関税額の確定方式の一つ「賦課課税方式」を詳しく解説!

更新日:2020年9月8日

関税額の確定方式の一つ「賦課課税方式」を詳しく解説!

関税額の確定方式は、納付すべき税額が納税義務者の申告によって確定する「申告納税方式」と、納付すべき税額が税関長の処分により確定する「賦課課税方式」の2つに大別されます。

今回はその中の賦課課税方式について、申告納税方式との大きな違いや、適用される貨物の範囲等を中心にお話ししていきましょう。

目次

賦課課税方式とは

主体が納税義務者である申告納税方式に対して、賦課課税方式とは、該当の事態が発生した場合に税関長の処分(賦課決定と言います)によって納付すべき税額が確定されるという点で、大きく異なります。

主体が税関長ということになるので申告納税方式と異なり、賦課決定された関税は修正申告、更生の請求などの対象外となることに注意が必要です。「納税」と「課税」というワードの違いからも、それを伺い知ることが出来ますよね。

実際に賦課決定された関税について不服がある場合には、「不服申立」が適用されます。また、賦課決定した関税について税関長が税額に過多あるいは過少であることが判明した場合は、「調査」により関税額を変更することが出来ます。

賦課課税方式が適用される範囲とは

賦課課税方式を学習するに当たって、重要なのは、賦課課税方式が適用される貨物と、税関長が賦課決定するべき事項となります。以下の表の通り、大きく3つのケースに分類されます。

賦課決定が適用される場合 賦課決定されるべき事項
①入国者の携行品、別送品、託送品などにおいて輸入申告があった場合 納付すべき税額
②上記①において、輸入申告がないとき(又は輸入申告があっても課税標準額が税関長の調査した場合と異なるとき) 課税標準・納付すべき税額
③20万円以下の郵便物、遡って課される相殺関税や不当廉売関税など 課税標準・納付すべき税額

上記①の場合における「納付すべき税額」ですが、これは、納税義務者自身は課税標準を自認していることになるため、課税標準が税関長の調査と同じという形と捉えられ、課税標準は決定されません。

また上記③の場合では、当該貨物の関税に関して課税標準の申告がもともと義務付けられていないもののため、税関長は課税標準も決定することとなります。

再賦課決定とは

上記のように税関長は、その貨物に関して賦課課税方式により関税について賦課決定を行いますが、その決定した課税標準又は納付すべき税額が過大又は過少であることを知ったときは、更に賦課決定の処分をすることが出来ます(関税法第8条)。これを再賦課決定と言います。

賦課決定をすることが出来る期間とは

一方で、賦課決定の主体はあくまで税関長のため、納税義務者にとっては一連の手続きにおいて賦課決定があるなしの期間が定められていないと、いつまでたっても不安になりますよね。

賦課決定に際しての期間は、原則、法定納期限から5年を経過した日以降においては、税関長は賦課決定を行うことが出来ないとされています。ただし、以下の貨物の場合においてはこの原則が適用されませんので、注意して理解をしましょう。

賦課決定の対象貨物 賦課決定の期限
原則 法定納期限から5年を経過する日まで
入国者の携帯品・別送品などで課税標準の申告があったもの 3年を経過する日まで
過少申告加算税・無申告加算税・重加算税 更正の請求があった日から6月を経過する日まで
偽りや不正行為により関税を免れたりして輸入した場合 法定納期限から7年を経過する日まで

申告納税方式の際の「決定」との違い

既に述べてきている通り、賦課決定とは、賦課課税方式が適用される貨物について関税を賦課しようとする際、税関長の調査により税額等を決定する処分のことを指します。

一方で通関士の国家試験対策としては、申告納税方式の場合における「決定」との違いをきちんと理解するようにしましょう。この場合の決定とは、申告納税方式が適用される貨物のうち、無申告の場合において税関長が処分を行う場合を指します。

賦課決定の手続きと例外について

関税法第8条では、税関長が行う賦課決定の手続きに関して、原則、税関長は「賦課決定通知書」に賦課決定に係る税額等を記載した「納税告知書」を添付して、輸入者に送達することとされています。ただしこの場合、納税義務者の申告した課税標準に問題がなければ、納税告知書のみで問題ありません。

賦課決定通知書とは、「あなたの納付すべき税額は〇〇円と決定しましたよ」という通知書類のことを指します。ただし、これはあくまでお知らせであって、より強制力を持たせるために「〇〇円の関税を〇〇日までに納付してください」という内容の納税告知書を添付する必要があります。

つまり賦課決定通知書とは「関税を確定するための書類」、納税告知書とは「確定した関税を徴収するための書類」と理解しておきましょう。

ただし、この両者の送達に関して必要としない貨物があります。以下に例外として挙げていきます。

①賦課決定通知書の送達を必要としないもの

入国者の携帯品や別送品等は、賦課決定通知書の送達を必要としない代わりに、税関職員が口頭で賦課決定の通知を出す形になります。また20万円以下の郵便物は、国際郵便物課税通知書の送達に代替されます。

②納税告知書の送達を必要としないもの

20万円以下の郵便物、収容公売をした外国貨物、過少申告加算税や無申告加算税、重加算税に関しては、納税告知書の送達を必要としない賦課課税方式の関税徴収となります。上記と同様、入国者の携帯品や別送品等は税関職員が口頭で納税の告知を出す形になります。

まとめ

申告納税方式、賦課課税方式の考え方は私たちの身近な生活の中でも伺い知ることが出来ます。前者の代表的な例としては法人税や所得税、消費税、相続税の他、法人県民税や法人市民税などがあります。

対して後者の例としては、固定資産税や不動産取得税、自動車税、個人住民税、個人事業税などが該当します。

一方で通関士の試験対策としては、各税金の種類まで深く踏み込んで理解する必要はありません。申告納税方式と賦課課税方式の違いを明確に理解し、それらの要件や手続きの流れ、期間などを比較しつつ理解することが大切です。

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