券外務員と女性のキャリア|働き方が変わっても資格を使い続けるために確認すること

働き方が変わる時期を見据えて、証券外務員の資格と登録の扱いを確認する人

出産や育児で働き方が変わるとき、証券外務員の資格はどうなるのか。調べても出てくるのは体験談か抽象的な説明ばかりで、自分が何を誰に確認すればよいかは書かれていません。この問いは、確認できる場所によって答えの出し方が変わります。制度で決まっていること、所属先ごとに違うこと、自分で決められること。制度の側は日本証券業協会が公表しているのでこの記事で確定し、残りは確認する項目まで具体化します。

なお、本記事は「証券外務員ナビ」の一部です。仕事の内容やキャリアの全体像から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。

もくじ

この記事で扱うこと・扱わないこと

確認できる場所で3つに分ける

最初に、この記事がどこまで答えるのかをはっきりさせておきます。

「女性が証券外務員として長く働けるか」という問いは、そのままでは答えが出ません。確認できる場所が分かれていて、答えの出し方もそれぞれ違います。

1つ目は制度の側です。受験資格の条項、資格と登録の関係、更新研修の対象。これは日本証券業協会が公表しているので、この記事で確定できます。2つ目は所属先の側です。休業中に登録がどう扱われるか、復帰したあとどの職務に就くか、勤務の形はどうなるか。会社ごとに違うので、外から答えを出すことはできません。ここは代わりに、確認する項目を用意します。3つ目が自分の側で、受ける種別と受ける時期です。ここは自分で決められます。

「長く続けられるか」を制度・所属先・自分の3つに分け、それぞれ答えの出し方と扱わない範囲を示した図

3つを混ぜたまま調べると決まりません。順番に分けていきます。

扱わないこと

一方で、この記事が扱わないものがあります。いずれも、出典を確認できる形で書けないためです。

個人の事例は掲載しません。取材に基づかない体験談を載せない方針だからです。「Aさん(30代)は…」という書き方をすると、読者はそれを実例として受け取ります。裏付けのないものを実例の形で示すことはしません。

産休・育休など休業の制度の内容も扱いません。取得できる期間や要件は法令と所属先の規程で決まるもので、外務員資格の制度とは別の話になります。

業界の就労実態も扱いません。女性の比率、継続して働いている人の割合、時短勤務や在宅勤務の可否といった数字は、出典を確認できるものが見当たりませんでした。いずれも、この記事では扱わないとだけお伝えしておきます。

制度の側に、性別や家族の状況を条件にする規定はない

規則が受験資格として置いている要件

まず制度の側から片付けます。試験を受けられるかどうかに、性別や家族の状況は関係しません。

受験資格を定めているのは、日本証券業協会の「外務員等資格試験に関する規則」第4条です。一種外務員資格試験・二種外務員資格試験について同条が置いている要件は2点だけで、不都合行為者として取り扱われていないことと、不正受験などにより試験を受けられないこととされていないこと。この2つ以外に条件は付いていません。

年齢や学歴、実務経験を求める条項も規則にはありません。日本証券業協会は「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」と案内しており、一般受験の申込窓口であるプロメトリック株式会社の案内でも、年齢等の受験資格の制限は設けられていません。金融機関に勤めていない方も、いま働いていない方も受けられます。

2点以外に条件が無いということは、性別や婚姻・子の有無を条件にする規定も置かれていない、ということです。

参考:日本証券業協会「外務員等資格試験に関する規則」

「資格を持っていること」と「外務員として働くこと」は別

ただし、資格を取ればそれで外務員として働けるわけではありません。

協会は「外務員資格を持っているだけでは、外務員として活動することはできません。」と明示しており、所属する会社(協会員)を通じた外務員登録が必要になります。

資格は個人に帰属し、登録は所属先を通じて行われる。制度の全体像は証券外務員という資格の全体像で扱っています。資格と登録が分かれていることが、働き方が変わったときの扱いをそのまま決めます。以降は「資格」と「登録」を分けて読み進めてください。

働き方が変わったときに動くのは、資格ではなく登録の側

資格の側は、離れている期間の長さでは動かない

仕事を離れても、外務員資格そのものは手元に残ります。

協会は「外務員資格は、法令違反等による資格の取消し等がない限り、取り消されることはありません。」「退職した場合や他の協会員へ転職した場合でも資格は有効です。」としています。

5年ごとの外務員資格更新研修についても、「現在、協会員に所属していない方は、受講対象者ではありません(外務員資格が取り消されることはありません)。」と示されています。離れている間は研修の対象にならず、受けていないことで資格が取り消されることもありません。期間の経過だけで資格が失われる仕組みは置かれていません。

だから、確認する相手は協会ではなく所属先になる

動くのは登録の側です。そしてここから先は、協会に聞いても答えが出ません。

登録は所属する協会員を通じて行われるもので、休業の間にどう扱われるか、復帰のときにどう手続きするかは、所属先の運用によります。

資格の扱い、失効する場合、いま自分がどの状態に当たるかの判定は資格の登録と有効期限で詳しく整理しています。この記事では前提として押さえるにとどめ、以降は所属先に確認する側を扱います。

「資格は残る、登録は所属先ごと」。これが、次に挙げる確認項目の根拠です。

休業に入る前に、所属先へ確認しておくこと

外務員に固有の確認項目

休業に入る前に確認しておくと、あとから効いてくることがあります。外務員という職務に固有の項目です。

休業そのものの制度は、取得できる期間も要件も法令と就業規則で決まり、職種によって変わりません。一方でこれから挙げる項目は、資格と登録が分かれているという外務員の制度構造から出てくるもので、人事からの一般的な案内には含まれていないことがあります。

1つ目は、休業の間に外務員登録がどう扱われるかです。登録は所属先を通じて行われるものなので、休業中の扱いも所属先の運用によります。2つ目は、自分が外務員の登録を受けた日と、更新研修の次の時期です。受講の時期は登録日を起点に決まるため、休業を挟むと自分では追いにくくなります。3つ目は、復帰したあとに想定される職務です。いずれも「制度としてどうか」ではなく「うちの会社ではどうか」という形の質問になります。

休業に入る前と復帰するときに所属先へ確認する項目を左右に並べ、聞く相手と、法令・就業規則で確認する範囲を示した図

3つとも、答えを持っているのは会社です。休業の相談をする場で一緒に聞いておくと、一度で済みます。

休業の制度そのものは、法令と就業規則で確認する

産休・育休など休業の制度の内容は、この記事では扱いません。

取得できる期間・要件・手続きは、法令と所属先の規程で決まります。外務員資格の制度とは別の話です。

確認先は、就業規則と人事の担当窓口、そして所管官庁が公開している情報になります。資格の側の話(資格が残るかどうか、研修の対象になるかどうか)と混ぜずに、別々に確認してください。分けて確認したほうが、どちらも早く片が付きます。

なお、同じ資格を持っていても所属先や担当する業務によって日々の仕事は変わります。働き方の実際は証券外務員の仕事の実態とやりがいにまとめてあります。

証券外務員講座 伊藤亮太 講師
講師コメント

資格の側は動きませんので、確認が要るのは登録と職務の側だけです。特に、ご自身が外務員登録を受けた日は控えておくことをおすすめします。更新研修の時期は登録日から決まりますから、休業を挟むと分からなくなりがちです。手元にメモが1行あるだけで、戻ってからの見通しが立てやすくなります。

証券外務員講座 伊藤亮太 講師

復帰するときに確認すること

登録は、戻ったときにあらためて行われる

復帰のときに動くのも、やはり登録の側です。

協会は「新たに外務員の登録を受けた方及び再び外務員の登録を受けた方は、原則として、180日以内に受講しなければなりません。」としています。再び登録を受けたときは、そこから180日以内に更新研修が来る扱いです。

ブランクの長さによって試験を受け直す、という話ではありません。手続きは所属先を通じて行われるので、確認するのは、いつ登録が行われるのか、そして研修の案内がいつ届くのかです。

更新研修そのものの手続きは外務員資格更新研修の受け方で扱っています。

同じ会社に戻る場合でも、就く職務は確認する

もう一つ確認しておきたいのが、復帰したあとに就く職務です。

外務員として行える職務の範囲は資格の種別で決まりますが、実際に任される業務の切り分けは、法令・協会規則と所属先の規程で決まるためです。資格を持っていることと、その職務に配属されることは別に動きます。

勤務の形(時間や場所)についても同じで、所属先の規程によります。この記事で「こうなります」と書けるのはここまでです。

重要ポイント

復帰のときに確認するのは、資格が有効かどうかではありません。資格は残っている前提で、登録がいつ行われるか、研修がいつ来るか、どの職務に就くかを確認します。

種別は「戻ったときの職務の範囲」から考える

種別が区切っているのは、行える職務の範囲

働き方が変わる可能性を織り込むと、種別の選び方も少し違って見えてきます。

一種と二種を分けているのは、試験の難しさより先に、外務員として行える職務の範囲です。

協会は二種外務員資格について「現物株式などの外務員の職務を行うことができますが、信用取引、デリバティブ取引などリスクの高い商品についての外務員の職務を行うことができません」とし、一種外務員資格については「二種外務員資格で行うことのできる外務員の職務に加え、信用取引、デリバティブ取引を含めたすべての有価証券に係る外務員の職務を行うことができます」としています。

種別は、戻ったときに資格の側が制約にならない範囲を決めている、と読めます。

資格の側は自分で決められる、配属は決められない

種別は、この場面で数少ない「自分で決められる変数」にあたります。

復帰したあとにどの部署でどの業務に就くかは所属先が決めます。一方、どちらの種別を取っておくかは自分で決められます。

二種に合格していなくても、一種を受けられます。受験資格の条項は、種別を順に取ることを求めていません。ただし一種のほうが学習量は増えます。順序は制度上の制約ではなく、所属先の要件と学習に充てられる時間から考える選択です。どちらを先に受けるかは一種と二種の選び方で詳しく比べています。

配属を先回りして当てることはできませんが、資格の側で範囲を狭めないようにしておくことはできます。

受ける時期は、就業の状態から切り離して置ける

制度の側に「いつまでに」がない

「いま勉強を始めていいのか」は、この資格については制度の側から答えが出ます。

制度の側に、受ける時期を縛る条項が置かれていないからです。受験資格の条項は勤務先や所属を要件にしていません。試験がCBT方式で通年実施されていて、出願も随時受け付けられていること。そして、資格が期間の満了では失効しないこと。

働いている間でも、働いていない間でも受けられます。合否が分かるのも当日です。試験終了時の画面に試験結果(正解率)が表示され、一般受験の場合は、その後に予約時に登録したメールアドレス宛へ「受験結果通知」が送付されます。結果待ちの期間を計画に入れる必要はありません。

取った資格は、次に協会員に所属するときまでそのまま残ります。日程と申込の詳細は証券外務員試験の日程・申込方法で扱っています。

制約になるのは、学習時間と30日の待機期間

では何を見て時期を決めるかというと、実質的な制約は、学習に充てられる時間と、不合格だった場合の再受験までの待機期間になります。

フォーサイトが示す標準学習期間は、二種が1〜2ヵ月、一種が1〜3ヵ月です。学習時間に置き換えると、二種で50〜80時間、一種で80〜100時間。前提知識や1回に取れる時間の長さで変わるため、いずれも幅で示されています。

また受験回数に制限はありませんが、不合格の場合は30日の待機期間が置かれています。この待機は受け直す試験だけの話ではなく、日本証券業協会が実施する試験のすべてが対象です。二種が不合格だったので一種に切り替える、といった受け直しも同じ扱いになります。受けておきたい時期が決まっているなら、この30日を計画に入れておきます。割り戻し方は証券外務員の勉強時間とスケジュールに整理してあります。

制度の側に受験の期限が無いことと、実質的な制約が学習時間と30日の待機期間の2つだけであることを示した図

逆に言えば、この2つ以外に「いつまでに受けなければならない」という期限は制度の側にありません。

まとまった時間が取りにくい時期の進め方

1回に取れる時間が短い時期でも、学習の置き方はあります。

学習には、まとまった時間が要るもの(新しい単元を読む、演習をまとめて解く)と、細切れでも回せるもの(用語の確認、講義の視聴、確認テスト)があります。

フォーサイトの講座では、ManaBunで講義動画とデジタルテキストを端末から確認でき、学習スケジュールの自動作成と進捗管理も使えます。1日に取れる時間を登録しておけば、細切れの時間に何をやるかを毎回考えずに済みます。時間の作り方そのものは働きながら証券外務員を目指す進め方に整理してあります。

時期を自分で置けること。細切れでも進められること。これが揃うと、始めるタイミングを生活の側に合わせられます。

証券外務員講座 伊藤亮太 講師
講師コメント

学習の量そのものは、生活の状況では変えられません。変えられるのは置き方のほうです。1回に取れる時間が短い時期は、新しい単元を開くより、前に読んだところを確認するほうが進みます。講義を1本見るだけの日があっても構いません。間隔が空くと戻るのに時間がかかりますので、短くても毎日触れる形にしておいてください。

証券外務員講座 伊藤亮太 講師

この記事のまとめ

「働き方が変わっても続けられるか」を、確認できる場所ごとに整理しました。

受験資格を定めるのは「外務員等資格試験に関する規則」第4条。置かれている要件は2点だけで、年齢・学歴・実務経験を求める条項はない
協会は「外務員資格は、法令違反等による資格の取消し等がない限り、取り消されることはありません。」「退職した場合や他の協会員へ転職した場合でも資格は有効です。」としている
更新研修についても「現在、協会員に所属していない方は、受講対象者ではありません(外務員資格が取り消されることはありません)。」と示されている
働き方が変わったときに動くのは、所属先を通じた登録の側
休業に入る前と復帰のときに所属先へ確認するのは、登録の扱い・更新研修の時期・就く職務
産休・育休など休業の制度そのものは、法令と就業規則で別に確認する
自分で決められるのは、受ける種別と受ける時期。試験はCBT方式で通年実施され、資格は期間の満了では失効しない
受験時期の制約は、学習に充てられる時間と、不合格の場合の30日の待機期間だけ

この記事のまとめ

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よくある質問

出産や育児で仕事を離れたら、証券外務員の資格は失効しますか?

失効しません。日本証券業協会は「外務員資格は、法令違反等による資格の取消し等がない限り、取り消されることはありません。」「退職した場合や他の協会員へ転職した場合でも資格は有効です。」としています。期間の経過だけで資格が失われる仕組みは置かれていません。

離職している間も、5年ごとの更新研修を受ける必要がありますか?

必要ありません。協会は「現在、協会員に所属していない方は、受講対象者ではありません(外務員資格が取り消されることはありません)。」としています。外務員資格更新研修の対象は、外務員登録を受けている方です。

復帰するときは、何から確認すればよいですか?

登録の側です。協会は「新たに外務員の登録を受けた方及び再び外務員の登録を受けた方は、原則として、180日以内に受講しなければなりません。」としています。登録は所属先を通じて行われるため、いつ登録が行われるのか、研修の案内がいつ届くのかを所属先に確認します。

産休・育休はどれくらい取れますか?

休業の制度の内容は、この記事では扱っていません。取得できる期間や要件は法令と所属先の就業規則で決まります。就業規則と人事の担当窓口でご確認ください。外務員資格の扱いとは別の話になります。

ブランクがあると復帰は難しいですか?

採用や配属の判断は会社ごとのもので、公開された基準がありません。この記事では業界の実態を断定していません。制度の側で言えるのは、資格が残ること、離職中は更新研修の対象にならないこと、再び登録を受けたときに180日以内の研修が来ることです。

働いていない期間に受験できますか?

受けられます。受験資格を定める「外務員等資格試験に関する規則」第4条が置いている要件は2点だけで、勤務先や所属は条件になっていません。協会も「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」と案内しています。

女性は証券外務員に向いていますか?

性別による適性については、この記事では述べません。仕事の性質そのもの(ルールを守り続けること、扱うのが顧客の資産であること、説明する責任が伴うこと)は、証券外務員の仕事の実態とやりがいで整理しています。

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この記事の監修は伊藤 亮太 講師(いとう りょうた)
伊藤亮太講師
仕事に活かすためには丸暗記ではダメ
出身
岐阜県大垣市
趣味
旅行、御朱印巡り
尊敬する人
福沢諭吉
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