実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 石本剛さん

社会保険労務士   石本剛 さん

1970年生まれ。北海道出身。1995年に小樽商科大学商学部を卒業後、世界最大のベッドメーカー、シーリー社の商品を扱うベッド専門商社(現・シーリージャパン)に入社。2年ほど営業経験を積んだ後、日本レコード販売網に転職し、人事労務業務に携わる。在職中の2000年に社労士試験に一発合格。その後、AFPとCFP、一級FP技能士の資格取得後、外資系損害保険会社AIU保険会社に入社。約5年間にわたって法人営業やリスクマネジメント業務を中心に担当し、2008年に独立。石本社会保険労務士事務所を開業し、現在に至る。

石本剛さんが代表を務める「石本社会保険労務士事務所」のホームページは、以下のとおりです。
URL : http://sherpas.jugem.jp


「相手の気持ちを察し、汲み取ること」が第一義
“傾聴”の精神で取り組む社会保険労務士

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、社会保険労務士の石本剛さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


主に行っているのは、一般的な社労士業務と保険代理店業務ですね。社労士業務では、?関係書類の作成業務?代理・代行業務?指導・相談業務と、大まかに分けられます。?は、行政官庁に提出する届出書、申請書、報告書、審査請求書類、企業の就業規則、労働者名簿、各種労使協定、賃金台帳の作成。?は、助成金の申請代行、社会保険諸手続き業務代理及び給与計算代行業務。?は、主に中小企業の人事労務に関する相談や指導で、解雇や未払い残業など、個別労働紛争の解決、労働時間や賃金体系の見直しを行います。現在、都内を中心に、30社ほどから顧問契約をいただいていますね。保険代理業については、前職のAIU保険会社からの引き継ぎで、損害保険案件を取り扱っています。


独自に「就業規則点検診断サービス」も行う

独自に「就業規則点検診断サービス」も行う


資格を取るまでの歩みを教えて下さい


大学卒業後、ベッド専門商社に入社したのを機に上京し、営業職に就きました。約2年勤めたのですが、「趣味の音楽を仕事にしたい」と思い立ち、日本レコード販売網に転職。人事の仕事に携わっていた頃、尊敬していた上司から「これからは資格の時代だ」と真剣にアドバイスされたのが資格取得を意識したひとつのきっかけですね。  
 「人事に一番近い資格は社労士」と、職務の傍ら通信教育で勉強して、一発合格しました。その後、「将来独立するにあたって、持っておいた方がよい資格はFP」と考え、AFP、CFP、一級FP技能士を取得しました。


社労士とCFPの資格を有する石本さん

社労士とCFPの資格を有する石本さん


資格取得後、どのようにお仕事を進めていきましたか?


昔から「自由への憧れ」というか、漠然と「独立したい」という思いはありました。社労士とCFPに加えて、衛生管理者の資格を取ったのも、「独立したときに有利」と考えていたからです。けれども、資格を取得したばかりの頃はまだ20代でしたし、「営業と人事経験しかない段階で独立したとしても、路頭に迷うかもしれない」と思い、開業のノウハウを得るべく外資系損害保険会社に入社しました。保険会社の社員といっても、個人事業主のようなもの。もちろんルートセールスもありましたが、新規のお客様を得るべく、飛び込み営業する日々を送りました。毎日告白して振られることの繰り返しのようなもので、あの頃は精神的にキツかったですね。ある程度コツを掴んでからは、スムーズにまわり始めました。その頃には、完全に独立を意識していたので、保険契約の顧問先にも、「社労士で開業します」と話していましたね。2008年に石本社会保険労務士事務所を立ち上げましたが、損保時代に得たノウハウとお客様とのつながりは今も大事にしています。


お仕事のやりがい、魅力は何でしょうか?


お客様から頼られたときに嬉しくなりますね。経営者や従業員の方々から相談され、それがうまく解決したとき、さらに次のご相談やお悩み事を打ち明けていただけます。そういうとき、相手との信頼関係が築けていることを実感し、嬉しくなると同時にやりがいを感じます。社労士は、お客様のことを考え、相手の気持ちを想像し、自分なりの仕事が出来るのが魅力ですね。時には土日や休日に連絡いただくこともありますが、「それだけ頼られる存在なのだ」と感じます。


オフィスにはたくさんのCDが置かれている

オフィスにはたくさんのCDが置かれている


お仕事の際に気をつけていることは何でしょうか?


“傾聴”の精神ですね。電話でも対面でも、「私は誠実な気持ちで、あなたの話を聞いています」ということが伝わるように心掛けています。「相手が私に何を求めているのか」、出来る限り要求を察して、自分の知識や経験の中から、出し惜しみせず提供するようにしています。アドバイスが欲しいという人もいますし、解決策を教えて欲しいという人もいますし、単に自分の話を聞いてほしいという人もいます。よく聞いて、相手の求めるものを察して提供する。そういう意味で、社労士は想像力とバランス感覚が必要なのだと思いますし、私自身、そこに配慮するようにしています。


マラソン大会にも出場する石本さん

マラソン大会にも出場する石本さん


今後の予定を教えてください


今の仕事をさらに充実させて、お客様により満足していただけるようにしたいと思います。特に、最近増えている解雇や未払い残業の問題など、個別労使紛争の解決業務に力を注いでいきたいと思います。会計士をはじめ、他士業の方々と共同で行うセミナーの機会を増やし、顧問契約を増やしつつ、10年以内には経営大学院で労務管理を研究テーマとして取り扱いたい、と考えています。


石本さんのオフィスは九段下より徒歩3分ほど

石本さんのオフィスは九段下より徒歩3分ほど


権利意識が高まる中、労働関連法の専門家である社会保険労務士の活躍の場はますます増えていくと思います。経営側はもちろん労働者からも、重用されるべき存在ですし、金銭的な報酬面、仕事としての満足度は高いです。相手のことを第一に考え、コツコツと努力出来る人には、やりがいのある仕事のひとつだと思います。是非、一緒に頑張りましょう!


社会保険労務士   石本剛 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
7:30 起床 朝食、ニュースチェック
8:00 出勤 ランニングしながら出社
9:00 社内 メールチェック、顧問先と電話相談
12:00 休憩 昼食
13:00 外出 クライアント訪問
14:00 個別相談 就業規則や労務相談
16:00 帰社 労務監査のチェック、まとめ作業
18:00 社内 事務作業、新しい知識のインプット
20:00 退社 ランニングしながら帰宅
21:30 自宅 夕食、SNSのチェック・更新など
25:00 就寝