修正申告や更正の請求とは!?延滞税の計算についても解説!

修正申告や更正の請求とは!?

輸入者より修正申告の依頼を受けたけど、どのような流れで行うの?更正の請求って難しそう…通常の輸出入申告の審査同様に、間違いのない計算や審査を行う必要がある修正申告や更正の請求の具体的な進め方や実務上の注意点などを詳しく解説します。

目次

通関士が代行する修正申告、更正の請求とは?

修正申告、更正の請求とは、輸入許可後の税額訂正がある場合に行う手続きです。対象貨物および税金の種類は以下の通りです。

  • 対象貨物:外国から税関長の許可を得て輸入した貨物であり、納税済であるもの
  • 対象となる税金の種類:対象貨物にかかる関税、内国消費税及び地方消費税など

では、修正申告と更正の請求の違いを確認しておきましょう。

修正申告 本来納付すべき税額より、既に納付した税額が過少であるとき
更正の請求 本来納付すべき税額より、既に納付した税額が多い場合

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修正申告とは?

修正申告とは、以下の通り納付した税額が本来納付すべき税額より少ない場合に、輸入者が行う手続きです。

既に納付した税額 300,000円 < 本来納付すべき税額 350,000円

以下の2パターンがあります。具体的な例と共に確認しておきましょう。

  1. 輸入者が誤りに気付き、自主的に修正申告を申し出るケース
    (1) 輸入者の書類送付ミスが原因
    輸出入者間で値段交渉などを行った際に、決済用のインボイスが差し替えとなることがあります。輸入者は、最終的な決済に使用したインボイスを通関業者に提出するのが正当です。しかし、誤って古いインボイスを提出してしまい、輸入許可後に申告に使用したインボイスの誤りが発覚するケースは少なくありません。

    (2) 船会社のミスによるもの
    船会社が発行するARRIVAL NOTICE(貨物到着案内書および運賃請求書)の金額が相違しており、輸入許可後に差し替えが届いたことで、運賃が増加するケースです。

  2. 税関の事後調査後に発生する修正申告の指導によるケース
    輸出入取引などをしていると、定期的に税関の事後調査が入ることがあります。その際に、納付済みの税額が過少であると判断されると、税関より修正申告の指導があります。

更生の請求とは?

更生の請求は、以下の通り納付した税額が本来納付すべき税額より多い場合に、輸入者が税関長に対して行う還付請求手続きです。

既に納付した税額 350,000円 >本来納付すべき税額 300,000円

更正の請求は、修正申告とは違って輸入者が税関長に対して行う1パターンのみしかありません。

具体的な請求理由は以下の通りです。

  1. 適用税番、税率の相違
    輸入申告時に適用した税番(統計品目番号)に誤りがある場合で、かつ税率が異なる際に請求が可能です。

    たとえば、女性用の綿製のブラウスを輸入した場合で考えてみましょう。以下の通り、レースの使用の有無で税番と税率が変わります。税率が低くなると納めるべき税額は減少するため、納めすぎが発生します。
    • (当初申告した際の貨物の形態)ブラウスにレースが使用されている場合
      →6106.10-011 10.9%
    • (本来の貨物の形態)ブラウスにレース未使用の場合
      →6106.10-012 9.1%
  2. 課税価格の相違
    インボイス額が相違しており、税金を納めすぎていた場合に請求が可能です。

    たとえば、契約ロットが異なることによる単価の相違、計算ミスなどにより、以下のようにインボイス額が誤っていると、関税などの納めすぎとなります。
    • (当初申告したインボイス額)
      →USD 290,000.00
    • (本来のインボイス額)
      →USD 230,000.00
  3. 申告数量の相違
    申告数量が相違しており、税金を納めすぎとなった場合に請求が可能です。

    たとえば、以下のようにインボイスに記載の輸入数量と実際の貨物の数量が異なる場合に、関税などの納めすぎが発生します。
    • (インボイスに記載の輸入数量)
      →50,000PCS X @USD5.8 = USD 290,000.00
      単価USD5.8の商品が50,000個で課税価格はUSD 290,000.00
    • (実際の貨物の数量)
      →40,000PCS X @USD5.8 = USD 232,000.00
      単価USD5.8の商品が40,000個で課税価格はUSD 232,000.00

なお、更正の請求ができるのは、輸入者自らがインボイス価格などを元に輸入申告を行う申告納税方式の場合に限ります。課税価格が20万円以下の郵便物による輸入や携帯品など税関長が税額を決定して通知する賦課課税方式が採用される輸入貨物の場合は、適用されないので、注意が必要です。

更生、是正との違いとは?

では、間違えやすい更正、是正との違いを一覧で確認しておきましょう。

手続きを行う人 手続きの概要 結果
修正申告 輸入者 本来納付すべき税額より、既に納付した税額が過少であるとき 税金を追納する
更正の請求 輸入者 本来納付すべき税額より、既に納付した税額が多い場合 税金が還付される
更正 税関長 税関長の調査(事後調査など)により、税額が異なることが判明した場合 減額更正(税金還付)増額更正(税金追納)の2パターンあり
是正 輸入者 更正の請求と同じケースで、輸入許可前(納税前)であるとき 税金が還付される

更正以外は輸入者が主導となって行う手続きであり、同じ更正でも関税などを既に納付しているかどうかで、更正の請求か是正かを選ぶようになります。

基本的に、輸入許可は税関の審査と納税がセットとなるため、国内に貨物を引き取る段階では、納税済みとなります。ただし、関税等の納期限延長制度を利用している場合などは、関税などが未納のケースもあります。この場合は、是正が認められれば、納付書が修正されるため、税関からの税金の還付は発生しません。

修正申告が可能な期間や手続き方法

ここでは、修正申告が可能な期間や手続き方法について説明します。

修正申告が可能な期間

輸入者による自主的な修正申告が可能な期間は、税関長の更生があるまで(税関長による増額更正)です。ただし、当該関税の法定納期限(輸入の許可の日)から3年を経過すると、行うことができません。

修正申告の手続き方法

修正申告の手続き方法を確認しておきましょう。

  1. 修正申告をしたい旨の税関への相談
    修正申告を行う際は、まずは税関にこのような状況で納税すべき税額が過少になっているという旨を伝え、修正申告をしたいという相談を行います。

    修正申告は通関業者が代行し、通関士もしくは通関従事者が税関に出向き説明するのが一般的です。輸入者が税関に自ら説明に出向き、通関業者に依頼してくるケースもあります。
  2. NACCSで登録した修正申告事項の入力控えの提出
    NACCSでの修正申告は、一度申告を行うと、訂正や取り消しができません。そのため、事前に入力内容を税関に提出し確認を受けるのが一般的です。

    その際には計算の基礎となる計算書など、計算の根拠が分かるものも求められます。また、以下の書類もそろえる必要があります。
    • 修正申告をしようとする輸入貨物にかかる輸入許可書
    • インボイス、パッキングリスト
      ※訂正前、訂正後のもの
  3. 税関から修正申告指示
    税関に提出した修正申告事項の入力控えの内容に相違がなければ、修正申告を行うように税関より電話などで指示があります。なお、入力内容に誤りがある場合は、修正依頼があり、正しい入力内容に修正した上で、申告するようになります。

修正申告で追加納付する税額の求め方

修正申告で追加納付する税額は、以下の式で求めます。課税価格は1,000円未満切り捨て、求めた税額は100円未満切り捨てとなります。

追加納付する税額=(本来納付すべき関税額)-(過少に申告(納付)した関税額)

具体例をあげて計算しましょう。

品名 輸入申告時の課税価格 修正申告時の課税価格 適用税率
貨物A 512,540円 690,125円 3%
  • 本来納付すべき関税額の計算
    690,000 円(1,000円未満切り捨て)×3%=20,700円
  • 過少に申告(納付)した関税額の計算
    512,000 円(1,000円未満切り捨て)×3%=15,360円
    →15,300円(100円未満切り捨て)
  • 追加納付する税額
    20,700円-15,300円=5,400円

この場合、追加で5,400円の関税の納付が必要となります。

なお、ここでは割愛しますが、関税が増えた分、消費税・地方消費税も増加するため、合わせて計算し、追納を行います。

更生の請求が可能な期間や手続き方法

では、輸入者が行う更生の請求が可能な期間や具体的な手続き方法についてご紹介します。

更生の請求が可能な期間

更正の請求は、更正の請求をしようとする貨物の輸入許可の日から原則として5年以内です。その期間を過ぎると請求ができない点に注意が必要です。

更生の請求の手続き方法

更生の請求の手続き方法を確認しておきましょう。

  1. 更生の請求をしたい旨の税関への相談
    更生の請求を希望する場合、まずは税関に納税すべき税額が過大になっているという旨と根拠を伝え、更生の請求をしたいという相談を行います。

    更正の請求の手続き自体は通関業者が代行し、通関士もしくは通関従事者が税関に出向き説明するケースが一般的です。輸入者自らが税関に説明に出向き、話し合いの後、通関業者に依頼してくるケースもあります。

  2. NACCSで登録した関税等更正請求事項登録の入力控えの提出
    NACCSでの更生の請求は、訂正や取り消しができません。そのため、事前に入力内容を税関に提出し確認を受けるのが一般的です。

    その際には計算の根拠となる計算書や証明書を求められます。場合によっては、貨物を再度保税地域に搬入し、貨物の状態などを確認することもあります。あわせて以下の書類を用意しましょう。
    • 更生の請求をしようとする輸入貨物にかかる輸入許可書
    • インボイス、パッキングリスト
      ※訂正前、訂正後のもの
    • 更正請求願書
  3. 税関から更正の請求の指示
    書類内容に不備がなければ、更正の請求の可否にかかわらず、更正の請求を行うように税関より指示があります。

    通関士は関税等更正請求を行い、減額更正が認められた場合は、税関からは関税等更正通知書が発行されます。その後、税額が還付されます。

    なお、減額更正が認められない場合は、「更正をしないことの通知書」が発行されます。

更正の請求は修正申告と異なり、請求をすれば必ず減額更正をされるとは限りません。税金を還付するため、細かな証拠や辻褄があっているかを審査し、更正の請求が妥当であるかどうかの判断がなされます。

結果、更正の請求が受け入れられないこともあるため、資料集め、手続き、税関とのやり取りにかかる時間などを考えると、あまりメリットがないと考える輸入者もいます。

更生の請求で還付を求める税額の求め方

更生の請求で還付される税額は、以下の式で求めます。端数処理は、修正申告時と同様で、課税価格は1,000円未満切り捨て、求めた税額は100円未満切り捨てです。

更生の請求で還付される税額=
(過大に申告(納付)した関税額)-(本来納付すべき関税額)

具体例をあげて計算しましょう。

品名 更正請求前の課税価格 更正請求前の適用税率 更正請求後の課税価格 更正請求後の適用税率
貨物A 690,125円 3% 512,540円 3.5%
  • 本来納付すべき関税額の計算
    512,000 円(1,000円未満切り捨て)×3.5%=17,920円
    →17,900円(100円未満切り捨て)
  • 過大に申告(納付)した関税額の計算
    690,000 円(1,000円未満切り捨て)×3%=20,700円
  • 更生の請求で還付される税額
    20,700円-17,900円=2,800円

この場合、2,800円の関税が還付されることとなります。

なお、更正の請求についても修正申告と同様に、関税が減った分、消費税・地方消費税も減少するため、合わせて計算し、還付を受けます。

修正申告と更生の請求の実務上の注意点

通常の輸出入申告と同様に、修正申告や更正の請求も通関士が代行することがほとんどです。実務上の注意点を確認しましょう。

修正申告はできるだけ早く行うこと

まず、修正申告を行うタイミングはできるだけ早く自主的にすることです。

ポイントは「早くする」と「自主的に」の2点です。

「早くするべき」理由は、遅くなればなるほど、延滞税が発生したり、税関からの印象が悪くなったりするデメリットが生まれることです。

「自主的に行うべき」理由は、過少申告加算税を発生させないためです。税関の事後調査や、他の同様の申告の審査の際に税関より指摘を受けて過去をさかのぼって修正申告となった場合などに、本来納めるべき税額に加えて、過少申告加算税の支払い義務が生じます。見つからなければ、逃れてしまおうという意図が見えると判断されるので、自主的に行うことが大事です。

そのため、審査などをしている通関士が申告間違いなどに気付いた際は、できるだけ早くかつ自主的に修正申告をするよう、輸入者に打診するのも大切な仕事となります。

修正申告で納税する増加税額の納期限は?

修正申告で追加納税する税金の納期限は、修正申告の日です。本来、納めるべき税金を支払っていないため、納期限の猶予はありません。修正申告の日からずれ込む場合は、日数に応じて延滞税がかかるので注意しましょう。

修正申告には延滞税が発生する可能性大

上記で説明した修正申告の納期限が遅延することによって発生する延滞税と別に、修正申告には基本的に延滞税が発生します。

修正申告で追納する税額は本来輸入許可と同時に支払うべき税金です。そのため、修正申告を行い、追納するまでの日の税金に延滞税がかかるのです。

延滞税は以下の式で求めます。なお延滞税は100円未満切り捨てとなり、1,000円未満であれば、徴収されません。また、追納する税額の10,000円未満の部分は端数処理され、切り捨てとなります。

延滞税額=未納関税額 × 延滞日数 ×*1日あたりの利率(年利 × 1/365日)

*1日あたりの利率について

  • 法定納期限の翌日〜納期限の翌日から2月を経過する日まで
    →延滞税率7.3%(2.6%)
    ※平成30年1月1日から令和2年12月31日までの期間は年2.6%
  • 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日〜納付日まで
    →延滞税率14.6%(8.9%)
    ※平成30年1月1日から令和2年12月31日までの期間は、年8.9%

具体例をあげて計算しましょう。
(例)596,300円の関税未納分がある場合

令和1年5月7日 輸入(納税申告の日)
令和1年5月8日 輸入許可日
令和1年6月11日 修正申告日
令和1年7月10日 修正申告にかかる追加税額を支払った日

それぞれの納期限などは以下の通りです。

  • 法定納期限
    →令和1年5月8日(輸入許可日)
  • 修正申告によって追納する税金の納期限
    →令和1年6月11日(修正申告日)

延滞日数は、法定納期限の翌日から追納する税金を納付した日までの日数なので、以下の日数の合計で求めることができます。

  • 5月は23日(5月9日~5月31日)
  • 6月は30日(6月1日~6月30日)
  • 7月は10日(7月1日~7月10日)

つまり、63日となります。

上記の場合、納期限が6月11日、納付日が7月10日となり、2月以内におさまっているので、適用される延滞税の税率は2.6%となり、以下の式で求められます。

590,000円(1万円未満切り捨て)×63日×(2.6%÷365)=2,647円
→2,600円(100円未満の端数切り捨て)」

この場合、追納すべき税額に加えて2,600円の延滞税の支払いが必要です。

まとめ

修正申告と更正の請求は、可能な期間が定められています。また、修正申告に関しては間違いなどに気付いたときは過少申告加算税や延滞税など余分な税金を支払うことがないように、できるだけ早く自主的に申し出ることが大切です。

通関士にとっては、通常の輸出入申告に追われている合間に行う必要があり、面倒に感じがちです。しかし、輸入者にも理解してもらいながら、かつ税関とうまく連携をとりながら、修正申告や更正の請求をすすめるようにしましょう。

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