 朝食
8:00 出社  
9:00 外出 年金事務所、ハローワークへ書類申請
11:00 社内 メールチェック、電話対応
12:00 休憩  
13:00 個別相談 給与計算の打合せ
15:00 社内 電子申請
19:00 社内 助成金に関する書類作成
21:00 退社 帰宅後に食事
23:00 就寝