通関士の難易度

通関士の難易度

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通関士試験の難易度

通関士は合格率13.7%(令和元年度試験)の難関資格です。

通関士試験はなぜ難しい?

難易度の理由 ①日常生活になじみのない学習内容

通関という日常生活にはあまり馴染みのない専門的な内容のため、学習内容を理解するための糸口をみつけるのが難しいかもしれません。ましてや、基本的に法律についての試験ですので、まどろっこしい文章がたくさんでてきます。なので、勉強してみて難しいと感じる人が多いのでしょう。

ここで、みなさんを少しだけ身近なニュースを入り口に通関の世界へとご招待します。

ここ数年、米中貿易戦争やTPP環太平洋パートナーシップ協定、日欧EPA経済連携協定についてしばしばニュース番組で取り上げられ、「関税」や「自由貿易」というキーワードを耳にする機会が増えています。 2019年2月の日欧EPA発効によりワインやチーズなどの関税が撤廃、もしくは段階的に引き下げられ、実際にヨーロッパ産の品物が安くなったと実感した消費者も多かったと思います。

通関士試験の通関実務科目について、ここ数年の潮流として、原産性が認められるかどうか?を問う問題が出されるようになってきました。

先のワインとチーズを例にいえば、本当に欧州産なのか?もっと追究すると、仮にそれら商品の原材料が非欧州産であった、加工が欧州以外で行われた場合など、それは果たして欧州産といえるのか?税関に申告手続きをする際に、原産地規則に従って原産地を明らかにし証明しなければなりません。仮に欧州産を装った商品にEPA税率が適用されてしまっては、関税の税収が減ってしまい国益を損なってしまうからです。

ですので、自由貿易圏が拡大している昨今、原産地規則に従って商品の原産地がどこになるのか、読み解き判断する能力が重視されています。

難易度の理由 ②あなどることなかれ! マークシート

試験方式はマークシート。と聞くと、最後は伝家の宝刀「運」で合格できるのでは?と思ってしまうかもしれません。しかし、通関士試験の出題方式は一筋縄にはいきません。

まず、通関実務科目の計算問題や申告価格を求める問題は、金額をマークします。解答の選択肢が与えられ、選択するわけではありませんので、決してまぐれで正解することはできません。

五肢選択式は5肢の中から該当するものを「すべて」マークします。一部正解があっても部分点はでません。しっかりコンプリートしなければなりません。出題されやすいテーマは正確に理解しておく必要があります。 また五肢択一式も実質は六肢択一式です。どういうことかというと、該当がない場合は「0」をマークしなければなりません。

しっかり学習した人、努力した人だけが報われる、決して運まかせでは合格できない試験なのです。

他の資格と難易度を比較してみよう

通関士試験と他の資格の難易度を比較してみます。

貿易実務検定と比較

貿易実務検定は日本貿易実務検定協会が実施する民間資格です。C級、B級、A級の3段階に分かれています。

C級は合格率50%以上、高いときは70%に達していて、一番易しいです。定型業務をこなすために必要な知識を有していることを証明するレベルとされており、大学生が就職前に受験することも多いです。 B級について、ここ1~2年の合格率は50%前後です。

最高レベルA級については、おおむね実務経験3~4年以上、貿易実務における判断業務を行うことができる実力を証明するレベルです。ここ1~2年の合格率は40%前後です。 貿易実務検定を受けるのであればC級→B級→A級 と順を追って受験していくのがよいでしょう。 またC級は年5回、B級は年3回、A級は年1回の受験機会がありますので、C級とB級は受験しやすいといえるでしょう。

出題内容について、通関に特化して学習する通関士とは異なり、貿易実務検定では貿易実務に加え実務英語、マーケティングなどについても幅広く学習します。 英語力を生かして貿易の仕事に携わりたいと考える方は貿易実務検定を受験するのがよいでしょう。最初から通関士を目指している方でも、通関の依頼をいただく顧客や国際物流の全体像について知るために貿易実務検定を受けることはスキルアップに繋がります。

学習内容の違いや貿易実務検定が級別の検定であるという特性から、一概にはいえませんが、合格率だけでみれば合格率が15%弱である通関士の難易度が高いといえます。 どちらを受験するかは興味の対象に合わせて判断するとよいでしょう。

また2020年2月より貿易実務検定を実施する日本貿易実務検定協会が「EPAビジネス実務検定」なる検定試験をスタートさせます。 経済連携協定EPAに関わる総合的な実務知識・事例、周辺知識などを判定することを目的にしているようです。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、日欧EPA、日米貿易協定などメガEPA発効を受けてできた検定試験と思われます。貿易に関わる新しい検定試験、ぜひ併せて受験を検討したい資格です。

世界共通の国際資格「国際航空貨物取扱士(IATAディプロマ)」と比較

国際航空貨物取扱士(IATAディプロマ)には基礎コース・上級コース・危険物コースの3種類あり、特徴は世界共通資格ゆえに試験が英語で行われる点です。受験するためにはWEB上の講座を受講する必要があります。合格率と推奨学習時間より、通関士よりは易しいです。

海の法律家「海事代理士」と比較

海事代理士の試験は出題範囲が広く、通関士よりもやや難関です。ちなみに、海事代理士の職一本でやっていくのは難しく、司法書士や行政書士とダブルライセンスの人が多いようです。

他の士業と比較

「通関士」は高度な専門性を持つ資格職業を表す士業です。他の士業、例えば、

  • 法律のスペシャリスト「司法書士」
  • 会計の専門家「公認会計士」
  • 税金のプロ「税理士」
  • 経営コンサルタント「中小企業診断士」
  • 社会保険や労働に関する法律のスペシャリスト「社会保険労務士」
  • 法律のプロフェッショナル「行政書士」

通関士試験はこれらに比べると出題範囲の広さや必要な学習時間において、易しいです。ただ上記に挙げた資格試験が超難関なだけであって、通関士も難関資格なことに違いありません。

通関士・宅建士・FP2級の合格者が分析する難易度比較!

3つの国家資格に合格した資格保持者にいくつかの観点から資格試験の難易度を分析してもらいました。

学習内容

通関士が一番難しかったです。FPと宅建は身近な例や人に当てはめて考え、比較的イメージが沸きやすかったですが、通関士は実際に現場をみた経験が少なかったので、なかなかテキストにある法律の条文と自分が知っていることとを結び付けることが困難でした。

テキストを読んで理解しながら進めるというよりも、問題演習をしながら通関の世界に慣れていった感じです。 宅建は民法の分野で苦戦しました。設問を読んでシチュエーションを思い描くまでに時間を要しました。通関士にもいえることですが、法律になじみのある方のほうが学習しやすいです。

試験頻度

通関士と宅建士は年に1度の試験であり多少のプレッシャーを感じざるを得ないのに対し、FP2級は年に3回チャンスがありますので、心理的ハードルはだいぶ低いです。

情報量

通関士の情報はとても少ないです。受験者数についてFP2級は年に6万人以上、宅建士にいたっては20万人を超えています。かたや通関士の受験者数は6000~7000人です。疑問点が生じた際にインターネットで検索しても欲しい情報がなかなか見つけにくく、主に税関のホームページにお世話になっていました。

試験当日について

宅建はお昼集合2時間50問1本勝負。FPは学科試験とお昼をはさんで実技試験の2部構成。通関士は通関業法・関税法等・通関実務の3部構成でもっともハードな1日でした。

出題形式

FPの学科試験は四肢択一、実技試験は計算問題のある筆記です。5回分ほどの過去問題を完璧にしておけば合格ラインに達することができましたので、筆記試験を恐れることはありませんでした。 宅建士は四肢択一のマークシート方式です。 択一式に加え選択式、計算式を擁する通関士試験が一番の難敵でした。

電卓と算数

通関士の実務科目とFPの実技試験は電卓を使用します。いずれの試験も割合の計算に苦手意識がないほうがいいと思います。宅建士試験は電卓を使用できませんが、宅建業務の報酬額など手計算が必要な場合があります。

合格ライン

通関士は3科目それぞれで60%以上、FPも同じく学科と実技でそれぞれ60%以上の正解が必要です。宅建は基本的には7割ですが7割を超える点数を合格点とすることがあり、ハードルが高いです。ただ全体で70%をクリアすればよいので、例えば、難しいといわれる民法の分野での失点を比較的得点を稼ぎやすい宅建業法など他の分野でフォローすることが可能です。すべての科目をまんべんなく得点できなければならない通関士試験にくらべると作戦を立てやすい試験といえます。

まとめ

通関士試験は実生活に馴染みの薄い内容について学習する難関資格ではありますが、しっかり学習に励めば十分に合格できる資格です。少し厄介なマークシート方式についてはしっかり対策をして試験に臨みましょう。