宅建とは?取得するメリットから試験の難易度、宅建士の仕事内容までわかりやすく解説

更新日:2023年12月18日

家の模型

就職や転職に役立つ資格として、宅建が注目されています。しかし資格としての定義や、取得によるメリットが今ひとつわからない方もいるでしょう。宅建の資格を取れば、不動産をはじめさまざまな業界での仕事につながります。独占業務もあるので、働き方次第では高収入を見込めるでしょう。

今回は宅建の資格に興味がある方のために、基本的な知識をまとめました。定義や独占業務、仕事内容、メリットなどを解説します。こちらを読めば全体像がわかり、取得すべきか判断できるでしょう。

目次

宅建とは?

まずは宅建の基本的な定義を紹介します。不動産取引の専門的な資格で、国内でトップクラスの規模を誇るのが特徴です。そのため不動産業界では欠かせません。宅建の基礎知識について、以下で解説します。

不動産取引の専門的資格

宅建とは、不動産取引に関する専門的資格のひとつです。試験に合格して資格を取得すれば、不動産の売買に関する専門的な業務ができます。不動産を扱う企業から見ても、宅建の有資格者は人材として重要です。彼らのサポートにより、お客さんが安心できる状況で売買できます。

宅建資格があれば、売買契約の重要事項を説明できます。不動産の立地や構造、登記、電気やガスなどのインフラ、キャンセル時の特約などが重要事項です。取引に関わるお客さんは、不動産に関する知識がないことがあります。そうした方が安心して取引できるように、有資格者が重要事項を伝えなければなりません。

以上から宅建は、不動産取引で大切な役目を果たす資格です。重要事項の説明をはじめ、さまざまな専門的業務を担います。

トップクラスの国家資格

宅建は国家資格としてもトップクラスの規模です。受験者数は毎年20万人前後を数え、その動機もさまざまといえます。社会的なステータスを得たくて受験する人もいれば、不動産を通した社会貢献をしたい方もいるのです。一方で将来的な資産管理を見据え、不動産の知識を学ぶべく受験する方もいます。

トップクラスの規模を誇る背景として、社会的な需要も考えられます。不動産は主に土地や建物を指し、生活や事業に欠かせません。そのため売買をするお客さんに対して、充分なサポートが必要です。以上から社会の役に立ちやすく、資格としての需要が高いといえます。

不動産の知識には、生活に欠かせない要素が多いのです。このような背景から宅建には、毎年多くの受験者が集まります。

不動産取引のサポートに欠かせない

宅建の特徴は、不動産取引のサポートに欠かせないことです。この資格を持っている方にしかできない独占業務があります。

たとえば不動産取引に関する重要事項の説明は、宅建の有資格者にしかできません。無資格者が重要事項を説明すると違法です。またお客さんから見ても、そうした行為をする企業は信用できないでしょう。

一方で不動産取引を扱う事業者は、宅建士の設置を義務づけられることがあります。一般的な基準として、従業員のうち5人に1人は宅建士でなければいけません。この設置義務から、不動産の企業が宅建士の求人を出すことがあります。

以上から宅建は、不動産業界で重要な資格です。企業に尽くしながら、お客さんの取引をサポートできます。

宅建の独占業務について

宅建には独占業務があります。重要事項の説明に加え、契約に関する書面への記名も宅建士にしかできません。ここでは3つの独占業務について見ていきましょう。

重要事項の説明

宅建士だけに認められた独占業務には、重要事項の説明があります。取引の当事者に対して大切な情報を説明すれば、冷静な判断を促せます。不動産取引をする方によっては、その分野の知識がまったくありません。彼らが間違った取引をしないために、専門家が必要な知識を伝え、正しい判断のきっかけを与える必要があります。

宅建士の説明が必要な重要事項は、多岐にわたります。たとえば電気やガスなどのインフラに関する供給施設を伝えなければなりません。ほかにも非常時の安全のために、水害ハザードマップを説明することがあります。不動産取引でトラブルが起きたときのために、契約の解除方法を伝える必要もあるでしょう。

このように取引におけるアドバイスは、正確な知識に基づかなければなりません。以上から重要事項の説明は、宅建士の特権です。

35条書面への記名

宅建士の独占業務として、35条書面への記名もあります。これは重要事項の書面を意味しており、宅建士本人がサインしなければなりません。書類へのサインは、責任所在の明確化を意味します。以上から宅建士は重要事項を伝えるだけでなく、それに関する責任も引き受けるのです。

たとえば重要事項書面に宅建士がサインしないと、お客さんに余計な損失を負わせるかもしれません。重要事項を説明するだけでは、責任の所在がわからないからです。説明した内容を書面に残し、それを伝えた証明として、宅建士のサインを要します。

以上から宅建士は、不動産取引において重大な責任を負います。その事実を取引の当事者と共有するために、35条書面への記名が重要です。

37条書面への記名

宅建士の独占業務として、37条書面への記名もあります。こちらも重要事項書面同様、宅建士自身のサインが必要です。37条書面には不動産取引の代金や支払方法、引き渡し時期などが記されています。取引に関する直接的な情報をまとめた書面です。

37条書面は、不動産取引の証拠として欠かせません。責任の所在を明確にするために、宅建士は37条書面にサインし、売主と買主の両方に交付します。不動産をめぐるトラブルが万が一起きれば、売主と買主は37条書面をもとに適切な対処法を考えられるのです。

健全な不動産取引のために、37条書面に対する宅建士のサインも大切です。お客さんの信用を守るため、こちらも宅建士の独占業務になっています。

宅建資格を持っているメリットは?

宅建資格を持っていることで、さまざまなメリットが考えられます。就職や転職活動で役に立ったり、キャリアアップを目指したりなどができるでしょう。ここでは3つのメリットを紹介します。

就職や転職活動で役に立つ

宅建の資格を取れば、就職や転職活動に役立ちます。不動産をはじめ、さまざまな業界で通用するからです。

たとえば不動産取引を扱う企業は、従業員5人ごとに1人以上の宅建士を要します。設置義務を満たすために、宅建士を対象にした求人を出すことがあるのです。ここに応募することで、不動産業界で活躍するチャンスが生まれるでしょう。

金融や建築業界に就職する際も、宅建の資格が生きるでしょう。たとえば金融機関では、住宅ローンの審査業務で宅建の知識が重要です。建築会社によっては自社で建てた建物を取引するので、ここでも宅建士のサポートが欠かせません。このように宅建士になれば、さまざまな業界で働くきっかけになります。

キャリアアップを目指せる

宅建の資格を取れば、キャリアアップにつなげられます。不動産取引の専門的知識を勉強した証明になるからです。職場でも学んだ知識を生かし、お客さんをサポートできます。以上から仕事の幅を広げられ、キャリアアップもできるでしょう。

たとえば企業勤務なら、社内での評価が高まって出世できます。管理職への昇進ができ、収入アップも望めるでしょう。また独立開業すれば、専門的知識を生かしてさまざまな仕事を獲得でき、高い年収も期待できます。宅建に限らず、資格取得によってキャリアアップの可能性があります。学んだ知識をフルに活用して、出世につなげてください。

資格手当がもらえる

宅建の資格取得により、資格手当を期待できます。不動産をはじめ特定の業界では、宅建の知識を業務に生かせるでしょう。企業側も有資格者を重要視して、給与を上げるケースが見られます。資格手当が給与に上乗せされて、収入アップにつながるのです。

資格手当の金額は企業により異なりますが、無資格者より多く収入をもらえるのがメリットです。たとえば月3万円の資格手当がつけば、年収にして36万円のアップになります。これだけでも経済的に恵まれるかもしれません。以上から資格手当も宅建士のメリットです。本格的な業務ができるだけでなく、収入面でも有利になれるでしょう。

宅建資格を生かせる業界について

宅建資格を生かせる業界は不動産だけでなく、建築や金融など多岐にわたります。資産がかかわる仕事で、学んだことを実践できるでしょう。宅建資格を生かせる代表的な業界を、ここでは3つ紹介します。

不動産業界

宅建の資格を取れば、不動産業界で活躍できます。不動産取引を扱う企業は、業務をスムーズに進めるために宅建士が必要です。一般的な基準として、従業員5人ごとに1人以上の宅建士を雇わなければなりません。有資格者の設置義務があるため、一定の社会的需要が見込めます。ほかにも分譲物件の仲介や管理などで、宅建士が欠かせません。

土地や建物を買いたいお客さんから見ても、宅建士のいる不動産会社は安心できます。売買時のトラブルを避けるには、知識のある担当者の対応が大切です。担当者が宅建士の資格を持っていれば、専門的な知識を生かしつつ、お客さんの疑問にも答えられるでしょう。宅建士は不動産を扱う企業にとっても、取引をするお客さんにとっても重要な存在です。資格取得により、長期的な社会貢献ができるでしょう。

建築業界

建築業界でも、宅建士の資格を生かせるでしょう。自社施工した物件を販売する場合も、不動産取引として宅建士が欠かせません。以上から施工担当のスタッフだけでなく、取引をサポートする有資格者も必要です。その意味で宅建士は、建築系の会社で活躍できる可能性があります。

たとえば住宅メーカーが、自社施工物件を販売する場合です。そのときは宅建士が買主や売主に重要事項を説明し、契約書の交付をしなければなりません。建物を扱う以上、建築系の企業と不動産取引の関連性は深いのです。宅建の資格を取れば、不動産だけでなく建築業界でも活躍できるでしょう。建築に詳しい方は、その分野のノウハウも生かしながら、宅建士として働けます。

金融業界

宅建の資格を取れば、金融業界でも活躍できるでしょう。不動産の担保価値を評価する際に、宅建の専門的知識を求められるからです。ここで土地家屋に詳しい人がいれば、正確な査定ができます。融資をめぐるトラブルを避けるためにも、専門的な知識を生かした査定が大事です。

たとえば都市銀行のグループ企業で働けば、不動産に詳しいことが強みになるでしょう。ほとんどがグループ企業を持っていて、そこに不動産販売会社が含まれるからです。銀行から不動産販売会社へ移れば、宅建の資格がアドバンテージになります。以上から金融業界を志す方も、宅建の資格が強みになります。不動産の担保価値の判断や、グループ企業での活躍につながるからです。

宅建の将来性について

宅建の仕事には将来性があります。設置義務や独占業務で需要が続くほか、AIによる代替性もないからです。また都市部や高齢者の需要に注目すれば、独自の強みを生かして出世できるかもしれません。将来性の高い理由について、次の4つのポイントを確かめてください。

設置義務や独占業務により一定の需要が続く

宅建士の需要は、これからも長く続くでしょう。不動産取引を扱う会社には、設置義務があるからです。一般的な基準では、従業員のうち5人に1人は宅建士でなければなりません。そのため宅建士を募集する求人も、コンスタントに見られるでしょう。ここに応募して採用を受ければ、宅建士としてキャリアを積めます。

さらに独占業務も、宅建士の需要継続の要因です。重要事項の説明や特定の書面への記名が、宅建士にしかできないからです。不動産会社に与えられる設置義務とも相まって、社会的重要性が高いといえます。不動産は日常生活に欠かせないので、宅建士の必要性はなくならないでしょう。

宅建士には独占業務だけでなく、不動産取引をする企業への設置義務もあります。この2つによって、社会的需要が続くでしょう。

AIによる代替性もない

宅建士には、AIによる代替性も見られません。設置義務や独占業務が法律で決まっているからです。不動産を扱う企業が、一部業務でAIを用いる可能性があります。それでも重要事項の説明や契約書の交付などは、人間である宅建士にしかできません。

またコミュニケーションでも、宅建士の存在は重要です。お客さんの細かい要望に寄り添ったり、信頼関係を作ったりしなければなりません。AIなら、データをもとに解決方法を示すでしょう。しかし人間の感情は繊細なので、AIの解決方法が希望と異なる可能性があります。一方で宅建士ならお客さん一人ひとりの希望に合わせて、正確な解決方法を示せるでしょう。

以上からAIが社会的に浸透しても、宅建士の仕事が奪われる可能性は低いといえます。

宅建士の仕事はなくならない

宅建士の仕事は、社会情勢にいかなる変化が起きてもなくならないでしょう。不動産は生活に必要なもので、需要が大きく下がることは考えにくいといえます。衣食住の住を扱うので、一定数の取引が期待されるのです。それに対応するためにも、宅建士は社会に欠かせません。

時代の変化によって、不動産の需要の変化も想定してください。近年はリモートワークの進展によって、地方移住を試みる方もいます。そうした方がマンションや一軒家を買う場合も、宅建士のサポートが欠かせません。時代によって不動産のニーズも変化するので、それに応える役目として宅建士は重要です。

都市部や高齢者向けの需要が高まる

これからの不動産業界では、都市部や高齢者向けの需要が高まるでしょう。たとえば都市部に限ると、人口増加が想定されます。日本全体の人口が多少減っても、交通インフラを求めたり、都会へ憧れたりして上京する人が増えるでしょう。そうした方のニーズに対応するために、不動産取引をサポートできる宅建士が重要です。

これからは高齢者向けの住宅の需要も増えるでしょう。日本は高齢化社会になっており、年を取った方のためのマンションや家も話題です。高齢者の住宅事情を知っておけば、そうした年齢層を相手に案件を増やせるでしょう。これから宅建士を目指すなら、都市部や高齢者向けの住宅に注目してください。関連する物件の取引を増やし、高収入を得られる可能性があります。

宅建士になるには?

宅建士になるには、国家試験を受けて合格しなければなりません。それだけでなく原則2年の実務経験を経て、正式な宅建士として登録を済ませる必要があります。宅建士になるまでのプロセスを以下で見ていきましょう。

試験を受ける

まずは宅建士試験を受けなければなりません。毎年10月中旬の日曜日が通例です。ただし指定を受けた方だけ、12月に試験を受けられます。以上を踏まえて本番までの時間と、勉強に必要な時間を計算し、学習計画を立ててください。計画を立てたら、本番までの準備を整えましょう。

宅建の試験は、6月の実施告知が通例です。7月に試験へ申し込め、8月になると試験会場通知の送付を受けます。以上から本番まで約2カ月の段階で、正式な試験日程がわかるしくみです。宅建の試験に関するスケジュールは、6月の実施告知から順次確かめてください。本番までは勉強だけでなく、日程の確認も欠かせません。

合格する

宅建士の試験を受けたら、合格を目指しましょう。結果発表は11月下旬が通例です。受験番号は一般財団法人 不動産適正取引推進機構の公式サイトで掲載されます。そこで自分の番号があるか確かめてください。合格できた場合は、合格証書を受け取れ、宅建士試験に受かった証明になります。宅建士は国家試験に合格しない限り名乗れません。新たな一歩を踏み出すためにも、入念な勉強のうえ、合格を目指してください。

登録する

宅建士試験に合格したら、正式登録を受けなければいけません。基本的には受験地の都道府県知事に登録してもらいます。登録後は宅建士証を交付され、資格証明として扱えるのです。以上があれば、宅建士としての業務を始められ、独占業務もできるようになります。

宅建士の登録自体は一生有効ですが、宅建士証の有効期間は5年です。そのため有効期限が近づいたら、更新をしなければなりません。資格証明の失効によって、独占業務ができないおそれもあるので、忘れないようにしましょう。

宅建は試験に合格するだけでは、資格取得ができません。都道府県知事の登録を受け、宅建士証を手に入れる必要があります。合格したときは、資格証明に関する手続きを忘れないでください。

原則として実務経験2年

宅建士として登録を受けるには、原則として2年間の実務経験が必要です。つまり合格したらいきなり独占業務を始められるわけではありません。合格前から不動産業界で、一定のキャリアを積む必要があります。宅建の知識があっても、実務経験がないと有資格者になれません。

実務経験として認められるのは、顧客に対する不動産の説明、物件調査、契約書や帳簿の作成などです。不動産に関係のある一部業務が、実務経験として評価されます。登録実務講習の修了で宅建士登録を受けられる方もいますが、そうでない限りは不動産業界で実務経験を積まなければなりません。宅建士として働くには勉強だけでなく、現場での成果も求められます。

宅建の試験概要

宅建は、毎年20万人が受験する人気国家資格です。不動産会社の社員だけでなく、その他の業種の会社員や学生、主婦といったあらゆる受験生が合格を目指します。

宅建取得によって不動産業界への就・転職が有利になること、資格手当が期待できること、マンション管理士・賃貸不動産経営管理士・不動産鑑定士へのキャリアアップにつながること等が、この試験の人気の理由ではないでしょうか。宅建試験は、例年10月の第3日曜に実施されます。

宅建士試験の試験概要の詳細はこちら

宅建試験の難易度

宅建試験の合格率は、毎年概ね15~17%程度です。合格基準点は50点中35点が目安とされていますが、実際の合否は相対評価方式による判定のため、合格点は明確にされていません。不動産業界関係者から学生まで、幅広い受験者層が挑戦する宅建試験ですが、近年では出題難易度の上昇に注意が必要です。

特に、2015年に「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」に名称変更されたことを受け、容易に目指せるレベルの試験ではなくなりつつあります。

宅建士試験の合格率の詳細はこちら

宅建試験の勉強時間

宅建合格に必要な勉強時間は、受験生が有する知識や経験に応じて異なりますが、法律初学者で独学の場合、一般的には500時間程度と言われています。500時間の勉強時間を確保する場合、1日2時間ずつ取り組むとすると8ヶ月以上かかる計算になりますから、宅建合格に向けて腰を据えた取り組みが不可欠となります。

ただし、資格予備校や通信教育の受講で勉強時間の短縮を図ることができますから、何かと忙しい受験生はこれを活用しない手はありません。

宅建試験の勉強方法

宅建試験に向けた勉強方法は、人それぞれです。市販教材で独学で学習する受験生も少なくありませんが、資格予備校や通信教育といった受験対策講座を使う受験生もたくさんいます。費用を抑えて自分のペースで学べる独学と、合格に必要な知識を効率良く学べる対策講座の活用、いずれの勉強方法にもメリット・デメリットがあります。

ご自身の生活や確保できる勉強時間数、金銭的なご都合等と照らし合わせて、適切と思える勉強方法を選択しましょう。

宅建士試験の勉強時間の詳細はこちら

宅建士と相性のいい資格とは

宅建士には独占業務があるので、不動産会社を中心としてこの資格だけでも十分活躍できます。しかし活躍できるフィールドを広め、キャリアアップしたければ他の資格も取得するのも一考です。もしWライセンスを検討しているのであれば、宅建士と相性のいい資格をいくつかピックアップしてみましたので参考にしてみてください。

管理業務主任者

宅建士を取得している人で、管理業務主任者の資格を目指す方も少なくありません。マンションの場合、管理組合を作っているところも多いのです。本来であれば、建物をはじめとした敷地内の管理を担当しますが、自分たちではできないというケースもあるでしょう。その場合、管理会社に業務を委託するケースも珍しくありません。

この時管理組合との窓口になるのが、管理業務主任者です。管理を任せるにあたって、管理委託契約を交わします。契約時の重要事項説明や契約書の記名・押印のできる独占業務資格が管理業務主任者です。こちらも宅建士同様、国家資格の一つです。

ここまで見てきたように業務内容は宅建士と非常に似通っています。そこで管理業務主任者のWライセンスで活躍している人も少なくありません。特に大手の不動産会社は傘下に管理会社を持っていたり、管理部門を抱えていたりすることも少なくありません。大手の不動産会社に転職して、キャリアアップを検討しているのであれば取得を目指すといいでしょう。

ファイナンシャルプランナー

宅建士とファイナンシャルプランナーのW資格で活動している方も少なくありません。ファイナンシャルプランナーとは顧客の今後の生活設計を建てるお手伝いをする人です。顧客から家計の収支や資産状況、家族構成などをヒアリングしたうえで専門知識を生かして、最適なプランを提案します。

もしファイナンシャルプランナーの資格を取得すれば、不動産を販売する際に住宅ローンを組むにあたって、無理のない返済計画の提案もできます。またファイナンシャルプランナーの試験を見ると、不動産関係の分野も含まれます。つまり宅建士試験で勉強したことをそのまま転用できるのです。勉強時間を短縮して、一気に両方の資格を取得することも可能です。

司法書士

司法書士も宅建士とWライセンスでおすすめの資格です。司法書士とはさまざまな手続きの際に書類作成を代行する業務です。その中には不動産登記があります。宅建士の不動産に関する専門知識を生かして、登記手続きを代行できます。

あと意外なところでは、起業する際にWライセンスがあると重宝します。会社を立ち上げるにあたって、登記手続きのほかにも貸事務所の確保や土地取得が必要かもしれません。物件購入や賃貸契約を交わすにあたって、重要事項の説明が必要です。また不動産登記手続きも必要になりますが、両方の資格を持っていればワンストップで関連する手続きを済ませられます。将来的には独立開業も可能になるでしょう。

賃貸不動産経営管理士

宅建士とのW資格で仕事をしたいと思っているのであれば、賃貸不動産経営管理士もおすすめの資格の一つです。賃貸物件に関する管理を担当するための資格になります。家賃の徴収や契約の更新手続き、現状回復の終了管理、建物管理に関する重要事項説明や重要事項説明書および管理受託契約書の記名・押印などが主要な業務になります。

将来のキャリアアップや独立開業を検討しているのであれば、おすすめの資格です。場合によっては不動産投資を行っている人と契約を交わす場合もあります。重要事項説明などを通じて、いわゆる投資家との人脈を広げられるかもしれません。

賃貸管理業は将来的には宅建同様免許制になる可能性があるといいます。このため、年々注目されている資格ですから今のうちに取得するのもいいかもしれません。

不動産鑑定士

宅建士と不動産鑑定士のWライセンスで活躍する方法もあります。不動産鑑定士を取得すれば、多方面で活躍できる可能性が高いからです。弁護士と公認会計士とともに三大国家資格の一つに挙げられます。というのも国家資格の中でも難易度がトップクラスに高い資格と言われているからです。

不動産鑑定士は文字通り、不動産の価値に関する鑑定を行う人です。評価は不動産鑑定評価書にまとめます。鑑定評価書を作成できるのは、不動産鑑定士だけです。民間の投資会社の依頼を受けて仕事する場合もあれば、地価公示など国から仕事を受注できる場合もあります。2022年現在、日本全国でも資格を持っているのは8,000人ほどといわれています。希少価値があるので、そのことでもアピールできるでしょう。

宅建士(宅地建物取引士)に向いている人とは

晴れて宅建試験に合格したとしても、資格を武器に実務をこなす上で、「向き・不向き」の問題はつきものです。どんな仕事に就くにしても適性の有無は問われますが、宅建士に関しても例外ではないのです。

人と上手くコミュニケーションできること

宅建士に向いている人の特徴といえば、何と言っても「人と上手くコミュニケーションできること」ではないでしょうか。宅建士の仕事は、お客様の快適な住生活と円滑な契約締結のために、不動産賃貸・売買の仲介役として立ち回ることです。

これを実現するために、宅建士は、お客様はもちろん、大家さんや関係業者等の様々な相手とやり取りする必要があります。業務上不手際のないよう、必要なコミュニケーションを適切な時期に行わなければなりません。

大ざっぱではなく、細部にまでこだわりを持てること

また、「大ざっぱではなく、細部にまでこだわりを持てること」も、宅建士に向いている人の特徴に挙げられます。宅建士は不動産賃貸・売買の契約に関わる仕事に携わりますから、業務上、あらゆる場面で細心の注意を払う必要があります。

契約上重要な内容の説明義務を欠いた、契約書面に見落としがあった等は、直ちに責任問題に発展します。高度な専門知識を持ち合わせていることは大前提として、常に正確な仕事の提供が望まれます。

土日祝日の勤務に無理なく対応できること

別の観点では、「土日祝日の勤務に無理なく対応できること」も、宅建士の適性のひとつと言えます。不動産屋に水曜定休が多いのは、不動産関連の契約が一般的な会社員の休日に多く生じる傾向にあるためです。

よって、不動産の賃貸・売買契約に携わる宅建士には、土日祝日にも出勤できることが望まれます。ご家族のいらっしゃる方であれば、宅建士として仕事をするかどうかを、ワークライフバランスの観点から検討することも必要でしょう。

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まとめ

宅建は不動産取引のサポートができる資格です。重要事項の説明や、特定の書面への記名が独占業務になっています。不動産取引を扱う企業には、一定数の宅建士の設置義務があるため、社会的な重要性が大きいのです。

また不動産に限らず、建築や金融などさまざまな業界で役に立つでしょう。たとえば建築なら自社施工した住宅の販売で、宅建士がサポートしなければなりません。金融業界でも不動産の担保価値の判断に、宅建の知識を生かせます。

宅建士になるには試験の合格だけでなく、原則として2年間の実務経験が必要です。これらを経て、都道府県知事の登録を受ければ、宅建士として活動できます。このように試験勉強だけでなく、本番の日程や合格後のプロセスまで確かめてください。宅建士を目指すなら、以上を踏まえた適切な準備が大切です。

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