通関士の難易度や合格率について

通関士の難易度や合格率について

目次

通通関士試験の合格率や難易度は?

2019年令和元年度第53回通関士試験の合格率は13.7%でした。
難易度から見るとかなり難しい試験と言えるでしょう。

2016年は合格率10%以下になりましたが、2018年頃から10%台に回復しています。

ただ今後もこの水準で合格率が推移していくのかどうかは、当社としても予測しにくいところです。たしかに言えることは、通関士の人気が高まり受験者が急増したため、試験の難易度もアップしたということです。 合格するためには、試験対策を万全に整えることが必要です。

通関士試験の合格率の推移

2015年から2019年にかけての5年間の受験者数、合格者数、合格率をまとめてみます。

なお通関業務に従事し5年以上、15年以上の者は通関士試験3科目のうち科目免除を受けられるようになります。受験者数と合格者数には科目免除を受けている人もカウントされていますので、科目免除のない、つまり通関業法・関税法等・通関実務の3科目をフルで受験されている人だけのデータも併せて提示します。

通関実務科目における申告書問題の品物はその年の通関士試験を象徴するものですので、参考までに記載します。

年度 受験者数 合格者数 合格率
2015年 7,578人 764人 10.1%
2016年 6,997人 688人 9.8%
2017年 6,535人 1,392人 21.3%
2018年 6,218人 905人 14.6%
2019年 6,388人 878人 13.7%

通関士の3教科合格率

年度 3科目 受験者数 3科目受験者の 合格者数 3科目受験者 合格率
2015年 6,689 497 7.4%
2016年 6,131 438 7.1%
2017年 5,761 1,193 20.7%
2018年 5,481 682 12.4%
2019年 5,661 708 12.5%

合格率の推移をみると2017年度の合格率は突出して高くなっています。2017年といえば輸出入申告官署の自由化や通関業制度の見直しなどに伴う、大きな法改正が行われた年です。例年通関士試験の出題範囲はその年の7月1日現在で施行されている法令に基づくものとされていますが、大法改正のあった2017年度の試験はその年の10月8日現在に施行された法令に基づく出題となり、いつもと様相が違っていました。大型の法改正が影響したのか真相は不明ですが、2017年は合格率20%超えのラッキーイヤーとなっています。

フォーサイトの合格率

2019年度通関士試験におけるフォーサイト受講者の合格率は51.8%でした。全国平均13.7%のおよそ3.78倍の合格率を誇ります。フォーサイトの受講生は本気で通関士試験に挑む人たちであり、フォーサイトが全力で本気の受験生をサポートできた結果です。

講師による講義をはじめ、学習スケジュール管理機能、やる気が途切れかけたときに届けられるメールマガジン、隙間時間にスマホを利用しクイズ感覚で学習できるeラーニング、いつでもどこでも気軽に質問できるシステム。多角的に学習できる教材が受講生を試験本番までサポートします。

難易度の高い理由

難易度の高い理由:日常生活になじみのない学習内容

日常生活にはあまり馴染みのない専門的な内容のため、学習内容を理解するための糸口をみつけるのが難しいかもしれません。基本的に法律についての試験ですので、難しい文章がたくさんでてきます。勉強してみて難しいと感じる人が多いのでしょう。

ここ数年、米中貿易戦争やTPP環太平洋パートナーシップ協定、日欧EPA経済連携協定についてしばしばニュース番組で取り上げられ、「関税」や「自由貿易」というキーワードを耳にする機会が増えています。 2019年2月の日欧EPA発効によりワインやチーズなどの関税が撤廃、もしくは段階的に引き下げられ、実際にヨーロッパ産の品物が安くなったと実感した消費者も多かったと思います。

通関士試験の通関実務科目について、ここ数年の潮流として、原産性が認められるかどうか?を問う問題が出されるようになってきました。

先のワインとチーズを例にいえば、本当に欧州産なのか?もっと追究すると、仮にそれら商品の原材料が非欧州産であった、加工が欧州以外で行われた場合など、それは果たして欧州産といえるのか?税関に申告手続きをする際に、原産地規則に従って原産地を明らかにし証明しなければなりません。仮に欧州産を装った商品にEPA税率が適用されてしまっては、関税の税収が減ってしまい国益を損なってしまうからです。

ですので、自由貿易圏が拡大している昨今、原産地規則に従って商品の原産地がどこになるのか、読み解き判断する能力が重視されています。

難易度の高い理由:マークシート

試験方式はマークシート。と聞くと、最後は伝家の宝刀「運」で合格できるのでは?と思ってしまうかもしれません。しかし、通関士試験の出題方式は一筋縄にはいきません。

まず、通関実務科目の計算問題や申告価格を求める問題は、金額をマークします。解答の選択肢が与えられ、選択するわけではありませんので、決してまぐれで正解することはできません。

五肢選択式は5肢の中から該当するものを「すべて」マークします。一部正解があっても部分点はでません。しっかりコンプリートしなければなりません。出題されやすいテーマは正確に理解しておく必要があります。 また五肢択一式も実質は六肢択一式です。どういうことかというと、該当がない場合は「0」をマークしなければなりません。

しっかり学習した人、努力した人だけが報われる、決して運まかせでは合格できない試験なのです。

難易度の高い理由:その他の原因

その他の理由は少なくとも3つの理由が考えられます。

まずひとつめは、受験条件がなく誰でも受けられてしまう点です。 国家資格のなかには、学歴・資格・職歴による受験条件を満たさなくては受験できないものがあります。通関士試験においては、学歴・年齢・経歴・国籍の制限など受験資格は一切なく、学生でもシニアでも外国人でもだれでも受験することができます。

なので、必ずしも専門的な基礎知識を有する者が受験しているわけではないので、レベルにばらつきがあり合格点に達せない人が増えてしまうと考えられます。

ふたつめは、受験料が3000円と非常に安価な点です。たとえば、同じく国家資格である宅建士の受験料は7000円です。他の資格に比べるとリーズナブルであり、安易な受験者を呼び寄せているのではと思います。

さいごは、通関業務従事者が自ら望んで受験するのではなく、会社から受験するよう促され、受かればラッキーくらいの心持ちで試験に臨む方が少なからずいる点です。日々の業務に追われ十分な学習時間を確保できず試験当日を迎えてしまうパターンです。

6000~7000人ほどの受験者のなかで、果たしてどれだけの人が本気で試験勉強に取り組んだのか?疑問が残ります。本気で試験に臨んだ受験者だけの合格率はひょっとしたらもっと高いかも分かりません。試験会場では「ここにいるほとんどの人は冷やかしだから」と思って受験すると楽に挑めるでしょう。

他の資格と難易度を比較してみよう

通関士試験と他の資格の難易度を比較してみます。

貿易実務検定と比較

貿易実務検定は日本貿易実務検定協会が実施する民間資格です。C級、B級、A級の3段階に分かれています。

C級は合格率50%以上、高いときは70%に達していて、一番易しいです。定型業務をこなすために必要な知識を有していることを証明するレベルとされており、大学生が就職前に受験することも多いです。 B級について、ここ1~2年の合格率は50%前後です。

最高レベルA級については、おおむね実務経験3~4年以上、貿易実務における判断業務を行うことができる実力を証明するレベルです。ここ1~2年の合格率は40%前後です。 貿易実務検定を受けるのであればC級→B級→A級 と順を追って受験していくのがよいでしょう。 またC級は年5回、B級は年3回、A級は年1回の受験機会がありますので、C級とB級は受験しやすいといえるでしょう。

出題内容について、通関に特化して学習する通関士とは異なり、貿易実務検定では貿易実務に加え実務英語、マーケティングなどについても幅広く学習します。 英語力を生かして貿易の仕事に携わりたいと考える方は貿易実務検定を受験するのがよいでしょう。最初から通関士を目指している方でも、通関の依頼をいただく顧客や国際物流の全体像について知るために貿易実務検定を受けることはスキルアップに繋がります。

学習内容の違いや貿易実務検定が級別の検定であるという特性から、一概にはいえませんが、合格率だけでみれば合格率が15%弱である通関士の難易度が高いといえます。 どちらを受験するかは興味の対象に合わせて判断するとよいでしょう。

また2020年2月より貿易実務検定を実施する日本貿易実務検定協会が「EPAビジネス実務検定」なる検定試験をスタートさせます。 経済連携協定EPAに関わる総合的な実務知識・事例、周辺知識などを判定することを目的にしているようです。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、日欧EPA、日米貿易協定などメガEPA発効を受けてできた検定試験と思われます。貿易に関わる新しい検定試験、ぜひ併せて受験を検討したい資格です。

世界共通の国際資格「国際航空貨物取扱士(IATAディプロマ)」と比較

国際航空貨物取扱士(IATAディプロマ)には基礎コース・上級コース・危険物コースの3種類あり、特徴は世界共通資格ゆえに試験が英語で行われる点です。受験するためにはWEB上の講座を受講する必要があります。合格率と推奨学習時間より、通関士よりは易しいです。

海の法律家「海事代理士」と比較

海事代理士の試験は出題範囲が広く、通関士よりもやや難関です。ちなみに、海事代理士の職一本でやっていくのは難しく、司法書士や行政書士とダブルライセンスの人が多いようです。

他の士業と比較

「通関士」は高度な専門性を持つ資格職業を表す士業です。他の士業、例えば、

  • 法律のスペシャリスト「司法書士」
  • 会計の専門家「公認会計士」
  • 税金のプロ「税理士」
  • 経営コンサルタント「中小企業診断士」
  • 社会保険や労働に関する法律のスペシャリスト「社会保険労務士」
  • 法律のプロフェッショナル「行政書士」

通関士試験はこれらに比べると出題範囲の広さや必要な学習時間において、易しいです。ただ上記に挙げた資格試験が超難関なだけであって、通関士も難関資格なことに違いありません。

まとめ

通関士試験は実生活に馴染みの薄い内容について学習する難関資格ではありますが、しっかり学習に励めば十分に合格できる資格です。少し厄介なマークシート方式についてはしっかり対策をして試験に臨みましょう。

講座メニュー


その他のコンテンツ

フォーサイトブログ

この講座に興味のある人はこんな講座も見ています

次回アクセスの際に便利