海上運賃のサーチャージBAF,CAFってなに?FAF,YASと何が違うの?

海上運賃のサーチャージBAF,CAFってなに?FAF,YASと何が違うの?

BAF,CAFってなに?

船会社に海上運賃の見積もりをとると、「BASE RATEが○○ドル、BAFがいくつ、CAFがいくつ…THCが○万円DOC FEEが〇千円…」などと案内されます。ここで、BASE RATEはOcean Freight(海上運賃)の基本運賃だろうということは想像がつきますが、BAF,CAFって一体なに?!と思われる方もいるでしょう。

BAFやCAFをはじめとする海上運賃のサーチャージや、それらの変動要因についてまとめます。

目次

BAFとは?CAFとは?

BAF(バフ / Bunker Adjustment Factor)とは、船舶燃料価格の急激な変動に対処するためにかかる調整運賃のことです。基本運賃の何パーセントなのか?重量1トン当たり何ドルなのか?もしくはコンテナ1本当たりいくらなのか?が示されます。

バンカー(Bunker)とは本来、船の燃料用貯炭庫のことですが、現在燃料のほとんどが石炭から石油に移行したため、船舶燃料自体を指すようになりました。船舶燃料の重油を「バンカー・オイル」と呼びますし、初心者の方はBAFのBはバンカーオイルのB、とイメージするとCAFと区別しやすいです。

CAF(カフ / Currency Adjustment Factor)とは、通貨変動による為替差損益を調整する運賃のことをいい、カレンシーサーチャージとも呼ばれます。通貨を意味するCurrencyのCでCAFです。一般的に基本運賃の何パーセントか?が示され、円高のときは増加、円安のときは減少します。なぜかというと運賃はドル建てで提示されることが主であり、円高になれば利益が下振れリスクにさらされ、円安になれば利益が上振れるためです。

仮に運賃がUS$1,000とします。1ドル80円の円高になれば8万円、一方で、1ドル120円の円安になれば12万円の売上です。

ドルでは同じ金額でも為替レートによって日本で支払われる円の金額が大きく変わってきてしまいます。円高傾向にある場合、為替レートが利益を押し下げる要因になります。円高が輸出業者にとって向かい風になるのと同じ原理です。

よって、船会社はCAFの運賃割増料を大きめに設定し、円高による損失を最小限にします。

FAF, YASとの違いは?

東南アジアの航路では、BAF,CAFではなく、FAFはいくつ、YASはいくつ…と案内されることが多いです。

FAF(ファフ)はFuel Adjustment Factorの略で、Fuelすなわち燃料調整に伴う要素です。YAS(ヤス)はYen Appreciation Surchargeの略でYenすなわち日本円の高騰に対して課徴します。

燃料価格の調整運賃であるBAFとFAF、為替変動の調整運賃であるCAFとYASは一体何が違うのでしょうか?結論として、それぞれ同様の意味を持ちます。航路や船会社によってサーチャージの名称が変わるものは他にもありますので、いくつかご紹介します。

◆燃料価格の調整運賃 用語まとめ

  • BAF (Bunker Adjustment Factor)
  • FAF(Fuel Adjustment Factor)
  • BS(Bunker Surcharge)
  • EBS(Emergency Bunker Surcharge)
  • EFAF(Emergency Fuel Adjustment Factor)

◆為替変動の調整運賃 用語まとめ

  • CAF(Currency Adjustment Factor)
  • YAS(Yen Appreciation Surcharge)
  • CS(Currency Surcharge)

貿易実務に携わる方はこれらの海上運賃の構成要素について理解しておいたほうがいいです。たとえば中国から貨物を輸入するときに、輸出地でこれらのサーチャージがすでに支払われているにもかかわらず、輸入地である日本でもサーチャージの請求を行い、料金を二重取りされる事例が起きています。運賃の構成について理解した上で内訳をよく確認しておく必要があります。

そのほかの運賃に関連する用語

そのほかの運賃と一緒に請求されうる料金について、ご紹介します。

  • THC(Terminal Handling Charge)
    コンテナを船に積んだり卸したりするコンテナターミナルの取扱料。CHC(Container Handling Charge)と呼ばれることも。
  • CFS Charge
    CFS(コンテナ・フレート・ステーション)にて行われる、混載貨物のコンテナ詰めやコンテナから貨物を取り出し、仕分けする作業の取扱料
  • Congestion Surcharge
    船混み割増料金
    交通渋滞のことをTraffic Congestionといいますが、Congestionは混雑を意味します。PCS(Port Congestion Surcharge)と呼ぶことも。
  • Peak Season Surcharge
    繁忙期割増料金
    その名の通りピークシーズンにかかる料金です。略してPSS。
  • DOC Fee(Documentation Fee)
    B/L(船荷証券)の発行手数料

船舶燃料SOx排出規制強化に向けて、新たなBAFを導入する動き

2020年に国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)における海洋汚染防止条約、通称MARPOL(マルポール)条約にて定められている海洋燃料油の硫黄含有率に関する規制が改正されることになりました。

具体的に、船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)を劇的に減少させるため、燃料油に含まれる硫黄分の濃度上限を従来の3.5%から0.5%に厳格化します。船舶燃料のSOx規制を強化することで、温室効果ガスの排出抑制、環境への負荷を軽減させることを目的としています。

船会社が新たな規制を遵守するためには、3つの手段が考えられます。

  • 低硫黄燃料油を使用する
  • 大型で重量物の「排気ガス洗浄装置(スクラバー)」を船に設置する
  • LNG燃料船を新たに造船する

現時点で最も現実的なのは低硫黄燃料油を使用することです。

ただ、いずれにしても大幅なコスト増は避けられません。そこで、船会社では従来のBAFから新たな基準でBAFを設定する動きがでてきています。

地球温暖化を抑制し、環境を守るために必要な措置だと思いますが、費用が運賃に上乗せされていくこと必至です。BAFを含め今後の運賃動向には注視したほうがよさそうです。

ところで、以前、貨物船の運航に密着したとあるテレビ番組を拝見したのですが、日本から太平洋を横断しメキシコエリアでは黒々とドロドロした重油を使用し、パナマ運河・カリブ海エリアに入る直前でドロドロした重油からさらさらで若干の透明度のあるガスオイル軽油に切り替えていました。当時、北米カリブ海とヨーロッパの北海バルト海の海域では先行して低硫黄燃料油の使用が義務付けられていたためです。

今後はその硫黄分が少なく環境に優しいさらさらな燃料のように環境負荷の低いものがメインになっていきます。ちなみに硫黄分の少ないさらさらの原油のことを「甘い原油」といい、甘い匂いがするらしいです。

原油価格や外国為替の変動要因を簡単に

今回、燃料価格の調整運賃であるBAFとFAF、為替変動の調整運賃であるCAFとYASについて、ご紹介しました。

ところで、原油価格や外国為替の変動要因は分かっていますか?

◆原油価格の変動要因まとめ

原油価格を決める最大の要因は需要と供給のバランスです。

シェール革命により今やアメリカが世界最大の産油国です。米国は世界最大の石油消費国であり産油国でもあるので、その生産状況や在庫状況の動向が原油価格に大きな影響を与えています。

他の産油国ではサウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)の動向に注目です。たとえば原油の大幅な需要減少を受けてOPECにロシアなどを加えたOPECプラスが協調減産を行い価格が下がり過ぎないように生産量を調整しようとする動きが見られました。

中国や新興国での需要の伸び、投機家による買いや売り、そのほかには中長期的なエネルギー全体の需給構造の変化、地球環境問題、為替や金融、経済の動向、政治情勢や地域紛争・テロなど…原油価格はあらゆる事象に敏感に反応します。

◆為替の変動要因まとめ

為替の変動要因もまた原油価格と同じく、需給のバランスです。買いたい人が多いと価格が上がり通貨高に、売りたい人が多いと価格は下がり通貨安になります。

  • 金利差、株価
    たとえば、日本とアメリカの金利や株価を比較し、アメリカの金利や株価のほうが高ければ、日本よりアメリカに投資したいと考える日本人が増え、日本円をドルに換える動きが増えます。つまり、円が売られ価格が下がるので、円安になります。
  • 貿易収支
    日本の貿易収支が黒字になる=輸出が増える と、円高になります。海外から商品代金を米ドルで受け取ることが一般的ですので、国内でドルを円に換える動きが増え円の需要が高まります=円高になります。
    反対に、日本の輸入が増えると、円安になります。海外の売手に商品代金を米ドルで支払いをするために、手持ちの日本円をドルに交換します。円を売ってドルを買うことになりますので、円安ドル高になります。
  • 物価変動
    モノの値段が上がり、通貨の価値が下がる、つまり、インフレになっている国は通貨安になります。

短期的な要因としては、

  • アメリカFRBや日本銀行など中央銀行の通貨売買による為替介入
  • 各国政府要人の発言など政治的要因
  • 経済指標の発表と市場予想との差異
  • 地域紛争  
    が挙げられます。

原油価格と為替、いずれも複数の要因が複雑に絡み合っていますので、一概には言えませんが、基本的なことは知っておくとよいでしょう。これらは運賃動向や貨物の輸出入量にも直結しますので、情報のアンテナを張っておき、長期的な視点が持てるようになるといいと思います!