建築基準法・建築設備とは

マンション管理士試験分野-その3「建築基準法等・建築設備」を攻略しよう!

マンション管理士試験の中では、1番出題数が多い「区分所有法等」に次いで「建築基準法・建築設備」も問題数(15問)が多い分野です。にもかかわらず、この分野は「1番攻略が難しい!」といわれています。実際に「苦戦した」「理解できないから暗記に走った」という人も多いようです。

点数は稼ぎたいけれど内容が難しい…そんなこの分野は、時間をかけて理解を深めるというよりも加点を稼げるよう戦略的に勉強をする必要があります。

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目次

「建築基準法・建築設備」とはどんな問題なのか?

マンション管理士試験全50問のうち、毎年15問は出題される「建築基準法・建築設備」分野とは、どのような内容の問題が出るのでしょうか。

建物の構造・設備・修繕に関する問題が出る分野

「建築基準法・建築設備」分野は、マンション管理士試験を主催している公益財団法人・マンション管理センターのホームページでは、「想定されるマンション管理士試験の内容」として「マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること」と定義しています。
内容としては、

  • マンションの構造・設備
  • 長期修繕計画
  • 建物・設備の診断
  • 大規模修繕工事

の4つの範囲に関する問題となっています。

この分野は非常に学習量が多く、問題のレベルも高いので手の広げ過ぎと深追いは禁物です。過去に何度も出題されている範囲に限定してきちんと勉強をしてください。次の項で、それぞれの内容をご説明します。

「マンションの構造・設備」とは?

「マンションの構造・設備」で重要なのは以下の内容です。

【1】 建築構造(出題数:1〜3問)

  • 建築構造の種類:使用材料や構法による分類、構造形式による分類、防災方法による分類、施工方法による分類
  • 建築物の組成:基礎構造や上部構造など
  • 建築各部の構成:基礎の種類
  • 建築物の材料、構造材料:コンクリートの性質や組成、種類など

【2】 建築設備(出題数:1〜2問)

  • 給水設備・水道法:マンションの給水設備の種類、水道の概略、専用水道の管理、簡易専用水道の管理、貯水槽水道、赤水対策の工事の種類など
  • 排水設備・下水道法:マンションの排水設備の方式やトラップの種類、排水管の洗浄方法、下水道法の定義や排水設備の設置、排水に関する受忍義務など
  • 電気設備:マンションの電気設備や電気事業法について
  • 消防用設備・消防法:マンションの消防用設備やマンションに関する消防法について

上記の項目は、重要度大の分野です。上記以外のガス設備や換気設備、エレベーター設備などに関してはほとんど出題されることはないようです。

長期修繕計画

長期修繕計画に関しては、毎年必ず1問は出題されます。以下は重要ポイントです。

  • 【事後保全と予防保全】定義や必要性、種類など
  • 【維持保全の進め方】企画・設計、施工、竣工、引き渡しから改修まで
  • 【長期修繕計画の必要性】計画の効果やタイプなど
  • 【長期修繕計画の作成】計画の対象と年数、手順など
  • 【長期修繕計画作成ガイドライン及びコメント】総則、基本的な考え方、作成方法ほか

建物・設備の診断

毎年必ず2問は出題されます。以下は重要ポイントです。

  • 【診断の目的と種類】診断の定義、種類、フローなど
  • 【診断方法、診断報告書】外壁躯体(コンクリート)、外壁タイル張り、防水(屋根・屋上・ひさし・バルコニー・廊下・浴室床)、耐震診断(マンションの構造・仕上げ・設備・外構など)の耐震項目と耐震診断の方法について)、アルミサッシなど

大規模修繕工事

  • 【大規模修繕の意義や目的】意義や目的、管理会社に求められる大規模修繕対応能力、建物の劣化の種類、修繕計画のタイプなど
  • 【大規模修繕の進め方】大規模修繕の方式や設計監理方式、管理業者主導方式など
  • 【大規模修繕工事の実施と工事監理】工事監理の必要性など

この範囲は、近年ではほとんど出題されない分野となっているので、時間がなければ捨ててもいいでしょう。

「建築基準法・建築設備」を攻略するための勉強法!

マンション管理士試験の「建築基準法・建築設備」分野は、管理の実務経験がない受験者は苦手としているようです。また、広範囲に渡るため完璧に学習するのは非常に困難です。

しかし、毎年50問中15問はこの分野から出題されるので、おろそかにはできません。かといって時間をかけてもきりがなく、かえって学習効率が悪くなる可能性もあります。ひと通り基本を勉強したら、過去問をチェックして出題頻度の高いテーマに絞り、10問は確実に獲得できるようにしましょう。

次の項からは「建築基準法・建築設備」分野の4つの範囲で、それぞれ特に重要なポイントをご紹介します。

「建築基準法・建築設備」で出題頻度の高いテーマとは?

「建築基準法・建築設備」分野で、しっかりと学習しておきたい範囲をご紹介しましょう。

重要度が高い『マンションの構造・設備』の重要ポイント

【建築構造】

毎年1〜3問は出題されます。特に以下の項目は重要です。

  • 建築構造の種類:材料と構法による分類・構造形式による分類・防災方法による分類
  • 建築物の形成:基礎構造、上部構造
  • 建築各部の構成:直接基礎

【建築設備】

毎年1〜2問、出題されます。特に以下の項目は重要です。

  • 給水設備・水道法:給水設備(水道直結方式・高置水槽方式・圧力タンク方式・ポンプ直送方式・増圧直結給水方式など)、簡易専用水道の管理(意義や定期検査)
  • 排水設備・下水道法:排水設備(排水方式・トラップ)、下水道法(定義)
  • 消防用設備・消防法:消防用設備(防火管理者とは・消防用に供する設備・消防用水・消化活動上必要な施設)、消防法(防火管理者の責任・防火管理者の業務の委託)
  • その他の設備:避雷設備

1題は出題される『長期修繕計画』

長期修繕計画に関しては「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」から出題されるので、しっかりと読んでおきましょう。以下は特に手厚く勉強しておきたい部分です。

  • 総則:ガイドラインの目的、対象とするマンション
  • 長期修繕計画の作成の方法:収支計画の検討、長期修繕計画の見直し、修繕積立金の積立方法

勉強すれば理解できる『建物・設備の診断』

建物・設備の診断は苦手とする人が多い範囲ですが、きちんと勉強すれば理解できる問題です。2題は出題されるので、1点は必ず獲得しましょう。

重要なのは「診断方法・診断報告書」の範囲です。特に「コンクリ強度の診断」や「鉄筋コンクリートの劣化現象」は重要なポイントとなります。「コンクリートの中性化」「鉄筋の腐食」「ひび割れ診断」「マンションの建築試験」「マンション調査における使用機器・道具」などもおさえておきましょう。

余力があれば目を通す程度で『大規模修繕工事』

大規模修繕は、近年はほとんど出題されることがありません。もし余力があれば「建物の劣化」の種類と、「コンサルタントに求められる大規模修繕対応能力」「修繕計画のタイプ」(長期・中期・短期)は大切な部分なので目を通しておいてください。

難しいながらも問題数が多いのでしっかり学びたい分野!

「建築基準法・建築設備」の分野は、現場で馴染みがない人にとっては難しい分野です。また奥が深いためいくら勉強してもキリがなく、深追いすると時間が無くなってしまい、他の分野の勉強時間が無くなってしまいます。

しかし、問題数も多いので点数は稼ぎたいところですよね。

全体をざっと学んだら、後は重要ポイントだけに的を絞った勉強方法で要領よく攻略してください。

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