宅建とは?試験概要や仕事内容から資格を取得するメリットまで解説

更新日:2024年6月11日

宅建は、この数年受験者数20万人を超える人気の国家資格です。不動産業に携わる人をはじめ、他業種、学生、主婦まで、さまざまな方が受験をしています。この人気の理由は一体何なのでしょうか。

この記事では、宅建とはどのような資格なのか、仕事内容、資格を持っているメリット、資格を生かせる業界、年収、試験概要、宅建と相性のいい資格、仕事に向いている人、宅建士になるには、将来性について、通信講座がベストである理由、フォーサイト宅建士通信講座の特徴について解説します。

宅建に興味のある方、受験を考えている方は、宅建士について知るべきことが分かります。この記事を読んで、宅建士のイメージをつかんでください。

  • 宅建とは、宅地建物取引士(宅建士)を略した呼び方であり、宅建業法に定められた業務を行う不動産取引の専門家のことです。
  • 宅建は、不動産取引に不可欠な資格であるため、不動産を取り扱う業界では必ず需要があります。
  • 宅建の資格は、不動産業界はもちろんのこと、建築業界、金融業界、小売業などの就職や転職に生かすことができます。
  • フォーサイトが独自に集計した宅建の年齢別年収の平均は(平成30年分を元に算出)、20代は300万円〜380万円、30代は420万円~480万円、40代は500万円~600万円です。
  • 宅建試験の受験資格は、「日本国内に居住している人」のみです。その他は、年齢や学歴などに関係なく誰でも受験できます。
  • 過去5年の合格率は15〜17%の間で推移している状況です。
  • 宅建試験に必要な勉強時間は、独学の場合300〜500時間程度と言われています。
  • 宅建試験は、毎年1 回、10 月の第3 日曜日に実施されます。

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目次

宅建とは?

宅建とは、宅地建物取引士(宅建士)を略した呼び方であり、宅建業法に定められた業務を行う不動産取引の専門家のことです。宅建士になるためには、国家試験に合格後、資格登録を行い、宅地建物取引士証の交付を受けます。

宅建がどのような資格なのか、3つのポイントを挙げてもう少し詳しく見ていきましょう。

出典元:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験 | 宅建試験の概要

不動産取引の専門的資格

宅建は、不動産取引の専門的な資格です。このことは、宅地建物取引業法に定められています。

■宅建士は建物取引の専門家である

宅地建物取引士(宅建士)は、宅地や建物の取引の専門家として、公正かつ誠実に事務を行わなければならない(第三章第十五条、要約)

また同法は、宅地建物取引業者は、宅建士を置かなければならないと定めています。

■宅地建物取引業者は宅建士を置かなければならない

宅地建物取引業者は、事務所等の規模、業務内容などに応じて国土交通省令で定める数の宅地建物取引士(宅建士)を置かなければならない(第三十一条の三、要約)

宅地建物取引業者とは、いわゆる不動産会社などを指します。つまり宅建士は、宅地建物取引業を営む事業者にとって不可欠な資格者であり、専門的な役割も法律により定められています。

トップクラスの国家資格

宅建は、この数年受験者数20万人を超えるトップクラスの規模を誇る国家資格です。宅建を取得する理由は、幅広い業界で生かせることや、独立開業が可能であること、不動産会社に入社したことをきっかけに、などがあります。

不動産取引は、いつの時代にも一定の需要があります。その上、宅建士にしか行えない業務があることも重要な点です。多くの人は、こうしたことに将来性を感じているとも言えるでしょう。

また、自宅の購入や実家の相続など、仕事以外で資格を生かすことも可能です。宅建の知識があれば、資産管理や売買の際も主体的に行動し、スムーズに進めることもできます。自分や身近な人の役に立つ資格でもあることが、宅建の魅力です。

不動産取引のサポートに欠かせない

宅建は、不動産取引のサポートに欠かせない存在です。サポートというより、重要な役割を担っていると言った方が近いかもしれません。

先述の通り、宅建士の業務は宅地建物取引業法により定められています。同法によると、宅建士にしかできない業務として、「重要事項の説明」「35条書面への記名」「37条書面への記名」の3つがあります。詳しい内容については次章で説明します。

これら3つの業務は、不動産の契約をする際に必要な手続きであり、宅建士以外の人が行うことができません。そのため、不動産契約をする場面では、宅建士が不可欠です。

このように、不動産取引を支えているのは宅建士であると言っても過言ではないでしょう。

宅建の仕事内容

続いて、宅建の仕事内容を確認していきます。不動産に関わる仕事には、物件調査や価格査定、広告活動などがあり、これらは宅建の資格がなくても行うことができます。

ただし、先にお伝えした通り、宅建士しかできない3つの業務があります。ここでは、この宅建の3つの独占業務について見ていきましょう。

重要事項の説明

1つ目は、重要事項の説明です。重要事項の説明とは、土地や建物の契約をする前に、宅建士が買主や賃借人に対して不動産の内容について説明することを言います。

重要事項は書面になっており、物件の所在地や構造、上下水道などの整備状況、建物の設備の状況などが書かれています。宅建士はこの書面に従って相手方に内容を説明します。そして、その際に宅地建物取引証を提示するのが決まりです。

宅建士が重要説明を行わなかったり、宅地建物取引証を提示しなかったりした場合は、処分の対象になります。契約の前の重要な業務は、宅建士の独占業務の1つです。

35条書面への記名

2つ目は、35条書面への記名です。35条書面とは、重要事項の説明の際に作成した書類のことです。宅地建物取引業法35条に定められていることから、こう呼ばれています。

35条書面には、物件の所在地や構造のほか、契約解除条件などが記されています。宅建士は、この書面に記名する必要があります。重要事項の説明と35条書面の作成は、契約前に取引内容を相手方によく理解してもらい、後でトラブルにならないようにするためです。

重要事項の説明と35条書面への記名は、別々の者が行っても問題ありません。ただし、両方とも宅建士であることが定められています。

37条書面への記名

3つ目は、37条書面への記名です。37条書面とは、不動産取引の契約が成立したときに、相手方に交付する書面です。宅地建物取引業法37条に定められていることから、こう呼ばれています。

書面には代金や賃貸の額、支払方法、引き渡しの時期などが記載されており、契約が成立した後、遅滞なく交付しなければなりません。宅建士は、この37条書面に記名する必要があります。

37条書面の交付は誰でもできますが、記名は宅建士しかできない独占業務です。交付を怠った場合は、処罰の対象となります。

このように、宅建士は契約の場面において重要な業務を担っています。資格を取得する意味も大きいと言えるでしょう。

宅建資格を持っているメリットは?

不動産取引の契約において重要な役割を担っている宅建士ですが、宅建資格を持っているメリットは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

宅建は、不動産取引に不可欠な資格であるため、不動産を取り扱う業界では必ず需要があります。就職や転職、キャリアアップなどの点から、メリットを詳しく見ていきましょう。

就職や転職活動で役に立つ

1つ目のメリットは、就職や転職活動で役に立つことです。宅建の資格は、不動産業界はもちろんのこと、建築業界、金融業界、小売業などの就職や転職に生かすことができます。不動産に関する知識が必要な業界であれば、さまざまな就職・転職先が考えられるでしょう。

先述の通り、不動産取引には宅建士にしかできない独占業務があります。また不動産会社は、宅建士を置くことが義務です。これらは宅建の強みであり、求職の際のアピールポイントになります。

これまで不動産とは関係のない業務をしてきたとしても、資格があることで条件の良い仕事を見つけられる可能性があるほか、自信を持って仕事ができるのもメリットです。

キャリアアップを目指せる

2つ目は、キャリアアップを目指せることです。社内では、より上の肩書・役職、重要なポジションを狙えます。

また独立開業をするならば、新たなキャリアを形成するチャンスにもなります。宅建は、実務をこなす上でも顧客の信頼を得るためにも、強力な武器になってくれるでしょう。

転職する際には、業界を変えたり給与条件を上げてみたりすることで、能力や地位の向上を目指すこともできます。また、宅建の資格があることで応募できる職種や企業などに挑戦して、新たなキャリアを築くことも可能です。

宅建は、試験に合格すれば一生使える資格です。より高いキャリアを目指して、ステップアップしてください。

資格手当がもらえる

3つ目は、資格手当がもらえることです。不動産業界をはじめ、宅建の資格保有者を採用している企業では、資格手当を支給していることがあります。手当の相場は、月1〜3万円くらいのようです。

宅建を取得するきっかけとして、資格手当がもらえることも挙げられます。勤めている会社が宅建の資格手当を支給しているケースです。中には宅建の業務に携わっていなくても、資格を持っているだけで受給できるケースもあります。

今すぐ宅建の業務に関わらなくても、ゆくゆくは資格を生かしたいと考えている場合は、就職や転職の際に資格手当が受給できるかを確認してみても良いでしょう。資格取得のモチベーションにもつながります。

宅建資格を生かせる業界について

宅建の資格は、不動産に関する知識が必要なさまざまな業界で生かせることをお伝えしました。不動産業界をはじめ、建築業界、金融業界などが、その例です。

実際に、各業界で宅建はどのような仕事に携わるのでしょうか。宅建の資格を生かせる代表的な3つの業界について、詳しく見ていきましょう。

不動産業界

宅建の資格を生かせる業界として真っ先に思いつくのは、不動産業界でしょう。不動産取引を行う会社に、宅建の有資格者は不可欠です。

また不動産会社は、宅地建物取引業者として従業員5人ごとに1人の宅建士を置くことが法律に定められています。そのため、規模が大きい企業であれば、宅建士もそれだけ必要です。有資格者として活躍の場は、一定数あると言えるでしょう。

仕事内容は、宅建の独占業務の他に、販促や販売、ローンの手続き、売買・賃貸の仲介などの仕事があります。不動産売買・賃貸に関わる一連の業務に携わる場合もありますが、担当する範囲は会社の事業内容などにより異なります。

宅建が最も活きる場面は独占業務であり、宅建士はその周辺の業務を行うというのが大まかなイメージです。

建築業界

次に、建築業界です。建築業界の中には、建設した建物を自社で販売する企業があります。その場合は、宅地建物取引業者の免許が必要であると同時に、5人に1人の宅建士の設が義務付けられます。

建物の売買契約の際には、不動産業界と同様、宅建士の独占業務があります。そのため、宅建士は建築業界での活躍も可能です。

その他には、宅建の知識が活きる仕事もあります。建築業者が関わる都市開発の計画や開発行為・許可などは、宅建試験の勉強で学ぶ範囲です。こうした知識があれば、業務に役に立つ場面もあるでしょう。

このように、建築業界で宅建を生かすには、不動産の売買・賃貸に携わるほか、知識を使って計画を策定するなど間接的に関わる方法があります。

金融業界

最後は、金融業界です。金融業界の1つの例として、銀行が挙げられます。銀行は、不動産を担保にして融資を行うことがあります。その際に発生する担保となる不動産の評価については、宅建の専門知識が活用できます。

また、一部の信託銀行では、不動産の売買や仲介、不動産の鑑定評価を行っています。そのため、売買や仲介などの場面で、宅建の資格を生かすことが可能です。宅建の資格を持っている人を歓迎する信託銀行の求人を見ることも多いのではないでしょうか。

その他には、保険会社のファイナンシャルプランナーに宅建の活躍の場があります。個人のライフプランに合わせて、資金運用などの経済的なアドバイスを行う中で、不動産の知識を生かせます。

宅建の平均年収について

宅建の仕事のイメージがつかめたところで、気になる平均年収を確認していきましょう。

フォーサイトが独自に集計した宅建の年齢別年収の平均は(平成30年分を元に算出)、20代は300万円〜380万円、30代は420万円~480万円、40代は500万円~600万円です。最も高いのは、50代の600万円〜650万円でした。

この数字はあくまでも平均であり、参考程度に考えてください。

宅建の平均年収については、こちらの記事でも紹介しています。併せてご覧ください。

関連記事:
宅建士の年収はどのくらい?1,000万は可能?条件別の平均年収から年収の上げ方まで紹介

宅建の試験概要

宅建に関わる仕事をするためには、宅建試験に合格する必要があります。そこで宅建試験はどのように実施されるのかを見ていきましょう。試験のスケジュールと試験会場、受験資格を順に試験の概要をご紹介します。

■宅建試験のスケジュール

宅建試験の受験を考えているなら、試験のスケジュールを頭に入れておく必要があります。まずは6月に、試験の情報が発表される試験公告を確認しましょう。それから後の合格発表までは次のように進められる予定です。

宅建試験のスケジュール予定(令和6年度)
6月第1金曜日(原則) 1:試験公告
7月上旬から
【インターネット】下旬まで
【郵送】中旬まで
2:申込み
3:受験手数料の納付
10月下旬 4:受験票の交付
10月の第3日曜日 5:試験当日
11月下旬 6:合格発表・合格後の手続き

6月の試験公告は、官報(「インターネット官報」でも閲覧できます)と、「一般財団法人不動産適正取引推進機構ホームページに同時に掲載されます。受験を決めたら、確認するようにしましょう。

■宅建の試験会場

宅建の試験会場は、原則として申込み時の居住地の都道府県にある会場です。都道府県は選べませんが、会場は、複数あればインターネット申込みに限り選択できます。

ただし、先着順になるので、必ずしも希望通りに決まるとは限りません。受験したい会場が決まっていれば、早めに申込むようにしましょう。

■宅建試験の受験資格

宅建試験の受験資格は、「日本国内に居住している人」のみです。その他は、年齢や学歴などに関係なく誰でも受験できます。

宅建の試験概要については、こちらの記事でもご紹介しています。併せてご覧ください。

関連記事:
令和6年(2024年)の宅建試験日はいつ?申込みから合格までのスケジュール、注意事項まで紹介

宅建試験の難易度

次に、宅建試験の難易度を見ていきましょう。過去5年の合格率は15〜17%の間で推移している状況です。
■宅建試験の合格率の推移
年 度 受験者数 合格者数 合格率
令和5(2023) 233,276人 40,025人 17.2%
令和4(2022) 226,048人 38,525人 17.0%
令和3(2021) 10月試験 209,749人 37,579人 17.9%
12月試験 24,965人 3,892人 15.6%
令和2(2020) 10月試験 168,989人 29,728人 17.6%
12月試験 35,261人 4,610人 13.1%
令和元(2019) 220,797人 37,481人 17.0%

合格率だけを見ると、決して高くはありません。けれども、宅建試験は他の国家試験に比べて比較的易しいと考えられています。しっかり準備すれば、初めての受験で合格することも決して難しくありません。

宅建試験の勉強時間

続いて、宅建試験の勉強時間です。宅建試験に合格するためには、どのくらい勉強したら良いのでしょうか。

宅建試験に必要な勉強時間は、独学の場合300〜500時間程度と言われています。1日2時間勉強すると、8か月余りで500時間に達します。

試験日が10月なので、逆算していつから勉強を始めたら良いのか、または今から始めていつ試験が受けられるのかを決める目安にしてください。

とはいえ、できるだけ早く受験したいという場合もあるかもしれません。そのときは独学ではなく、通信講座などを利用すればより効率的に学べるので、短期間で合格することも可能です。

宅建試験の勉強方法

最後に、宅建試験の勉強法について触れていきましょう。勉強を始める際に、独学、通信講座、予備校などといった選択肢があり、迷うこともあるかもしれません。それぞれ良さがあるので、自分に合った方法を選びましょう。

独学は、自分のペースで自由に勉強の計画を立てられるのが魅力です。通信講座は、分からないことがあっても学習サポートが受けられます。予備校は、勉強仲間と情報共有がしやすいのが良い点です。

通信講座のメリットについては最後に詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。

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宅建士と相性のいい資格とは

宅建士は独占業務があるので、1つの資格でも十分に活躍できます。それでも、仕事の幅を広げたい、キャリアアップを目指したいという方は、ダブルライセンス(複数の資格)を取得するのも良いでしょう。

ここからは、宅建士と相性の良い5つの資格と、最後に仕事のやりがいについて見ていきましょう。

管理業務主任者

管理業務主任者とは、マンション管理業者が管理組合などに対して、管理委託契約の重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格者を言います。宅建とのダブルライセンスを目指す人の多い資格です。

宅建は、マンションなどの建設や分譲を行う不動産会社で業務を行い、管理業務主任者は、併設された管理部門や関連会社で管理業務に携わるといったつながりができます。

試験科目も宅建と重なる部分も多く、同一年度に受験すると、効率良く資格の取得ができると言われています。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(FP)とは、相談者のライフプランを資金計画などの経済的な面から支える国家資格者です。宅建とのダブルライセンスで活動している方もいます。

FPは、不動産の有効活用を提案する業務があり、宅建とは深い関係があります。両方の知識を生かして、FPとして適切なアドバイスをすることが可能です。

FP試験には不動産の分野が含まれており、宅建との共通点もあります。2級は年3回実施されているので、宅建と同一年に取得することも可能です。

司法書士

司法書士とは、不動産登記や商業・法人登記、供託手続き、法務局や裁判所、検察庁に提出する書類の作成などを行う国家資格者です。

司法書士の不動産登記の業務と、宅建の不動産取引の業務につながりがあります。会社を設立して法人登記をする際に、賃貸物件や土地の取得をサポートすることが可能です。

試験の面では、民法が両方の資格に共通する主な科目です。司法書士試験では民法の配点が最も高いので、宅建を持っていると有利に勉強を進めることができるでしょう。

賃貸不動産経営管理士

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅管理業務を行う際に設置が義務付けられている業務管理者に当たる国家資格者です。

不動産仲介会社の多くは、賃貸管理業も営んでいます。そのため、賃貸不動産経営管理士の資格をすでに持っている場合、プラスして宅建も取得できれば、活躍の場が広がります。

一方、先に宅建を取得した場合は、管理業務に関する2年以上の実務経験を積み、指定講習を修了すれば、業務管理者になることが可能です。つまり、試験を受けなくても業務管理者になれる道があります。

不動産鑑定士

不動産鑑定士とは、不動産の有効利用を判定して適正な価格を判定する国家資格者です。不動産鑑定やコンサルティング業務を行っています。

不動産取引の中では、鑑定評価や売買仲介を一緒に依頼されることもあります。宅建と両方の資格を持っていれば、これらを同時に進めることができるのが利点です。

宅建試験で出題される民法や宅建業法などの科目は、不動産鑑定士試験と関連性があります。難易度は不動産鑑定士の方が高いので、宅建を先に取得すると取り組みやすいでしょう。

宅建士のやりがいとは

最後に、宅建士のやりがいを2つご紹介しましょう。1つは、物件をあっせんすることで、人々の生活や事業活動を支えることです。

ある人は、新生活を始めるタイミングで賃貸物件を探している、また別の人は、家族で住むマイホームを建てる土地を購入する、といった場面に立ち会うこともあるでしょう。事務所を探している事業主もいるかもしれません。人生や事業活動の大事な節目に宅建士としてサポートをしていくことは、大きなやりがいにつながります。

もう1つは、能力や成績次第で収入を増やしやすいことです。

不動産の営業を担当する場合、他の営業職と同様に、成績次第で報酬が増える制度を多くの会社が実施しています。そのため能力を発揮できれば、年収を上げることも可能です。ただし、扱う不動産の金額や制度の内容などは会社ごとに異なるので、就職する前に調べると良いでしょう。

宅建士(宅地建物取引士)に向いている人とは

宅建に興味がある、または受験を考えているなら、仕事をする上で宅建士に向いている人にはどのような特徴があるのか知りたくなるものです。ここでは、宅建士に向いている人の能力や性格の部分と、必要な心構えについて確認します。

自分には向いている、向いていない、とすぐに判断するのではなく、こうした特徴を持っていると仕事がしやすいと捉えてください。

人と上手くコミュニケーションできること

1つ目は、人と上手くコミュニケーションできることです。不動産取引の過程では、宅建の独占業務である重要事項の説明のほか、さまざまなコミュニケーションが発生します。宅建士は、これらを円滑に進めることが求められます。

例えば、営業に必要なコミュニケーション力として、売主・買主、貸主・借主の意見や考え、希望などを聞くことや、問題が発生したときの説明や交渉などは行えるようにしておくと、仕事がやりやすいでしょう。

また組織に所属していれば、宅建士も同僚と連携して仕事を進める場面があります。職場でのコミュニケーションも、一般的に求められる程度に必要です。コミュニケーション力に自信がなければ、少しずつ養うようにすると良いでしょう。

大ざっぱではなく、細部にまでこだわりを持てること

2つ目は、大ざっぱではなく、細部にまでこだわりを持てることです。不動産取引の書類には重要な事項が多く記載されているため、間違いがあると大きな問題になりかねません。もちろん、自分1人が契約に関わる全ての書類を作成することは少ないでしょう。それでも、宅建士として中心になって契約を進める中で、細部まで確認することが必要です。

また、営業や契約の中で生まれるコミュニケーションにも気を遣えると良いでしょう。相手方とのやり取りの内容を聞き逃さず受け止めて、必要な場面で生かすことが大切です。自分に対する信頼度が上がり、仕事をよりスムーズに進められます。

一つ一つ丁寧に取り組むことで、良い成果にもつながっていくでしょう。

土日祝日の勤務に無理なく対応できること

3つ目は、土日祝日の勤務に無理なく対応できることです。不動産会社の多くは、水曜日を定休日にしています。その理由は、多くの人の休日である土日祝日に仕事が多いことと、水曜日の「水」は契約が流れることを連想させ、縁起が良くないとされているからです。

そのため宅建士として不動産会社で働く場合は、土日祝日に出勤する可能性は高くなります。宅建士は、こうした土日祝日勤務、水曜日休日という働き方でも構わない人が向いています。

一方、不動産業界以外では、土日祝日が休みという会社もあるようです。宅建をどう生かしたいのか、また自分のライフスタイルや家族との時間などを考えて、働き方を選んでいく必要があります。

宅建士になるには?

続いて、宅建士になるにはどうしたら良いかを見ていきましょう。宅建試験があることは、ご紹介した通りです。まずは試験を受けて、合格しなければなりません。そして次に登録が必要です。

現在学生だけれどいつ試験を受けたら良いのか、転職するために宅建を取得したいと考えている方などは、流れをまとめたので参考にしてください。

試験を受ける

宅建士になるための最初のステップは、宅建試験を受けることです。宅建試験は、毎年1回、10月の第3日曜日に実施されます。試験日に合わせて、学習計画を立てて取り組んでいきます。

6月になったら試験公告を確認し、その後受験の申込みをしましょう。受験の申込みには顔写真などが必要なので、締め切り前に慌てないように早めに準備を進めていきます。

試験日が近づいてきたら、試験に持ち込めるもの/持ち込めないものや、試験会場までの交通機関をあらためて確認します。

宅建試験の問題用紙は持ち帰ることができます。後で答え合わせをするために、解答を記入しておくと良いでしょう。

合格する

次のステップは、宅建試験に合格することです。合格発表は、11月下旬に一般財団法人不動産適正取引推進機構ホームページにて行われます。合格者の受験番号のほか、合否判定基準、試験問題の正解番号が掲載されます。

合格者には合格証書などが簡易書留郵便にて届きます。一方、不合格者には結果の通知はされません。

インターネットでは、試験後まもなくして解答速報がさまざまなサイトに掲載されます。持ち帰った問題用紙に回答を記入していれば、答え合わせをすることが可能です。この時点では合格点が分からないので、あくまでも得点を確認して合格の予想を立てるだけです。

登録する

宅建試験に合格したら、次のステップは登録です。今後宅建に関わる仕事をするなら登録をしましょう。合格をしただけでは、宅建の業務に携わることはできません。登録には、次のうち1つに該当していることが必要です。

■宅建の登録ができる方

1. 宅地建物取引業の実務(一般管理部門は除く)の経験が2年以上ある者
2.国土交通大臣の登録を受けた宅地又は建物の取引に関する実務についての講習を修了した者
3. 国、地方公共団体又はこれらの出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して2年以上である者

2.の講習は、登録実務講習と呼ばれており、一部の都道府県で受講ができます。

原則として実務経験2年

宅建の登録の要件に、実務経験2年以上あることなどが挙げられています。すでに不動産会社などで2年以上の実務経験があり、その後宅建試験に合格した場合はすぐに登録することが可能です。

一方で、学生や一般管理部門などで仕事をする方は、実務経験のない場合がほとんどでしょう。しかし前述した通り、登録実務講習を受ければ、実務経験がなくても登録することが可能です。

学生のうちに宅建を取得しておきたい方や、転職のために資格だけ持っておきたいという方にも、まずは合格を目指しましょう。その後、資格を生かしたいときに登録実務講習を受けるかを判断します。

宅建の将来性について

最後に、宅建の将来性について考えてみます。資格を取得するなら将来性は大事だ、宅建を長く生かして仕事をしたい、という思いは誰もが同じです。

今後考えられる問題として、不動産取引の需要の有無や、AIによる業務の代替え、宅建士の仕事はなくなるのか、という点が挙げられます。これらを詳しく見ていきましょう。

設置義務や独占業務により一定の需要が続く

まずは、宅建士の需要が今後もあるかという問題です。これまで見てきたように、不動産会社などの宅地建物取引業者は、従業員5人ごとに1人の宅建士を置くことが法律で定められています。そのため不動産取引を行う組織は、一定数の宅建士が必要です。

また、宅建士の独占業務は、不動産の売買・賃貸の際に欠かせない業務です。この独占業務についても、宅建士の設置義務と同じく法律に定められています。不動産取引が発生するところに宅建士は必要です。

こうした不動産取引や法律の観点から、宅建士の需要は将来的に続くと考えられます。

AIによる代替性もない

次に、AIにより宅建士の仕事が代替される可能性はあるのかという問題です。近年、AI技術の進化は目覚ましく、さまざまな仕事をこなせるようになりました。しかし、宅建士の業務については、AIがその代わりをすることはできません。

前述の通り、設置義務や独占業務については、法律で定められています。これらの業務は、AIによる代替は認められていません。

また、相手方の要望や意見、希望を聞き、それを形にしていく作業は、今のところAIには難しいのが実情です。問題が発生したときの説明や交渉など、人にしかできないことは多くあります。

宅建士の仕事はなくならない

もう1つの問題として、不動産の需要が減り、宅建士の仕事がなくなるのではないかという心配が挙げられます。近年、不動産の需要は大きく伸びてはいないものの、宅建士の仕事が減るほどの落ち込みもないと考えられています。

リモートワークが進み、事務所を縮小する動きも一時はありましたが、不動産業界を大きく揺るがすほどの打撃は受けていないようです。また、住宅の供給については、増えることはないものの、一定数の需要が見込まれます。

宅建士は、変化する時代のニーズを見極めながら、業務に取り組むことになるでしょう。

都市部や高齢者向けの需要が高まる

最後に、都市部や高齢者向けの需要が高まることで、宅建士は今後ますます必要とされる存在になると予想されます。東京をはじめとした都市部の人口は、転出者より転入者の方が多い転入超過の状態です。

また、高齢者の人口が増え、一人暮らしや夫婦のみの高齢者世帯も多くなっています。高齢者は、住み慣れた自宅で生活をしたいと考えています。こうしたニーズを受けて、ハードとソフトの面で高齢者を支援する、高齢者向けの住宅が注目されています。

宅建士は、社会のニーズに対応する形で、今後も活躍する場は十分にあります。

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宅建は、不動産取引の専門家として、宅建士にしかできない独占業務を行う国家資格です。また宅地建物取引業者は、宅建士を置くことを法律により義務付けられているため、需要と将来性もあります。

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この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
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