宅建は独学でも合格することができる?勉強時間の目安など解説

数ある資格試験の中でも、特に高い人気を誇る宅地建物取引士試験(以下:宅建試験)。宅建試験の難易度はそこまで高くないため、独学で目指そうと考えている方も多いかと思います。

では実際に宅建試験は独学でも合格を目指せるのか?目指せるとすればどの程度の勉強時間が必要なのか?といった疑問から、独学で目指す際のポイントやスケジュール感など、独学で目指す方向けの勉強法などに関して解説していきたいと思います。

目次

宅建試験は独学でも合格できるのか?

最初に見出しの疑問に答えてしまうのであれば、宅建試験は独学でも十分合格が目指せる試験です。

宅建試験は年に1度、毎年10月に実施されており、例年20万人ほどの受験者がいる試験。その中には独学で挑戦する方も多く、また独学で挑戦した方で合格する方も多数いらっしゃいます。

とはいえ、宅建試験の合格率は毎年15%程度であり、誰でも簡単に独学で合格できる試験ではないというのも事実です。

独学で宅建を目指すメリット

宅建試験合格を目指す勉強法は3種類あります。

自宅で一人で勉強する独学と、宅建試験講座を開講している予備校に通う方法、そして通信講座の宅建士講座を受講する方法です。その中でも特に独学で宅建試験に挑戦するメリットとデメリットを紹介していきましょう。

費用がかからない

予備校通学や通信講座の受講には受講料が必要になります。予備校と通信講座で比較すると、予備校通学の方が受講料は高い傾向にありますが、独学の場合こうした受講料が一切必要ないというメリットがあります。

独学で宅建試験を目指す際に必要となる費用は、テキストを購入する代金と、受験をするのであれば模試の受験料といったところ。

数千円~1万円程度の費用で済むというのはひとつ大きなメリットといえるでしょう。

マイペースで勉強できる

予備校にしても通信講座にしても、それぞれ勉強のカリキュラムが決められており、そのカリキュラムに沿って勉強を進めていく形になります。

もちろんこうした予備校や通信講座が提供するカリキュラムは、より効率的に学べるというメリットがありますが、その反面マイペースでの勉強が難しいというデメリットもあります。

独学で勉強を進める場合、いつどの程度勉強を進めるかなど、勉強のペースは自分次第。できるだけ自分にストレスがかからない範囲で、マイペースで勉強ができるというメリットがあります。

独学で宅建を目指すデメリット

反対に独学で宅建試験合格を目指す場合に、考えられるデメリットも紹介しておきましょう。

勉強時間が長くなる

独学で考えられる最大のデメリットは、合格できるまでの勉強時間が長くなるという点です。

独学で宅建試験を目指す場合、自分で勉強計画を考え、その計画に沿って勉強を進めることになりますが、この勉強計画が効率的なものになっているというケースはまずありません。

もちろん過去に宅建試験を目指して勉強した経験があるという方であれば、ある程度効率的に学ぶ計画は立てられるかもしれませんが、初学者の方では難しいでしょう。

勉強計画をしっかり立てられないということは、効率的に学ぶことが難しいということです。勉強を効率化できないということは、それだけ長い勉強時間が必要になるということ。これは大きなデメリットです。

勉強時間が長くなるのであれば、独学にこだわらない方がよほど効率がいいということになりますので、どう考えても勉強時間が長くなりそうな方は、独学以外の勉強方法も検討しましょう。

不明点を解決するのに時間がかかる

独学は自宅で一人で勉強を続けます。そのため、もし勉強をする中で、不明な点が出てきた場合、その不明点を自力で解決する必要があります。

宅建試験の出題範囲には法律問題が多く含まれているため、不明点が出てくると解決がなかなか難しいという特徴があります。

解決のために利用できるのは手元にあるテキスト1冊。このテキストと自分自身の努力のみで、すべての不明点を乗り越えていく必要があるため、どうしても勉強時間は長くなってしまいます。

モチベーション管理が難しい

宅建試験の勉強において重要になるのはモチベーション管理です。宅建試験に対する勉強へのモチベーションを高く維持できないと、勉強に身が入らず、いたずらに時間ばかりがかかってしまいます。

予備校に通学すれば、教室内に宅建試験合格という同じ目標を持った仲間、ライバルがいるため、モチベーションを維持しやすくなります。また、予備校の教室に行く以上、授業を受けるしかありません。嫌が上でも勉強するしかない環境があるだけでもモチベーション管理にはプラスに働きます。

独学や通信講座のように、自宅で一人で勉強する方法の場合、どのように宅建試験に対するモチベーションを維持していくかが大きな課題となります。

独学で宅建試験合格を目指すために必要な勉強時間

では、実際に独学で宅建試験合格を目指す場合、どの程度の勉強時間が必要かという点を考えてみましょう。

一般的に独学で宅建試験合格を目指す場合、300~500時間の勉強時間が必要と言われています。必要な勉強時間に大きな幅があるのは、勉強をする方の状況によって、必要な勉強時間も変わるからです。このあたりを説明していきましょう。

初学者の方の場合

不動産関係の職業ではない方、大学等で法律に関する勉強をした経験がない方など、宅建試験の出題範囲に対する基礎的な知識がない初学者の方は、どうしても勉強時間も長くなります。

一般的には500時間程度と言われていますが、場合によってはそれ以上の勉強時間を確保する必要があります。

ちなみに500時間という勉強時間を確保するために、社会人の方が平日毎日1時間、土日祝日に5時間ずつ勉強時間を確保して、34週間の勉強期間が必要になります。34週間はおよそ8ヶ月程度。

初学者の方が独学で宅建試験合格を目指すのであれば、最低でも8ヶ月かそれ以上の勉強時間が必要ということになります。

学習経験者の場合

宅建試験では法律関係の問題が多く出題されます。この法律に関する勉強をしたことがある方は学習経験者と考えられます。大学で法学部に通っていた方や、法律関係の問題が多く出題されるほかの資格試験に挑戦したことがある方も同様です。

もちろん、過去に宅建試験に挑戦したことがあるという方も学習経験者ですし、宅建試験に挑戦したことがなくとも、今不動産関係の仕事をしている方もこの学習経験者の枠に入れていいかと思います。不動産に関する専門用語などを理解するのに時間のかからない方、また不動産取引の基本的な部分を知っている方であれば、学習経験者と考えられます。

こうした学習経験者の方であれば、必要な勉強時間は300時間程度でも十分宅建試験合格を目指せるでしょう。

上のケースと同様に計算すると、300時間の勉強時間を確保するのに必要な期間は20週間程度。半年もあれば十分に合格を目指せるということになります。

宅建試験出題科目別勉強時間

宅建試験では、4つの科目が出題されます。

それぞれの科目ごとに必要になる勉強時間をチェックしておきましょう。

出題科目 出題数 勉強時間
民法(権利関係) 14問 90~150時間
宅建業法 20問 110~180時間
法令上の制限 8問 60~100時間
税制その他 8問 40~70時間

それぞれの科目に関してもう少し詳しく解説していきます。

まずは民法をしっかり理解する

民法は、宅建試験において基礎となる科目です。宅建業法や税制、法令上の制限といった科目を勉強する場合も、まずは民法の考え方をしっかり理解していないと、なかなか勉強は進みません。

出題数も2番目に多い科目ですので、まずはこの民法にしっかりと時間を割いて、必要な項目の暗記と、民法という法律の原則的な考え方などを理解しておくのが宅建試験合格へのポイントとなります。

宅建業法は取りこぼしがないように

宅建業法はもっとも出題数が多い科目です。しかし、出題数が多いものの、そこまで難易度の高い問題が出るというわけではありません。

過去の出題を見ても、出題難易度はそこまで高くなく、宅建業法の基礎となる部分をしっかり記憶しておけば対応できるような問題が出題されます。

反対に言えば、そんな宅建業法の問題で取りこぼしをしてしまうようでは、宅建試験に合格をするのは難しくなります。そこまで難易度が高くないからこそ、しっかりと勉強をして、取りこぼしがないように対策しましょう。

法令上の制限はじっくり時間をかけて

法令上の制限は出題数こそ少ないものの、特に初学者の方にとっては難関科目となる可能性があります。

出題数が少ないからと甘く見ていると、理解するのに時間がかかりなかなか勉強が進まないというケースもありますので、ある程度しっかりと勉強時間を確保し、理解を深めるようにしておきましょう。

税制その他は過去問で対策を

税制その他の科目に関しては、過去問対策が非常に有効です。実際に過去問の中から、同じような問題が出題されるケースもあり、過去問である程度対策ができる科目ともいえます。

参考書を読み、過去問で繰り返し対策を練ることで、ある程度の得点を取ることができるようになる科目ですので、しっかり対策をしておきましょう。

独学で宅建試験合格を目指すスケジュール

独学で宅建試験合格を目指す場合には、勉強スケジュールをしっかりと立てることが重要になります。

しかし、初学者の方など、資格試験に挑戦した経験がないという方は、このスケジュールを立てることが難しいというケースもあるでしょう。

勉強スケジュールがそこまで重要かというと、独学で目指すのであればこれは非常に重要です。なぜなら、この勉強スケジュールが、モチベーション管理に役立つからです。

しっかりと勉強スケジュールを立てることができれば、そのスケジュールをクリアするたびに、小さな達成感を感じることができるようになります。達成感を感じるというのは、勉強に対するモチベーションを維持する上でも重要ですので、特に独学で目指すという方は、しっかりスケジュールを立ててそれを実行するようにしましょう。

ここでは、10月に実施される宅建試験までの勉強期間別にいくつかの勉強スケジュールを紹介していきます。ここで紹介するのはあくまでも1つの例ですので、実際にスケジュールを組む場合は、自分でしっかりと考え、自分に合ったスケジュールを立てるようにしてください。

勉強期間が1年間の場合

1年間の勉強期間があれば、500時間の勉強時間を確保するのはそこまで難しくありません。1週間で10時間程度の勉強時間を確保できれば、十分にクリアできますので、十分に余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

期間 勉強内容
10月 参考書全体を通して読み試験の全体像を知る
11~12月 勉強1周目
民法を中心に勉強
1~2月 勉強1周目
宅建業法を中心に勉強
3~4月 勉強1周目
法令上の制限を中心に勉強
5月 勉強1周目
税制その他を中心に勉強
過去問などで自身の実力をチェック
6~8月 勉強2周目
自身の弱点を補強しつつ全体をもう一度勉強
過去問にも挑戦しながら進める
9月 直前対策
自身の弱点分野を中心に過去問などで実力を固める

勉強の初めにまずはテキストを通して読んでいきましょう。分からない部分はあるかと思いますが、ドンドン読み進めることが重要です。

テキスト全体を通して読むことで、宅建試験の全体像をある程度把握できるかと思います。全体像が把握できれば、あとは科目別に勉強を進めつつ、重要であろうポイントはしっかりと理解するなど、勉強もしやすくなるでしょう。

勉強を1周させたら、過去問などで自身の弱点などを把握するようにして、残りの時間で弱点部分を克服しつつ2周目の勉強に移行しましょう。

勉強期間が半年の場合

勉強期間が半年しか取れない場合は、事前にテキスト全体を読んでいる余裕はないかと思います。最初の4ヶ月で各科目の勉強を終わらせ、1周目の勉強を終わらせましょう。

残り2ヶ月は弱点補強と2周目の勉強です。

こうして見るとなかなか詰まったスケジュールとなります。500時間の勉強時間を確保するためには、1週間で20時間の勉強時間は必要になりますので、平日にも1時間以上勉強時間を確保する必要があります。

宅建試験に関して初学者の方には少々厳しいスケジュールとなります。

期間 勉強内容
4月 勉強1周目
民法を中心に勉強
5月 勉強1周目
宅建業法を中心に勉強
6月 勉強1周目
法令上の制限を中心に勉強
7月 勉強1周目
税制その他を中心に勉強
過去問などで自身の実力をチェック
8月 勉強2周目
自身の弱点の補強をメインに全体をもう一度勉強
9月 直前対策
自身の弱点分野を中心に過去問などで実力を固める

勉強期間が3ヶ月の場合

勉強期間が3ヶ月の場合、社会人の方が、毎日仕事をしながら500時間の勉強時間を確保するのはかなり難しくなります。1週間で40時間勉強時間が必要となりますので、平日毎日3時間、週末には1日12時間以上の勉強時間を確保する必要があります。

勉強期間3ヶ月というのは、学習経験者の方向けのスケジュールであり、それでも簡単ではないスケジュール感になります。

3ヶ月では何周も勉強を繰り返す余裕はありませんので、1回の勉強で各科目をしっかりマスターできるように、集中して勉強を続けるようにしましょう。

期間 勉強内容
7月 民法をマスターする
過去問対策を採り入れながら進める
8月 宅建業法をマスターする
過去問対策を採り入れながら進める
9月 法令上の制限・税制その他をマスターする
過去問対策を採り入れながら進める

独学で宅建試験に合格するためのポイント

独学で宅建試験合格を目指す場合は、しっかりと勉強時間を確保する以外にも、意識したいポイントがありますので、そんな独学のポイントに関して紹介しておきましょう。

テキスト選びは慎重に

独学で宅建試験合格を目指す以上、重要になるのがテキスト選びです。独学の場合、勉強で頼りにできるのはテキストのみ。そのテキスト選びは慎重に、自身に合ったものを選びましょう。

そんな宅建試験対策のテキスト選びのポイントに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

宅建士試験に合格するためのテキストの選び方|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

過去問対策は重要

資格試験全般に言えることですが、過去問対策は非常に重要なポイントです。過去問を見ることで、その試験がどのようなポイントの重きを置いているか、取りこぼせない問題はどのような分野かなどが理解できるからです。

これは宅建試験でも当然重要なポイントとなります。そんな過去問対策の方法や、過去問対策の注意点などは、以下の記事で詳しく解説しています。

宅建士試験の過去問を使った勉強法とは?選び方から活用法まで

あまり独学をおすすめできない方とは?

宅建試験は、勉強時間さえ確保することができるのであれば、独学でも十分合格が目指せる試験です。

とはいえ、誰でも簡単に独学で合格できるわけではありませんので、どうしても独学に向いている方、向いていない方というものはあります。

そこでここでは、独学があまりおすすめできない方の特徴に関していくつか紹介していきます。

仕事が忙しく勉強時間の確保が難しい方

まずは勉強時間の確保が難しい方です。

独学ではどうしても勉強時間は長くなります。そんな勉強時間を確保できない方、仕事が忙しい方、小さなお子様がいる方などは独学にはあまり向いていないということになります。

仕事の関係上、毎日勉強時間を確保することが難しい方などは、独学にこだわらず、ほかの勉強方法も検討するようにしましょう。

初学者の方

根本になってしまうかもしれませんが、やはり宅建試験に関して、初学者の方は独学には向いていないということになります。

初学者というだけで勉強時間は長くなりますし、何より勉強に対するモチベーションの維持も難しくなります。

初学者の方は、独学と同様に自宅で勉強をするという環境で学びながら、より効率的に学べる通信講座を利用するなどして、宅建試験をはじめとする資格試験に対する勉強の進め方などを覚えながら宅建試験を目指すのがおすすめです。

完璧主義者の方

意外とおすすめできないのが完璧主義の方です。

宅建試験では、試験で満点を取ることが目的とはなりません。目的は合格することですので、必要なのは合格点を取ることです。宅建試験の合格ラインは例年70%程度ですので、100%を目指すのではなく、確実に70%を取ることを目指すべきということになります。

完璧主義の方は、不明な点をそのままにしておくことが苦手で、どうしてもしっかりと理解したくなってしまいます。また、テストとなればあくまでも満点を目指してしまう傾向にあります。

こうした姿勢は素晴らしいのですが、宅建試験に合格すると考えた場合、あまりに完璧に勉強するのは無駄が多い、非効率的な勉強という事になってしまいます。

勉強時間を短くするには、必要な部分を、必要な量だけ勉強するのが重要。これが向かないのが完璧主義の方ということになります。

独学で合格を目指すのが難しいと感じたら通信講座がおすすめ

宅建試験の全体像を把握した上で、独学でクリアするのは難しいと感じた方、また、この記事を読んで自分は独学には向いていないと感じた方は、独学にこだわらず、ほかの勉強方法を検討しましょう。

宅建試験は無理矢理独学で目指すような試験ではありません。どのような勉強方法でもいいので、できれば1度の受験で合格すべき試験です。

独学以外の勉強方法を考えている方におすすめしたいのが、通信講座の利用です。

おすすめは高い合格実績のフォーサイト

通信講座は予備校と比較すれば受講料が安く、半額以下での受講が可能なケースもあります。また、予備校に通学するという通学時間も不要です。社会人の方や専業主婦(主夫)の方にとって、勉強時間の確保は簡単ではありません。せっかく確保した時間を、通学時間などで無駄に浪費しない、通信講座の方が効率的に学べるということになります。

そんな通信講座の中では、フォーサイトの宅建士講座がおすすめ。分かりやすいオリジナルテキストに加え、合格点主義で無駄のない勉強カリキュラム、さらにスキマ時間を活用できるeラーニング教材など、勉強時間を短縮できる教材が豊富にそろっています。

まとめ

宅建試験は独学でも十分合格を目指せる試験です。

とはいえ、独学で合格を目指すためには、300~500時間程度の勉強時間が必要であり、誰でも簡単に独学で宅建試験に合格できるというわけではありません。

独学で宅建試験合格を目指すのであれば、しっかり勉強スケジュールを立て、効率的に学ぶ必要があります。それが難しいという方は、独学にこだわらず、ほかの勉強方法も検討しましょう。

おすすめは独学同様自宅でマイペースに学べる通信講座の利用です。その通信講座の中では、合格実績も高い、フォーサイトの宅建士講座がおすすめ。

フォーサイトの教材とカリキュラムで効率的に学び、より短期間で確実に宅建試験合格を目指すのがおすすめとなります。