貿易用語 L/C(Letter of Credit:信用状)とは?

更新日:2020年7月30日

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L/C(Letter of Credit:信用状)とは?

貿易業界でよく耳にするL/C(エルシー)とは、Letter of Creditの略で信用状のことを指します。

クレジットカードのクレジットは信用を意味しますよね。信用の手紙で信用状です。L/Cは輸入者(買手)の取引銀行が輸出者(売手)宛てに発行します。輸出者が信用状条件に基づく書類を提示することで、銀行が輸入者に代わり、輸出者に対して代金の支払いを保証する確約書です。

貿易決済すなわち、輸入者が輸出者に代金を支払うための手段のひとつとして用いられます。

T/T(Telegraphic Transfer)Remittanceと呼ばれる代金振込みの場合、前払いだと輸入者が商品を受け取れないかもしれない、後払いだと輸出者が代金を受け取れないかもしれないリスクがありますが、L/C決済の場合、銀行を介することで輸入者は前払いをする必要がなくなり、輸出者は商品を送り出した後でも代金回収するのが確実になるというメリットがあります。

ただし、銀行に対して支払うL/Cの手数料など取引にかかるコストと複雑な手間がかかります。

➡通関士についてはこちら

L/C取引の流れ

L/C決済の仕組みを手続きに流れに沿って、ご紹介します。

登場するのは、
輸出者(受益者:Beneficiary)
輸入者(申請者:Applicant)
輸入者の取引銀行=L/Cの発行銀行(Opening Bank / Issuing Bank)
輸出地にある通知銀行(Advising Bank)
輸出者の取引銀行=L/Cの買取銀行(Negotiating Bank)
の5者です。

輸出入者間で売買契約を締結後、輸入者は、その売買契約に基づき、取引銀行にL/C(信用状)の発行を依頼する。

輸入者の取引銀行は輸入者への与信審査*を経た後、L/Cを輸出者宛てに発行し、輸出地の通知銀行を経由して、輸出者にL/Cの通知をする。

輸出者はL/Cの内容をよく確認し、もしL/Cに誤りがあった場合は、すぐに輸入者に対し、L/Cのアメンド(Amendment:訂正)を依頼する。

船積み後、輸出者は、船荷証券(B/L)*や荷為替手形*など信用状条件に基づく書類を自社の取引銀行に提出し、買取りを依頼する。

輸出地の買取銀行は、荷為替手形(為替手形と船積書類など)とL/Cを照合し、輸出者に代金を支払う。

買取銀行は信用状の発行銀行に船積み書類を送付する

L/Cの発行銀行は送付を受けた書類とL/Cの条件に相違が無いか確認をし、買取銀行に対して代金を支払う。

L/Cの発行銀行は輸入者に対して、船積み書類の到着通知と輸入代金の請求を行い、輸入者は発行銀行に対して、代金を支払う。

L/Cの発行銀行は輸入代金の引換えに輸入者に対して船積み書類を渡す。輸入者は船会社にB/Lを提出するなど貨物引取りのための手配を行う。

*与信審査
輸入者がしっかり代金を支払ってくれる相手かどうか、”信”用を”与”えるに値する相手かどうか、を判断すること。

*船荷証券(B/L:Bill of Lading)
船会社が発行する貨物の引換証。書類自体に貨物相当の価値を有する有価証券。

*荷為替手形
金銭支払いを委託することが記載された為替手形(B/E:Bill of Exchange)に、B/Lなどの船積書類を添付した手形のこと。

L/C決済におけるお金と貨物引取りに必要な船積書類の動きが分かってきたでしょうか。

輸出入者の2者間でやり取りするよりも、銀行を介したL/C決済のほうが輸出者にとって、船積み書類を馴染みの金融機関に持ち込み買い取ってもらえばよいので、安心できる決済方法といえます。

突然ですが、これは、かつて通関業者に勤務していたころのおはなしです。

スリランカ向けの輸出中古車の大部分がL/C決済でした。当時営業担当だったので、輸出者である顧客とこのような会話を展開していました。

L/Cオープンしました?
月末〇日の船積み予定で大丈夫ですか?
貨物の輸出前検査はどうします?
B/Lの情報を船会社に送らないといけないので、L/Cの一部メールしてください!
今回CIF条件で保険があるので船会社からB/Lコピーが来たらすぐに手配します!もう少し待っていてください!

それぞれ以下のような背景があります。

そもそもL/Cが開設されていなければ、決済は成り立ちません。
L/CにはL/Cの発行日(Date of Issue)、船積期限日(Latest Shipment)、有効期限日(Date of Expiry)が記載されており、期限までに船積みを完了させる必要があります。

L/Cには、輸出者(Beneficiary)や輸入者(Applicant)の名前や住所、取引条件、金額、取引貨物について、輸出前検査や海上貨物保険のことなどさまざまな情報が記されています。なお、L/Cに関する国際的な取引ルールは、UPC600と呼ばれる信用状統一規則(The Uniform Customs and Practice for Documentary Credits)にまとめられています。

またL/Cの記載内容に沿って、船会社にB/Lを発行してもらわなければならないので、B/LのもととなるShipping OrderはL/Cの内容に一言一句違わぬように情報を入力するようにしていました。

なぜならば、輸出者が買取銀行に船積書類などを提示した際に、L/Cの内容と相違があると買取りをしてもらえなくなる恐れがあるためです。ディスクレといわれる事態です。ディスクレとは、ディスクレパンシー(Discrepancy:不一致)の略で、L/Cと船積書類の相互間に矛盾や不一致があることです。

万一、ディスクレが起きた場合は、書類の訂正・差替え、L/G付き買取り*、ケーブルネゴ*などによって対応する必要があります。

*L/G付き買取り
「内容の不一致については輸出者がすべて責任を負います」という保証状(L/G:Letter of Guarantee)を輸出者が銀行に差し入れることにより処理します。ただし、ディスクレ自体が解消するわけではないので、買取りしてもらえるかは、輸出者の能力が考慮されます。些細なディスクレの場合などに用いられます。

*ケーブルネゴ
L/Cの発行銀行に電信でディスクレの承諾か拒否かの確認をします。短時間で回答を得ることが可能です。Cable Negotiationの略で電信照会を意味します。ディスクレが重大と思われる場合に用いられます。

日本からスリランカまでは船便で約2週間です。銀行を介してお金や船積書類のやり取りが行われるため、手続きに時間がかかります。なので、どの輸出者も船積み後はB/L、輸出前検査の検査証、保険証券(I/P:Insurance Policy)など必要書類の用意を急いでいました。

L/Cの種類

L/Cの種類にはいくつかあります。

  • Irrevocable L/C(取消不能信用状)
    関係者全員の承認がなければ変更ができない信用状。
  • Confirmed L/C(確認信用状)
    信用力の弱いL/C発行銀行が、格付けの高い別の銀行に確認(支払い保証)をすることで、信用を高めた信用状のこと。
  • Restricted L/C(買取銀行指定信用状)
    買取銀行が特定の銀行に指定されている信用状のこと。輸出者は馴染みの取引銀行と買取り手続きを行えなくなり不利になる可能性も。
  • Transferable L/C(譲渡可能信用状)
    輸出者(受益者)は第三者に金額の一部または全部を譲渡することができる信用状。
  • Revolving L/C(回転信用状)
    継続反復的に同じ相手と取引される場合に発行される信用状のこと。信用状を毎回発行する手間が省けます。

それぞれ用途に合った種類のL/Cを利用します。

at sightとユーザンス

L/Cには代金支払い期間の猶予の有無により、at sightとユーザンス付きに大別されます。なので、L/C決済の場合は、at sightか、ユーザンス付きか?選択する必要があります。

at sight(アットサイト)とは、一覧払いとも呼ばれ、輸入者が荷為替手形の提示を受けた時点で、直ちに代金を支払います。輸入者は決済を済ませないと貨物引取りに必要な船積書類を受け取ることができません。

At sightは見てすぐ、即座にという意味があるので、書類を一覧つまり、一通り目を通して、はい支払い!というイメージです。支払いの猶予期間はありません。

at sightの場合、為替手形(B/E)の支払期日記入欄に、「At XXXXXX sight」のように、ハイフン(-------)や点線(……)などでatとsightの間の空欄を無くします。

一方で、ユーザンス(Usance)付きは、一定の支払い猶予期間があります。たとえば、ユーザンスが90日の場合、書類の提示後90日間は支払いを待ってもらうことができ、「At “90 days after” sight」などと表記されます。

商取引において、取引代金の締め切り日から実際に代金が支払われるまでの期間のことを「支払いサイト」といいますが、このサイトは、sightが語源になっています。日本独特の表現です。

資金繰りの鉄則として、「回収は早く、支払いは遅く」することが経営をする上で大切です。輸出者は代金を早く回収したいですし、輸入者はなるべく支払いは遅くしたいです。L/Cの代金支払い猶予期間の有無は両者の資金繰りの上で重要な観点です。

まとめ

L/C(Letter of Credit:信用状)は、輸入者の取引銀行が輸出者宛てに発行する輸出者が信用状条件に基づく書類を提示することで、銀行が輸入者に代わり、輸出者に対して代金の支払いを保証する確約書のことです。

銀行を介して決済することで輸入者は前払いをする必要がなくなり、輸出者が商品を送り出した後でも代金回収するのが確実になります。

L/Cの概要を理解する一助になれば、幸いです。

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