マンション管理士試験の難易度は?合格率から必要な勉強時間まで解説 |

更新日:2024年3月15日

マンション管理士試験の難易度は?合格率から必要な勉強時間まで解説 |

マンションの管理組合の運営に関してアドバイスなどができるマンション管理士。マンション管理士を名乗るには、国家試験であるマンション管理士試験に合格する必要があります。

このマンション管理士試験の難易度に関してまとめていきます。合格率など数字の面での検証に加え、他の人気資格との比較で分かりやすく解説していきましょう。

目次

マンション管理士って何?

マンション管理士とは、マンション管理組合の運営、建物等の維持・修繕等の必要な管理、及び住民間のトラブルへの対処について、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等からの相談に応じ、専門的な知識をもって助言・指導を行う専門家です。

2001年8月施行のマンション管理適正化法において、国家資格となりました。マンション管理士を名乗るためには、マンション管理士試験に合格後、登録機関の登録を受ける必要があります。

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管理業務主任者とのダブル受験が可能

マンション管理士によく似た資格に、管理業務主任者があります。両者は「試験範囲の重複がある」「試験日が近い」等の理由から、ダブル受験を目指しやすい国家資格同士と考えられてます。

住民側の支援を行うマンション管理士と管理会社側から実務に携わる管理業務主任者、それぞれの立場の違いを踏まえた上で、各試験対策に戦略的に取り組むことがダブル合格のポイントです。

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マンション管理士試験の難易度を数字から検証

マンションの住民や所有者たちで作る管理組合。その管理組合の運営などに関して、適切なアドバイスをする知識を持つのがマンション管理士です。資格の名称から「管理業務主任者」と混同されがちな資格ですが、管理業務主任者は、「マンションを管理する側が持つ資格」であり、マンション管理士は「管理組合側の知識」と覚えましょう。

マンション管理士資格は国家資格であり、マンション管理士になるには国家試験に合格する必要があります。

そんなマンション管理士試験の難易度を、合格率や必要な勉強時間など、数字の面で解説していきます。

過去10年間の合格率から検証

まずは過去10年の合格率推移を確認しておきましょう。

受験者数 合格者数 合格率
2013年度 15,383名 1,265名 8.2%
2014年度 14,937名 1,260名 8.4%
2015年度 14,092名 1,158名 8.2%
2016年度 13,737名 1,101名 8.0%
2017年度 13,037名 1,168名 9.0%
2018年度 12,389名 975名 7.9%
2019年度 12,021名 991名 8.2%
2020年度 12,198名 1,045名 8.6%
2021年度 12,520名 1,238名 9.9%
2022年度 12,209名 1,402名 11.5%
近10年合計 132,523名 11,603名 8.8%

参考:公益財団法人マンション管理センター「マンション管理士試験」

過去10年で合格率が10%を超えたのは2022年度のみ。10年平均の合格率は8.8%と、かなり低い数字になっています。

合格率が10%を切る以上、マンション管理士試験は難関試験と考えられます。

合格に必要な勉強時間は?

マンション管理士試験合格のために必要な勉強時間は、独学で約600時間と言われています。

社会人として働いている方が、仕事をしながら1日に確保できる勉強時間は1~2時間。マンション管理士試験に独学で合格しようとすると、1年間では難しく、土日祝日にもある程度勉強時間を設ける必要があります。

また、マンション管理士資格を目指す方の中には、マンションを管理する側に必要な資格である管理業務主任者と同時に取得を目指す方が多いのも特徴です。この2つの資格は試験の出題範囲が非常に似通っており、取得するのであれば2つ同時に取得する方が効率的であるためです。

なお、マンション管理士と管理業務主任者を同時に目指す場合、独学で必要な勉強時間は800~900時間。この場合、社会人の方ですと、平日はもちろん土日祝日もすべて勉強に充ててようやく合格できるかどうかというレベルになります。

マンション管理士を目指すという方は、ある程度長期間の勉強期間を確保する必要があるでしょう。

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マンション管理士試験の難易度を他資格と比較

マンション管理士試験の難易度に関して、合格率など数字の面から検証してきました。さらに難易度を分かりやすくするために、ほかの資格の難易度と比較し、どの程度の難易度なのかを説明していきましょう。

司法書士試験と比較

独立開業ができる資格として人気の難関資格司法書士。

司法書士試験の2021年度の合格率は5.1%。マンション管理士試験の2021年度試験の合格率が9.9%ですから、単純に合格率の面では司法書士試験の方が難易度は高いと言えます。

司法書士試験の試験問題は法律問題が中心。その出題範囲は膨大で、マンション管理士試験よりも対策が難しい試験です。独学で合格を目指す場合、3,000時間の勉強時間が必要とも言われています。試験問題の出題範囲、出題レベルを考えても、司法書士試験の方が難易度は高くなります。

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宅地建物取引士試験と比較

不動産の賃貸取引、売買取引など、不動産取引の現場において重要事項説明を行うという独占業務を持つ宅地建物取引士(以下:宅建士)。活躍する場面や業界が多く、毎年20万人以上の受験者がいる人気資格です。

この宅建士試験の2022年度の合格率は17.0%。マンション管理士試験の2022年度の合格率が11.5%ですから、マンション管理士試験よりも宅建士試験の方が合格率は高いと言えるでしょう。

また、受験者のレベルにも違いがあります。上記の通り、宅建士資格は不動産業界を始め幅広い業界で活躍できる資格であり、また不動産取引においては取得必須の資格です。そのため、会社側から取得を命じられたり、推奨されたりする資格となります。

受験者の中には受験の準備が整っていないものの、会社の命令で受験するという方も一定数おり、受験者レベルは決して高いとはいえません。

さらに、試験の出題範囲や出題レベルもマンション管理士試験の方が高い難易度です。単純に資格試験の難易度として比較すると、マンション管理士試験の方が高いといえます。

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行政書士試験と比較

独立開業が目指せる資格はいろいろとありますが、その中でも注目度の高い人気資格が行政書士資格です。

行政書士は、官公庁や各自治体に提出する書類の作成を代行できるという独占業務を持ち、さらに業務上必要であれば住民票や戸籍などの請求ができる「八士業」のひとつでもあります。

その行政書士試験の2022年度の合格率は12.1%。マンション管理士のそれが11.5%ですから、合格率という点では、マンション管理士試験の方が高い難易度の試験と言えるでしょう。

試験の出題範囲や出題難易度という点では、行政書士試験の方が幅広く難しいため、試験問題のレベルでは行政書士試験の方が難易度は高くなります。

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管理業務主任者試験と比較

マンション管理士試験と問われる知識の内容が近く、勉強する範囲も非常に近いのが管理業務主任者士試験です。勉強する範囲が似通っていることもあり、両方の試験に同時に挑戦する方が多い資格です。

その管理業務主任者試験の2022年度の合格率は18.9%。マンション管理士試験のそれが11.5%。単純に合格率だけを見ればマンション管理士試験のほうが難易度は高いといえます。

受験者に関しては上記の通り、双方の試験を受験する方も多く、ほぼ同等と考えられるでしょう。受験者レベルが同じと考えれば、単純に合格率が低い試験の方が難易度は高いといえます。

管理業務主任者試験より、マンション管理士試験の方が難易度は高いと考えてよいでしょう。

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マンション管理士試験の難易度が高い理由

マンション管理士試験の難易度は、司法書士試験や行政書士試験と比較すれば低いものの、宅建士試験や管理業務主任者試験よりも高くなります。

では、このマンション管理士試験がなぜ難しいのか。難易度のポイントとなる部分を紹介していきましょう。

出題範囲が広い

マンション管理士試験の出題範囲大きく分けて3つ。法令問題と管理実務、そして建築知識の3つです。

一般的な資格試験では、問われる知識の範囲が限られています。法令問題が中心であったり、会計など管理実務の問題が中心であったりするのが通常です。資格試験とは、その分野の知識に特化していることを証明する試験が多く、出題範囲にも偏りが出ることが多くなります。

しかしマンション管理士の試験は、法令問題が中心ながら、建築構法や建築設備に関する知識を求められたり、実務管理として会計業務等数学的な知識も求められたりする試験。このすべての分野において、ある程度の知識が求められる試験となります。

この幅広い試験範囲がマンション管理士試験の難易度が高い理由の一つ。試験対策は多岐にわたり、さまざまな知識が求められる試験となります。

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法令関連問題が多い

マンション管理士試験の中で、もっとも大きなウエイトを占めているのが法令に関する問題です。

ほかの資格試験でも同様ですが、この法令に関する問題が一般的な受験者にはなかなか難しい問題となります。法令で使用されている文章には、法律独特の言い回しや、法律でしか見かけないような単語などもあります。こうしたあまり触れることのない言葉を暗記していくのは簡単ではありません。

大学等で法学部など、法律に関する勉強をした方や、ほかの資格試験の勉強で法律の勉強をした経験がある方にとっては、そこまで難易度は高くありません。しかし、そうではない方にとってはなかなか難易度が高い勉強となるでしょう。

マンション管理士試験で問われる法律知識は、民法や不動産登記法、都市計画法などなど。中には法律同士であまり関連性の高くないものもあり、関連付けて勉強できないケースもあります。

この法令問題でつまずいてしまうと、どうしても合格は難しくなります。ここが難易度の高い理由といえるでしょう。

マンション管理士試験に合格するために必要なこと

マンション管理士試験の合格率は10%未満。例年1万人以上の受験者が集まりますので、その中で上位1,000人以内に入らないと合格できない難易度の高い試験です。

このマンション管理士試験に合格するためには、ある程度勉強方法にも工夫が必要になります。

なお、難易度が高いのであれば時間をかければいいという考え方は危険。

何事においても言えることですが、長期間同じことを続けた場合、問題となるのは「飽きてしまうこと」です。仕事でも単調な作業の繰り返しになれば飽きてしまいます。勉強に関しても同様で、同じ勉強を長期間続けると、どうしても勉強に飽きてしまうものです。

飽きてしまうと、当然ですが勉強に対するモチベーションが下がるものです。モチベーションが下がれば、同じ勉強時間でも身に付く知識の量は下がってしまいます。

つまり、長期間勉強を続けるとモチベーションが下がり、勉強効率が低下するため、より長い勉強期間が必要になるという悪循環に陥ってしまいます。

マンション管理士試験に限らず、資格試験に挑戦する場合は、いつ受験するかの目標を明確に定め、そこに向けて最短で勉強を進めるのが合格に近づくコツ。できるだけ短期間での合格を目指すべきでしょう。

効率よく学ぶ

マンション管理士試験は幅広い試験範囲が特徴。この広い試験範囲をまんべんなく学ぼうとすると、どうしても勉強時間は長くなってしまいます。そこで推奨されるのが効率的な勉強です。とくに独学で考えている方は、どこまで勉強を効率化できるかで合否が決まってきますので、慎重に検討して勉強に挑みましょう。

勉強を効率化するための主なポイントは2つ。出題傾向の把握と自身の弱点分野の把握です。

一番重要になるのが、試験の出題傾向をつかみ、重点的に学ぶべき分野とそうではない分野をしっかりと把握することです。マンション管理士試験にも出題傾向はあり、重点的に出題される分野もある程度決まっています。

こうした頻出分野を把握するのが重要。独学の場合は過去問などに挑戦しながらこの出題傾向を見極める事が重要になります。

もうひとつは自身の弱点の把握です。試験範囲の広いマンション管理士試験。受験者によって得意な分野と苦手の分野が出てくるはずです。この苦手分野をしっかりと把握し、その分野の勉強時間を確保することが合格への近道となります。

自分の弱点を知るには模試を受験するのがもっとも分かりやすい方法。過去問などでも試験本番同様に時間を決めて挑戦することで、苦手分野が見えてくるかもしれません。

過去問などアウトプットをしっかり行う

資格試験、とくに法令問題などの暗記科目が多い試験においては、どうしても暗記するために時間を多く割きたくなります。しかし、効率的に暗記するためにもアウトプットが重要です。

人間の脳は、新しい知識を覚えた時、一時的に短期記憶としてその知識を保存します。しかしこの短期記憶はその名の通り時間経過とともに薄れていくもの。そのままにしてもなかなか身に付くものではありません。

短期記憶を長期記憶にするために必要なのは、その短期記憶した知識を活用すること。つまりアウトプットしていくことです。短期記憶した知識を繰り返しアウトプットすることで、その知識は短期記憶から長期記憶に変わります。

たとえば「九九」。多くの社会人の方は九九を暗唱できるでしょう。記憶したのが小学校低学年の時であるこの九九を、何歳になっても暗唱できるのは九九が長期記憶にあるからです。

なぜ長期記憶になったのか。それは小学校の算数の時間に何度となく繰り返し九九を使用したから。単純に暗記したものの記憶は薄くなっても、九九のように自然に繰り返しアウトプットしている記憶はしっかりと脳に残ります。

資格試験の勉強も同様です。一度頭に入れた知識は、適度にアウトプットしないと脳に定着しません。そのために必要になるのが演習問題や過去問を解いていくこと。インプットのこだわらず適宜アウトプットを活用し、しっかりと知識を身に付けていきましょう。

また過去問に挑戦することで、試験の出題傾向が見えてきたり、自分自身の苦手分野を見つけたりすることもできます。

できる問題から確実に解けるようにする

マンション管理士試験には科目ごとの足切り点が存在しません。苦手分野の克服はある程度は必要ですが、すべての科目で平均的に高得点を取る必要はないのです。

そこでポイントとなるのは、分かる問題からどんどん解いていくという解き方です。出題順に問題に挑むのではなく、確実に点を取れる問題からどんどん解いていき、苦手分野の問題にかける時間を確保するのが合格に近づく解き方となります。

これは普段勉強をしている時も意識しましょう。演習問題や過去問を解くときも、自分が自信のある分野からどんどん解いていく癖をつけておくといいでしょう。

マンション管理士試験の合格率を高めるにはフォーサイトの通信講座がおすすめ

難易度の高いマンション管理士試験に挑むには、独学では難しい部分があります。出題傾向の把握や、自分の苦手分野の把握などは、一人で勉強していると気づくのが難しい部分があります。

そのためにもおすすめしたのが通信講座の受講。さらにその通信講座の中でもフォーサイトのマンション管理士講座がおすすめです。

なぜフォーサイトがおすすめなのか。そのポイントを紹介していきましょう。

フォーサイト受講生の合格率は高い

まずはフォーサイト受講生の合格率を確認しておきましょう。

2021年度マンション管理士試験 合格率
全国平均 9.9%
フォーサイト受講生 39.3%

フォーサイト受講生の合格率は全国平均に対し、約4倍。5人に2人は合格していることになります。

受験生のレベルが高いといわれているマンション管理士試験でこの合格率は相当の高さ。それだけフォーサイトでは効率的に学べるという証拠といえるでしょう。

効率的に学べるカリキュラムがある

フォーサイトにはマンション管理士試験に精通した講師やスタッフがおり、このスタッフ陣がマンション管理士試験の出題傾向や頻出項目をしっかりと把握しています。

そのうえで効率よく学べるオリジナルテキストを作成。さらにそのテキストに沿って学べる勉強カリキュラムもあります。

独学の場合は、テキスト選びや勉強スケジュールの立案、さらに頻出項目の把握などすべて自分一人でやらなければいけません。この勉強以外の作業が非常に手間のかかる作業です。さらに複雑で難しいという問題があります。

フォーサイトを受講すれば、この面倒な手間や難しい問題をまとめて解決できます。

過去問など演習問題も充実

フォーサイトのマンション管理士講座には、バリューセットもあります。バリューセットにすると、通常の講義やテキストに加え、過去問や直前講座などより充実の教材が、割引された料金で手に入るのです。

また、バリューセットには模試の受験料も含まれています。過去問や模試はマンション管理士試験合格へ必要不可欠なもの。

これらの教材が手に入るだけでも、勉強効率は飛躍的に上がるでしょう。

まとめ

マンション管理士試験の合格率は例年10%前後。出題範囲が広く、かなり難易度の高い資格試験といえます。

このマンション管理士試験合格を目指すためには、合格のために必要なポイントを押さえつつ、効率的に勉強していく必要があります。

独学でも合格できる方はいらっしゃいますが、簡単なことではありません。ほかの資格試験に独学で合格したことがある方や、法律知識をある程度持っている方以外にはあまり推奨できる勉強方法ではありません。

おすすめは通信講座の受講。とくにフォーサイトの講座受講がおすすめです。

フォーサイトには効率的に学べるテキストやカリキュラムがあり、さらにいろいろな勉強ができる教材も豊富にそろっています。

できるだけ短期間でマンション管理士資格を取得できるよう効率よく学びたい方におすすめとなります。

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