実務家密着取材


社会保険労務士 柏葉大輔 さん
1981年埼玉県生まれ。1999年に大東文化大学経済学部に入学。在学中の2002年に、行政書士試験に合格し、行政書士事務所に勤務。大学卒業後、2003年度の試験で社会保険労務士に合格。2004年より社労士・行政書士兼業の事務所に入所し、2008年に退職。同年に社会保険労務士と行政書士の資格をいかした、「かしわば事務所」を開業し、現在に至る。
柏葉大輔さんが代表を務める「かしわば事務所」のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.kashiwaba-office.com
法律家と実務家、経営者と労働者
士業に必要なのは、複合的な目線とバランス感覚
試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは、活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は社会保険労務士・行政書士である柏葉大輔さんからお話を伺いました。
どのようなお仕事をされているのでしょうか
人の採用から退職まで携わり、人事労務に関するご相談、就業規則の作成、給与計算、退職金規定の見直し、社会保険手続きの代理等、社会保険労務士業務を中心に行っています。行政書士の資格も持っていますが、実際は社労士業7割、行政書士業3割といったところで、お客様は100%法人です。スポット的に許認可関連や助成金等の案件も入ってきますが、基本的には顧問業務が多いです。お客様と信頼関係を築いた上で、ひとつひとつのご相談に対して、その会社に最適な解決策をご提案するようにしています。

社労士、行政書士、両方の資格を持つ柏葉さん
資格を取得したきっかけを教えてください
大学3年生の時のことです。就職について真剣に考え始めた矢先、通学電車の中で一緒に乗り合わせるサラリーマンの姿をみて、こう思ったんです。「この人たちは、何のために働いているんだろう?」。
朝は眠そうに、夜は酔っぱらって、疲れた顔で帰る。「働くのは、家族のため? それとも仕事を楽しんでいるのかな?」答えは見つかりません。そして、最後にこう思いました。「20年後の自分も、こうなるのかな?」。
その時から、サラリーマンになることへの魅力は感じられなくなりました。「一生楽しく働きたい」。「良いことも悪いことも自分に跳ね返ってくる、責任のある仕事がしたい」。そう考え、独立系の資格を探していた時、たまたま目についたのが、行政書士の資格でした。運よく3年生の時に一発合格し、4年生から社労士の勉強をスタートし、卒業後まもなくの試験で合格しました。

「良いことも悪いことも自分に跳ね返ってくる仕事を」と士業を選択
社労士としてのキャリア、歩みについて教えてください
社労士の試験に合格後、すぐにハローワークへ行き、士業事務所への就職活動をスタートしました。20から30くらいの事務所に応募書類を出しましたが、不合格ばかりでした。それでも諦めずに活動し続けたところ、縁あった社労士・行政書士兼業の事務所に入所することが出来ました。2004年に入所し、4年半の間みっちり実務経験を積みました。名刺交換等の基本的なビジネスマナーをはじめ、社労士・行政書士の実務まで幅広く学んだ後に、独立・開業しました。

渋谷にオフィスを構える柏葉さん
開業してから、どのようにお仕事を進めていきましたか?
開業当初、お客様はゼロでした。人脈や営業のノウハウが無く困っていた時に、開業前に勤務していた事務所で私が担当していたお客様から連絡が入りました。「やっぱり柏葉さんに継続して仕事をお願いしたい」。かなり迷ったのですが、お客様から事務所に話を通していただき、最終的にそのお客様が1社目の顧問先になりました。そのお客様から税理士の方をご紹介いただき、口コミで拡大していきました。基本的には、税理士さんや顧問先からの紹介で案件が広がり、最近になって少しずつホームページでもお問合せが入るようになりました。
お仕事のやりがいは何でしょうか?
熱意のある経営者と出会えることが、一番大きなやりがいです。経営者から学べることは多いですし、常に自分を成長させてくれる機会があります。1日は24時間しかありませんが、その間、経営者はずっと仕事のことを考えています。私の事務所にくるお客様は何らかのお悩みやお困りごとを抱えている経営者、
企業担当者の方が多いのですが、前向きな人の後押しが出来るというのも、大きな魅力です。「柏葉さんが会社に来ると明るくなる」、「柏葉さんがいないと困る」等の言葉をお客様からいただくこともあります。本当に有難いですね。
お仕事される際に気をつけていることは何でしょうか?
まず、「相手の話を聞くこと」がすべての仕事の基本姿勢だと思います。その上で、法律のプロとしてバランスの取れる仕事をすることが大事だと思っています。立場的には、直接のお客様である経営者側につきますが、従業員の方たちのことも考えなければなりません。また、頭ごなしに法律論だけ唱えても仕方がないので、実務に則した法令順守を考えなければなりません。ひとつの視点では見えないものもたくさんありますので、複合的にみて、バランスがとれるように心がけています。

柏葉さんの趣味はバスケットボール
試験勉強は実務において、役に立つものではありません。けれど、プロになるためのスタートラインに立つためには、基本的な知識を身につけていなければなりません。試験というハードルを乗り越えて、資格を取得し、それを生業として食べていくためには、新しい発想が大事だと思います。資格や法律に縛られたり、頭でっかちにならず、柔軟に考えて、皆さんなりのやり方で道を拓いてください!
社会保険労務士 柏葉大輔 さんの、ある1日


6:30 | 起床 | 朝食、新聞チェック |
8:00 | 出社 | |
9:00 | 社内 | メールチェック |
10:00 | 社内 | 事務手続き |
12:00 | 昼食 | |
13:00 | 外出 | 都庁へ申請手続き |
13:30 | 個別相談 | 許認可関連の打ち合わせ |
15:00 | 個別相談 | 助成金に関する相談 |
17:00 | 帰社 | 給与計算 |
19:00 | 休憩 | |
19:30 | 社内 | 事務手続き |
22:00 | 退社 | |
23:00 | 帰宅 | |
24:00 | 就寝 |